柴崎友香のレビュー一覧

  • 春の庭
    本全体の感想が、まさに「春の庭」という感じでした。
    ほのかに暖かくて静かで、平和。なにか刺激的な本を読みたい方にはおすすめできないですが、静かな本を読みたい方にはおすすめです。
  • 百年と一日
    主に喪失と再生を描いた小さな物語たち。

    百年の歴史があるものでも
    たった一日で壊されてしまうこともある。
    それは寂しく切ないものだけれど
    ただそれだけというわけでもない。
    長い時間の中には確かに輝いた一瞬があり
    その喜びのような瞬間があれば
    一日一日と
    この先また百年も続いていくかもしれない。

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  • 公園へ行かないか? 火曜日に
    IWPというアメリカの研修制度に興味があって
    関係する書籍をちょこちょこ読むのですが
    …あれ?小説扱いっていことは
    多少の脚色もあるってことかしら。

    アイオワの町に2ヶ月近く住んで
    大学の用意したプログラムに参加したり
    小旅行に行って、文化交流をしたり。
    英語が得意ではない上
    どちらかというと人見...続きを読む
  • 寝ても覚めても 増補新版
    急に出会い急に自らの元を去って行方不明になった男性を巡る1人の女性の恋愛物語、というのが一言でまとめた筋書きであるが、単純な筋書きには収まりきらない奇妙な小説。

    主人公の一人称で語られる本作では、主人公のあけすけな性格もあり、主人公の思いが比較的ストレートに語られているかのような印象を受ける。しか...続きを読む
  • わたしがいなかった街で
    登場人物の思考の巡らせ方がとてもリアル。
    人には言えない、説明できない、したところで理解されないであろうなと思う、自分の中でぽろぽろと湧き出てくる思考が、細かく丁寧に描写されていた。
    その考えを他人に話してみたり、わかってもらいたいと思っている平尾さんが自分とは違っていて、不思議な気持ちになった。
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  • 待ち遠しい
    いつもみたいに、真面目なのかふざけているのかよくわからないような軽妙なやりとりでクスリと笑わせてくれる柴崎さん独特の面白さがなく、あれ?と思ったのだけれど、読み進めていくうちに登場人物たちの世界がどんどん深まっていって、気付いたら私も一緒に母屋でお茶を飲んでいるような気分になっていた。

    どこにでも...続きを読む
  • 春の庭
    えっ反応に困る内容だった
    ちょっと解釈むずかしい、入り込む前に終わってしまった感、残念…

    2021/4/29 ★3.0
  • 百年と一日
    例えば、自分のちょっとした思い出や誰かから聞いた話を文章に残しておこうとしたら、きっとこんな感じになるのではないだろうか。どこかで誰かが暮らしていて、時代の影響を受けたり、家族や仕事に事件があったり、そうしてみんな生きている。私たちの暮らしもまた一つの大きな物語である。
  • ご本、出しときますね?
    同名テレビ放送は全部観ていたので、まあ内容はわかっていた。この手の番組が1クールで終わってしまうのが非常に惜しいし、民度がわかるというもの。とはいうものの、このゲストの顔ぶれは偏向し過ぎだ。まあテレビなので小説家とはいえ、テレビ映え・トーク映えしないといけないことは重々承知だが、それにしてもだ。若林...続きを読む
  • 春の庭
    自分が到底住めない家に憧れること、何となくわかる気がするなぁ。色々な妄想をしてみて、実際に中に入って色々感じてみて。最後の太郎は何を感じたんだろう。自分の身の丈?それはよくわからなかったけど、何となく気持ちはわかるなぁ、という感じ。
  • きょうのできごと 増補新版
    ◎あらすじ◎
    引っ越し祝いの飲み会に集まった男女7人。
    各々の人生を生き、一時混ざり合う「きょうのできごと」を様々な視点から綴った1冊。映画化に伴い作者が映画撮影に立ち会う「きょうのできごとのつづきのできごと」、番外編の「もうひとつの、きょうのできごと」も収録。

    ◎感想◎
    章ごとに語り手も、語られ...続きを読む
  • きょうのできごと 増補新版
    読もー読もー、と思っててやっと。
    読みやすい文体。イメージしやすい大学生たち。何気ないのにそれがいいなぁ。

    みんなかわいい。
    いつ朝がくるんだろう、って素朴な気持ちがわかる、この日をいつ終わりにしていいかわからないような。もうとっくに学生じゃないのにそんな名残惜しさをすごく感じる。

    きょうの出来...続きを読む
  • わたしがいなかった街で
    現在と過去、あちこちに思いを馳せながら「なんで私はここで生きているんだろう」と問い続ける。時代や視点の交わり方が丁寧。
    途中で集中力が切れてしまったので、ゆっくり、もう一度読み直したい。
    「会えない人と死んだ人と、全然違うとしたら、どこに決定的な違いがあるのか。」という一文が印象的だった。
  • ご本、出しときますね?
    読んだことのある小説家が少なく、フィクションを全然読んでいないことを理解する。社会人になると時間が限られてくるので好きなノンフィクションを読んでしまう。しかし、それもやむを得ない。
  • かわうそ堀怪談見習い
    あやかし物かと思ったら、怪談集だった。作家が怪談を集めている設定なのに実はこの作家も奇妙な世界に生きてるという…。鏡に自分の後ろ姿が見えるって地味に怖い。
  • ご本、出しときますね?
    BSのトークバラエティを書籍化したもの。
    「その人の書く小説の方が小説家より頭がいいと思う」という言葉に笑ってしまった。
    もっといろんな本を読んでみたいと思った。
  • 千の扉
    団地の雰囲気とか都市伝説とか伝わるものは多かったが、時系列がとんだりするのでやや混乱する。
    回想シーンでは主人公がわからなくなる。読解力の低さなのか。
  • 千の扉
    戸山ハイツの話なんだが、情景がとてもよかった。最後のところとか。都市伝説がうまい具合にひょいと出てきて、でも今の話。世代が近い登場人物がいないとちょっと入りにくいかな。私には上と下になってしまっていて。
  • 待ち遠しい
    *住み心地のいい離れの一軒家で一人暮らしを続ける北川春子39歳。母屋に越してきた夫を亡くしたばかりの63歳、青木ゆかり。裏手の家に暮らす新婚の現実的な今どきの新婚25歳、遠藤沙希。年代も性格もまったく異なる3人の出会いから始まった、温かく、どこか噛み合わない“ご近所付き合い”、その行方は―。芥川賞作...続きを読む
  • 寝ても覚めても 増補新版
    ファションに対する執着とか、朝子のエゴを分かりやすく描いている分、小説は分かりやすく、ひたすら登場人物やモブのちょっとしたエピソードを書き込んで行って世界を構築する筆致も凄みがあるんだけど…
    いかんせん完璧な脚本と役者、ショットでこの小説のというか人の訳のわからない怖さを最大限描き切った映画が凄す...続きを読む