柴崎友香のレビュー一覧

  • 待ち遠しい

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    『普通はこうだよね~』とか、
    『○○じゃないなんて、変だよ』とか
    私たちの周りには、さりげなく自分の価値観を押し付けようとする言葉が大量に飛び交っている。
    価値観や常識なんて人それぞれだし
    あれこれ言ってくる人は、言うだけで責任なんてとってくれないのに。

    主人公の春子さん(39歳独身一人暮らし)は、
    相手にそんな言葉を投げつけられても
    ふんわりと受け止めてしまう。
    私なら例えその場ではニコニコしてても
    心の中では『お前の顔なんて二度と見たくね~!』とか
    思ってしまうような場面でも。

    春子さんは相手の考え方を否定しない。
    『そういう風に思うには理由があるのだろう』と考える。
    いいな、私もそん

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    2020年05月24日
  • 週末カミング

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    週末にまつわる短編集。一つ一つが短いのであっさり読める。
    どの主人公も自分とは違った週末を過ごしていて、自分と比較して読んでしまった。

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    2020年04月15日
  • 春の庭

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    表題作よりも書下ろし短編がもっとも読みやすかった印象が強い「オチの無い」短編集でした。モヤモヤを引きずりながら解説を読んでなんとなく共感は得られたものの、結局何が言いたかったのかスッキリしませんでした。アクタガワ賞の敷居の高さに打ちのめされた感あり

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    2020年04月05日
  • かわうそ堀怪談見習い

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    恋愛小説家から怪談作家に転身した主人公の周りで起こる不思議な出来事や知人からの階段話を連作短編で
    綴っている作品!
    それぞれの話にすごく怖い話とかインパクトは無いけど、
    世にも奇妙な物語みたいな、ちょっと不思議な話でサクサク読めるので良かったです

    次回作も期待です

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    2020年03月22日
  • 走る?

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    ネタバレ

    スポーツ雑誌 NUMBER Doに連載されたランを題材にした短編小説を集めたアンソロジー。

    ランナーではなく、ランを題材にしているってのがポイント。王道に走る楽しみを描いた小説だけではなく、走ることがイヤになる小説、走らされる小説等各種色が揃っている。出来もマチマチで、トータルで評価すると凡作ってことになってしまうなぁ。アンソロジーはそこが難しい。

    好きな作品は
    「パン買ってこい」中田永一
    「ホープ・ソング」王城夕紀
    「桜の並木の満開の下」遠藤徹

    どれも結局はちゃんとランに目覚める人の話だった。
    読み手によって好みは絶対分かれるだろうなぁ。

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    2020年03月06日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    ショートパンツを穿いてサンダル履き、シャーツの前をはだけて、腹を丸出しにして、裾を風にはためかせている奴の姿を見ると、破滅の予感が沸いてくる。Tシャーツに印刷された絵や文字は、どうにも珍妙で道理に反している。自分の内在している思想や感情を表現しているように見えてしまうことが卑怯すぎる。見えてしまうことによって、人は破滅に向かう。Tシャーツ1枚で偉そうに思想を語った気になる。自分の弱いモチーフを服によって増幅させる。これは刺青をちらつかせて人を威圧するのと変わらない。相応の覚悟もないまま雰囲気だけまとって、さも中身があるかのように取り繕う人間には破滅の道があるだけ。破滅が恐ろしくてTシャーツが着

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    2020年01月18日
  • 走る?

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    走るがテーマですと言われて作家は書くのだろうか?
    走らないこと、走ると飛ぶを比べる人、追いかける人、
    いろいろ読めて面白かった。

    俳優の岩松了のが、なんか後味ぞくっとする。

    「熊の夜戦」
    「いびきが月に届くまで」
    「パン、買ってこい」
    もよかった。

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    2019年12月26日
  • つかのまのこと

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    彼(そもそも男なのか?)にとっては、この家族が引っ越して去っていく間も、言うなればつかのまのことなんでしょう。
    古いおうちって本当に少なくなりました。この、本当にいい家が、取り壊されずに、次の人がやってきますように。

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    2019年12月19日
  • 待ち遠しい

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    ネタバレ

    都心から少し離れた大阪の古い家が舞台。母屋と離れがある場所で、主人公の春子は離れの部屋で独り暮らしをしている。独身を貫く決意があり、歳をとったら友人と一緒に住むことを考えている。母屋に住む大家のゆかりは夫に先立たれ、独り暮らしをしている。性格が正反対であるが、いつしか友達となる。近くに住む沙希を交え、少し歳が離れた友人同士となる。

    本作品では、古い家に住む人を中心とした女性の日常を描く。女性の日常に潜む生きづらさなどが、男性目線的には赤裸々に語られる。楽しそうに見える女性の笑顔の裏には解決できそうで、できなさそうな事柄があるのだと気づかされる。彼女らは何を待つのだろうか。何かを待つことで幸せ

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    2019年11月21日
  • 寝ても覚めても 増補新版

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    その時々の気持ちで動いてしまえる主人公が凄いと思った… その点で麦と主人公は似ている…… 気持ちが切り替わるきっかけになるのは、レンズを通して映し出された現実の似姿、それをみて世界の真実にハッと気づいたみたいになって急転直下動いてしまう。
    冒頭、大阪の某展望台から見た景色の描写が独特で、これが「小説家の目」なのかと思ったけど、朝子の視点をここで端的に表していたということなのかも。
    主人公と麦、ふたり以外の人は割とまともに思えた。

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    2019年11月20日
  • 春の庭

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    古いアパートに住む離婚歴のある男性と、写真集の舞台となった隣家に異様な関心を示す女性の日々を描いた芥川賞受賞の表題作ほか、3つの短編を収録。

    写真集の家に執着する女性の行動こそ変わっているものの、主人公の男性の日常は淡々としていて、とらえどころがない。取り壊すことが決まっているアパートと隣の家での出来事が大半を占め、すべては現実的なのにどこか宙吊りにされているような不安定さも伴っている。
    極めつけが、終盤語り手が突然男性の姉に変わること。全体をとおして、心地よい不可解さとでも言ったらいいのか、読後にもっと理解したくてパラパラと読み返してしまう一冊だった。

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    2019年11月12日
  • 待ち遠しい

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    一軒家の離れに一人住む独身女性・春子39歳。春子と近所の人たちとの日常。大家さんのゆかり63歳。ゆかりの親類で近所に住む新婚沙希25歳。その二人と接することにより、近所の出来事、食い違い、自分を見つめ直してゆく。
    劇的なことはないんだけれど、3人の年齢や背景の違いにより、価値観が異なりそのやり取りにその都度考えることがあった。結婚、親類との付き合い、自分の未来について。物語にある近所付き合いについては、ありそうなこと。それぞれの意見の相違とか実際ありそうなことを上手く描いているなあとじっくり読めました。みんな考えることが違うけれど、それは当然であって、いかに自分を持つかかな。理解できるか分かり

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    2019年10月27日
  • 週末カミング

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    どの話もこれと言って何か特別なことが起こるでもなく、それぞれのある週末が書かれている。たんたんとした書き方に全体を通して一貫性があり、登場人物の会話にはなんだか親近感が湧いた。自分の周りにいそうな登場人物たちで、そして自分もこの本の中に出てきそうな普通の人間だから親近感が湧いたのかもしれない。

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    2019年08月23日
  • その街の今は

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    大阪の(たぶん)ミナミあたりで日々を送っている20代後半の男女の普通の普通で普通な日常が描かれる。主人公の歌子は大阪の昔の写真を集めるのが趣味で、それを見て「この写真の人も私たちみたいに……」みたいな会話もあるから、それが「その街の今は」につながっているんだろうな。
    歌子と友人の智佐、歌子の彼氏になりかけの良太郎という主要な3人とも、正社員としてバリバリ仕事をしているわけでなく、腰かけ仕事のような、人どうしのつながりで紹介されたような仕事で日銭を稼ぎながら生きている。でもそのある意味、不安定な浮遊したような立場でもそれなりに楽しく暮らしている印象。知らない街の話だからそう思うのかもしれないけど

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    2019年07月20日
  • つかのまのこと

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    柴崎さんの作品『寝ても覚めても』に主演したということで、今回は東出昌大をイメージした作品。東出昌大の写真集みたい。

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    2019年07月18日
  • 公園へ行かないか? 火曜日に

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    一応これは小説、ということでよいのでしょうか。アメリカに語学留学していた頃の柴崎さんの日常を綴ったエッセイのようにも思える。

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    2024年11月02日
  • 週末カミング

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    普通の女性の週末をめぐる短編集。
    登場するのは普通といいながらも実は個性的な考え方の素直な女性ばかりでしたが、柴崎さんらしい瑞々しさがやや欠けていた印象です。

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    2019年05月02日
  • 寝ても覚めても 増補新版

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    正直文体が頭に入ってきづらくて読みづらかった。が、最後の豊崎由美の書評でそういうことだったのか、とハッと箚せられた。

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    2019年03月05日
  • 公園へ行かないか? 火曜日に

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     ゆきてはかえる波のように、アメリカでのライティングセミナーの様子が語られる。
     最初はよくわからなかったけど、じわじわと言葉の波に足を取られ、楽しく漂えた。

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    2019年02月14日
  • 春の庭

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    登場人物の言葉や振る舞いがとても素直。小説だからと変に飾り立ててなくて、きっと自分もこんな反応をするんだろなと思った箇所が沢山あった。するすると読み終える。

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    2019年01月31日