柴崎友香のレビュー一覧

  • こどものころにみた夢

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    評価が低いのは、帯の文言がまったくの羊頭狗肉だったからです。「5分で読めて、暖かい気持ちに」って。全然暖かい気持ちになんかなりませんよ。作家陣も抗議していいんじゃないか。まあそこを期待して購入した訳じゃないんだけど。

    内容はよかったです。不条理さ、うっすらと漂う気持ち悪さ(あるいは気持ちよさ)、尻切れとんぼの読後感、などなどいかにも夢の話だという気がして、一編読んだあとよく眠れる気がしました。お話と自分の夢の境目が曖昧になるようで。

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    2024年02月27日
  • 待ち遠しい

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    離れの一軒家で一人暮らしをする独身北川春子39歳。そして母屋に越してきた、夫を亡くした青木ゆかり63歳。その裏手の黄色い家で暮らすゆかりの甥っ子の嫁沙希25歳。

    適度な距離感で暮していけたら良いのに、持って生まれた性格というのか、寂しさからなのかおせっかいをやき始めるゆかり。ここまでなら許せるけど、ここから先は踏み込んで欲しくない…て所はありますよね。沙希のズケズケ言う言い方も私は苦手。春子みたいに聞き流せたら良いなと思った。

    ご近所付き合いは難しいけど、この小説のように何かあった時は遠くの親戚より近くの他人が頼りになることも。特に1人暮らしをしているとゆかりのような存在がいると安心かも

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    2024年01月31日
  • 虹色と幸運

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    ひとはいつ「大人」になるのか。いつの間に「大人」と呼ばれる年齢になった今、ピッタリな作品だった。主人公の3人の女性が三者三様の生活を送っていく物語。平凡だけど、日常にある浮き沈みを進んでいく主人公たちに共感しながら読み進めた。

    いつかちゃんとしたらとか考えてたら、なんにもできないのかもしれない

    っていうかおりの台詞がその通りすぎて、印象に残った。

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    2024年01月01日
  • 春の庭

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    「春の庭」は気を衒うことなく淡々と話が進む中に色んな人生の歩み方が語られている。何か特別な技巧は感じないながら、他の小説との類似性を感じない伸びやかさがあった。読解力がないせいか、残り僅かな場面で語り手が太郎から太郎の姉に変わるところの意図が理解出来なかった。

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    2023年12月29日
  • ご本、出しときますね?

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    最近オードリーの若林さんにハマっており、たどり着いた一冊です。
    この番組見たかったなー。対談相手の作家さんも好きな人達ばかり!

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    2023年08月26日
  • ご本、出しときますね?

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    ◆心に刺さったワード◆
    ⚫一日の中に締切があると、規則正しく進む
    ⚫中途半端な人こそ自分を天才に見せようとして横柄になる
    ⚫仕事してる間は、自分の内側のことで悩まなくていい。それに、金銭が発生すると「社会に必要とされてる」と思えて、自分のなかの欠落感が埋まった気になる。その「必要とされてる感」を失う怖さ。今仕事がなくなったときに、その欠落とうまく付き合う 技術や、人間 力への自信がない。そこから来る 強迫観念かもしれませんね。
    ⚫強い心は強い肉体に宿る
     

    ◆読んでみたい本◆
    ⚫変な恋愛の短編を集めたアンソロジー 岸本佐知子 『恋愛小説集』
    ⚫肩の力を抜きたい人 森鷗外 高瀬舟
    ⚫世界の実相

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    2023年08月18日
  • きょうのできごと 増補新版

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    飲み会の夜の空気を書くのがすごい、面白すぎる、しかも退屈とか呆れとかそういう、一見ドラマティックじゃない感情も書いてて、でもその書き方は鮮やかだから大したことが起きてないのに読んでいて引き込まれる。解説読んでなるほど、と思った。視点や語り方の移動。すごいなあ。

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    2023年08月16日
  • かわうそ堀怪談見習い

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    ☆3.4

    ふっと突然に日常が今までと地続きに思えなくなる瞬間が訪れそうで、この暑い中でも寒くなれる。
    自分を見失わないようにここに帰ってこなければ、と思ってしまった。

    ほんのりじわじわと怖い話だった。
    例えば普通の道を普段通りに歩いていたのに、ちょっと瞬きした間に何かが変わってしまったような。
    ほとんど同じなのに決定的にさっきまでとは何かが変わってしまったことだけはわかる。
    どうしようもない怖さ。
    そんなものがずっと背中にはりついている。

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    2023年08月19日
  • こどものころにみた夢

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    12人の作家による夢や思い出のアンソロジー。
    堀江敏幸氏の「ハントヘン」、長野まゆみの「衣がえ」が良かったです。

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    2023年08月02日
  • 春の庭

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    第151回芥川賞受賞作。くわえて、単行本未収録短編二点と、書下ろし短編一点を収録。

    表題作『春の庭』は、妙な出会いというか縁というかによって話をするようになった、取り壊し間近の同じアパートに住む主人公・太郎と西という女性漫画家。この二人を主要人物として物語は進んでいきます。しかしながら、物語はどうなっていくのか、中盤まで読み進めていってもまったく先が読めません。僕にとっては「物語」というものの引き出しの外にある「物語」で、つまりは自分にとっての新種の「物語」なのかもしれない、なんて思いました。あるいは、「物語」のどのようなコードに対してもそのまま従うということをしない、というカテゴリに分類さ

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    2023年07月26日
  • 待ち遠しい【毎日文庫】

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    独身で、恋愛もしてなくて、働きながら一人暮らしをしている主人公の生活に憧れる。
    今の私と同年代だから、余計に。
    ひとりを楽しみながら生きていけるのって素敵。
    大きな浮き沈みもないけど、地に足をつけた生活。
    いいなあ。かっこいい。

    ご近所のゆかりさんは少しおせっかいだけどおしゃべり好きでいい人だし、こんなおばさまとご近所だったら楽しいかな?うっとうしいかな?と考えながら読んでしまった。

    20代で新婚の沙希が、自分勝手とも思える言動だけどその危なっかしい不安定さは、素直さの表れなのかもしれない。

    みんなそれぞれ事情はある。それを表に出さないだけで。

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    2023年07月25日
  • 待ち遠しい【毎日文庫】

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    柴崎友香さんの日常感とか、そこで流れてくる日常の中での人生観、感覚はやっぱりおもしろいけれど、そのすべての中ではこの作品はいまいち…
    主要登場人物の沙希さんに共感出来ないからじゃないかと思う。遠慮のない人が、苦手なのかもしれない。

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    2023年07月23日
  • こどものころにみた夢

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    【収録作品】「男」 角田光代 絵/網中いづる/「ガラスの便器」 石田衣良 絵/松尾たいこ/「さよなら、猫」 島本理生 絵/鯰江光二/「水の恵み」 阿川弘之 絵/木内達朗/「タイムリミット」 辻村深月 絵/吉田尚令/「ヘビ」 西加奈子 絵/西加奈子/「ふたり流れる」 市川拓司 絵/いとう瞳/「ハントヘン」 堀江敏幸 絵/中村純司/「雲の下の街」 柴崎友香 絵/田雜芳一/「衣がえ」 長野まゆみ 絵/望月道陽/「おしっこを夢から出すな」 穂村弘 絵/ささめやゆき/「さらば、ゴヂラ」 高橋源一郎 絵/しりあがり寿

    夢だけにシュールな感じを引きずる。続き…はないのかな。

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    2023年07月20日
  • ご本、出しときますね?

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    若さま一人のエッセイのほうがだんぜん面白い。
    暗くて、ネガティブで、面倒臭い部分がいいのだ。
    聞き役にまわると、気を使う感じが透けてみえるから

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    2023年06月07日
  • 青空感傷ツアー

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    物々交換の本棚で手に取ったもの。

    わたしは芽衣パターン。きれいな顔に弱くてなかなか行動に移せない。
    音生みたいな強烈な子、好きか嫌いかの両極端だろうな。次へ次はぐんぐんやりたいように進んでくのははたから見てたら気持ちいい。
    なんの計画もなくあっちこっち旅するのいいな、と思いながら音生みたいな子が隣にいないと出来なさそうだな。

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    2023年06月06日
  • こどものころにみた夢

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    「こどものころにみた夢」をテーマにしたショートショート・アンソロジー。色々な作家さんの作品を楽しめます。夢の不思議さや、ならではの不条理を受け入れてる感じが好き。現実なのか、まだ夢の中なのか、分からないような書き味のものも。
    個人的には西加奈子さん、長野まゆみさんの作品が好きでした。

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    2023年05月31日
  • 本からはじまる物語

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    18人の作家による本にまつわるアンソロジー。
    市川拓司さん「さよならのかわりに」が面白かった。梨木香歩さん「本棚にならぶ」は勝手なイメージでほんわかした話かと思ったらなかなかに怖かった。どの作家さんの話からも本好きな気持ちが溢れ出ているように感じた。

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    2023年05月08日
  • 待ち遠しい【毎日文庫】

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    情景が思い浮かぶような物語でした。
    子育て中の私には3人の主人公よりも、
    直美の今の状況や、大変ながらも子供が小さい頃のことを思い浮かべることが多かったため星3としました。子供が巣立ったら、ゆかりの気持ちがわかるかなぁ、年代別に色々と楽しめる小説だと思います。

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    2023年04月26日
  • 待ち遠しい【毎日文庫】

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    ネタバレ

    単行本でも文庫でもカバーに3人の女性が描かれている。
    私は沙希を、きらたかし「赤灯えれじい」のチーコのド金髪で思い浮かべていたのだが、文庫カバーではゆるふわな黒髪だった。
    確かに直球ヤンキーな長距離トラックドライバーと、マイルドヤンキーとはいえ医院の受付とは、随分違う。
    解釈違いだった。

    柴崎友香の小説で私が好きなのは、カッコつきの「淡々とした日常」の中で、視点人物が町や建物や対人関係についてあれこれ考える、そのどこかのタイミングで日常がグニャリと変容するような気づきを得る……結果的に高度な都市論や記憶論が小説として展開されている、という点。
    その意味で本作はやや「淡々とした日常」寄りすぎる

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    2023年04月25日
  • 待ち遠しい

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    いろいろと「それでいいの?」と思ったり、理解できないこともあったりで、完全に消化不良なんだけども、ほかの方の感想をみて、そうよな、全て解決するなんてリアルじゃないしな、と。
    ホントそうですよね、こっちのほうがリアル。

    (それにしても、いろいろナゾが多すぎるw)

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    2023年04月19日