柴崎友香のレビュー一覧

  • ドリーマーズ

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    そろそろ三十メートル上方に浮かぶ会社に戻らないといけないと思いながら〔34:ハイポジション〕

    「東京とパリとバンクーバーってなんか違うと思う?」「なんかって」「わからないけど。今までこんなすごいことなんで誰も教えてくれなかったの、って思うような決定的な違い」「なにそれ」
    〔56:クラップ・ユア・ハンズ!〕

    たぶん今のわたしよりも小さかった小学生のころの幸太郎の後ろ姿が、うちの近所の建て売りが並ぶあたりをうろうろしているのが思い浮かんだ。でも、それと、幸太郎が思い出しているのとは、全然違う景色だと思う。〔86:夢見がち〕 

    「焼肉屋ってどのへんにあるの?」
    鶴橋の駅を出て右。〔95〕

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    2022年12月19日
  • わたしがいなかった街で

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    ネタバレ

    主人公の砂羽は色々考えすぎて、人の目を気にしすぎて、まわりにうまく溶け込めない。あと、色々心配性すぎる。いざという場面でコミュニケーションを失敗する。脳内会議の感じ、私も同じようになってることよくあって、共感した。

    砂羽は、戦時中の作家の日記を読んで同じ場所にいったり、戦争のドキュメンタリーを見たり、戦争を体験した祖父に思いをはせたりしながら、今の自分に起きてることは(どんな出来事も)場所とか時間とかいろんな無数の条件の組み合わせでできているんだ、という普遍的事実を再確認してるようにみえた。
    そこまで達観してるから無感動なのかな…?(いいのか悪いのかわからないけど)と思った。
     
    砂羽は、理

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    2022年11月06日
  • 本からはじまる物語

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    本が好きな人には是非読んでほしい!
    本と人との関わり方、大切な本の思い出、ファンタジーな物語もあり、、、

    色々な方のストーリーをいっぺんに楽しめる欲張りな本です!!

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    2022年10月15日
  • ご本、出しときますね?

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    西加奈子、朝井リョウ、長嶋有…。小説家は普段何を考え、どうやって作品を生み出しているのか。無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と作家たちが“自分のルール”を語りつくす。BSジャパンの同名番組を書籍化。

    作家が何を考えているかがうかがえて面白い。

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    2022年10月14日
  • ご本、出しときますね?

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    これ、とても良かったです。
    私がまた読書にはまるきっかけになりました。
    いろいろな作家さんの人柄がわかり、作品に興味を持てます。

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    2022年10月13日
  • きょうのできごと 増補新版

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    大学院に入る友人の引っ越し祝いに集まった男女。それぞれの視点でそれぞれの過ごした24時間ほどが描かれる。
    時間はバラバラなので、先の話で出てきた人のことや関係が後の話(時間軸は前の時間になる)で明かされたりして話が続く。
    誰が主人公かわかったようでそうでもない。細かな描写で少しずつ過ぎてゆく時間が描かれる。
    何にもないけど面白かった。

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    2022年08月28日
  • 春の庭

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    L字型のアパートに住んでいる主人公(30代男)とそのアパートの住人2人の女性と3人の話と、そのアパートから見える水色の家。水色の家は昔アーティストが住んでいて、それが"春の庭"という写真集にもなっている。それを高校時代に読んだ1人がその家の人と仲良くなり、家の中を見せてもらい、どうしても風呂場を見たいがために…ある事件になってしまう。
    主人公はベランダから見えるその家のステンドグラスが気になり、そして庭を掘り返している写真が気になる。
    自分の家に父親の骨を砕いて埋めたことがあるから。

    最後に主人公の姉が出てくるんだけれど、ここで姉=私 になる
    なぜ⁇

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    2022年08月28日
  • 主題歌

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    我々は誰かと会い、誰かと話している間、どうでもいい所を気にしたり、会話に関係ないことを考えたりしながら、生きている。
    そんな当たり前の生活が、とても丁寧に描かれている。

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    2022年08月04日
  • 青空感傷ツアー

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    『失恋したら、この本持って旅に出よう』
     この紹介文で、私はこれを手にした。まあでも、旅って言ったって、失恋した相手くらいしか一緒に行く人がいないんだけど。……って、どんだけ寂しい人間なんだ自分は。別に寂しいと思ったことはないけれど。なんて思いつつ、ページを捲る。
     果たしてこの本に、大きな意味があるのだろうか。恐らく、何か重要すぎるメッセージなんてどこにもない。ゆるゆると、時に激しく時間が過ぎていくような本だ。それが良いなと感じた。
     これが本当の失恋旅行なのかはわからない。そもそも、失恋しているらしいのは語り手ではなく、その友人……美しすぎる、ネオという名前の少女だけだ。だが、この世に「本

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    2022年04月22日
  • かわうそ堀怪談見習い

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    不思議なタイトルに惹かれた。
    恋愛小説家という肩書きに違和感を覚えた「わたし」が、怪談を書こうと思い立ち、東京を離れて「かわうそ堀」という名前の街に引っ越してくるところから、この小説は始まる。
    だから、「かわうそ堀怪談見習い」。
    「わたし」は怪談を書くために中学の同級生に取材を始めるが、それから奇妙な出来事に遭遇するようになる。

    ゼロ「窓」から始まり、マイナス一「怪談」を経て二七の「鏡の中」まで、29の断章からなる。
    小説全体を貫くのは「わたし」の記憶にまつわる謎で、やがてその謎は深まり、ほぐされていく。その過程で、断章のひとつひとつが、派手さはないけど不穏な手触りを「わたし」と読者に残して

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    2022年02月22日
  • わたしがいなかった街で

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    時間を辿って砂羽の行動と心の動きを追う、それは自身の思い出に浸ったり、見聞きしたドキュメンタリのなかのことでもあったりする。

    近代文学(大正末や昭和の初め)の私小説が戻ってきたのか、と読み始めは思う。語り手平尾砂羽の日常生活が事細かに描写してあり、特に戦争や紛争のドキュメンタリーのビデオを見るのが好きという語りは、なんだかくらい特殊な趣味のようで、鬱屈している昔の文士のようかと、つまり暗らーくて欝々がメインのようなのだ。

    たしかに現代のある女性の孤独な生きづらさがよくわかるようにうまく描かれている。時々クスリとさせられるユーモアをまじえた、数少ない関わりの人(有子やその父親富士男さんや中井

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    2022年02月14日
  • きょうのできごと 増補新版

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    幼なじみの中沢とけいと、けいとの友だちで中沢の彼女の真紀ちゃん、中沢の友だちのかわちくん、その彼女のちよ、正道、坂本、西山。正道の下宿に集まった中沢、けいと、真紀、坂本、かわち,西山。下宿での飲み会の風景との、それぞれの1日。私も京都での学生生活を過ごしたので、懐かしい。お風呂やさんやラーメン、鴨川…訳もなく鴨川で、たたずんだよな。あー青春(笑)しょーもないことで、もめたり笑ったり。なんでもないその日1日が、なんでもなくないのかも知れないと今ごろ気づいたり。

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    2022年01月23日
  • フルタイムライフ

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    せっかく思いついた質問が一言で終わってしまったと思ってがっかりしていると、しばらく何かを考えているような顔をしていた正吉くんが言った。
    「テレビ、ついてる」
    すごくうれしかった。それで、笑えてしかたなかった。(203)

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    2021年08月10日
  • ショートカット

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    ・「美しい、なんか普段使わんやろ。でもおれは使うもんね、今ここで、表参道のために」(15:ショートカット)
    ・わたしは、自転車を押す片野くんと、真夜中の人の通らない道を二人で歩いている。それが自分が確かめられることの全部だと思った。(65:やさしさ)

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    2021年08月10日
  • その街の今は

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    柴崎さんの小説の空気は、ずっと浸っていたいです。
    嫌なものがあまり無いし、「これは嫌い」と強く声高に拒否するような人も居ないからだと思います。
    登場人物も大阪の人たちでよく喋るけれど、煩くないのも良いのかも。
    こういう景色ある、とか、こういう人たちいる、という現実味もものすごく感じました。
    大阪はたぶん2度しか行ったことないけれど、行きたくなります。無性に、この空気に身を置きたい。柴崎さんの切り取る大阪は良いところのように思えます。過去と現在と、地続きで。
    川上弘美さんの解説もとても良かった。そう!と思います。

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    2021年06月30日
  • また会う日まで

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    誰かに対するはっきりしない感情とか関係性ってあるよなあ、と思った。
    自分だと上手く言い表せないいろんな微妙なことを柴崎さんが綺麗に言語化してくれて、読み進めながらずっとそれな、それな、と思った。
    にしても結婚前なのに女の子と会いすぎでしょ鳴海くん。

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    2021年06月12日
  • 待ち遠しい

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    性別、年齢を超えた人同士の「違い」を描く物語だった。
    主人公は人に対してあまり主張しないタイプの人。もどかしく感じる部分もあったが、自分と似てるので親近感を覚えた。
    主人公がゆかりさん、沙希といった多くの人と付き合う中で、自分を客観視していくように見えた。物語の展開的にそんなふうに感じた。初めは感情の波が少ないようだった。(物語の展開もそんな感じ)だんだん主人公が感情をあらわにするにつれ物語が動いていく。終盤になるにつれ主人公のその人らしさが浮き彫りになっていく感覚がした。
    会社の同僚、沙希、ゆかりさんなど周りの人からの言葉が主人公との違いを浮かび上がらせ、展開していった。

    また、家族とのつ

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    2021年05月19日
  • 待ち遠しい

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    まとめた世間の声をくっきりとした発言に変えて話す、オブラートという概念のない人たちが多いという感じ。
    そのために読んでてもやもやイライラすることも多かったが確かに言葉選びが上手。まんまとイライラさせられた。春子が紅茶の店で頭の中で反論してるところとかその上手さがスッキリと出ている気がしてよかった。自分がうまく言葉にできないことをわかりやすく的確に言葉にする人が好きだと思う。

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    2021年05月04日
  • かわうそ堀怪談見習い

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    断片的に綴られていく、ホラー 小説。
    幽霊など見たことのない作者が怪談を書くために取材を始めるが、徐々に自分自身も奇妙な体験あるいは違和感を感じる。

    作者本人は自分はそういうものと無縁と思っているが、友人からそれは嘘だと言われる。
    実際に奇妙な体験をしてもそれを見ないようにしているかのような振る舞いが、いかにも現実感というか、肌感覚で恐怖を少しずつ、ひしひしと感じる。実際に見たら自分もそんな風に受け流そうとしそうだ。

    穏やかな描写のようでいて、気がつくと怖さが心に侵食してくる、都市伝説系の怪談では得られない強風感覚のできる一冊。

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    2021年03月25日
  • 寝ても覚めても 増補新版

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    映画を鑑賞してからの原作。
    主人公の周辺の描かれ方が全然違ってた。原作のがいいところもあれば映画のがいいところもそれぞれあり。

    小説は完全にあさちゃん視点の世界、あさちゃんのセリフで構成されているので、映画で狂気に見えるあさちゃんの言動も小説の方ではすっと腑に落ちる。
    普通に仕事して、職場のおばさんに気を遣い、ブランド物の洋服を試着して自分の似合う服を探し出す。結局ユニクロで服を買っちゃうことも。ある種普通の20代の女の子なんだ。
    しかし映画でのあさちゃんは、そのようなセリフも少なくあまり私生活的なところは見えてこない。単純に二人の似た男に揺れ動いているサイコパス女のように見えるので、酷評す

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    2021年03月14日