柴崎友香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
性別、年齢を超えた人同士の「違い」を描く物語だった。
主人公は人に対してあまり主張しないタイプの人。もどかしく感じる部分もあったが、自分と似てるので親近感を覚えた。
主人公がゆかりさん、沙希といった多くの人と付き合う中で、自分を客観視していくように見えた。物語の展開的にそんなふうに感じた。初めは感情の波が少ないようだった。(物語の展開もそんな感じ)だんだん主人公が感情をあらわにするにつれ物語が動いていく。終盤になるにつれ主人公のその人らしさが浮き彫りになっていく感覚がした。
会社の同僚、沙希、ゆかりさんなど周りの人からの言葉が主人公との違いを浮かび上がらせ、展開していった。
また、家族とのつ -
Posted by ブクログ
映画を鑑賞してからの原作。
主人公の周辺の描かれ方が全然違ってた。原作のがいいところもあれば映画のがいいところもそれぞれあり。
小説は完全にあさちゃん視点の世界、あさちゃんのセリフで構成されているので、映画で狂気に見えるあさちゃんの言動も小説の方ではすっと腑に落ちる。
普通に仕事して、職場のおばさんに気を遣い、ブランド物の洋服を試着して自分の似合う服を探し出す。結局ユニクロで服を買っちゃうことも。ある種普通の20代の女の子なんだ。
しかし映画でのあさちゃんは、そのようなセリフも少なくあまり私生活的なところは見えてこない。単純に二人の似た男に揺れ動いているサイコパス女のように見えるので、酷評す -
Posted by ブクログ
いつも比較的冷静に、でも何かが違う、自分とは違う価値観を押し付けられた、というときに感情が動く。
『机の上の書類を上司に投げつける映像が、春子の脳裏に鮮やかすぎるほどに浮かんだ。それから、いや、違う、と思った。書類も椅子も机もひっくり返して、わあああーっと思いっきり叫びたい。うん、それや。』ここはドラマなようにシーンが浮かんだ。
大きなことは特に何もないけど人生の中にある出来事がでも確実にひとりひとりの人生に波風を立てている。何もなし得てないかもしれないけど、きっとそんなことなくて、もっと自信を持ってもいいと考えるようになれた主人公が良かった。 -
Posted by ブクログ
全くバラバラの年代の女性3人のご近所さんのお話。
誰もが自分の価値観を正しいと思って生きているから、それにそぐわない人を見ると攻撃したり、あるいは善かれと思ってお節介を焼いたりしてしまうことがある。
でも、わたしが何をして何を選ぶかは「わたし以外のほかの誰かが決めることじゃない」
「人といっしょにいるにはエネルギーがいるから、一人の時間にそれを貯めてる」人もいれば「一人で過ごさなければいけない時間のために、賑やかにしてたくさん力をもらう」人もいる。
人は一人一人違うってことを分からずに自分がいいと思うことを押しつけてしまったり、相手に分かってもらえてるはずと思い込んでいたり‥‥そんなことに気付 -
Posted by ブクログ
人と人とが出会えない瞬間のやるせなさが大変よかった。人生のとても悲しい部分をよく切り取れていると思う。淡々とそれを受容する主人公がまたいい。
コミュニケーションの苦手な主人公は同じようにして正社員という地位ともすれ違い、バーでは同僚の女の子とすれちがい、別の登場人物に物語の語り手を任せて消えてゆく。イヤミスに似たしんどさだけど、エキセントリックでないほどよい苦味。どろどろの水たまりで転んで尻餅をついてしまい、そのまま曇った空を見上げてぼーっとしているようなここちよさ。
もう一つ収録された短編もよかった。端の上にたって橋が流されていく感覚にとらわれてしまうのってすごくこわいよね。 -
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