柴崎友香のレビュー一覧

  • 待ち遠しい

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    ネタバレ

    隣人の咲希に、彼女の"普通"を悪意ある言葉でぶつけられても、心の中では反論しているのにはっきりと何も言わない主人公にもやもやとした感情がある。
    最終的にお互いの意見を理解し合うのかと思ったが、全てに蓋をして終わった。
    終盤で、急に親戚一同が妊娠をおめでたがっている所がリアルで気持ち悪かった。

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    2023年03月26日
  • かわうそ堀怪談見習い

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    ネタバレ

    恋愛小説家という肩書きをやめたくて
    怪談話を書こうとする主人公

    自分は幽霊を見たことがないから
    わりと霊感のある友人や知人などに話を聞いて
    怪談話を書こうという内容なのに

    1番主人公が幽霊というかこの世じゃないものと近い。それがなんてことないような話の終わりに
    ポロッと書いたりするからすごく怖い。

    最初から怖い話という雰囲気で始まるのではなく
    一見日常を書いてそうなのに
    その日常や出てくる人たち街がおかしい。

    つぎの話の移り変わりにはでもその話は
    主人公にとってなんでもない風になってるのも怖い。


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    2023年03月17日
  • 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?

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    あなたは彼と二人でドライブを計画しています。しかし、そんな車に男性の友人二人が強引に同乗することになりました。そして、スタートしたそのドライブの中に友人の一人は後席に座ってこんなことを言い出しました。

    『高速降りようや。もう飽きたわ、おれ。下走ったらええやん』

    大阪から東京までの長距離ドライブで、運転もしないくせに勝手なことを言う友人は、さらにこんなことも言い出します。

    『鰻食いたい…鰻でも食べて気分転換したい』

    さて、あなたの心中や如何に?

    なんだか、なさそうでありそうなシチュエーションです。友人と一緒にワイワイ!ガヤガヤ!としたお出かけ、気心知った仲間ならではのひと時

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    2023年02月15日
  • かわうそ堀怪談見習い

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    『私は幽霊を見たことがあります』。

    (*˙ᵕ˙*)え?

    この世には不思議な事ごとがたくさんあります。そして、人は理屈で説明できないことに恐怖もします。しかし、科学技術の進歩によって、かつて不思議とされてきた事ごとも、その多くが科学的に納得できる説明がなされるようになってきました。このペースが続くと、やがてこの世のあらゆることは科学の力で説明できる、この世から不思議という言葉は無くなってしまう、そんな未来もやがて訪れるのかもしれません。

    ただ、それはまだまだ遠い未来のことだとも思います。少なくとも私たちが生きているこの世界は、不思議な事ごとに満ち溢れています。例えば、『お湯が沸いた

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    2023年02月13日
  • わたしがいなかった街で

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    ネタバレ

    時間や距離が隔たった場所の戦争によく思いを馳せる女性がいる。
    なぜこの今が、ああではなくてこうなのか。あのとき少し駆け足をして電話に間に合っていたら、違う物語が展開していたのか。はたまたなぜ自分は他人ではなくて自分の中から世界を見ているのか。そんなこともよく考えている。
    この砂羽という女性は人とのコミュニケーションは苦手なようで、生き辛さを抱えているように見える。この辺は非常によく分かる。
    せっかくなので、引用してみる。
    ”複数の人間が関わって、二重三重に暗黙の了解みたいなもので囲われた状況が苦手だ。それは三十六歳にもなって人の気持ちを考えられない、もしくは人づきあいのルールがわからない未熟な

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    2023年02月11日
  • こどものころにみた夢

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    怖い夢、儚い夢、おもらしの夢…? 角田光代、石田衣良、島本理生、市川拓司、長野まゆみといった豪華作家らが美しい絵と共に綴る「夢物語」。『小説現代』連載に書き下ろしを加えて書籍化。

    実際に読んだのは文庫本ではなく古いほう。

    石田衣良や穂村弘のお話が印象的でした。そんな私は永遠の肛門期…。

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    2023年01月13日
  • 青空感傷ツアー

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    柴崎友香「青空感傷ツアー」
    河出の文庫版。
    素晴らしいクライマックス。なにより海なのがいい。クライマックスの海、言えば浅学の私は脊髄反射で保坂和志!「プレーンソング」!と言うだろう、ラストが海なのはいい。「陽の名残り」の海もいい。

    これは全体を通して言える事だが、地の文でその景色の奥にある土地の営みを予感しながらも、次の行で始まるそれらと一切関係のない会話。これが良い。

    そこで交わされた会話は後に感傷を生むのかもしれないと言うと大げさだけれど、その感傷の目の前には営みをたたえた風景もあるよね、と自然に思った。そりゃ素晴らしいやんけ。
    ツアーとは移動で、感傷とは後ろへ消えていった景色に覚える

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    2022年12月26日
  • ドリーマーズ

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    そろそろ三十メートル上方に浮かぶ会社に戻らないといけないと思いながら〔34:ハイポジション〕

    「東京とパリとバンクーバーってなんか違うと思う?」「なんかって」「わからないけど。今までこんなすごいことなんで誰も教えてくれなかったの、って思うような決定的な違い」「なにそれ」
    〔56:クラップ・ユア・ハンズ!〕

    たぶん今のわたしよりも小さかった小学生のころの幸太郎の後ろ姿が、うちの近所の建て売りが並ぶあたりをうろうろしているのが思い浮かんだ。でも、それと、幸太郎が思い出しているのとは、全然違う景色だと思う。〔86:夢見がち〕 

    「焼肉屋ってどのへんにあるの?」
    鶴橋の駅を出て右。〔95〕

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    2022年12月19日
  • わたしがいなかった街で

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    ネタバレ

    主人公の砂羽は色々考えすぎて、人の目を気にしすぎて、まわりにうまく溶け込めない。あと、色々心配性すぎる。いざという場面でコミュニケーションを失敗する。脳内会議の感じ、私も同じようになってることよくあって、共感した。

    砂羽は、戦時中の作家の日記を読んで同じ場所にいったり、戦争のドキュメンタリーを見たり、戦争を体験した祖父に思いをはせたりしながら、今の自分に起きてることは(どんな出来事も)場所とか時間とかいろんな無数の条件の組み合わせでできているんだ、という普遍的事実を再確認してるようにみえた。
    そこまで達観してるから無感動なのかな…?(いいのか悪いのかわからないけど)と思った。
     
    砂羽は、理

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    2022年11月06日
  • 本からはじまる物語

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    本が好きな人には是非読んでほしい!
    本と人との関わり方、大切な本の思い出、ファンタジーな物語もあり、、、

    色々な方のストーリーをいっぺんに楽しめる欲張りな本です!!

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    2022年10月15日
  • ご本、出しときますね?

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    西加奈子、朝井リョウ、長嶋有…。小説家は普段何を考え、どうやって作品を生み出しているのか。無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と作家たちが“自分のルール”を語りつくす。BSジャパンの同名番組を書籍化。

    作家が何を考えているかがうかがえて面白い。

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    2022年10月14日
  • ご本、出しときますね?

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    これ、とても良かったです。
    私がまた読書にはまるきっかけになりました。
    いろいろな作家さんの人柄がわかり、作品に興味を持てます。

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    2022年10月13日
  • きょうのできごと 増補新版

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    大学院に入る友人の引っ越し祝いに集まった男女。それぞれの視点でそれぞれの過ごした24時間ほどが描かれる。
    時間はバラバラなので、先の話で出てきた人のことや関係が後の話(時間軸は前の時間になる)で明かされたりして話が続く。
    誰が主人公かわかったようでそうでもない。細かな描写で少しずつ過ぎてゆく時間が描かれる。
    何にもないけど面白かった。

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    2022年08月28日
  • 春の庭

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    L字型のアパートに住んでいる主人公(30代男)とそのアパートの住人2人の女性と3人の話と、そのアパートから見える水色の家。水色の家は昔アーティストが住んでいて、それが"春の庭"という写真集にもなっている。それを高校時代に読んだ1人がその家の人と仲良くなり、家の中を見せてもらい、どうしても風呂場を見たいがために…ある事件になってしまう。
    主人公はベランダから見えるその家のステンドグラスが気になり、そして庭を掘り返している写真が気になる。
    自分の家に父親の骨を砕いて埋めたことがあるから。

    最後に主人公の姉が出てくるんだけれど、ここで姉=私 になる
    なぜ⁇

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    2022年08月28日
  • 主題歌

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    我々は誰かと会い、誰かと話している間、どうでもいい所を気にしたり、会話に関係ないことを考えたりしながら、生きている。
    そんな当たり前の生活が、とても丁寧に描かれている。

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    2022年08月04日
  • 青空感傷ツアー

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    『失恋したら、この本持って旅に出よう』
     この紹介文で、私はこれを手にした。まあでも、旅って言ったって、失恋した相手くらいしか一緒に行く人がいないんだけど。……って、どんだけ寂しい人間なんだ自分は。別に寂しいと思ったことはないけれど。なんて思いつつ、ページを捲る。
     果たしてこの本に、大きな意味があるのだろうか。恐らく、何か重要すぎるメッセージなんてどこにもない。ゆるゆると、時に激しく時間が過ぎていくような本だ。それが良いなと感じた。
     これが本当の失恋旅行なのかはわからない。そもそも、失恋しているらしいのは語り手ではなく、その友人……美しすぎる、ネオという名前の少女だけだ。だが、この世に「本

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    2022年04月22日
  • ご本、出しときますね?

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    ネタバレ

    作家さんの生の声というか、フィクションではない部分を知る機会ってあまりないので、こういう対談集で人となりを知るのはとても興味深い。ますます好きになったり、まだ読んだことのない作品を読みたくなったり。
    知らなかった作家さんも、まずこんな人なんだということがわかってから読んでみたい!と思うのも新鮮。

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    2022年04月06日
  • わたしがいなかった街で

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    時間を辿って砂羽の行動と心の動きを追う、それは自身の思い出に浸ったり、見聞きしたドキュメンタリのなかのことでもあったりする。

    近代文学(大正末や昭和の初め)の私小説が戻ってきたのか、と読み始めは思う。語り手平尾砂羽の日常生活が事細かに描写してあり、特に戦争や紛争のドキュメンタリーのビデオを見るのが好きという語りは、なんだかくらい特殊な趣味のようで、鬱屈している昔の文士のようかと、つまり暗らーくて欝々がメインのようなのだ。

    たしかに現代のある女性の孤独な生きづらさがよくわかるようにうまく描かれている。時々クスリとさせられるユーモアをまじえた、数少ない関わりの人(有子やその父親富士男さんや中井

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    2022年02月14日
  • きょうのできごと 増補新版

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    幼なじみの中沢とけいと、けいとの友だちで中沢の彼女の真紀ちゃん、中沢の友だちのかわちくん、その彼女のちよ、正道、坂本、西山。正道の下宿に集まった中沢、けいと、真紀、坂本、かわち,西山。下宿での飲み会の風景との、それぞれの1日。私も京都での学生生活を過ごしたので、懐かしい。お風呂やさんやラーメン、鴨川…訳もなく鴨川で、たたずんだよな。あー青春(笑)しょーもないことで、もめたり笑ったり。なんでもないその日1日が、なんでもなくないのかも知れないと今ごろ気づいたり。

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    2022年01月23日
  • ご本、出しときますね?

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    小説家ってぶっ飛んでる!と思ったり、意外と庶民的、と思ったり。なかなか知ることのできない彼らの本音やキャラクターを垣間見れてうれしい。
    対談形式なので、すらすら読めた。

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    2022年01月10日