柴崎友香のレビュー一覧
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アパートの契約更新に伴い、知り合いの木村家の空いた一部屋に移ることにした田中真紀子。増改築を繰り返された木村家の、不思議な二階に引っ越してみると、木村家は木村イチロー以外、常時薄着で建築業の父、イラストレーターの姉、映画監督を目指す妹、そして現役女優のみすずと、予想外に個性的な人たちの集まりであった。どことなくお互いよそよそしい家族と、自由奔放で頻繁に家を空けるみすず。真紀子を介してか介せずか、家族が少しずつ動いていく。
うーん、不思議な感覚の小説。のっけから妙に読みにくい部分があると思ったら、芥川賞作家なのね。わざとなのかわざとでないのかわからぬが、「なになにが何々をして、なになには何々で -
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待ち遠しいってどういう感じかな。
主人公は1人で無理もせず、多きな欲もなく平凡に過ごしていた。そんな中に、新しい大家さん、今まで隣にいたのに関わりのなかった若い夫婦が入り込んでくる。
私なら少し鬱陶しいかもと思うけど、昨今の隣の人も知らない中、少しだけならいいのかもと、読み進めるうちに感じた
「人と一緒にいるのはエネルギーがいるから、1人の時間にそれを貯めてる」主人公
「1人でいるのは寂しいから、賑やかな時間に力を貰う」ゆかりさん
私はどちらかといえば主人公寄りかな
と、咲希さんは今どうなんだろう、1人でいるのは辛いのか?と言うことが謎のまま思った。それが、ちょいと心残り。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ男女三人の登場人物が、2020年3月からの2年間、要はコロナ禍の間、それぞれの場所で、それぞれの暮らし、人生を、いかに送ったかが、微細ながら、淡々と紡がれる。
未曽有の国家的危機の最中、その9年まえの2011年の東日本での大震災や、さらにその前の阪神淡路の震災にも思いを馳せつつ、今を生きる市井の人びとの暮らしが、そこにある。
つまり、いろんな出来事があった「続き」の今であり、そんな中で、新たな暮らしぶりの「始まり」を描く物語。
ただ、いつまでたっても、その三人が絡んでこない。年代も、職種も、生活環境も、住む場所も異なる三人ゆえに、一向に人生が交差していかない。同じコロナ禍を過ごすこと -
Posted by ブクログ
何か特筆するような出来事が起こるわけではない。2020年3月から2022年2月にかけての期間、コロナ禍で全ての人の生活が影響と制約を受けていた期間における、ごくありふれた一般市民である男女3人の身の回りで起きたことを、それぞれが主人公となる章を交互に重ねることで描いていく。
確かに、コロナ禍の生活ってこんな感じだったよなあと、ほんのちょっと前のことなのに、時を隔てた異世界のように感じられるのが不思議だ。
あの時期の暮らしや感覚を、後に記録として残す意味でも貴重な価値を持つ小説と言えるかもしれない。
登場人物たちに、ふとしたきっかけで蘇る過去の記憶、それがこの小説のテーマである。阪神大震災や東