柴崎友香のレビュー一覧

  • 続きと始まり

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    戦争も災害も疫病も「平和」な日々の続きとして始まった。皆それぞれに日々の仕事や暮らしに必死で、でも、理不尽な抑圧や小さな違和感をやり過ごす毎日の続きに、どんな日々が始まるのか。「後片付け」は誰がするのか。見て、目の前の世界を、と囁かれた気がした。
    だからといって、「正しい」ことをしすべき、行動すべき、と、そういう圧の強め方をしないのが柴崎作品。行動してもしなくても、私たちが生きるこの世界、同じ空の下に、今この時、痛み苦しみの中にいる人がいる。その事実から目を背けるなと、ただ、そう囁く。それが、心の柔らかなところに刺さる。

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    2026年01月24日
  • 百年と一日

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    場所と人と時間が織りなす34の物語。

    各篇のタイトルがとにかく長い。
    このような短篇は初めて。
    そして一作品は10ページほど。

    大きな何かが起きるということはない。
    淡々と物語は進む。
    読み終えるごとに少し遠くを見て余韻に浸りたくなる不思議な作品。

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    2026年01月10日
  • 私の身体を生きる

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    藤原麻里菜さんのが印象的だった。
    知らずに読んでいたけど藤原麻里菜さんって、無駄づくりの彼女だったのか!
    それに気づいてからより面白く読めたし、女とか関係なしに能力を認められたい気持ちは、理系入試女子枠アンチのわたしの気持ちを代弁してくれた。
    男性に女としてのフィルターを通して見られたくない気持ちでありながら、女である自分(の身体)が好きだというまとめ方も好きだった。

    痴漢被害にあった人が多く驚いた。私は痴漢にあったことはない。こんな言い方だめなんだけど、共感、理解のために痴漢の経験があればよかったなとか思った。

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    2026年01月14日
  • 虹色と幸運

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    ネタバレ

    柴崎友香さんの小説を読むと、いつも登場人物たちがとても身近に感じられて、本当に登場人物たちが生活していると錯覚してしまう。

    今回のお話は30代の女性3人がメインで、私にちょうどぴったりで読んでみたかった。

    物語は1ヶ月ごとに区切られていて、12ヶ月分の3人の物語が書かれている。

    全員に大きな変化はないけれど、1ヶ月ごとに嬉しいこともあれば、そうではないことも起こる。
    仕事の変化、家族の変化、恋人の変化、そうした日常の変化にいろんな感情になりながらも生活を続ける3人の物語。

    どうなるかわからない未来を、それでもいまの気持ちを大切にしながら、過ごしていきたいと思った。

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    2026年01月07日
  • 続きと始まり

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    皆様、今年も宜しくお願いいたします。
    年末年始かなりのお休みがあったから、年末にまた本を何冊か買って、さあと思いましたが、掃除をしながら立ち止まり、雪の舞う年越しにちょこっと騒ぎ、テレビを観ながら整頓整頓。
    箱根駅伝観て大騒ぎ、そしてまた、探し物。
    そんなこんなで実家にあった積ん読。
    コロナ期に買って忙殺されて読めなかったのかあと、読み始めたこの本がお休み中に読んだ本になりました。
    散歩にでる時はAudible。でのこの作品はなんだか自身の振り返りとこの先をじわっと考えた作品で。
    何処かで起こっていることに耳を傾けながら遠くでしか考えていなくなにもしていない自分。
    コロナは全世界を巻き込んで、そしてかなり身近すぎて必死の毎日だったなあと思いながら、作中の「なにも終わらないのにまた始まって忘れていくばかりで」に激しく動揺した自分。2つの地震、そして10 年前の、一昨年の地震。
    何処かで起こっている戦争。また、何処かで何か悲惨なことが始まっていて。
    なのにまた、忘れている、いや忘れようとしているのか。

    今、繋がってる人はいつか何処かですれ違っていて。そんなことあった奇跡ですら忘れそうになっていて。

    「始まりは全て続きにすぎない。
    そして出来事の書はいつも
    途中のページが開けられている」
    まだ途中のページか。
    年末年始にこの本読めてよかった。

    続きに今日も行ってきますだなあ。


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    2026年01月05日
  • 私の身体を生きる

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    【目次】

    Better late than never(島本理生)

    肉体が観た奇跡(村田沙耶香)

    「妊娠」と過ごしてきた(藤野可織)

    身体に関する宣言(西加奈子)

    汚してみたくて仕方なかった(鈴木涼美)

    胸を突き刺すピンクのクローン(金原ひとみ)

    私は小さくない(千早茜)

    てんでばらばら(朝吹真理子)

    両乳房を露出したまま過ごす(エリイ)

    敵としての身体(能町みね子)

    愛おしき痛み(李琴峰)

    肉体の尊厳(山下紘加)

    ゲームプレーヤー、かく語りき(鳥飼茜)

    私と私の身体のだいたい五十年(柴崎友香)

    トイレとハムレット(宇佐美りん)

    捨てる部分がない(藤原麻里菜)

    私の三分の一なる軛(児玉雨子)

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    2025年12月07日
  • 続きと始まり

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    普段はミステリーばかり読んでいるので、久しぶりにこういう日常の描写が細やかな小説を読んだ。最後まで飽きずに読めた。

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    2025年12月06日
  • 続きと始まり

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    日々のいろいろが跡形もなく消えていくのが切なくて、全てを記録出来たら、なんて事を思う時もあるのだけれど、ずぼらな私にそんな細かい記録は出来ず、
    出来たとして、それを読むのはこんなに大変なんだなと思い知る。読むのがしんどい本だった。

    親との距離感。
    災害の近くにいなかった事で感じる、
    どうしようもない申し訳なさ。
    共感する部分はあった。

    知らず口にしたり、やらかしてしまった自分の罪に
    ずーっと後になって気付いてしまってうろたえる。
    「答え合わせをしたい」
    「傷つけてしまった人に直接謝罪したい」
    って、傷つけた側の自己満足に過ぎないんだろう。
    傷つけられた側からすると、
    せっかく折り合いをつけて暮らせる様になったのに
    わざわざ蒸し返さないで欲しい事案だろうし、
    二度と顔を見せないでくれ、が一番親切なんだろう。
    でもそれは傷つけたとされる側には、
    謝る機会も罵倒される機会も与えないって事で。
    どちらから見ても「可哀想な私」「悪いあの人」。
    さあ、「これからどうする?」

    引用されているポーランドの詩が印象的だった。
    「終わりと始まり」
     戦争が終わるたびに
     誰かが後片付けをしなければならない
     物事がひとりでに
     片づいてくれるわけではないのだから

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    2025年12月06日
  • 私の身体を生きる

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    「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
    売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。

    「トイレとハムレット」宇佐見りん
    面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。

    「私の三分の一なる軛」児玉雨子
    生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深い。睡眠を取ること=意識を手放すことが「生」繋がるのだとしたら、なんか「死」も生の延長のような気がして、恐怖心が払拭できる気がする。


    自分は随分と「身体」というものに向き合っていなかったのだと思ったのと同時に、向き合わなかったという事はそれだけ健康であり、真っ当な人生を歩んでこられたという事なのかもしれないと思うと、親や環境に感謝した。でも1番大事な事は、何も深く考えず、ただ「人間」という生物として生きていく事だけを考えることかもしれない。

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    2025年11月22日
  • 本からはじまる物語

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    好きな恩田陸さんが入っていたので思わず読んでみた。短いながらほっこりする感じのものが多くてよかった。

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    2025年11月13日
  • ご本、出しときますね?

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    村田沙耶香さんのインタビューを読み漁っていたところこの番組を知り、当方リトルトゥースでもあるので是非観てみたいと思い、映像を探していたら書籍化されてるとの事で読みました。
    若林さんと仲の良い西加奈子さんや朝井リョウさんのインタビューも載っていてとても面白かったです。

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    2025年11月09日
  • その街の今は

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    良太郎と結局付き合わないんだ、20代後半の恋愛はフィーリングが大切なのかと思った。
    昔の写真見るのは楽しい。

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    2025年11月05日
  • 私の身体を生きる

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     身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
     どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。

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    2025年11月02日
  • 百年と一日

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    巻末の解説にある著者言によれば「時間が経つ話」。時間の経過を描き出すのはふつうの小説であってもミソであったりするのだが、この本はそれをギュッと圧縮した箱庭の中で見せてくれる点で実験的

    「時間」には「場所」が絡むというのも納得の話で、思えば自分の人生の記憶も、どこに住んでいた、どこで働いていたときに何をした、というふうに、場所が一種のソートキーになっている

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    2025年11月01日
  • 寝ても覚めても 増補新版

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    映画を観て、唐田さんの、演技なのか素なのかわからない何も考えてなさそうなポカンとした表情と、だけど大胆なことをやってしまいそうな不安定さが役にすごくマッチしててやられてしまったのだけど、原作は未読のままでした。
    たまたま見かけたので。柴崎友香さん初読み。

    いやいやなかなか手強かったです。あらすじはシンプルなのですが、主人公の朝子が見たものをそのまま全部淡々と書き綴ったような文書で、情報量が膨大。その間に、たぶん見えてないものや、明らかに見てはいないものも描写されていて、それらの意味なんか考え出すと途端に前に進めなくなります。300ページ強の小説ですが、やたらと時間がかかりました。理解が追いつこうと追いつくまいと、雰囲気だけ捉えてどんどん読み進めるのが良いのかもしれません。

    恋愛小説なんでしょうけど、なかなか怖い恋愛小説です。小説には大量の情報が溢れているのに、朝子の感情が読み解けない。なぜ朝子は麦にそこまで執着したのか?麦のどこが良かったのか?(麦は実際ひどい奴だし。)
    朝子がこだわっているのは顔?顔に惚れた?身長が多少違っても、同じ顔がついていれば代わりの人でも問題ない?

    「恋愛なんてそんなもんだよな。理屈じゃねぇよな」で済ませてもよいのですが、おとなしそうで、何も考えてなさそうで、だけど大胆なことを平気でやっちゃう朝子を体現していた唐田えりかには「こういう人っているよね」と思わせる何かがあったなぁと、、映画の感想になっちゃいましたけど、おもしろかったです。

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    2025年10月25日
  • 遠くまで歩く

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    「コロナ禍」を懐かしむ気持ちは少しもないけど、あの時期特有の人との繋がりや交歓は確かにあった。

    それによく歩いた。
    歩いたことぐらいしか記憶にないくらいよく歩いた。
    しかも遠くまで。

    そんな時代の記憶や感情を後に残す貴重な作品だと思った。

    『その街の今は』をまた読みたくなった。

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    2025年10月20日
  • 私の身体を生きる

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    どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうしたら、女であることの不安や恐怖から解放される。ピンク色でかわいいし。丸くてかわいいし。そういった願望があるけれど、身体からは解放されない。生殖器があるからだろうか。生殖器が私の身体にばっちり組み込まれてるからかな。テトリスだったらセックスしたときに消えそうだけど、そうもいかない。私の身体は消えない。だから、愛するしかないのだ」。

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    2025年10月05日
  • 遠くまで歩く

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    なんとなーくなお話だけど、アイテムから由来を話すくだりは面白かった
    一瞬の感覚を伝えようとするお話。

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    2025年09月22日
  • 私の身体を生きる

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    テーマはとても興味深い。
    面白いかと言われれば分からない。
    人の隠しておく部分を覗き見したような気持ちになった。「隠しておく」部分ではないのである、もっとオープンに話そうよ、自分の身体のことなんだから、がメッセージか?

    年を経ると病気の「身体」のことをしょっちゅう話すようになるのに、この本読んで「隠しておく」部分と感じたのは何故なのだろうか? 社会による刷り込みか?

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    2025年09月18日
  • 私の身体を生きる

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    高橋源一郎さんのラジオで紹介されているのを聞いて読んでみた。
    同じ状況でも「気づいてしまう人」と「気づかずスルーする人」がいると思うが、
    「女であること」で少なからず嫌な思いをした経験は誰にでもあると思う。
    痴漢について、本筋からはずれるかもしれないが、これだけ多くの女性が被害に遭ってる、ということはそれだけ痴漢をやったヤツがたくさんいる、ということよね?
    もしかしたらそこにいる善良そうなおぢさん、爽やかそうなお兄さん、しょぼくれたおじいさんだって!
    それでもみんな知らんぷりして普通の生活をしているんだろう、と思うとものすごく腹立たしい。
    またまた話がズレるが最近読んだ大谷晶さんが自分をすごく好いている、と書かれていたことがとても印象的だった。
    いろんな思い、様々な経験をした上での発言だと思うが、ぜひともこのリレーエッセイに、大谷さんも寄稿してもらいたい、と思った。

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    2025年09月09日