柴崎友香のレビュー一覧
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人名や地名などの情報をほとんどそぎ落とし、男、娘、小説家、港町などの抽象的な言葉でつづられる短編集である。そうした仕掛けにより物語のなかの時間軸についても「いま」がいつなのか読者にわかりにくくされているので、わずか数ページの掌編のなかで思わぬほど時間が過ぎ去ることもあり、この軽い驚きが『百年と一日』という表題に象徴されているように感じた。それだけの長い時間のなかでは人が死んで生まれ、建物はつぶされて更地になりまた新しく建て替わる。時には確固としていたはずの記憶さえ危うく揺らぐ(たとえば学生時代の事故の話のように)のだが、そうした変わるものや、すれ違いのなかにある変わらない風景なり、人の思いなりが空気として淡淡と漂うのがよい。
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あなたのマイルールは?っていう質問が出演者にたいして投げかけられるのだけど、これが面白い。とても一般的なことを答える方もいれば、え?それってどういうこと?と答えるような内容もある。ただ、どの回答も、よくよく話を聞くと、なるほどそうか。と思う内容で、上っ面でなくきちんと腹に落としたマイルールがあることがすごいなと。
こうしたルールは最初からあるのではなくて、インタビューや内省の過程で形作られているんだろうけれど、きっと作家さんというのはそういう過程をごく自然なこととして普段からされているんだろうな感じたし、その過程と表出した事柄が、私の関心ごとなんだな。って気づけた。 -
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北川春子、39歳未婚。
実家を出て10年。
今は大家さんの敷地内にある離れで、静かに暮らしている。
会社勤めをしながら、刺繍や消しゴム版画を楽しむ日々。
春子自身は穏やかに暮らしているのだけれど、両親や友だち、同僚からの
「まだ結婚しないの?」という軽いプレッシャー。
そして、自分らしくありたい気持ちとの間で、どこか揺れている。
元々の大家さんだったおばあちゃんが亡くなり、代わりに娘のゆかりさんが越してきてから、春子の静かな生活は少しずつ賑やかになっていく。
結婚や恋愛にあまり興味のない春子。
家族と疎遠なゆかりさん。
そして、若いけれど結婚という形に強くこだわる沙希ちゃん。
春子の視点で綴られる日常は、作中で彼女自身がふと思う「一昔前のドラマみたい」という言葉に、すべて集約される気がする。
特別すごく面白いわけではない。
でも、なぜか見続けてしまう。
それぞれが少しずつ問題を抱えた、そんなヒューマンドラマ。
誰だって、私たちだって…
何もない人生を歩む人はいない。
見えないだけで、みんな何かを抱えて生きている。
折り合えないことや、分かり合えないこともある。
ときには折れて、ときには分かったふりをして「ま、いっか」「しかたないか」と生きていく。
それでも。
「未来が待ち遠しい」と思える今日でありたいなと思う。
今年の7冊目 -
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リレーエッセイ方式で17人の書き手が
『私の身体を生きる』という性をテーマに綴った作品。
想像していた感じと、かなり違っていた。
同じテーマでも書き手によって随分とみえる世界が変わるものだ。編集者から依頼された形で綴っているためか、何となく及び腰に感じる作品も少なくない。
女性しばりでリレーエッセイ集にした意味する所も、問いたいが、赤裸々告白をするものから、トラウマ的な内容を飄々と語ったものまで、多種多様・・・
トップバッターの島本理生さんの作品だけは、眠っていたような共感が呼び起こされる様な感覚があった。
恋愛ものがお得意な作家さんだけに、性の役割にも飄々と鋭い着眼点をお持ちだ。
色々な考え方や捉え方があるんだなぁと感じる一方、敢えて?競い合って?マイノリティ側に寄って描いている様に感じるものもあり、私にはあまり馴染まなかった。
性の話が公にはタブーとされていた時代を生きてきたからか、この歳になってそういう話ができる方が見つかると一気に距離が縮まる。
人によっては幾つになってもタブーなので、手探りと嗅覚?笑で探し当てる感覚に近い。
このテーマで男性バージョンもあったら読んでみたい。
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ネタバレ柴崎友香さんの小説を読むと、いつも登場人物たちがとても身近に感じられて、本当に登場人物たちが生活していると錯覚してしまう。
今回のお話は30代の女性3人がメインで、私にちょうどぴったりで読んでみたかった。
物語は1ヶ月ごとに区切られていて、12ヶ月分の3人の物語が書かれている。
全員に大きな変化はないけれど、1ヶ月ごとに嬉しいこともあれば、そうではないことも起こる。
仕事の変化、家族の変化、恋人の変化、そうした日常の変化にいろんな感情になりながらも生活を続ける3人の物語。
どうなるかわからない未来を、それでもいまの気持ちを大切にしながら、過ごしていきたいと思った。 -
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皆様、今年も宜しくお願いいたします。
年末年始かなりのお休みがあったから、年末にまた本を何冊か買って、さあと思いましたが、掃除をしながら立ち止まり、雪の舞う年越しにちょこっと騒ぎ、テレビを観ながら整頓整頓。
箱根駅伝観て大騒ぎ、そしてまた、探し物。
そんなこんなで実家にあった積ん読。
コロナ期に買って忙殺されて読めなかったのかあと、読み始めたこの本がお休み中に読んだ本になりました。
散歩にでる時はAudible。でのこの作品はなんだか自身の振り返りとこの先をじわっと考えた作品で。
何処かで起こっていることに耳を傾けながら遠くでしか考えていなくなにもしていない自分。
コロナは全世界を巻き込んで、そしてかなり身近すぎて必死の毎日だったなあと思いながら、作中の「なにも終わらないのにまた始まって忘れていくばかりで」に激しく動揺した自分。2つの地震、そして10 年前の、一昨年の地震。
何処かで起こっている戦争。また、何処かで何か悲惨なことが始まっていて。
なのにまた、忘れている、いや忘れようとしているのか。
今、繋がってる人はいつか何処かですれ違っていて。そんなことあった奇跡ですら忘れそうになっていて。
「始まりは全て続きにすぎない。
そして出来事の書はいつも
途中のページが開けられている」
まだ途中のページか。
年末年始にこの本読めてよかった。
続きに今日も行ってきますだなあ。