柴崎友香のレビュー一覧

  • 百年と一日

    Posted by ブクログ

    何も大きな事は起こらない
    記録のような
    小さな沢山の物語

    物語のタイトル以上でも以下でもない。
    時間軸も国も登場人物もころころ変わる。
    何だろう何故か惹かれる。
    人生って案外こんなものかもしれない。

    0
    2026年06月30日
  • 帰れない探偵

    Posted by ブクログ

    出版区の綿矢りささん回で知った小説。
    上手くまとめられないけど、これからも大切にしていきたい本だと思った。

    主人公は世界探偵委員会連盟という組織に縁のある探偵で、急な坂の街に自身の自宅兼探偵事務所を構えた数日後、その事務所へ続く路地が無くなってしまった。街そのものが生き物のように変化しているのかもしれないが確証はない。彼女(たぶん)は自分の元に舞い込む依頼をこなしつつ部屋を探すが見つからない。彼女の故郷の国は出国した後に体制が変わってしまい、帰ると仕事に支障が出る可能性があり簡単には帰れない。そのうち連盟の指示や先輩からの依頼のために彼女は別の国に行く。

    各章の書き出しは統一されている。「今から十年くらいあとの話。」この文は各章の終わりにも登場する。帰れないことも含めて、自身が経験する様々な物事は本当に思ってもみなかったことなのだろう。

    故郷へは「帰る」以外を捨てれば帰れるのかもしれない。しかし帰ったとて、自身がいた頃と大きく変化した環境に戸惑う可能性が高く、今の生活に大きな不満はなく、今日も明日も生活して生きていかねばならないので彼女はそうしない。仕事のために国々を転々としながら「帰れない場所」や親しかった人たちについて事あるごとに思い出す。激しい熱量はないが、ずっとずっと想っているその姿はすごくリアルに思えた。登場する国はなんとなくどこをモデルにしてるかが浮かんでくるし、あらゆる情報を集めて別の企業や政府に売ってそうな企業が出てきたり、連盟もどこか信用しきれない雰囲気があるなど、現実世界や社会とリンクする箇所が多々あった。
    故郷にも部屋にも帰れず、自身を取り巻く世界には不穏な影もあるがお話は暗くなくて、なんなら希望みたいな明るく光るものも感じた。

    帰れないというのは場所に対してかと思っていたが、知っている景色・空気・人など全てをひっくるめた"帰りたい場所"なのだと思った。時間は流れ、あらゆるものはどうしても変化してしまう。そこに留まっていれば気づかなかったであろう変化は遠く離れるほど大きな差に、なんなら全くの別物のように見えるかもしれない。変化する前のその場所にはどうやったって帰れない。なんてことを読みながら考えていた。

    0
    2026年06月07日
  • きょうのできごと 増補新版

    Posted by ブクログ

    本当にある日の大学生たちの日常を描いた作品です。描き方がうまいのか、映画を見ているようです。淡々と進みますし、何か事件が起きるわけではないので、想像力豊かな人の方が楽しめるかもしれません。

    0
    2026年06月04日
  • 待ち遠しい【毎日文庫】

    Posted by ブクログ

    年代が違う3人の女性の物語が淡々と進んでいきます。自分が主人公の春子と一番年齢が近いせいか、一番共感できる部分が多かったです。後半はちょっと打算的な人物の態度などにモヤモヤするところもありました。

    0
    2026年06月04日
  • 春の庭

    Posted by ブクログ

    同じアパートに住む西が写真集『春の庭』を見て隣の洋館に惚れ込み、何とか実際を確かめたいと行動するのに着いてゆく話

    14年の芥川賞受賞作。物語性はなくシーンの断片描写。視点の移動が不思議で驚いたが審査員の評言と堀江さんの解説を読みなるほど納得

    0
    2026年05月10日
  • 続きと始まり

    Posted by ブクログ

    3人の視点から、それぞれ年ごとに進んでいくお話。
    男の人は覚えられるけど、女の人2人が読んでいるうちに、どちらがどちらかわからなくなってしまった。
    一気に読んだら良かったかな?

    0
    2026年04月24日
  • かわうそ堀怪談見習い

    Posted by ブクログ

    話がよく分からなくて、何度か同じ場所、
    読み返しました。
    ぼや〜とした怖さを表現してるのかもしれませんが
    私には、主人公が病んでいて
    幻覚症状を起こしてるんじゃないかと思えました。
    脳内に出た想像が白昼夢のようで、現実とごっちゃになってしまっているような感じです。
    その感じがちょっと難しくて
    すーっと頭の中に文章が入らなくて苦戦してしまいました。

    0
    2026年04月17日
  • 百年と一日

    Posted by ブクログ

    人名や地名などの情報をほとんどそぎ落とし、男、娘、小説家、港町などの抽象的な言葉でつづられる短編集である。そうした仕掛けにより物語のなかの時間軸についても「いま」がいつなのか読者にわかりにくくされているので、わずか数ページの掌編のなかで思わぬほど時間が過ぎ去ることもあり、この軽い驚きが『百年と一日』という表題に象徴されているように感じた。それだけの長い時間のなかでは人が死んで生まれ、建物はつぶされて更地になりまた新しく建て替わる。時には確固としていたはずの記憶さえ危うく揺らぐ(たとえば学生時代の事故の話のように)のだが、そうした変わるものや、すれ違いのなかにある変わらない風景なり、人の思いなりが空気として淡淡と漂うのがよい。

    0
    2026年04月06日
  • ご本、出しときますね?

    Posted by ブクログ

    あなたのマイルールは?っていう質問が出演者にたいして投げかけられるのだけど、これが面白い。とても一般的なことを答える方もいれば、え?それってどういうこと?と答えるような内容もある。ただ、どの回答も、よくよく話を聞くと、なるほどそうか。と思う内容で、上っ面でなくきちんと腹に落としたマイルールがあることがすごいなと。
    こうしたルールは最初からあるのではなくて、インタビューや内省の過程で形作られているんだろうけれど、きっと作家さんというのはそういう過程をごく自然なこととして普段からされているんだろうな感じたし、その過程と表出した事柄が、私の関心ごとなんだな。って気づけた。

    0
    2026年03月21日
  • 寝ても覚めても 増補新版

    Posted by ブクログ

    過去の恋愛を全部ひっくるめて今を生きていて、きっかけ次第で過去の男に戻ることも出来るし、今の男から恨まれることも耐えれる。
    そんな話です。
    女性の底の感情が上手く、間違った選択でも衝動的に選んだり、それ故に友人たちとの縁を切られても生きていける強さと弱さを感じました。
    自分は結構理屈人間なので(頭がカチカチ?)、もっと効率がいい選択しろよと思いましたが、それも含めてこのストーリーの良さなのかなと思いました。

    0
    2026年03月20日
  • ご本、出しときますね?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    作家から入るのも良いものですなぁ。本を読んでみたくなった作家さんは村田沙耶香さん、海猫沢めろんさん、中村航さん、光浦靖子さんの4人。セクハラに寛容な村田さんは、だいぶん変な人ですね。角田さんは今までのエッセイからは分からなかった愛らしさで、見る目が変わりました。ズキュンときます。番組は終わってしまったようですが、一度くらい観てみたかった。若林さんの表紙につられましたが(そもそも若林さんが読書家だとは、初耳)予想外に良い本でした。

    0
    2026年03月18日
  • 待ち遠しい【毎日文庫】

    Posted by ブクログ

    北川春子、39歳未婚。
    実家を出て10年。
    今は大家さんの敷地内にある離れで、静かに暮らしている。

    会社勤めをしながら、刺繍や消しゴム版画を楽しむ日々。
    春子自身は穏やかに暮らしているのだけれど、両親や友だち、同僚からの
    「まだ結婚しないの?」という軽いプレッシャー。
    そして、自分らしくありたい気持ちとの間で、どこか揺れている。

    元々の大家さんだったおばあちゃんが亡くなり、代わりに娘のゆかりさんが越してきてから、春子の静かな生活は少しずつ賑やかになっていく。

    結婚や恋愛にあまり興味のない春子。
    家族と疎遠なゆかりさん。
    そして、若いけれど結婚という形に強くこだわる沙希ちゃん。

    春子の視点で綴られる日常は、作中で彼女自身がふと思う「一昔前のドラマみたい」という言葉に、すべて集約される気がする。

    特別すごく面白いわけではない。
    でも、なぜか見続けてしまう。
    それぞれが少しずつ問題を抱えた、そんなヒューマンドラマ。

    誰だって、私たちだって…
    何もない人生を歩む人はいない。

    見えないだけで、みんな何かを抱えて生きている。
    折り合えないことや、分かり合えないこともある。
    ときには折れて、ときには分かったふりをして「ま、いっか」「しかたないか」と生きていく。

    それでも。
    「未来が待ち遠しい」と思える今日でありたいなと思う。

    今年の7冊目

    0
    2026年03月16日
  • その街の今は

    Posted by ブクログ

    かなり久しぶりに柴崎友香さんの著作を読みました。10年ぶりくらいですかね…。
    独特の空気感があるなと勝手に思っているのですが、久しぶりに読んでも空気感が変わっていなくて、読みやすかったです。
    今回は大阪の地理に詳しい方が読むと、より楽しいのではないかと思います。

    0
    2026年03月02日
  • その街の今は

    Posted by ブクログ

    大きな事件が起こるわけではなく、淡々とした日常が丁寧に描かれている作品。その静かな雰囲気やゆったりとしたテンポがとても心地よくて、こうした“日常を大切にすくい取る物語”の魅力を改めて感じた。 風景描写も細やかで、主人公が昔の写真を収集していく様子を追いながら、まるで自分も一緒に写真を眺めている気分になって、変わってきたものと変わらずに残っているものの両方に思いを馳せた。やっぱりモノクロ写真って良いよなあ。

    0
    2026年02月27日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ###

    アンソロジー、あまり読んだことがなかったので読めるか少し心配でしたが、

    いろいろと、それぞれに、自分の身体に関する記憶や経験が書かれていて、

    無事読めました。

    ワンテーマを通して、こんなに豊かなアンソロジーができるんだなーと、やっぱ一流の作家さんたちだからかと思いますが、読者としても自分自身の経験について振り返る機会になったり、他者について少し想像する機会になる、とても良い本だったと思います。

    0
    2026年02月18日
  • 百年と一日

    Posted by ブクログ

    帰れない探偵で柴崎さんに魅了されて、他の著書も読み始めました。

    柴崎さんの、優しくて心にスッと入ってくる何気ない言葉選びがとても心地よく、朝一や疲れて帰ってきた時に数話読む、という贅沢な楽しみ方ができた作品。
    特に何かが起きたり、特筆するような話が出てくるわけではないのに、何故かスルスルと読んでしまう。
    毎話、ひとつの場所をクローズアップし、そこに関わる人々の過去から未来に流れる日常を垣間見ることができる。
    まるで、その場所にい続ける呪縛霊の様な視点で毎話を楽しむことができた。

    未来軒のお話が好きでした。

    0
    2026年02月14日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    リレーエッセイ方式で17人の書き手が
    『私の身体を生きる』という性をテーマに綴った作品。

    想像していた感じと、かなり違っていた。
    同じテーマでも書き手によって随分とみえる世界が変わるものだ。編集者から依頼された形で綴っているためか、何となく及び腰に感じる作品も少なくない。

    女性しばりでリレーエッセイ集にした意味する所も、問いたいが、赤裸々告白をするものから、トラウマ的な内容を飄々と語ったものまで、多種多様・・・

    トップバッターの島本理生さんの作品だけは、眠っていたような共感が呼び起こされる様な感覚があった。
    恋愛ものがお得意な作家さんだけに、性の役割にも飄々と鋭い着眼点をお持ちだ。

    色々な考え方や捉え方があるんだなぁと感じる一方、敢えて?競い合って?マイノリティ側に寄って描いている様に感じるものもあり、私にはあまり馴染まなかった。

    性の話が公にはタブーとされていた時代を生きてきたからか、この歳になってそういう話ができる方が見つかると一気に距離が縮まる。
    人によっては幾つになってもタブーなので、手探りと嗅覚?笑で探し当てる感覚に近い。

    このテーマで男性バージョンもあったら読んでみたい。

    0
    2026年02月13日
  • 待ち遠しい

    Posted by ブクログ

    年代によっての「普通」があって、でも「普通」ってなんだろうって。
    その人がその人の好きなように生きていればいい。そう思っていても「普通」にとらわれてしまう不思議。

    0
    2026年02月02日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    「私の身体を生きる」というテーマのエッセイ集。
    びっくりした内容もあった。自分の性を語るのは難しい、

    0
    2026年02月01日
  • 千の扉

    Posted by ブクログ

    夫の祖父に頼まれ、千歳は広大な都営住宅で人探しを始める。同じ顔の千の扉の向こうに確かにある、「誰か」の暮らし。深く交わりはせず、他人の人生が肌近くを通り過ぎてゆく感覚が寂しくもあたたかい。いま同じ時を生きている無数の人々の存在を強く意識させてくれる作品。
    本作、時々時制も話者も不意に横すべりして、過去と現在を二重写しにしたような重なりとブレが生まれているのがいい。各々過去や事情がある他人の人生に無責任には関われないけれど、誰にでも「人生」があるのだと実感として理解していれば、尊重し合える。この距離感を大切にしたいと思った。

    0
    2026年01月25日