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学校、家、映画館、喫茶店、地下街の噴水広場、島、空港…さまざまな場所で、人と人は人生のひとコマを共有し、別れ、別々の時間を生きる。屋上にある部屋ばかり探して住む男、戦争が起こり逃げて来た女と迎えた女、周囲の開発がつづいても残り続ける「未来軒」というラーメン屋…この星にあった、誰も知らない34の物語。1篇を増補し、待望の文庫化。
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Posted by ブクログ
様々な時間と場所にまつわる短編集。 名前があったりなかったりする人々の、日々の断片が静かに描かれている。感情の描写はほとんどないのに、行間から彼らの思いや孤独、希望のようなものが滲み出してくる。 淡々とした筆致の中に確かな熱を感じる、まさに柴崎友香の真骨頂。 傑作だった。
34篇からなる本作は、見知らぬ人が繰り広げる何気ない日常の数々から構成されている。 思い出の街角や生まれ育った故郷など様々な場所が時間の経過と共に姿を変えていくが、人々の記憶や何らかの名残となって今もその土地に根を張り続けている事に、浪漫を感じた。 また、章のタイトルが人の人生を客観的に書き連ねてい...続きを読むる様で興味深い。 一見何の変哲のなく思える日常が、タイトルの後に本文を読むと、寂しさや愛おしさが込み上げてくる。 線と点を一度に感じるような「百年と一日」という題名がピッタリの作品だった。
大変に好みです。これと言ったストーリーがあるというよりは場所と時間の流れが主人公のような作品です。作品自体が織り上げられたタペストリーみたいな質感で何度も読みたい作品です。
柴崎友香さん、初めて読んだ 言語化できなくて悔しいけど、これだけは言える 一つひとつの短編がすごくよかった
目次を見て、このタイトルから本文ってどうなるの!?と疑問に思って読んだら、どのお話も題名通りとしか言いようのない内容だった。題名通りとしか言いようがないのだけれど、短いストーリーの中に圧縮された人々の人生やはるかな時の流れが一文読むごとに頭の中に何倍にもなって広がって、まるで自分自身がこの時間を過ご...続きを読むしたような感覚になってしまう。まるで窓の外から眺めているような俯瞰的な視点で綴られる人々の人生にここまで感情移入してしまうことってあるんだなあ。
こんな心地よい平熱があるのかー 自分の人生において、覚えていようがいまいが1ミリも支障のない些細なシーンなのに、なぜか何年たっても頭から離れないことや、自分以外は誰も覚えていないけど自分だけがひっそりと覚えている友達とのやりとり、みたいなもの。そんな場面を詰め込んだような短編集です。 基本は平熱...続きを読むです。ずっと平熱。最後の一行でどんでん返しがある?ある?ある?、、、やっぱない、みたいな。あえてラストの数行を手で隠しながら読んだりしましたが、そこには常に平熱しかありませんでした。これはけして「つまらない」と言っているのではありません。こんなに心地良い平熱があるのかと不思議な読後感です。派手な盛り上がりはないですがぐいぐいと惹き込まれます。 どんでん返しもないうえに、なんなら各話のタイトルが内容をそのまんま語ってしまっています。ゆえにタイトルとしては長い文言になっていて、著者自ら先にネタバラシをしてしまっている構造も含め、ある意味とても挑戦的だと感じました。「ラーメン屋「未来軒」は、長い間そこにあって、その間に周囲の店がなくなったり、マンションが建ったりして、人が去り、人がやってきた」というタイトルの話は、本当にこのタイトルのまんま展開していくのです。それが分かったうえで面白く、満足な読後感があります。 岸政彦さんとの共著「大阪」を読んだときも思ったけど、柴崎さんは街を描くのが本当にうまい。時代や場所の指定はないし、細密な説明もないけど、みんなが思い浮かべる「こんな街」「あんな場所」をするりと自然に想起させます。肩の力が抜けた作風ではあるけれど、実は丁寧に表現してるのかなあ。 街の表現の豊かさと対照的に、人間関係はかなりあっさりと書かれています。あっさりと書かれていることで、呼んでいるこちらに行間の熱を想像させてくれます。街の表現と人の表現、両者の手触りの差がおもしろい。感触の違うものが一つのストーリーに混在していて独特のノリを感じます。柔らかい牛皮にカリッとした胡桃が混ぜ込まれた、くるみゆべし食べてるみたいな感覚だな、と思いました。 書かれているのは場所、人との関わり、時間の経過です。環境と人と時代は切っても切れません。無関係ではいられず、当たり前に作用しあってしまうものなんだと改めて気づかせてくれます。 世代や国をこえて、思いが受け継がれていく様が描かれます。一緒に過ごしたあの夏を、戦争をはさんで別々の国で思う。親がすごした家のことを、子供が思う。祖母の育てた大根を、移住した先の国で孫が栽培する、、、、短編だからこそ、限られたページの中で時間の経過が際立ちます。読み終わって本を閉じ、この本のタイトル「百年と一日」に立ち返ったときに、時間の流れについてボーっと考えてしまいました。各話は物語として、終わりがあるからもちろん終わるんだけども、現実がそうであるように、このストーリーもページの外へ続いていくし、描かれていない「これまで」があるんだろうと、、、 久しぶりに「フィクションの効能」というものを感じた気がします。物語が、記憶のどこかにしまわれていたあの街・あの人を読者に想起させて、ページをめくる手をとめてしばし追想・夢想させる。これこそフィクションがなせる技で、現実からしばし離れてイメージの世界へ意識を飛ばし、その間、人はリラックスできる時間を得られる。百年を一日に、一日を百年に感じさせるような、フィクションの力を感じられた読書タイムになりました。
時代に流されながら、またかつての場所に戻る。そこには、まったく知らない何かがあったり、変わらない何かがある。 もしかしたら、違う世界に迷い込んだのかもと思わせたりもする。 人間の歴史がさまざまな形で流されていく中で何かを思い出すと、必ず同じ思いをしているかつての仲間がいたり、時間の進み具合が人によっ...続きを読むて違っていたり、不思議だけれどなんだか安心できるいくつもの物語
一編8ページ程度の短いお話が約30。 何年経っても場所はあり続ける。 その場所にある建物と人々を時代とともに交代させながら…。綿々と続く時間の物語。おもしろかった。
誰もが大きな物語の主人公になろうと成功を求め必死に努力するけれど、所詮ひとは時の流れの中に儚く溶け消えてしまうような存在なのかもしれない。けれど、この作品の一つ一つのエピソードに出てくる名もなき登場人物のような、小さな物語の地味な端役だったとしても、誰かと出会い関わり合いそして別れていくなかで、時の...続きを読む流れは確かに組み替えられ、新しい時の流れが作り出されている。時の流れは人を簡単に分解するけれど、他方で、人は時の流れを新たな方向へと導いている。人間と時間の奇妙な関係。時間が主役のこの不思議な物語は、自分のかけがえなさとか個性とかそういうものに執着する人生の虚しさを教えてくれると共に、小さくても豊かな人生がありうることを教えてくれる。素晴らしい作品。
僅か10ページ程度の掌編内で、印象深い一日があり、そして「時間が経つ」。としか言い表しようがない不思議な小説群。とても身近な感覚のような、一方でファンタジーのような独特の浮遊感。一枚の写真から多くの記憶や虚記憶が惹起されるような。「時間」というものを意識した時、無性に切ない気持ちになるのは、私がもう...続きを読む若くはないからだろうか。
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百年と一日
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