柴崎友香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「走る」をテーマに14人の作家が競作。
日々のランニングのモチベーションが上がるような疾走感あふれる作品が収録してあるのかと思いつつ手に取りましたが、そこは実力派の先生方。凡人の思い通りにはいきません。思わず膝を打ち、唸ってしまうような「走る」小説が並び、裏切られました(喜)
14本どれもが個性的で、未知の作家さんとの出会いも。もちろん、苦手な話もありましたが、それも出会いです。
お気に入りは「パン、買ってこい」(中田永一)、「桜の並木の満開の下」(遠藤徹)、「誰にだって言いぶんはある」(桜井鈴茂)
人生の半分は現実ではないと彼は思う。
なぜならば精神が摂取するものの半分以上が、現実では -
Posted by ブクログ
柴崎友香を読むのは初めて。「ガールズトーク」の世界です。表題作が140頁ほどの中編、ほかに30頁ほどの短編2つを収載。レズビアンではないのだけれど、綺麗な、あるいは可愛い女の子を見るたびにテンションの上がる女性たち。そんな表題作をはじめ、なんということはない物語で、さらっと読めはするのですが、心に残るところまでは行きません。大阪出身の著者の本作は、どれも自然な大阪弁と、大阪人には馴染みの深い地名が頻発するため、その点は興味を惹かれます。西加奈子に似ているようにも思うけれど、西加奈子ほどインパクトは強くない。ともすれば寝てしまいそうで、個人的にはもうちょっと引き寄せられる個性がほしい。
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Posted by ブクログ
大阪が舞台という事で前々から気になっていた作品。
著者と同世代で同じく大阪育ちなので、10代の主人公・解の目を通した大阪の街の当時の様子を懐かしく思い起こせました。
1本10ページ程度の短編集で、時間軸はバラバラ。
その構成が解の記憶のあやふやさを際立てていると思います。
唐突にリバー・フェニックスやマリリン・モンローが大阪の街に現れて、大阪弁で解と会話しているところあたりも、記憶というよりは空想なのかなと。
特にこれといって大きな事件が起こるわけでもなく、主人公も仲良く遊ぶ子はいるけどクラスでは孤立しがちで……といった、まあ平凡と言える人物なので、大阪という土地に愛着のない人には入ってい -
Posted by ブクログ
行きたい気持ちさえあればいつでも好きなところへ行けるんだ、という明るい短編集。別れの予感がする遠距離恋愛の話が多いのだが暗さはまったくなく、読後は晴れ晴れとした気分になった。柴崎友香の中でも一番爽快さのある作品だと思う。
恋人に対して離れていく心、それから人生そのものを非常によく象徴している『やさしさ』の次の一節が印象に残っている。
「発車のベルが世界を分ける。ドアが閉まって、わたしたちは空気といっしょに運ばれる。移動していることを感じないまま。(85P)」
解説で「その小説以外のことをいろいろ考えてみたくなって、その小説を読んでいるのに、その小説のことを、つい忘れてしまう」から柴崎友香の小