【感想・ネタバレ】パノララのレビュー

あらすじ

友人のイチローに誘われて、コンクリート三階建て・木造二階建てと並ぶ鉄骨ガレージ上の赤い小屋を間借りすることになったわたし。ヘンテコな家で個性派揃いの彼の一家と生活し始めたある日、イチローから「たまに同じ一日が二度繰り返される」と打ち明けられる──芥川賞作家が描く未体験パノラマワールド!

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Posted by ブクログ

「遠慮すんな。ビール好きだろ。そういう顔してる」(44)
現実に違いないのに、少しずつずれて、欠けたり、重なったりしている風景。今この同じ場所で、同じ瞬間に、私と絵波が見ている風景を画像にして並べたら、それぞれ別のところがずれた、違う場所みたいなパノラマになっているだろう。(547)
それが始まりだとは私はまだ知らず、公園は三月で日曜で午後二時だった。(1)

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2021年05月04日

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ネタバレ

本の題名 パノラマ→パノララ

途中1日が何度も繰り返す日が主人公に続く
繰り返すというのが強調されていた。

繰り返しの中でも、思うことや毎日起こる同じ出来事に対して、主人公の見方は少しずつ変わっていく。
自分の見方によって、見る人の視点によって
世界は少しずつ違っているのかな。

恋人と別れた時に、お互い見ていた世界が違っていたんだなあと思ったことを思いだした。



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2020年12月02日

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新しい町に住むと知らない路地を歩いたり、日常でなかったものが当たり前になっていく。顔見知りもできたりして、自分の人生の一部になっていく。都心の風景は他とは違う速度で変わり続けるから同じではないけれど、そこにいたことで救われたりもする。

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2018年01月18日

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ぶっ飛んだ人たちなようで、でもこういう人いるよなとか、こういうところ自分にもあるよなとか思った。日常SF?みたいな柴崎さんのお話すきです!

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2021年02月28日

Posted by ブクログ

著者の作品は、いかにも芥川賞狙いの100からせいぜい200枚強程度の中編が多かった。
また、たぶん作品の性質上中編が合っている。
その著者にしては、結構な長編。(連載雑誌を購入していたが、その段階では追いかけられなかった。)
ひょっとすると2014年に芥川賞を取ったからこそ、力を抜いて長編に取り組めたのかもしれない。

え!? 柴崎友香がループ系を!? え、しかも家族を!?
という驚きはあらすじを一瞥して感じていたことだ。
村田沙耶香が書き続けてきたような、いわゆる毒親モノを、著者が書くのは初めてではなかろうか。
著者はむしろアーバンな関係性に視野を絞り、興味の対象も視覚情報と活字情報一辺倒だった。
それが毒親やら過干渉やらDVやらネグレクトやら、厭さやら嫌悪感やら気持ち悪さやらライムスター宇多丸の言葉でいう「ヤダみ」やら、まで描いた。
筆者にしては挑戦……、とここまで書きながら、いや無謀な挑戦じゃないな、と思い直した。
だって視点人物は著者ならではの性格(従来の作品で貫かれてきた)から抜け出ていないのだ。
これを逆に考えると、従来の作品の淡白さの理由に、親子関係の歪みをそれなりに求めてもいいのだと、遡及的に言質を得たと、考えてもいいのかもしれない。
つまりデビュー作以来の淡白さを解釈しなおす機会をもらったとも、いえる。
ただし毒親やらDVやらといった安っぽい題材を取り入れつつも、ちゃんと柴崎友香味になっているので、やはり読んでよかったなー、と。
言い換えると、著者の作品群は茫漠さが味だが、この長編では長編ならでは、キャラの味つけや増改築されゆく舞台の面白みや、でぐいぐい引っ張ってくれた。

ところで著者の作品群においては視点人物の異様さが仄見えてくるのが面白いが、
「ふ、ふ、文さんは亀だって、面倒見てるじゃないですかあああっ! おうおああああっーっ!」
という台詞は、異様さが突き破ってきて、思わず笑ってしまったよ。

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2019年08月19日

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ネタバレ

普通より少し波乱に満ちた人生と、それぞれに少し不思議な能力をもつ三兄弟の家に間借りすることになった主人公。主人公もまた複雑な過去を持ち、他人との距離感をつかめずにいる。一番共感したのはその主人公の、優しさや冷静さや諦めを含みながら周りを観察するその視点。自分やまわりを客観的に見つめながらも、思う通りの行動はできないということはよくあるものだ。。
最後、主人公が、ぎこちなさを伴いながらもちゃんと自分のしたいことを言葉にできたのは貴重な瞬間だった。それと、主人公はその優しさ、繊細さゆえに間借りしている家族たちの信頼を少しずつ得ているようにも見えたので、それもまた希望にうつった。

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2018年04月01日

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アパートの契約更新に伴い、知り合いの木村家の空いた一部屋に移ることにした田中真紀子。増改築を繰り返された木村家の、不思議な二階に引っ越してみると、木村家は木村イチロー以外、常時薄着で建築業の父、イラストレーターの姉、映画監督を目指す妹、そして現役女優のみすずと、予想外に個性的な人たちの集まりであった。どことなくお互いよそよそしい家族と、自由奔放で頻繁に家を空けるみすず。真紀子を介してか介せずか、家族が少しずつ動いていく。

うーん、不思議な感覚の小説。のっけから妙に読みにくい部分があると思ったら、芥川賞作家なのね。わざとなのかわざとでないのかわからぬが、「なになにが何々をして、なになには何々で、なになには・・・」といった具合に、半ページ以上が一つの文になっていて何なんだ?と思ったと思えば、会話でどんどん進む部分がある。

また、突然イチローには、ある1日を2回繰り返す能力があるであるとか、姉の文にはワープする能力があるとか、ほんとかどうかよくわからない話も出てくる。まあそこも話のキーになっていくわけであるが。

木村家のあっけらかんとした、一方で他人のような家族はドライでよい。しかし、なかなか語られない田中家については、なにか闇があるのだろうなあと引っかかりながらストーリーを進めることになる。

序盤では文章が長すぎて読みづらく、なかなかページがめくれないが、あるところからぐんぐん読み進められるようになったのは、慣れなのかそういう文章なのか不明。

それぞれのキャラクターや立ち位置、関係性が、希薄であってもわかりやすい部分があるため、ある意味純文学的な、例えばオカヤイヅミの漫画のような感じで、「理由がわからなかった」となる人はほとんどいないだろう。漫画化しても面白いかもしれない。

ただねえ、映画教室は登場当初からなんか嫌な感じではありましたね。こういうコミュニティは苦手だなと。

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2025年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公が居候?することになった家の家族たちは、皆何かちょっと歪な関係に見えるし、子供たち3人は

・たまに同じ1日がループする
・ちょっとの距離だけワープできる
・電話に出なくても相手が誰かどんな顔をしているかわかる

それぞれ、こんな感じの本当に少しの不思議な力を持っていて
しかもそのことを(家族同士でさえ)誰にも話をしたことがない。

居候先の家族の3人の子供たちは3人とも親が違ったり、主人公の親は過干渉で精神的に病んでる感じだったり、「家族」というものには外からは見えない秘密というか問題がある。

ということが淡々とした感じで書かれている。

このちょっと不思議な雰囲気に妙に惹かれて、
ぐいぐい読む進めてしまったけれど、不思議は不思議のまま何も解決しないまま終わってしまってどうも消化不良だった。

ミステリーが好きなので「不思議」や「謎」があると最後にそれらがスッキリ解決することを期待してしまうのがいけなかったかも。

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2022年07月25日

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初めて読む作家。
印象としては、西加奈子に似ている。
なんでもない日常が、実はとても大切なんだと思わせてくれる作品。

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2020年08月25日

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2018028

友人の家にある小屋に住むことになった女性の田中さん。同居する家族の将春さん、妻で女優のみすずさん、そして、父親が異なる3人の子供達。

家族でいることは、どんなに時間が経っても、どんなに嫌っていても、決して変わらない事実。言いたいことは言わないと、いくら家族でも伝わらない。家族でいることは、簡単なようでいて難しいと思う。当たり前のことを毎日の様に繰り返すことは決して簡単じゃない。それでも帰れる場所があるって、それが本当の家族ではなくても、素敵なことだと思う。。

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2018年03月22日

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