柴崎友香のレビュー一覧
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ネタバレ喫茶店でアルバイトをしている「私」の残暑の日常。と要約。
友達や客や知り合いや、情報やものが行き来するという点で、まずは喫茶店を舞台にしたことが巧みだ。
次に筋は二本。
1、男性関係。合コン。似た趣味を持つ良太郎。出張にかこつけて会いに来た既婚の男。の間をふらふら。
2、いまいるこの街の過去を想起させる、古写真、お客さんの話、古いフィルムやテレビの映像。
昔の映像が映っている、とメールで教えてもらい、離れた場所で見ながらメールで短くやりとりする場面があるが、
ここは時間も空間も離れているのにつながっているという、何でもないのに何だかすごい箇所。
突然「こういう映像を見てると、どこぞで同じ時間を父母が行きとるんや、とか思う。自分の死後を見ているかのような気分にもなる」という文面が来たりして。
客が見せてくれた社史からぽろっと落ちた白黒写真の薔薇が頭に残っていて、いま薔薇を目の前にして、同じ色だと感じる、
というラストシーンは、マジでキマってる。クールな幕引きだ。
「この街の昔は」を変換して「その街の今は」と、ふわっとした印象にするのは、柴崎友香のやはり巧みさ。 -
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ネタバレ高校生の頃に同級生と「セ」(ックス)の一文字すら喋れなかった私とは、そもそもクラスタが異なる。
というやっかみはさておき。
不思議な読後感。
何が起きたわけでもない、ただカメラアイとして存在するだけの「私」が、なぜか引っ張りだこ。
具体的にはみんな彼女に「自分の部屋へおいで」と声をかけてくるのだ。
最終的にはいわゆる「ゆきずり」へと。
(宿泊場所を変えられない自分とはまた、クラスタ違い。)
この図式的な感じは『春の庭』でも気づいたが、それがいったい何を示すのかは、やはりわからない。
「セックスフレンド」云々のエピソードはなぜか心に残っており、それを確かめるように動く。
つまり《過去の記憶に触ろうと》している。
この感覚を描くために、この中編はできたのではないだろうか。 -
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超美人、なだけにゴーマンな音生と音生に振り回されるのにこりごりにもかかわらず、その可愛さにやられてしまうっている私、芽衣。音生の失恋と私の失職をきっかけになぜかトルコ、四国、石垣島と旅することになる。
突拍子もないストーリー展開に思えるが、旅行先と旅行から旅行への繋ぎがそう思える部分。それぞれの旅先では違った意味での我がまま二人組珍道中という感じ。
あえて共感ポイントを探すとすると、もしかしてこれが親友?というアプローチかな。
最後には見た目じゃない、言うこと聞くやつでもないという、本質的な人との付き合い方を示唆したような感じもするけど、たぶん改まってそんな大上段に構えているわけじゃないしー、といった主張も聞こえてくる。 -
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映画を観た後読んだ。映画を観た人は朝子に感情移入できないと言い、嫌いだという。俺は感情移入出来ていなかったと思うけど、感情の流れは把握出来て、こういう考え方の人もいるんだくらいだった。でも原作ではめちゃめちゃ嫌いになった。特にばくからパンを奪って勝手にフェードアウトするところが最悪。服とかも私に似合うと思って着たとかエゴ・自分中心感が凄い。途中途中の景観文章とかも本文とのリズムに対してノイズだとしか感じなくて合わなかった。映画がどれだけ人に対して真摯に向き合って対話している作品なのかが分かった。本だと映画以上に主観だから、感情移入したしないの観点が大きくなる?
本だから果たしてばくと亮平が似てる似てない分からないというカラクリは良かった。 -
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「走る」をテーマに14人の作家が競作。
日々のランニングのモチベーションが上がるような疾走感あふれる作品が収録してあるのかと思いつつ手に取りましたが、そこは実力派の先生方。凡人の思い通りにはいきません。思わず膝を打ち、唸ってしまうような「走る」小説が並び、裏切られました(喜)
14本どれもが個性的で、未知の作家さんとの出会いも。もちろん、苦手な話もありましたが、それも出会いです。
お気に入りは「パン、買ってこい」(中田永一)、「桜の並木の満開の下」(遠藤徹)、「誰にだって言いぶんはある」(桜井鈴茂)
人生の半分は現実ではないと彼は思う。
なぜならば精神が摂取するものの半分以上が、現実ではないからだ。(「リスタート」恒川光太郎) -
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柴崎友香を読むのは初めて。「ガールズトーク」の世界です。表題作が140頁ほどの中編、ほかに30頁ほどの短編2つを収載。レズビアンではないのだけれど、綺麗な、あるいは可愛い女の子を見るたびにテンションの上がる女性たち。そんな表題作をはじめ、なんということはない物語で、さらっと読めはするのですが、心に残るところまでは行きません。大阪出身の著者の本作は、どれも自然な大阪弁と、大阪人には馴染みの深い地名が頻発するため、その点は興味を惹かれます。西加奈子に似ているようにも思うけれど、西加奈子ほどインパクトは強くない。ともすれば寝てしまいそうで、個人的にはもうちょっと引き寄せられる個性がほしい。