柴崎友香のレビュー一覧
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人と人とが出会えない瞬間のやるせなさが大変よかった。人生のとても悲しい部分をよく切り取れていると思う。淡々とそれを受容する主人公がまたいい。
コミュニケーションの苦手な主人公は同じようにして正社員という地位ともすれ違い、バーでは同僚の女の子とすれちがい、別の登場人物に物語の語り手を任せて消えてゆく。イヤミスに似たしんどさだけど、エキセントリックでないほどよい苦味。どろどろの水たまりで転んで尻餅をついてしまい、そのまま曇った空を見上げてぼーっとしているようなここちよさ。
もう一つ収録された短編もよかった。端の上にたって橋が流されていく感覚にとらわれてしまうのってすごくこわいよね。 -
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Posted by ブクログ
増補新版で再読しました。
面白かったです。とてももやもやします。
旧版→映画→増補新版と接してきたのですが、ずっとヒリヒリしました。
運命だ、と思った相手がふたり。同じ顔で。
登場人物たちのあれこれと共に風景が執拗とも言えるほどに描かれていて、人は視覚で生きている、ということを感じました。
朝子が一目惚れするシーンも、麦のときも亮平のときも一度に全身を見ているし。
でも朝子の友人の春代は、麦と亮平は同じ系統だけどそんなに似ていない、と言ってるので、好きだから似て見えるのかなと思ったりします。
消えていた麦が朝子の前に現れてからはもう怖かったです。そっちに行ってはダメだ、と思いながらも、でもきち -
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著者の作品は、いかにも芥川賞狙いの100からせいぜい200枚強程度の中編が多かった。
また、たぶん作品の性質上中編が合っている。
その著者にしては、結構な長編。(連載雑誌を購入していたが、その段階では追いかけられなかった。)
ひょっとすると2014年に芥川賞を取ったからこそ、力を抜いて長編に取り組めたのかもしれない。
え!? 柴崎友香がループ系を!? え、しかも家族を!?
という驚きはあらすじを一瞥して感じていたことだ。
村田沙耶香が書き続けてきたような、いわゆる毒親モノを、著者が書くのは初めてではなかろうか。
著者はむしろアーバンな関係性に視野を絞り、興味の対象も視覚情報と活字情報一辺倒だ -
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ネタバレ色縛りの連作。
実は緑よりも赤のほうが登場している印象あり。
というのは、地の文が「微温的緑」のままだからこそ、火や火事や血や夕焼けの赤が衝撃的なのだろう。
そいえば語り手も相手も結構熱い台詞を吐いている(どうやったら、ら、かっこよくなれるんかなって、とか、意思があればどこにでも行ける、とか)。
緑と赤の落差、微温と熱の落差、が本全体を不穏にしている。
そして、やはり文体の凄まじさ。
徹底的に過去形しか使わない「寝ても覚めても」と同じ系列だ。
そしてまた、記憶。
決してその時期だけにフォーカスしているわけではなく「その数年後にこうなったからこのときはこうだった」といった行き来も、なきにしもあ -
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ネタバレ映画になった「寝ても覚めても」を観て、「きょうのできごと、十年後」(河出文庫)が気になり始めて、買ったはずなのか、買ったつもりなだけなのか、どこを探してもなかったので新刊を買ってきて、まず、読んだ。すると、2000年に出て、映画も、たしか見た「きょうのできごと」(河出文庫)が気になって探すと、これは書棚にあって、もう一度読んだ。
「きょうのできごと」は、一応、柴崎のデビュー作ということだから、読み始めて18年もたつんだと思って、今、読み終わった文庫本をしげしげという感じで眺めていると表紙の写真が妻夫木聡と田中麗奈。映画のコンビ。ぼくでも名前を知っている数少ない俳優なのだけれど、田中という人 -
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ネタバレ私の好みから言うと、こういうゆるふわガーリーな筋はむしろ苦手だ。
が、柴崎友香に限定して、惹かれてしまうものがある。なぜだろう。
一見、音生という奇矯なキャラクターや、旅先のきれいな風景、が読みどころに感じられるかもしれない。
そういう表面的な読み方で満足することもできる、のだろう。
が、私は柴崎友香が何気なく書き記す、視覚描写の的確さ、に惹かれているのだと感じながら読み進めた。(つまりは保坂和志と長嶋有の解説の通りなのだが。)
例のごとく読書感想をネットで漁っていて、膝を打つ記事があった。
(以下引用)
いわゆる“行きて帰りし物語”的な、旅を通しての成長、変化が描かれる小説ではない。
け -
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ネタバレ何でこんな映画を観たのだろう、とまず思いました。
一人でどこか遠くへ行きたくて、久しぶりに何か映画を観に行こうと決めました。
映画は内容は本当に何でもよかったので、当てずっぽうでこれにしました。
内容を知っていたらむしろ観なかったと思います。
ストーリー云々より、主人公たちは、みんな若くてきらきらしていました。
まぶしかったです。
やっぱり若者の恋愛映画なんてやめておけばよかったのかな?と悲しくなってしまいました。
帰りのバスの中から見た街中のクリスマスのイルミネーションの夜景までとってもまぶしすぎて、見ていて淋しくなってしまいました。