柴崎友香のレビュー一覧

  • 週末カミング

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    ネタバレ

    6年程の間に発表された週末がテーマの短編が8編収められており、各編の繋がりはたぶんない。一瞬「あれ?この人はさっきの話に出てきた人?」と感じることもあったが、たぶん別人と思う。
    「つばめの日」は、女友達3人で姫路城に行く道中に寄ったPAで車が故障してしまう話。3人のうちの1人が突然「おもさげながんす」という言葉を用い、「ケーブルテレビで時代劇映画を見てから彼女の中で一時的に流行している謝辞」と説明がある。不意をつかれて笑った。本の中でこういう自分のツボをつかれる瞬間的なユーモアに出くわすと幸せな気分になる。

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    2021年03月07日
  • パノララ

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    ぶっ飛んだ人たちなようで、でもこういう人いるよなとか、こういうところ自分にもあるよなとか思った。日常SF?みたいな柴崎さんのお話すきです!

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    2021年02月28日
  • 待ち遠しい

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    いつも比較的冷静に、でも何かが違う、自分とは違う価値観を押し付けられた、というときに感情が動く。
    『机の上の書類を上司に投げつける映像が、春子の脳裏に鮮やかすぎるほどに浮かんだ。それから、いや、違う、と思った。書類も椅子も机もひっくり返して、わあああーっと思いっきり叫びたい。うん、それや。』ここはドラマなようにシーンが浮かんだ。
    大きなことは特に何もないけど人生の中にある出来事がでも確実にひとりひとりの人生に波風を立てている。何もなし得てないかもしれないけど、きっとそんなことなくて、もっと自信を持ってもいいと考えるようになれた主人公が良かった。

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    2021年02月21日
  • わたしがいなかった街で

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    ネタバレ

    すごく良い本でした。
    日常のありふれた経験をこんなにも感受性豊かに捉えることができるなんて、本当に素敵な感性。
    ある経験をするのがなぜ私でなくて、この人なのか。なぜ私はこの時代に生まれて、この環境で、この人間関係の中で、この生活をしてるのか。きっとその不可解さやあるはずのない可能性に想いを馳せる「うわの空」さが、私の根幹にあるのだなと思った。他者の人生の奥ゆきを想像する根源はそこなのだなと。それこそが他者への思いやりや想像力につながってゆく。

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    2021年01月21日
  • 待ち遠しい

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    全くバラバラの年代の女性3人のご近所さんのお話。
    誰もが自分の価値観を正しいと思って生きているから、それにそぐわない人を見ると攻撃したり、あるいは善かれと思ってお節介を焼いたりしてしまうことがある。
    でも、わたしが何をして何を選ぶかは「わたし以外のほかの誰かが決めることじゃない」
    「人といっしょにいるにはエネルギーがいるから、一人の時間にそれを貯めてる」人もいれば「一人で過ごさなければいけない時間のために、賑やかにしてたくさん力をもらう」人もいる。
    人は一人一人違うってことを分からずに自分がいいと思うことを押しつけてしまったり、相手に分かってもらえてるはずと思い込んでいたり‥‥そんなことに気付

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    2021年01月04日
  • ドリーマーズ

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    山なし谷なし。真昼間に、鬼火がふわふわ漂う小川を緩やかに下るような感じ。私はこの本、大好きです。ただ、方言の壁があるなと思いました。大阪弁の自然なイントネーションと掛け合いのタイミングが、関西人である私の中では自然に流れて楽しめるわけですが、それがないと面白さが半減するような気もして、なかなか読み手を選んでしまうかも。

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    2020年12月19日
  • 千の扉

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    淡々と過ぎ行く群像劇ではあるが、275~288ページにかけての12章が出色。就職氷河期世代(著者もその一人だし私もその一人)のバブル世代に対する反発と少しの妬みが見事に現されていると思う。

    昭和の団地ライフにノスタルジーを感じる人にオススメ。

    ジュンク堂書店上本町店にて購入。

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    2020年11月12日
  • 待ち遠しい

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    ネタバレ

    主人公と普段やりとりしている近所の人たちのやりとりの描写がとても細かく、「本当にそうだよね~」と思わずうなずいてしまった。私も含めて、一人で過ごすことが好きな人はこの小説に共感できると思う。

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    2020年03月20日
  • わたしがいなかった街で

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    人と人とが出会えない瞬間のやるせなさが大変よかった。人生のとても悲しい部分をよく切り取れていると思う。淡々とそれを受容する主人公がまたいい。
    コミュニケーションの苦手な主人公は同じようにして正社員という地位ともすれ違い、バーでは同僚の女の子とすれちがい、別の登場人物に物語の語り手を任せて消えてゆく。イヤミスに似たしんどさだけど、エキセントリックでないほどよい苦味。どろどろの水たまりで転んで尻餅をついてしまい、そのまま曇った空を見上げてぼーっとしているようなここちよさ。
    もう一つ収録された短編もよかった。端の上にたって橋が流されていく感覚にとらわれてしまうのってすごくこわいよね。

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    2020年02月26日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

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    2020年02月09日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    12名の著名な作家の短編が72候の解説と一緒に読める、ある意味で贅沢な本だ.重松清の鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)は父親としての最後の旅行で息子の翔太を見つめる親心がうまく描写されている.筒井康隆の蒙霧升降(ふかききりまとう)は戦後の風物詩を散りばめた彼独特の文章でしっかり意見を述べているのが良い.堀江敏幸の熊蟄穴(くまあなにこもる)は菱山の取材活動のなかで村の古老たちとの奇妙な会話が面白かった.

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    2019年12月08日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。

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    2019年12月05日
  • 待ち遠しい

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    誰かと関わると、その先の人とも関わることがあって、それで生活は少し変わっていく。居心地の良い距離で、それぞれの生活を大切にしていきたい

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    2019年11月29日
  • 寝ても覚めても 増補新版

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    増補新版で再読しました。
    面白かったです。とてももやもやします。
    旧版→映画→増補新版と接してきたのですが、ずっとヒリヒリしました。
    運命だ、と思った相手がふたり。同じ顔で。
    登場人物たちのあれこれと共に風景が執拗とも言えるほどに描かれていて、人は視覚で生きている、ということを感じました。
    朝子が一目惚れするシーンも、麦のときも亮平のときも一度に全身を見ているし。
    でも朝子の友人の春代は、麦と亮平は同じ系統だけどそんなに似ていない、と言ってるので、好きだから似て見えるのかなと思ったりします。
    消えていた麦が朝子の前に現れてからはもう怖かったです。そっちに行ってはダメだ、と思いながらも、でもきち

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    2019年10月30日
  • 待ち遠しい

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    こういう家族ではないけど、ゆるく繋がるご近所づきあい、他で読んだような気がするし、映画で見たような気がする。こういう題材、最近流行っているのかな。
    独身のままだったり、結婚したけど一人になったり。一人は気楽でいいけれど、いい時ばかりではない。ゆるく人と繋がっていたい、そういう人が多いのかも。シェアハウスとかも。わかる気はするし、そういう小さなコミニュティみたいなもの、うらやましい気持ちもある。春子さんやゆかりさんが近所にいたら楽しく心強いだろう。

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    2019年10月28日
  • 公園へ行かないか? 火曜日に

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    小説なのにエッセーのように読んでしまった。
    作者のこの時の体験をテーマにした講演を聞いたということもあり、すべて実話であるかのように思ってしまった。
    ご自身でも英語があまりできないとおっしゃっていたが、そんなに得意でない状態での3ヶ月、できることとできないこと、とてもリアリティがあった。
    英語もっと頑張って、普通の(しかできない)短期留学したいなぁ。

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    2019年08月23日
  • パノララ

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    著者の作品は、いかにも芥川賞狙いの100からせいぜい200枚強程度の中編が多かった。
    また、たぶん作品の性質上中編が合っている。
    その著者にしては、結構な長編。(連載雑誌を購入していたが、その段階では追いかけられなかった。)
    ひょっとすると2014年に芥川賞を取ったからこそ、力を抜いて長編に取り組めたのかもしれない。

    え!? 柴崎友香がループ系を!? え、しかも家族を!?
    という驚きはあらすじを一瞥して感じていたことだ。
    村田沙耶香が書き続けてきたような、いわゆる毒親モノを、著者が書くのは初めてではなかろうか。
    著者はむしろアーバンな関係性に視野を絞り、興味の対象も視覚情報と活字情報一辺倒だ

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    2019年08月19日
  • ビリジアン

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    ネタバレ

    色縛りの連作。
    実は緑よりも赤のほうが登場している印象あり。
    というのは、地の文が「微温的緑」のままだからこそ、火や火事や血や夕焼けの赤が衝撃的なのだろう。
    そいえば語り手も相手も結構熱い台詞を吐いている(どうやったら、ら、かっこよくなれるんかなって、とか、意思があればどこにでも行ける、とか)。
    緑と赤の落差、微温と熱の落差、が本全体を不穏にしている。

    そして、やはり文体の凄まじさ。
    徹底的に過去形しか使わない「寝ても覚めても」と同じ系列だ。
    そしてまた、記憶。
    決してその時期だけにフォーカスしているわけではなく「その数年後にこうなったからこのときはこうだった」といった行き来も、なきにしもあ

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    2019年07月26日
  • フルタイムライフ

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    割と古い会社の話。というか、会社に勤めるということのお話。
    こういう社会のシステムに怒るというのもアリなんだけれど、そうじゃなくてその中で自然体に生きていくというのもまた生き方のひとつ。
    ほどほどに、けど潰れない程度に全力で。
    超幸せなエンディングだった。スキップしちゃいそう。

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    2019年07月17日
  • つかのまのこと

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    あたたかい、さみしい、せつない、、、色んな感情を抱きながら読みました。
    1人で静かな部屋で読むと、すっと入り込んできました。

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    2019年02月09日