柴崎友香のレビュー一覧

  • また会う日まで
    「地方に勤めているOLが、高校時代に特別な思いを抱いていた同級生に久しぶりに会うために上京し、様々な人や風景に出会う。」という、ストーリーを簡潔にまとめてしまうと他愛もない話だが、端役も含め、登場人物の一人一人が非常に丁寧に描かれており、好感が持てる佳作。
  • また会う日まで
    合わなそうな気がする。
    という何となくの感覚から、倦厭していた作家。

    しかし、読んでみたら、意外といけた。

    大きな展開はないんだよなーと、最初から思いながら読んだので、ちょっとだらだらしたけど、何もなくても、何となく感じるものがある。

    そして、現代人をよく表した小説。

    時代がたってから読んで...続きを読む
  • 青空感傷ツアー
    何このデタラメな2人。イライラさせる。
    なのに、どっか可愛いやないか!

    26歳にしてこんなじゃダメだよ、音生もいつまでもそんなんじゃ生きてけないよ。
    つーか、いい加減にしろ〜
    っていう2人やのに、なんて可愛いんだろう。なんでいとおしいんだろう。

    結局、正しい生き方なんてないんだ。
    どんなにダメで...続きを読む
  • フルタイムライフ
    主人公の世界がゆっくりだけど確かに
    流れていって、変わっていっているのがわかる
    ほっこりした小説です。舞台は大阪。
  • ショートカット
    つまりワープ。

    遠いとかなかなか行けないと思っている場所でも。案外近いもんで、お金とちょっとした時間があれば行けてしまう。
    ここに出てくる人達はみんなそんな感じで、行きたいと思ったら、行けばいいみたいな。
    思ったときにしか行けないっていうかできない。
    やろうと思ったときしかできないこともあ...続きを読む
  • 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?
    柴崎友香の小説は、いつも事件的なことは何も起こらない。
    しかし登場人物の内面ではめぐるましく何かが起こっており、物語のはじめと終わりでは関係が微妙に変わっている。
    表題作では、同著者の『青空感傷ツアー』の主人公と同じく少しイラついてしまうが、まわり人物のおかげで何か憎めない。また、タイトルが抜群に素...続きを読む
  • ショートカット
    関西弁の文章はあまり得意ではないのだけれどこの小説は問題なくというよりも
    むしろ親しみを感じて読めた。関西弁を使う人物はやけにハイテンションなキャラに
    されがちだけれど、この小説に出る人はみんな淡々としゃべるせいかもしれない。
    たまにはしゃいでも「大人も許される範囲の」はしゃぎ方だから不自然さもない...続きを読む
  • 星のしるし
    「また会う日まで」より面白かった。何を書きたいかがはっきりしていたと思う。分かりやすかったというか。しかし、雰囲気がホントに浅野いにおの作品とそっくり。アタマの中で、登場人物は浅野いにおの絵になっていました。
  • 星のしるし
    30歳になる女性・野村果絵の揺れる心。
    日常の何気ないことを観察している冷静な視点。
    恋人はいるが結婚の予定はない。
    職場の先輩の薦めで、ライフカウンセリングの先生の所に行くと、ヒーリングでマイナスエネルギーを調和して貰ったらしく、熟睡して肩こりが軽くなるが、1万5千円するのでそれ以上通う気にはなれ...続きを読む
  • フルタイムライフ
    芸大を出た新入社員OLの10か月を描いた作品。友達やその会社にいる人たちもなごやか。ふんわり感がいい。
  • ガールズ ファイル 27人のはたらく女の子たちの報告書
    2009.04.03. これおもしろいです、興味深いです、ふつうの女の子たち。ふつうの働く女の子(23〜35歳くらい?)柴崎さんがインタビューして、うまいことまとめてあります。こういう子が、世の中にはたくさんいて、ふつうの女の子の話が、物語よりおもしろかったりすんだよなー。後半は、やっぱり大阪で働く...続きを読む
  • 星のしるし
    30目前のOLとその彼氏と友達たちの何げない毎日。コレと言って何かが起こるわけではなくて。だけど何も起こらないわけでもなくて。このままで自分はいいのだろうか と思ったりするけど、だからって何か変えようと思うほど今に不満があるわけでもない。そんな毎日をとても丁寧に書いている。うん こういうの好きだな。...続きを読む
  • 星のしるし
    焦り。
    答えのないことへの焦り。問い自体がなんなのかわからない焦り。
    得体の知れないものへの期待と不安。

    勝手な解釈をさせてもらえば、ことごとく分業化、効率化され、生の実感、生の充実を感じられないことからくる焦燥が見えないものへの期待感を高めるのだと思う。
    もっと自然に、もっと土に、もっと原始に近...続きを読む
  • 青空感傷ツアー
    芽衣と音生の、行き当たりばったり旅行物語。
    思いつきでトルコ行くとかすげーと思う。
    最後もいきなり沖縄いるし。
    ケンカしても気まずくなっても、自分の事見ててくれて幸せを願ってくれる音生みたいな友達がいたらな、と思う。
    あそこまでわがままなのは考えものだけど。
    普段からわがままで言いたい放題だけど、だ...続きを読む
  • 青空感傷ツアー
    3/6 おもしろかった。今日のできごとに続くこの流れ。この人のおもしろさは場所が流されていく中にあるのかもーと思った。小説らしい不自然さがないところもいい。
  • ガールズ ファイル 27人のはたらく女の子たちの報告書
    27人の働く女性にインタビューをしたものです。色んな働き方、色んな考え方、色んな恋愛や趣味などなどなど、とーっても面白かったです。一つ、ギョッとするくらい衝撃的な言葉に遭遇。いつの間にか忘れてる気持ちでした。この本に出会えてよかった!後半はあるOLを主人公にした小説になってて、これも面白かったです。...続きを読む
  • ショートカット
    4つの恋愛オムニバス(一部に、共通?と思われる人が出てますけど)。
    読後感のすっきりした小説。
    ドロドロでもなくて、とりわけラブラブでもない。
    なんだか、等身大で日常の恋愛。
    関西弁苦手じゃなければ、オススメ。
  • 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?
    表題作よりも、二つ目の「エブリバディ・ラヴズ・サンシャイン」が好き。
    この主人公の女の子は私と似ている。だって嫌なことがあってふて寝しちゃって学校行きそびれるなんて、まさに私だ。
    「かおるちゃん、私、花田くんともっと喋りたかった。今は、かおるちゃんと喋りたい」
    ここにぐっときた。きゅんとした。
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    好きな人や、たいせつな人がいらっしゃるなら、めっちゃせつなくなるはずです。

    キモチは、距離を越える。
  • ショートカット
    離れているけど気持ち次第で近くなる距離。


    なにか、雲を掴むような話です。
    といっても、いかんせん土台無理な話ってことではなくて
    掴んでもそこには無い、指の間からこぼれ落ちていくような、そんな儚い話です。

    短編4つなんですが微妙に繋がっています。
    その薄い繋がりの描き方が上手くて何度も...続きを読む