柴崎友香のレビュー一覧
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ネタバレぼんやりとただ文字を追うだけで読んでしまうタイプの人は、この作品が味気ないように感じるかもしれない。
事件は何も起こらないし、何よりオチがよくわからない。
日常のワンシーンを切り取ってきたような話だから、例えば登場人物たちの全く別の日を描いてもきっと成立してしまう。
だからこそ、面白いんだと思う。
私たちの生活は、期待するほどの事件は起こらない。朝起きて会社やら学校やら行って、ちょっと嫌なことがあればイライラして、面白いことがあれば笑って、美味しいものを食べて満たされて夜は眠り、週末は出かける。
作品は、まさにそんな感じ。
場面や人物は違うけど、まるで自分もそこにいるような錯覚。
で、この作者 -
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午後と夕方の中間ぐらいの時間、品川の港南口で、ミーティングが終わり、少々時間が空いたので、品川埠頭の方に向かって歩いてみた。東京新聞の配送センターを通り過ぎ、旧海岸通りを抜けて、吉田修一の東京湾景にも出てくる御楯橋を超えて歩いた。途中、サラリーマンや作業着の人にまじって、インド人の主婦が数人子どもをつれて歩いていた。
その日は、風が弱く、春めいていたが、海に近いせいか、少し肌寒さを感じた。東京海洋大学のキャンパスを右に見ながら、人どおりの少ない道がゆるやかに蛇行し、海岸通りに合流するように歩き続けた。海岸通り沿いに歩くと、頭上にはモノレールが走っている。モノレールの姿は、歩行者には直接には見 -
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柴田元幸のカズオ・イシグロへのインタビューの中で、イシグロがこういう不思議なコメントをしていた。
「ええ、ちょっと聞くと侮辱に聞こえるかもしれませんね。我々はみな執事だなんていう言い方は。私が言おうとしていたのは、ある種の倫理的な、さらには政治的な次元では、それが我々の大半にとって人生の現実ではないかということです。
(中略)
でも大半の人間は、これは私自身も含めて言っているのですが、要するに何をしているかというと、自分の仕事をきちんと果たすよう学んでいくのだと思います。それが自分の人生に望める最大のことだいう場合も多いんじゃないでしょうか。なんらかの技術を身につけ、マスターする。そのさ -
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柴崎友香の小説は、いつも事件的なことは何も起こらない。
しかし登場人物の内面ではめぐるましく何かが起こっており、物語のはじめと終わりでは関係が微妙に変わっている。
表題作では、同著者の『青空感傷ツアー』の主人公と同じく少しイラついてしまうが、まわり人物のおかげで何か憎めない。また、タイトルが抜群に素晴らしい。
『エブリバディ・ラブズ・サンシャイン』は片想いで失恋して前に進めなくなった女の子がとことん眠ってしまう話。僕自身、失恋すると気力がなくなり眠り続けてしまうので共感。どちらの話にも登場するコロ助がステキだ。
ロキンノ系の人は柴崎さんの小説が好きそうだな。 -
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関西弁の文章はあまり得意ではないのだけれどこの小説は問題なくというよりも
むしろ親しみを感じて読めた。関西弁を使う人物はやけにハイテンションなキャラに
されがちだけれど、この小説に出る人はみんな淡々としゃべるせいかもしれない。
たまにはしゃいでも「大人も許される範囲の」はしゃぎ方だから不自然さもない。
特にはっとする斬新な表現もなければ、テーマもありふれたものだけれど
この会話文のうまさで飽きることなく読み進められる。
4作に共通するのは「距離」で基本的にそれは壁になるけれど、扱われ方は微妙に違う。
大阪と東京。行けないこともないのだけれど、なんだか腰が重い中途半端な遠さと思い。
どの主人公も -
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30歳になる女性・野村果絵の揺れる心。
日常の何気ないことを観察している冷静な視点。
恋人はいるが結婚の予定はない。
職場の先輩の薦めで、ライフカウンセリングの先生の所に行くと、ヒーリングでマイナスエネルギーを調和して貰ったらしく、熟睡して肩こりが軽くなるが、1万5千円するのでそれ以上通う気にはなれない。
とくに不幸でもないが、すごく幸福というのでもない、どうしてもと思う指針やこだわりもない…
友達と占いに行ってみたりしながら、何となく過ぎる日常。
淡々としている中で、それぞれの生きているちょっと奇妙で少しだけ必死な感じがじわっと来ます。
著者は1973年生まれ。2008年10月発行。