柴崎友香のレビュー一覧
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妻の書棚にあった柴崎友香もの2冊目はこれでした。
『その街の今は』と本書は語り手が1人。『きょうのできごと』は語り手が交互に入れ替わる。『その街の今は』はタイトル通り基本的に場所は移動せず,主人公の日常的な範囲内で収まっている。『きょうのできごと』は大阪に住む人々が京都に引っ越した友人を訪ねる設定。どこか明示はされていないが動物園なども出てきて,関西圏にいくつか舞台を持つ。それに対し,本作は主人公ともう一人の女性の活動範囲が広い。冒頭では東京発新大阪行きの新幹線で,主人公の芽衣と音生(ねお)の2人旅が始まる。3年勤めた会社を辞めた芽衣と,東京で恋人の二股が発覚して別れてきた音生の感傷ツアーって -
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ネタバレぼんやりとただ文字を追うだけで読んでしまうタイプの人は、この作品が味気ないように感じるかもしれない。
事件は何も起こらないし、何よりオチがよくわからない。
日常のワンシーンを切り取ってきたような話だから、例えば登場人物たちの全く別の日を描いてもきっと成立してしまう。
だからこそ、面白いんだと思う。
私たちの生活は、期待するほどの事件は起こらない。朝起きて会社やら学校やら行って、ちょっと嫌なことがあればイライラして、面白いことがあれば笑って、美味しいものを食べて満たされて夜は眠り、週末は出かける。
作品は、まさにそんな感じ。
場面や人物は違うけど、まるで自分もそこにいるような錯覚。
で、この作者 -
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午後と夕方の中間ぐらいの時間、品川の港南口で、ミーティングが終わり、少々時間が空いたので、品川埠頭の方に向かって歩いてみた。東京新聞の配送センターを通り過ぎ、旧海岸通りを抜けて、吉田修一の東京湾景にも出てくる御楯橋を超えて歩いた。途中、サラリーマンや作業着の人にまじって、インド人の主婦が数人子どもをつれて歩いていた。
その日は、風が弱く、春めいていたが、海に近いせいか、少し肌寒さを感じた。東京海洋大学のキャンパスを右に見ながら、人どおりの少ない道がゆるやかに蛇行し、海岸通りに合流するように歩き続けた。海岸通り沿いに歩くと、頭上にはモノレールが走っている。モノレールの姿は、歩行者には直接には見 -
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柴田元幸のカズオ・イシグロへのインタビューの中で、イシグロがこういう不思議なコメントをしていた。
「ええ、ちょっと聞くと侮辱に聞こえるかもしれませんね。我々はみな執事だなんていう言い方は。私が言おうとしていたのは、ある種の倫理的な、さらには政治的な次元では、それが我々の大半にとって人生の現実ではないかということです。
(中略)
でも大半の人間は、これは私自身も含めて言っているのですが、要するに何をしているかというと、自分の仕事をきちんと果たすよう学んでいくのだと思います。それが自分の人生に望める最大のことだいう場合も多いんじゃないでしょうか。なんらかの技術を身につけ、マスターする。そのさ