柴崎友香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルは「帰れない探偵」なんだが、ミステリーではないんだが、とてもミステリアスな小説。
借り受けた探偵事務所に帰ることができなくなった女探偵が主人公、彼女は生まれ育った母国にも帰れない事情を持つ。なんとなくどこの国か分かるような、でもちょっと違うような各所を転々としつつ、その場所場所で少し非現実的な仕事を請け負っていく物語。
異国情緒がある文体の中に、現実っぽいディストピアを予感させる出来事を散りばめ、デジタルデータなど最先端技術を手中に収める巨大企業「スコノルミー社」が暗躍する管理社会への危惧も描く。
架空の世界を扱ったフィクションだからと、油断しておいて最後に出てくる「終わらない歌(ブルーハーツ)」…探偵が帰れない、あの居心地の悪そうな国はやっぱり日本やったんやな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品の『今』っていつなんでしょうか?
ずっと、今から10年くらいあとの話で、パラレルワールドなのかと思いきやそうでもない感じ。
タイトルロールの『帰れない探偵』は家を見失い(?)各国で依頼をこなしながら、異邦人のごとく漂っています。
訳ありの依頼人や連盟の指示に翻弄されたり、危険な身にあったり。
大きな波はなく、淡々と、すこしずつ進展していくストーリー。
職業柄あまり自分出さずに、感情に振り回されることもなく、どこか諦めている主人公ですが、最後の章で少しだけ、そのあたりがほぐれていく感じがしました。
探偵ものとして読むと裏切られた感じがするかもです(笑) -
Posted by ブクログ
性というか性別(性自認や対象)というか、性欲というか性癖とか、性体験とか。
「性」のことはご法度的で親子、恋人、親友でも避けたりするわけで、孤独な世界だと思ってきたけれど。それが女性作家が17人も語るわけで下品上等、生々しくて面白い。
面白い、と言ってる事を下品と言う人もいると思いますが、多様性?とあえて言葉にすれば線引きしないでよ、と。
面白いというのは具体的に変えれば興味深い、が適切か。いやらしい意味でなく、前述のようにご法度な他者の世界に興味があるわたしは、作家がこうもあけすけにエッセイとして実体験や思想を語ってくれてありがたく。
本として残るので結構なカミングアウトもあったりするわけですが、それはどういう心境なのだろうか、とも思ったり。
他にもこの手の本はあるのかな?と探したくなったほど。
男性作家版も出して欲しい所存です。