柴崎友香のレビュー一覧

  • 百年と一日
    異なる時に、人が現れ留まり、去ってゆく話がたくさん詰まった本
    説明文のようなタイトルも相まって、
    過ぎた時にラベルをつけて、そっと棚にしまってある静かな博物館を眺めてきたような読後感でした

    「初めて列車が走ったとき、祖母の祖父は羊を飼っていて、彼の妻は毛糸を紡いでいて、ある日からようやく話をするよ...続きを読む
  • ご本、出しときますね?
    作家さんの内面を知る事ができて面白いし、読んでみようとなる。
    「この人こんな考え方なんだ」「こんな思いで本を書いてるんだ」とか…
    作家さんによって考え方が違うのもとても面白い。
  • ご本、出しときますね?
    小説家×小説家×若林さんの鼎談(初めて知った言葉だ)集。対談ではなく鼎談、そして小説家ではない人がいるところが面白さを生み出しているのだと思いました。

    作家の方の、作品への思いではなく、その周辺や日常の話だったり、マイルールだったりが分かり、作家も雲の上の人ではないんだなと思えます。本の紹介もあっ...続きを読む
  • フルタイムライフ
    せっかく思いついた質問が一言で終わってしまったと思ってがっかりしていると、しばらく何かを考えているような顔をしていた正吉くんが言った。
    「テレビ、ついてる」
    すごくうれしかった。それで、笑えてしかたなかった。(203)
  • ショートカット
    ・「美しい、なんか普段使わんやろ。でもおれは使うもんね、今ここで、表参道のために」(15:ショートカット)
    ・わたしは、自転車を押す片野くんと、真夜中の人の通らない道を二人で歩いている。それが自分が確かめられることの全部だと思った。(65:やさしさ)
  • ご本、出しときますね?
    面白かった!若林さんの言葉の返しもうまい。
    村田沙耶香さんはやはり村田沙耶香さんだなーと。他の作家からもクレイジーと言われる彼女。もっと知りたい!
  • ご本、出しときますね?
    面白かった。特に村田沙耶香さんは本当に小説のままの方なんだな、と。作家さんが勧める本、いくつか読んでみたいと思い、欲しいものリストに入れながら読みすすめました。
    けど1番面白かったのは光浦靖子さんと尾崎世界観さんの対談。(小説家じゃないんかい)
    アーティストが頑張れソングを歌うことについて言ってるこ...続きを読む
  • その街の今は
    柴崎さんの小説の空気は、ずっと浸っていたいです。
    嫌なものがあまり無いし、「これは嫌い」と強く声高に拒否するような人も居ないからだと思います。
    登場人物も大阪の人たちでよく喋るけれど、煩くないのも良いのかも。
    こういう景色ある、とか、こういう人たちいる、という現実味もものすごく感じました。
    大阪はた...続きを読む
  • ご本、出しときますね?
    オードリー若林さんと作家さんの鼎談を書籍化したもの。
    最初の西さんと朝井さんのやり取りは鉄板の面白さで声出して笑ってしまったし、他の回も読んでいる間ずっとニヤけていたと思う。
    皆キャラがぶっとんでいるうえに話が面白く、若林さんも作家さん自身も本当に楽しそうでお互いに興味津々なのも伝わってきた。
    いい...続きを読む
  • また会う日まで
    誰かに対するはっきりしない感情とか関係性ってあるよなあ、と思った。
    自分だと上手く言い表せないいろんな微妙なことを柴崎さんが綺麗に言語化してくれて、読み進めながらずっとそれな、それな、と思った。
    にしても結婚前なのに女の子と会いすぎでしょ鳴海くん。
  • 待ち遠しい
    性別、年齢を超えた人同士の「違い」を描く物語だった。
    主人公は人に対してあまり主張しないタイプの人。もどかしく感じる部分もあったが、自分と似てるので親近感を覚えた。
    主人公がゆかりさん、沙希といった多くの人と付き合う中で、自分を客観視していくように見えた。物語の展開的にそんなふうに感じた。初めは感情...続きを読む
  • 待ち遠しい
    まとめた世間の声をくっきりとした発言に変えて話す、オブラートという概念のない人たちが多いという感じ。
    そのために読んでてもやもやイライラすることも多かったが確かに言葉選びが上手。まんまとイライラさせられた。春子が紅茶の店で頭の中で反論してるところとかその上手さがスッキリと出ている気がしてよかった。自...続きを読む
  • その街の今は
    智佐はうれしそうでおいしそうで楽しそうだった。(141)
    わたしがまだいない時間の、この街の風景。知っている建物だけが、そことわたしを繋ぐ。(117)
  • 百年と一日
    わたしが今、ぼんやり誰かのことを考えているように、わたしの知らないところで誰かがわたしに関する何かについて考えているかもしれない。
    または、偶然に同じことに思いを馳せたり何かを共有するという形で、会ったこともない誰かと繋がっているかもしれない。
    時間や空間を自由に行き来しながらいろんな人と繋がる感覚...続きを読む
  • かわうそ堀怪談見習い
    断片的に綴られていく、ホラー 小説。
    幽霊など見たことのない作者が怪談を書くために取材を始めるが、徐々に自分自身も奇妙な体験あるいは違和感を感じる。

    作者本人は自分はそういうものと無縁と思っているが、友人からそれは嘘だと言われる。
    実際に奇妙な体験をしてもそれを見ないようにしているかのような振る舞...続きを読む
  • 寝ても覚めても 増補新版
    映画を鑑賞してからの原作。
    主人公の周辺の描かれ方が全然違ってた。原作のがいいところもあれば映画のがいいところもそれぞれあり。

    小説は完全にあさちゃん視点の世界、あさちゃんのセリフで構成されているので、映画で狂気に見えるあさちゃんの言動も小説の方ではすっと腑に落ちる。
    普通に仕事して、職場のおばさ...続きを読む
  • 週末カミング
    6年程の間に発表された週末がテーマの短編が8編収められており、各編の繋がりはたぶんない。一瞬「あれ?この人はさっきの話に出てきた人?」と感じることもあったが、たぶん別人と思う。
    「つばめの日」は、女友達3人で姫路城に行く道中に寄ったPAで車が故障してしまう話。3人のうちの1人が突然「おもさげながんす...続きを読む
  • パノララ
    ぶっ飛んだ人たちなようで、でもこういう人いるよなとか、こういうところ自分にもあるよなとか思った。日常SF?みたいな柴崎さんのお話すきです!
  • 百年と一日
    女子高生が忽然と現れたきのこを見つけたり、男が屋上にある部屋を探して住んだり、地下の噴水広場でいつも誰かが誰かを待っていたり、ふわふわとしたちょっと不思議な短い物語が33。自分もさらさらと流れる時の流れに漂っているような気持ちになる。
  • 待ち遠しい
    いつも比較的冷静に、でも何かが違う、自分とは違う価値観を押し付けられた、というときに感情が動く。
    『机の上の書類を上司に投げつける映像が、春子の脳裏に鮮やかすぎるほどに浮かんだ。それから、いや、違う、と思った。書類も椅子も机もひっくり返して、わあああーっと思いっきり叫びたい。うん、それや。』ここはド...続きを読む