柴崎友香のレビュー一覧
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自分が大阪出身ということもあり購入
大阪で生まれ育った柴崎さんと、大人になってから大阪にやって来て気に入ってずっと暮らしている岸さんのエッセイ集
自分は、大人になって大阪から出て行った方なのでどちらかというと柴崎さんのお話に共感が持てて、育った環境も、ご実家が自営業で商店街で育った境遇は自分の境遇と同じだったので色々思い出すこともあり楽しく読めました
チャリンコで心斎橋やらアメ村に行ける距離感も、私がチャリンコで梅田へよく遊びに行った頃と重なって懐かしさを感じられたし、ホンマに色々思い出させてもらってありがたかったです
大阪、改めてええとこやな、たまには帰らんとなぁ、と再認識させてもら -
Posted by ブクログ
新入女子社員の一人称視点で、会社での先輩や上司とのやり取り、昼休みや就業後の友だちや身近な人々のやりとりが綴られている。
意図的だったりメッセージを込めたりした切り取りではなく、自分の意識にのぼったことを素直に文字にしているという感じ。意識にのぼったという時点でその時の自分の心象を反映している。
こういうのはいつも通りの柴崎友香。一見フラットに見えるけどそうではないという面白さがある。
淡々としているけどモヤモヤもあり、それでも一応楽しく生きている。
「必要なのは、なにかするべきことがあるときに、それをすることができる自分になることだと思う。(p200)」という部分が印象的だった。
ドラマにし -
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Posted by ブクログ
出産入院中に読むか〜と購入。
スカート履くのが嫌で泣いてた自分が出産か〜、、、という気持ちにマッチするエッセイがいくつか。
自意識についてがテーマなので当然っちゃ当然なんだが、「こういう私、どう?」が何気ない振りして3日目の経血くらい滲んでる文章も結構あったなかで、(そのヤンキーという修飾語いるか?みたいな)藤原麻里奈、すごすぎる。
女を捨ててるのに"女なのに"のリングの中で評価されることに気持ちよさを感じる、ってところ、こんな素直に自分の欲求捉えられるのすごすぎる。(2回目)
自分も自分しか見ないような日記ですらすぐ滲ませちゃうので、ああいう文章を書けるようになりたい。 -
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Posted by ブクログ
読みながら、コロナで自粛していた頃がとても遠くなって、細かいことを忘れていることに驚いた。でも確実に、あの経験は自分の何かを変えた。実際被害にあった1995年の震災も、テレビを見つめて心配だけしていた2011年の震災も同様だと思う。
目の前のことに追われて、でもその時その時は何かを感じ考えて、家族や周囲の人と共に一生懸命に生きている。ふと過去のことを思い出したり、未来のことを想像したり。死ぬその時まで、時間は短くなったり長くなったり始まったり終わったりしながら続いていく。
とても読みやすい小説なのに、とても深い何かが描かれているように思った。
シンボルスカの詩集読みたい。
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Posted by ブクログ
学生時代から初めて大阪に来てなじんだという社会学者・岸氏と大阪生まれで現在は東京に住む小説家・柴崎さんのエッセイの連作集(対話ではない。)大阪という町に対する二人の思い入れ、愛情に富んでおり、「大阪」という独特の語感からの何とも言えない感覚を満喫できた。「大阪って嫌い」と言われることが多いのも、その強烈な個性的雰囲気が物語っていることも同感だ。大阪弁は意味の伝達よりも、会話を続けること自体に意味がある。そして、喋り続けることにより、自分は怪しくない人ですよー、と表現しているのだと、柴崎さんの感想には笑った。彼女の幼少期からの大阪での成長ぶりが面白く、中学時代からエレファントカシマシの公演には
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった…!
身体について言語化することは難しいと思いながら、言語化欲求もあって、そこをストレートに表現してくれている言葉は、ポジティブなのかネガティブなのかは分からないが震動を伝えてくるようで、ちびちび読み進めました。
わかる、わかるよ…となるところもあれば、こんな身体感覚を持つ人もいるんだ〜と知るところもあって、何かしらそれが身体にフィードバックされて、終始不思議。
島本理生「Better late than never」
…直後よりも、むしろ二、三日目から、不安定さを伴った執着心はピークを迎えて、その最中には激しい恋をしているようにも感じていたが、その後、十日間かけて緩やかに下降した -
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女性の書き手が綴る、「身体」についてのエッセイたち。
私がこれまでの人生誰にも言わずに、日記にすら書かずに閉じ込めてきた経験や思想や感情に近しいことが書かれていたりして、私だけじゃなかったのか……!という発見がいくつもあった。
私みたいに、自分の中に閉じ込めている人も沢山いるであろう内容をこうして書いてくださったことに感謝したい。
生理や身体の変化のこと、妊娠のこと、性自認のこと、性欲や自慰について、ルッキズム、性癖、尊厳などなど……
女性の体と30年付き合ってきたからこそ、どれも興味深い内容だった。
金原ひとみさんの「パリの砂漠〜(略)」を読んだ時にも思ったのだけど、
金原さんの文章だ -
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柴崎さんの世界観をまざまざと見ることができる小説。
色彩豊かで確かに目の前にある風景を克明に描写しており、それは主人公の心情を、時に微かに、時に大胆に揺さぶる。
自分自身の恋を機に「恋愛小説」と言える小説を久々に読んだが、やはり人の色恋というものは特有の感情の動き、心の揺れを見ることができて非常に興味深い。
それぞれの登場人物が抱える相手への想いや恋愛の考え方などの大部分は違うが、同じと思えるところもあって、それを読者がどれほどの距離感で読むかによって小説の評価も人によって大きく変わるだろう。
文学作品としても非常に優れている。
時間を引き延ばしたり逆に吹っ飛ばしたり、空間を拡張したり -
Posted by ブクログ
年齢が近いせいか、春子(39)に感情移入してしまいました。春子が感じていることにいちいち頷いてしまう。
沙希(25)の言葉に対して春子は流すようにしているけれど、私だったら流せず、付き合いもしたくないなと思ってしまいます。読みながら自分が言われているわけでもないのに「うっ」となってしまいました。
1人でいると手術を受ける時の同意書や家を借りるときの保証人問題が確かに出てくるなぁ、どうしようと春子と同じ独り身の私も考えてしまいました。だからといって、結婚、と考えるのは違う気もするし。
ゆかり(63)のおせっかいには辟易してしまうところもあり。春子がゆかりから受けたおせっかいとは違うけど、私もこち -
Posted by ブクログ
ネタバレ注:内容にちょっとだけ触れています。
自分は、ホラーや怪談が大好きなバカな人だ(^^ゞ
だから、ホラーや怪談の出来にはやたらうるさいw
ホラーや怪談が好きな人って、世間的には「バカな人」として一緒くたにされがちだけど、実はホラーや怪談が好きな人が好むそれらというのは個々の人で大きく違う。
ホラー好きと怪談好きでは、“怖さ”のテイスト好みが全然違うことが多いし。
ホラー好きの人、あるいは怪談好きの人が「コレいいよ」とススメてくれた小説や映画が、他人には全然ダメということも普通だ。
個々のホラー好き・怪談好き、それぞれが好むテイストというのはもの凄く狭い範囲で、かつそれぞれの人で全然違うのだ。 -
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