光文社文庫作品一覧

非表示の作品があります

  • 松平長七郎旅日記~東海・西海編~
    4.0
    故駿河(するが)大納言(だいなごん)忠長(ただなが)の遺子・松平長七郎と、側役(そばやく)・三宅宅兵衛、田村右平次の主従三人は、紀州大納言頼宣(よりのぶ)の行列を追って江戸を離れ、東海道へ……。道中、幕府覆滅を企てる万字(まんじ)組が長七郎を陰謀へ誘う。痛快道中記。
  • 猫の舌に釘をうて〈青春篇〉
    4.0
    “私はこの事件の犯人であり、探偵であり、被害者……”一人三役というアクロバティックな設定が、主人公の手記を通して、変奏されながら明らかになっていく華麗なる本格推理。同時に、この作品は、青春の傷(いた)みをせつなく感じさせる恋愛小説としての魅力も併(あわ)せ持つ(「猫の舌に釘をうて」)。ほかに、郷愁を誘う幻の珠玉短篇集『哀愁新宿円舞曲』を完全収録。
  • 死神の座
    4.0
    「軽井沢で不気味な殺人が……」星占いの予言どおり、エリートの集う高級ホテルを舞台に、財閥令嬢の花婿候補の若者たちが次々と殺されていく……。しかもみな、無残に顔を潰されて……。“死神の座”として恐れられる蠍座の祟りか? その裏に隠された不吉な暗号とは!? 十二の星座をちりばめた暗号詩を手がかりに、名探偵・神津恭介が事件の謎に迫る。
  • 鬼火~岡っ引き源捕物控(四)~
    4.0
    京極堂の商う白粉(おしろい)で目蓋(まぶた)が腫れたと、常磐津(ときわず)の師匠・お仙が店にねじ込んだ。店主の要請で原因を調べる源次と手下の助三(すけぞう)。その最中、金貸し隠居殺しの嫌疑でお仙がしょっ引かれた。頑(かたく)なに否認し続けるお仙。不審に思った源次が元同心・神子孫七の知恵を借り、聞き込みに奔走するうちに真の下手人の姿が……。だが、お仙にも意外な事実が隠されていた(表題作)。
  • 追憶
    4.0
    「新世界を象徴する通天閣みたいな男や」――剃り上げた頭に女郎蜘蛛の入れ墨。二メートル近い巨体。フリーの極道・ソクラテスの名は天王寺界隈で響き渡っていた。しのぎは、地の者の諍いや災難の始末を請け負うこと。渋い任侠道とは縁遠い、暴力付き人生相談所のような、けったいなしのぎが多いのだが……。地べたを這うような日常の喜怒哀楽を描く痛快+感動の傑作!(『さよならソクラテス』改題)
  • 黒いトランク~鬼貫警部事件簿~
    4.0
    1949年12月10日、東京・汐留駅に届いた大型トランクのなかから、男の腐乱死体が転がり落ちた! 容疑は当然、九州からトランクを発送した近松千鶴夫にかかったが……彼もまた、瀬戸内海上に漂う死体として、岡山県で発見されたのだった! 真犯人が構築した純度百%の難事件。鬼貫警部に勝算はあるのか……鮎川哲也の実質的デビュー作にして本格推理の最高峰。
  • 戌神(いぬがみ)はなにを見たか~鬼貫警部事件簿~
    4.0
    東京・稲城市の櫟(くぬぎ)林で小日向大輔の刺殺死体が発見された! 物証は、外国人の顔が刻まれた浮彫(レリーフ)と、小日向の胃に未消化のまま残されていた瓦煎餅のみ。捜査陣の地道な努力によって、小日向と同業のカメラマン・坂下護が浮かびあがるが……犯行時刻、坂下は仕事で、乱歩生誕の地・三重県名張市にいたと主張する。アリバイ崩し、遠隔殺人トリック、改綴文(アナグラム)などを盛り込んだ、重量級推理小説!
  • クイーンの色紙
    4.0
    来日したエラリー・クイーンにもらった貴重な色紙の紛失事件。謎のダイイング・メッセージや崩せないアリバイ。……難事件、怪事件の数々を、いつもみごとに解き明かしてみせるのは、銀座にあるバー「三番館」のバーテンダーである。――犯人当てと謎解きの粋をこらして読者に挑戦する、連作本格推理。安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)物の傑作!
  • 花夜叉(はなやしゃ)殺し
    4.0
    (魔物や。魔物の庭や)京都・南禅寺町の外れにある郷田(ごうだ)邸は広大な敷地に庭木が植えられ『花屋敷』とよばれていた。ここで数十年前に無理心中があった。むせかえるほどの香気を放つ花木で埋めつくされた庭が、男と女を狂わせる(表題作)。夢幻が彷徨(さまよ)い、時空を超えてゆらぎ立つ怪・魔の世界。古都の寺社を舞台にした10作品を収録。
  • 義経の征旗(上)
    4.0
    源平の戦いに、奥州藤原(おうしゅうふじわら)氏が立ち上がった! 平泉の藤原秀衡(ひでひら)の許に身を寄せていた源義経は、頼朝挙兵の報を受け、鎌倉へ馳せ参じる。頼朝の隙を突き、京へ入った木曾義仲は後白河法皇を幽閉、その傍若無人(ぼうじゃくぶじん)ぶりに業(ごう)を煮やした秀衡は、ついに奥州軍を南下させる。しかし、頼朝は秀衡を迎え撃つべく……。歴史の転換期を新視点で捉えなおす、もう一つの歴史物語。(『秀衡の征旗』改題)
  • 砂漠の影絵
    4.0
    2004年6月、イラクの武装組織に日本人5人が拉致された。商社勤務の橋本優樹はバグダッドへ向かう途中だった。組織の要求は、自衛隊のイラクからの撤退だ。日本政府はその要求を拒否、予告された処刑の日が迫ってくる。憎しみ合いと、殺し合いの果てにたどり着くのはどこなのか。人と人は分かり合えないのか。人間の生き方を問う、渾身の傑作長編小説。
  • 獣(ウルフ)たちの黙示録(上)潜入篇~エアウェイ・ハンター・シリーズ~
    4.0
    西城秀夫は、アフリカのザンビアでハンティングを楽しんでいた。命がけの闘いで次々に大物を斃す彼のもとに、警察庁から緊急連絡が入る。50億円という報酬額以外、何も知らされないままアテネへと飛ぶ西城。やがて複数の連絡員から細切れに伝えられる密命――それは、究極の殺人機械・西城をもってしても、絶望的なまでに困難な任務の数々だった。
  • 国を思うて何が悪い~一自由主義者の憤慨録 新装版~
    4.0
    「大新聞の正義面」「作られた世論に乗せられる人」「陸軍式の独善的思考」「国の権威をドブに捨てる政治家」そして「卑下と自虐の果ての反動」――。左がかりも、右寄りも、それが極端に走れば、きっと大きな揺り返しが来る。透徹した「自由主義者」の視点から、日本の「未来」を見通した、いまこそ新しい名著、復刊! 日本人よ、「見識」を持て!
  • 三毛猫ホームズの四捨五入 新装版
    4.0
    編入してきた棚原弥生を見て、担任の竜野は衝撃を受けた。その顔立ちや声が、20年前の彼女にそっくりだったから……。弥生には両親がいない。母は5年前に他界、そして父は、4カ月前、片山義太郎を狙った銃弾で生命を奪われた。N女子学園での不穏な情報を得た片山は、そこで弥生と再会を果たす。弥生の周辺で次々と起こる事件に、ホームズたちが立ち向かう!
  • 名も知らぬ夫~昭和ミステリールネサンス~
    4.0
    婚期を過ぎて母とつましく暮らす市子のもとに、25年前に音信を絶った従兄の圭吉が訪ねて来た。市子に昔の記憶はないが、目の前の中年男は優しく魅力的だった。ほどなく二人は一つ屋根の下で暮らし、結ばれるが、日を追って男の正体が明らかに――。巧みなプロットで読む者を引き込む表題作など、女性ならではの繊細な心理描写が光るサスペンス推理8編を収録!
  • 街を歩けば謎に当たる~日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作家アンソロジー2~
    4.0
    日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作家によるアンソロジー第2弾! 海野碧、両角長彦、石川渓月、川中大樹、前川裕の五名が「街」をテーマに競作。旧型ポストがある田舎の街から基地のある街、さらには新宿ゴールデン街まで――その場所ならではの5つの「謎」。個性豊かな著者たちによる、バラエティーあふれる短編傑作集!
  • 戦国はるかなれど(上)~堀尾吉晴の生涯~
    4.0
    戦国の世、尾張の国に生まれた堀尾吉晴は、秀吉と出会い、頭角を現し、幾多の戦いに参加。信長からも「わが者ぞ」と呼ばれる存在となる。秀吉の軍師・竹中半兵衛、尼子家再興を目指す山中鹿之介らとの出会いを通して「治国平天下」を志す武人となった吉晴は、鳥取城、備中高松城などの戦いで、優れた交渉人としての活躍も見せる。歴史に埋もれた名将を描いた超大作!
  • 十津川警部 金沢・絢爛(けんらん)たる殺人
    4.0
    都内のビル屋上で、加賀宝生流の能衣装をまとった男の死体が発見された。被害者は死ぬ前に能を舞ったらしい。近くのホテルに滞在する某国の大統領に見せるためだったと推測された。学生時代に金沢に滞在していた大統領が昔愛した女性が、2年前に失踪していたことが判明。現地で捜査を続ける十津川を待ち受けていたのは、古都に秘められた大きな陰謀だった。
  • ナルちゃん憲法
    4.0
    浩宮さまが生後七ヶ月のころ、美智子さまは皇太子殿下(当時)とともに日米修好百年記念で16日間の訪米旅行にお出かけになりました。浩宮さまのことを案じた美智子さまは、侍従や女官たちに、細やかな申し送りを書いたノートを託されました。アメリカ訪問を終えたあとも、育児の指南条項は書きためられました。こうしてできたのが、『ナルちゃん憲法』なのです。
  • くれなゐの紐
    4.0
    時は大正。消えた姉を追ってやってきた帝都屈指の歓楽街・浅草で、仙太郎は浅草六区を牛耳る男子禁制の少女ギャング団・紅紐団の長、操と出会う。家族より強い絆で結ばれ、厳しい団規に支配される紅紐団に仙太郎は女装して潜り姉を捜すが、その裏では彼の知らぬある企みが進行していた。最底辺の街を、時代を、生き抜け。少年少女らの生きる力が迸る、傑作長編!
  • 三毛猫ホームズの傾向と対策 新装版
    4.0
    K大を受験する温水さゆりは、東京へと向かう夜行列車で水田智子と出会う。同じK大を受験するという智子だったが、東京駅で姿を消していた。駅では、晴美がさゆりを出迎えた。さゆりが片山家でホームステイするのだ。そのK大で、教授の今坂が殺される事件が。さゆりも渦中へと巻き込まれて……。義太郎が捜査を進めると、大学入試を巡る策謀が浮かび上がる!
  • 無罪
    4.0
    愛する息子と妻をシンナー中毒の通り魔に殺された新聞記者の小坂宏樹、我が子を殺めながら無罪判決を受けた平沼香織。〈心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減刑する〉という刑法三十九条によって、人生を翻弄された二人が、時を経て交錯する。そして、新たな事件が! 苦悩と葛藤が導く意外な結末とは!? 心理ミステリーの傑作!
  • 襷(たすき)を、君に。
    4.0
    倉本歩は港ヶ丘高校1年。テレビで見た同い年の庄野瑞希の走りに圧倒され、彼女のように走りたいと陸上部に何とか入部するが、他の部員たちについていくのも大変だ。ある日、その瑞希が同じ高校に進学していることを知る。しかし、憧れた彼女にかつての面影はなく――。走ることが大好きで、仲間を思い、笑い、時に泣き、駆け抜けていく少女たちの青春駅伝小説。
  • 丹波家の殺人 新装版~黒星警部シリーズ4~
    4.0
    建設会社のワンマン会長・丹波竜造が、ヨットでの航海中に遭難した。葬儀が行われた当日、長男が密室状況の仏間で謎の死をとげる。密室好きで知られる白岡署の黒星光警部が駆けつけるが、しかし、それは丹波家を襲う連続密室殺人の幕開けにすぎなかった――。遺産相続を巡る悲劇に、“迷警部”黒星が挑む。異色の長編ミステリーが大幅加筆修正のうえ新装版で登場。
  • 悪魔はここに~星影龍三シリーズ~
    4.0
    戦時、満洲で莫大な資産を築いた牧良介。いまは山奥で隠居生活を送る彼の還暦祝いに、親族や客人は集まっていた。遺産相続が話題に上るなか、当の主が何者かに殺された! 殺人は続き、なぜか、どの現場にも逆向きにされた物が……。さらに、折からの強い台風で山荘は密室状態に。不可解事件に名探偵・星影龍三の登場! 鋭い「論理」で真相に迫る、大好評シリーズ第3弾!
  • ルージュ~硝子の太陽~
    4.0
    世田谷区祖師谷で起きた母子3人惨殺事件。被害者が地下アイドルだったこともあり、世間の大きな注目を集めていた。真っ先に特捜本部に投入された姫川班だが、遺体を徹底的に損壊した残虐な犯行を前に捜査は暗礁に乗り上げる。やがて浮上する未解決の28年前の一家4人殺人事件。共通する手口と米軍関係者の影。玲子と菊田は非道な犯人を追いつめられるのか!? 短編「カクテル」を特別収録! (『硝子の太陽R ルージュ』改題)
  • 天使の棲む部屋~問題物件~
    4.0
    ついに最恐の物件現る!? アメリカのアリゾナ州にある洋館の一室では、犯罪容疑が濃厚な人物が次々と拳銃自殺を遂げているという。大島不動産販売・問題物件担当の若宮恵美子は、その「悪魔が棲む部屋」へと送り込まれる。最強の相棒・犬頭光太郎不在の中、恵美子は部屋に秘められた恐るべき謎を解明できるのか?(表題作) 痛快!「問題物件」シリーズ、待望の第2弾。
  • 血に慄(ふる)えて瞑(ねむ)れ
    4.0
    神奈川県警公安捜査員・伊藤朱璃は、爆弾テロリスト・トウキョウボマーをついに追い詰める。しかし、そこには痛烈な惨劇が待っていた! さらなる事件を巻き起こすため、国際的な犯罪集団が、最強の工作員を日本国内に送り込んだ。対する警察庁は、超法規的措置S計画で対抗する。血には血を、銃弾には銃弾を……。報復の応酬劇に、朱璃は果敢に立ち向かう!
  • 日本剣豪譚 戦国編
    4.0
    一ノ太刀(たち)・塚原卜伝(つかはらぼくでん)、陰(かげ)ノ流(ながれ)・上泉伊勢守(こういずみいせのかみ)、小太刀・富田勢源(とだせいげん)、水月・柳生石舟斎(やぎゅうせきしゅうさい)、無想剣・伊東一刀斎(いとういっとうさい)から孤高の宮本武蔵(みやもとむさし)まで、戦国の世に繚乱(りょうらん)と花開かせた剣法中興の祖たち。死生のはざまで体得した不動の人生!
  • 井上真改(しんかい)~御刀番 左京之介(九)~
    4.0
    駿河国汐崎藩の国許で一揆の噂がたった。汐崎藩の御刀番頭・左京之介は、噂の真偽を確かめるため、さっそく国許へ向かう。汐崎藩領内へ入った左京之介を待っていたのは、汐崎藩を混乱させんとする一派。そして、敵の手には、名剣「井上真改」が。はたして、左京之介は、一揆を防ぐことができるのか。手に汗握る策謀の応酬と迫力の剣戟満載のシリーズ第九弾。
  • 女の陥穽~御広敷用人 大奥記録(一)~
    4.0
    八代将軍となった徳川吉宗は幕政改革に乗り出した。手はじめは贅沢三昧をしてきた大奥の粛清。そのため以前、勘定吟味役として利用していた水城聡四郎を御広敷用人として登用した。吉宗の密命を実行せんと調べ始めた聡四郎の前に「影」が立ち塞がる。一放流の達人、聡四郎は密命を成し遂げられるのか。待望の「水城聡四郎」新シリーズが壮大なドラマとともに登場。
  • インデックス
    4.0
    裏社会の人間が次々と惨殺された「ブルーマーダー事件」。その渦中で暴力団組長・皆藤が行方不明になっていた。組長の妻は、彼も巻き込まれたのではというのだが。(表題作) マンションの一室で男が合成麻薬による不審死を遂げた。近くでは、車と接触事故に遭った女性が、被害届も出さずにその場を去っていた――。(「女の敵」) ほか、姫川玲子が様々な貌を見せる全8編!
  • 九字兼定~御刀番 左京之介(七)~
    4.0
    汐崎藩の御刀番頭・左京之介は、対立している水戸藩江戸家老から、京之介の友である水戸藩御刀番頭・神尾兵部の行方がわからなくなったと告げられる。頼みを受け友の行方と水戸藩から奪われた「九字兼定」を捜す京之介の眼前に謎の集団が立ちはだかる。闇同心、影目付……「九字兼定」を狙う者たちとの壮絶な闘いが始まった――。手に汗握る渾身のシリーズ第七弾。
  • 遺産相続の死角 東京~札幌殺人ライン
    4.0
    函館・赤レンガ倉庫群近くの海で発見された水死体。水産会社を経営する一ノ瀬祐二だった。遺産相続で祐二と揉めていた兄の和雄が容疑者として浮上するなか、札幌でさらなる殺人が! 和雄の教え子の美緒は恩師の妻に乞われ、壮とともに真相解明に乗り出す。三年前、東京で起こった事件と、二つの殺人の共通点に着目した二人は、凶行に隠された死角を炙り出す。
  • 千曲川殺人悲歌~小諸・東京+-の交差~
    4.0
    傲慢、奇矯な若き天才画家が、自宅駐車場で刺殺死体となって発見された。その恋人は同夜、別の場所で毒死を遂げていた。無理心中かと見えた事件の裏に画家への殺意を抱く多くの容疑者が浮かぶ。刑事・勝俊作は、娘に自殺された高校の同窓生と事件の因縁に心ざわめく……。名探偵コンビ・壮と美緒は鉄壁のアリバイを崩せるのか!? 島崎藤村の詩が彩る究極の不可能犯罪!
  • 雪の鉄樹
    4.0
    祖父と父が日々女を連れ込む、通称・たらしの家で育った庭師の雅雪は、20歳の頃から13年間、両親のいない少年・遼平の面倒を見続けている。遼平の祖母から屈辱的な扱いを受けつつも、その傍に居るのは、ある事件の贖罪のためだった。雅雪の隠してきた過去に気づいた遼平は、雅雪を怨むようになるが……。愛と憎しみの連鎖の果てに、人間の再生を描く衝撃作。本の雑誌『おすすめ文庫王国2017』第1位!
  • 恋情の果て
    4.0
    江戸に駆け落ちしてきた男と女。掏摸にあい、公事師に騙されたあげく、妓楼の女主人に買われた三次。「おらも、あとから逃げる」という言葉を信じて彼を待ち続けたおとせ。十年後、三次と再会したものの、料理屋の主人となったおとせの心はなぜか揺れる……。(「恋情の果て」よリ)身悶えするほどの恋着、嫉妬、見栄、欲望――熱く静かに心震わせる女たちを描く時代小説短編集。
  • 三毛猫ホームズの黄昏ホテル 新装版
    4.0
    かつて、大勢の客で賑わったホテル金倉。この豪華ホテルが閉館することになり、得意客がオーナーの金倉に招待された。10年前、ここで金倉の一人娘がピアノの演奏中に殺され、現在も未解決のまま。そのとき居合わせた人たちが、集められたのだ。金倉は、「今回は私が殺される」と予言するが……。果たして惨劇は繰り返されるのか!? ホームズが暴く事件の真相は!?
  • ホイッスル
    4.0
    長年連れ添った夫が突然失踪し、思い出の詰まった家も失った。理不尽な状況に、園原聡子は戸惑い絶望の淵に立つが、娘や姪、誠実な弁護士たちの支えで、新たな生活に向かって歩み出す。そして、夫を奪った不倫相手・沼田和恵と、法廷で対峙する日がやって来た。底知れぬ悪意に翻弄されながら、それでも強く生きる人びとの姿を通して、家族、夫婦の在り方を問う感動の長編!
  • 冬天の昴
    4.0
    北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎の同僚で本勤並になったばかりの赤田哉次郎が女郎と心中した。その死に不審を抱いた信次郎は、独自に調べを始めた矢先、消息を絶つ。信次郎に仕える岡っ引の伊佐治は、思案に暮れた末、遠野屋清之介を訪ねる。次第に浮かび上がってきた事件の裏に潜む闇の「正体」とは――。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、待望の第五弾!
  • 三毛猫ホームズの登山列車 新装版
    4.0
    片山兄妹はヨーロッパを歴訪中。もちろん、ホームズ、石津も一緒だ。スイスの観光地・ユングフラウヨッホの展望台で、日本人女性観光客が氷河へ滑落! 義太郎と石津が決死の救出劇を演じる。その女性・多田靖子は、姉が自殺し、傷心旅行中だった。ところが、靖子は、このヨーロッパで、姉を自殺に追い込んだ男を目撃して……。そこから、次々と事件が!
  • 殺意の構図 探偵の依頼人
    4.0
    金目当ての義父殺害を疑われる峰岸諒一は、かたくなに無罪を主張していた。弁護人・衣田征夫は、肝心な点で証言を濁す彼に終始翻弄されるが、アリバイの証明により無罪が確定し、釈放に。ところが、間もなく峰岸の死体が発見される! 冤罪事件に端を発し、めまぐるしく浮上する疑惑の果てに潜む真実とは!? 予想は即座に裏切られる展開に、驚嘆必至のミステリー!
  • 読売屋 天一郎
    4.0
    築地の読売《末成り屋》。その主、水月天一郎の元へ勘定吟味役と水油仲買商人が癒着しているとの情報が入った。探索を始めた天一郎はすぐに何者かに襲われる。そして、新たに入った情報を追う天一郎の前に現れた侍たちの影。正義のため瓦版に命をかける天一郎の剣が煌めく。迫力の剣戟に胸躍る展開、心を打つ物語――。大人気の著者が放つ渾身の新シリーズ第一弾。
  • 三毛猫ホームズの狂死曲(ラプソディー) 新装版
    4.0
    ヴァイオリン・コンクールの決勝に残った7人は、東京近郊の別荘に集められ、課題曲にとりくむことになった。脅迫電話、襲撃事件……出場者の一人である桜井マリが何者かに狙われ、片山義太郎が彼女の警護にあたることになった。地震、盗聴、殺人、自殺未遂、放火――コンクール関係者に次々起こる怪事件。華やかな音楽の舞台に潜む「暗部」をホームズが暴く!
  • 幻影の天守閣 新装版
    4.0
    無役の小普請から念願のお役に就いた御天守番の工藤小賢太は、見回りに出た天守台で何者かに襲われる。小賢太は刺客を撃退したものの、それをきっかけに幕閣の政争に巻き込まれることとなる。そして、小賢太の前についに明らかになったのは、天守台に長く秘匿されてきた衝撃の「秘密」だった――。人気作家・上田秀人の光文社文庫デビュー作品に、大幅加筆した新装版。
  • ないたカラス
    4.0
    江戸の北端、小塚原にある築安寺には、千里眼を持った和尚がいると評判だ。だが、その正体は、食いつめ者の偽坊主。幼なじみの三太と弥吉は、和尚と寺男に扮し、相談に来る者から謝礼をせしめていた。亡き師匠の娘と所帯を持つはずだった噺家が、許嫁が急に心変わりしたと泣きついてきた。(表題作)厄介事を、いかさま千里眼で珍妙に解決。人情味溢れる傑作時代小説。
  • 痙攣的(けいれんてき)~モンド氏の逆説~
    4.0
    ロックバンド「鉄拳(てっけん)」が神話的存在になったのは、あまりにも衝撃的なデビュー公演のためだった。密室状態のライブハウス。演奏中、メンバー全員が突如姿を消し、ステージ上にはプロデューサーの死体が。メンバーの消失方法と、その後の行方は謎のまま……(「廃墟と青空」)。ロック、現代アート、マッド・サイエンスを舞台に展開される、痙攣的なまでに美しい本格推理!
  • 孤高の狙撃手
    4.0
    「銃はただのメカではなく、主人公の生き方にかかわるものであり、時と場合によっては“生き物”ですらある」。大藪作品の圧倒的にリアルな銃撃描写の背後には、その豊富な銃体験があった! アラスカの荒野で、アフリカのサバンナで、アメリカの海兵隊基地で――日本で最も銃を知り、銃を愛した作家が、世界を股にかけ撃ちまくった全記録! 待望の単行本未収録エッセイ集。
  • 三毛猫ホームズの闇将軍
    4.0
    平凡な会社員・沖野のぞみが、アパートの外で拾ったゴミ袋を持ち帰ると中には一億円が! 一年後、その大金で起業し成功を収めた彼女。だが、謎の人物からの脅迫電話が引き金となり、都知事候補の殺害などの異変が周囲で続発。晴美の友人の死をきっかけにのぞみと知り合った片山兄妹とホームズは、一連の事件の鍵を握る〈闇将軍〉の陰謀を暴けるか!? 国民的大人気シリーズ!
  • 聖夜(クリスマス・イブ)に死を
    4.0
    クリスマス・イブの新宿歌舞伎町で、サンタクロース姿の若い男が刺殺された。自首してきた元弁護士の男は正当防衛を主張。だが、その公判の法廷に催涙弾が打ち込まれ、騒ぎに紛れて被告は姿を消してしまう。東京地検特別執行課の佐伯は、背後にとんでもない計画があることに気づく。決行の日は次のクリスマス・イブ!? 二転三転する展開に息を呑む傑作サスペンス!
  • 隠密目付疾る~一橋慶喜隠密帳~
    4.0
    嘉永七年。一橋慶喜の命(めい)を受け、隠密目付となった東郷征次郎。彼は耳目(じもく)の千安(せんやす)をつれ、一橋領内の一軒家で、不法な占拠を行う盗賊始末に乗り出した。押し込み、輪姦と暴虐の限りを尽くす悪漢を倒す必殺の示現流。やがて追いつめられた彼らは、浪人や刺客集団を金で傭い、征次郎暗殺を試みるが……。『裏お庭番』『賞金首』の著者が描く、新シリーズ。
  • 前田利家(上)
    4.0
    天文七年、尾張荒子城主・前田利春の四男として生まれた利家。幼名を犬千代。容姿端麗にして知略にも秀れ、槍をとっては天下無双。信長に従い、群雄割拠の乱世を勇猛果敢に突き抜けた姿を描く長編歴史小説!
  • 撃つ薔薇 新装版~AD2023涼子~
    4.0
    西暦2023年、東京。犯罪組織は多国籍化し、凶悪を極めていた。櫟涼子は、新種の麻薬を流通させる謎の組織の潜入捜査を開始した。積み荷の麻薬を狙うトラックジャックと内通するスパイを炙り出す。組織で涼子に与えられた任務は、「見えない敵」との戦いだった。裏切りと抗争が渦巻くなか、涼子の捜査は結実するのか!? 極限の緊張が漲るハードボイルド長編。
  • NOTHING
    4.0
    空手を習い、ジムに通って、通勤電車でも足腰の鍛錬を欠かさない五島は、朝の新宿駅南口で、若い二人組にボコボコにされた。ガタイはいいけど、見かけ倒し。そんな真実の姿が明らかになると、五島の人生も暗転して――。(表題作) 泣きたくなるほど切なくて、でも、どこかおかしく、いとおしい。純な心を描いて、あなたの胸に、ずんとくる珠玉のエイト・ストーリーズ。
  • 血のスープ~都筑道夫コレクション〈怪談篇〉~
    4.0
    ハワイ。小野寺慶吉は女装のホモセクシャル、ケイの誘いに応じた。事後、慶吉の太腿に残った二つの噛み痕が前兆だった。日本に戻った慶吉のもとへ、ケイから指令が届く。“食事の用意を、若い健康な日本人を”不可思議なケイの力に操られ、慶吉は生贄を探すが……。謎の存在、ケイの正体は? 吸血鬼を超えるホラー!(血のスープ) ほかに傑作怪談短篇を多数併録。
  • 怪人二十面相~乱歩奇譚~
    4.0
    3年前、法が裁けない罪人を次々に《断罪》していった怪人二十面相。自らの焼身自殺を公開して幕を閉じたこの事件は、新たな後継者たちを生んでいた。野放しになった変質者に妹を惨殺された加賀美刑事もその一人だ。さらに増殖する正義の名のもとの処刑。その源には明智の唯一の友であり、生き地獄を生きていた浪越諒の存在があった。人気アニメのノベライズ第2弾!
  • 探偵は眠らない 新装版~ホテル・ディック・シリーズ~
    4.0
    国内外の観光客で賑わう浅草に聳える高層ホテル。その警備室に、不審な男から“殺人予告”の電話があった。悪戯とは思えないが、被害者も犯行動機も判らない。数時間おきにかかってくる予告電話だけが唯一の手がかりだった。応対する田辺は元警視庁刑事で、住み込み警備員として勤務していた。見えざる犯人との息詰まる30時間の攻防を描く傑作ハードボイルド!
  • さかしま砂絵 うそつき砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(六)~
    4.0
    半世紀を超える長い創作活動の中で、推理小説史に残る多くの傑作を発表してきた著者・都筑道夫のライフワーク、「なめくじ長屋捕物さわぎ」。その最後の単行本『さかしま砂絵』と、シリーズ無念の幕引きとなった「百物語」「二百年の仇討」の2作に加え、初文庫化を含む珠玉の時代ミステリー9編を収めた『うそつき砂絵』を合本。人気捕物帳シリーズ、これにてお仕舞い!
  • ときめき砂絵 いなずま砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(五)~
    4.0
    神田の貧乏長屋にすむ砂絵かきのセンセーを始めとした大道芸人たちは、雨や雪の日は商売に出られず、長屋にこもって、なめくじみたいに寝ころんでいる。そんなおかしな面々が、市中で起きた奇々怪々の事件を解決する人気の捕物帳シリーズ。本格推理に江戸風俗を巧みに織り込んだ著者円熟期の筆捌きが堪能できる『ときめき砂絵』と『いなずま砂絵』の2冊を合本!
  • まぼろし砂絵 おもしろ砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(四)~
    4.0
    砂絵師のセンセーと貧乏長屋の大道芸人たちが、智恵を武器に幻術使いと対決する「熊坂長範」、押上村のお化け騒動を描いた「ばけもの寺」など怪奇趣味にあふれた作品を収めた『まぼろし砂絵』、二月の初午、夏の夜の麦湯みせの様子など、江戸の風俗描写に精細をきわめた作品が並ぶ『おもしろ砂絵』。シリーズ最盛期の2冊が楽しめる異色の捕物帳第4弾!
  • 探偵は眠らない~都筑道夫コレクション〈ハードボイルド篇〉~
    4.0
    東京浅草の高層ホテル『ハイライズ下町』。午後6時5分、警備室に最初の殺人予告の電話が入った。宿泊客の一人を殺すという。どうやら本気のようだ。刑事上がりの夜間警備責任者・田辺素直は、アメリカ流のホテル専属探偵さながらに、独自に捜査に乗り出す。息詰まる30時間の始まりだった。(探偵は眠らない) ほかに「西連寺剛」シリーズなど名作も併録した傑作セレクション。
  • 女魔術師
    4.0
    岡本綺堂といえば“半七捕物帳”に代表される怪奇趣味が横溢する探偵譚が挙げられるが、その非凡な才筆は人情の機微を描かせても超一級であった。――突如改易を申し渡され、流浪の身となった武士一家が辿る凄絶な冒険譚「海賊船」、大正期に曲芸団を率いて諸国を旅する美貌の女座長の数奇な運命を綴った表題作など、ほとんどが初文庫化となる傑作7編を収録。
  • 萩殺人事件
    4.0
    浅見光彦の親友・松田将明は、お見合いのために山口県へ。萩に向かう列車から見かけた赤い傘の女性に心惹かれ、彼女が佇む場所を訪れる。そこに落ちていた萩焼のネックレスを拾ったことから松田は事件に巻き込まれる。この購入者の元市会議員が遺体で発見されたのだ! 赤い傘の女性は何者か? 松田は取材に来ていた浅見とともに萩、美祢防府、長門を駆け巡り真相に迫る!
  • 煙突の上にハイヒール
    4.0
    恋人にだまされた織香は、大きな衝動買いをした。一人乗りのヘリコプターMewだ。心躍る飛行体験が、彼女の前に新しい世界を拓いてゆく(表題作)。猫の首輪に付けた超軽量カメラ。猫目線の隠し撮り映像には、思いもかけないものが映っていて…(「カムキャット・アドベンチャー」)。人とテクノロジーの関わりを、温くも理知的な眼差しで描く、ちょっぴり未来の5つの物語。
  • 終末の鳥人間
    4.0
    北陸の田舎町の高校生・俊晴は、物理教師・日暮の策略で人力飛行機同好会に入れられてしまった。部員たった3名の弱小団体。いやいや活動を始めた俊晴だが、やがて自力で空を飛ぶ魅力に目覚めていく。一方、中央では熱狂的な支持を集める強硬派の総理の下、戦争が足元に迫っていた。頻発するテロ、そして――。熱い青春小説にしてリアルな予言性に満ちた圧倒的傑作!
  • マローン売り出す
    4.0
    秘密の結婚式をあげたばかりの花嫁ホリーは、その夜、不快な夢を見た。絞首刑用のロープで吊されている夢……。午前三時、謎のベルの音で目覚めたホリーは、その音に導かれ、胸にナイフを突き立てられて、凍りついている伯母を発見した! シカゴの名探偵にして名弁護士、ジョン・J・マローンがデビュー、ジェイクとヘレンの名コンビも初登場のシリーズ第一作。(『原題:8 FACES AT 3』改題)
  • 仇花(あだばな)
    4.0
    怒声と哄笑(こうしょう)、砂煙をあげて駆けぬける人馬――覇者・家康が治める江戸。争乱のるつぼで生まれ育ったお六(ろく)は、そんじょそこらの小娘ではない。愛くるしい笑顔の内に、とてつもない図太さを秘めていた。栄耀栄華(えいようえいが)を手に入れたい、我が手で天下を取りたい。――恋も財も地位も、すべてを欲しがった女、徳川家康最後の側室・お六。その激しくも儚(はかな)い生涯を描く傑作長編。
  • ハムレット狂詩曲
    4.0
    『劇団薔薇(そうび)』新劇場の柿落(こけらお)としで、「ハムレット」の演出を依頼された、元日本人で英国籍を取ったケン・ベニング。ケンにとって、出演者の一人である歌舞伎役者の片桐清右衛門(かたぎりせいえもん)は、母親を捨てた男だった。ケンは、稽古期間中に、清右衛門を殺そうと画策するが……。様々な思惑の交錯、父殺しの謎の反転、スリリングな展開。結末は……真夏の夜の夢!?
  • 流砂
    4.0
    柴田雄司はアフガンゲリラの写真集で注目を集めたカメラマン。かつての恋人、園田優子とその二人の子供を乗せた飛行機が混迷のアフガンに不時着、奇(く)しくも、彼が撮影で親交を深めた兵士・ヘーゲルの部隊に拘束されてしまう。優子の長女は自分の娘だという事実を知った時、心は決まった。喪(うしな)われた愛を取り戻すため、柴田は砂漠へと向かう。命をかけた冒険と恋愛!(『アフガンの風』改題)
  • 人間椅子~乱歩奇譚~
    4.0
    始業前の教室。何者かに眠らされていた小林少年が目覚めると、そこにあったのは変わり果てた担任教師の姿だった。バラバラにされ椅子の形状に組み合わされた首無し死体――。高校生にして名探偵の明智は、容疑者となった小林に、自分で事件を解決してみせろというのだが……。江戸川乱歩の世界を現代に蘇らせた大ヒットアニメを完全ノベライズ。シリーズ第一弾!
  • ヘア・デザイナー殺人事件
    4.0
    京都のホテルで、東京の食品会社の社長夫人が殺された。居合わせたキャサリンは、被害者の所持品から、東京の有名ヘア・デザイナーの客であることを知る。一週間前にも同じヘア・サロンの客が殺されていた。さらに、ヘア・サロンに関連する人間が次々と殺され……。華やかな美容界を舞台に、名探偵キャサリンが密室殺人と凶器消失の謎に挑む傑作推理!
  • 紫水晶殺人事件
    4.0
    キャサリンの友人で、彫金を趣味にしていた田村佐知子が殺された。彼女が死んでいた机の上には、キャサリンが頼んでいた琥珀のブローチが完成していた。ブローチの裏には「*18」の文字が。上司と不倫をしていた佐知子が、キャサリンに託したものは!?(「琥珀ブローチの謎」)。紫水晶、琥珀、ルビー、サファイア。四つの宝石に秘められた、愛と憎しみのミステリー!
  • 故人の縊死により
    4.0
    元スター女優・二条ゆり子が首吊り自殺した。死亡広告を見た検視官・江夏冬子は、その死に疑問を抱く。以前、ゆり子は役作りのために冬子を訪れたことがあった。冬子には、花が好きだと言った彼女の、華やかな印象が残っていたのだ。(「故人の縊死により」)検視官・江夏冬子が紡ぎ出す推理絵巻! ミステリーの女王が贈る傑作推理小説。
  • 愛の危険地帯
    4.0
    田村菜津子は、家庭の崩壊を恐れながら、弁護士の沢田哲也と密会を重ねていた。揺れ動く心の隙間を察知されたか、沢田の友人の医師・杉村の強引な誘いにも負け、体を許してしまう。その沢田が完全な密室の中で死体で発見された。さらに夜桜見物でにぎわう円山公園で、杉村も毒殺! 菜津子の不倫が連続殺人と交錯。意外な犯人!? 恋愛・官能ミステリーの秀作。
  • 神戸殺人レクイエム
    4.0
    おなじみの女流名探偵・キャサリンは、阪神大震災の直後に、恋人・浜口とともに神戸を訪れ、救援ボランティアとして活動していた。精力的に動く彼女は、瓦礫の下から発見された背広姿の死体に不審を抱く。大阪に勤めるこの男が、なぜ神戸に? しかも首には絞殺の跡が! 容疑者が何人か浮かんだが、最も疑わしい人物が殺されてしまった。驚くべき事件の真相!
  • 清少納言殺人事件
    4.0
    京南大学大藤教授邸の新年パーティで惨劇が起きた! 殺されたのは、現代の“和泉式部”と称される野川いずみ。同席した“清少納言”藤原彰子、“紫式部”嵯峨紫とともに助教授の椅子を争っていた。さらに同大学の有力教授が密室内で毒殺……。大学の人事をめぐる暗闘が、連続殺人の動機!? 『枕草子』を手に、キャサリンと浜口一郎の名コンビの、華麗な推理が冴える。
  • 向日葵は死のメッセージ
    4.0
    老舗の京菓子店当主が轢き逃げ事故で死亡した。遺産は二十億円以上。財産をめぐる偽装殺人か? 遺された三人の娘、夏子、秋子、冬子に疑惑がかけられたが、秋子も密室で毒殺……!? その葬儀用供花を手配した花屋の谷川百合子は、蘭の花籠に混じった向日葵に不審を抱いた。向日葵、枝垂れ桜、福寿草、弟切草――花々に秘められた殺人の影を追う傑作推理の競艶。
  • 十八面の骰子
    4.0
    最盛期を迎えつつある中国・宋の時代。童顔、小柄の趙希舜(ちょうきしゅん)は、全国を行脚しながら地方役人の不正を監察する「巡按御史(じゅんあんぎょし)」と呼ばれる秘密捜査官。身分は隠しているものの本来は皇帝の名代(みょうだい)。威光は絶大である。従者に傅伯淵(ふはくえん)、護衛役に賈由育(かゆいく)の二人を引き連れ、各地で起こる奇怪な事件を次々と解決していく。中国版「水戸黄門」。
  • 花のお江戸は闇となる~真説・徳川実紀~
    4.0
    生類憐(しょうるいあわれ)みの令で民を苦しめ続けた五代将軍・綱吉。江戸は地獄と化し、人々は“花のお江戸は闇となる”と歌った。後に六代将軍・家宣となる綱豊は、将軍の座を巡る争いの波にもまれて育った。千姫(せんひめ)の遺愛を受け、新井白石の知を学び成長した綱豊は、やがて思慮深い人物に。ついには“正徳(しょうとく)のご治世”と呼ばれる善政の花を咲かせる。「理想の政(まつりごと)とは」を問う傑作!
  • サンザシの丘
    4.0
    つつましく暮らす若い女性が殺害された。犯人は目撃されていたが、巧妙に身元を隠し正体を掴ませない。鬱病とパニック障害に悩む刑事・倉沢は、傷ついた魂を抱えながら犯人へ迫っていく。ついに辿り着いた犯人の背後に浮かび上がったのは、戦後日本が未だ清算していない「現実」だった。社会に翻弄される名もなき人たちの悲劇を、哀感を込めて描く社会派ミステリー。
  • 上越新幹線殺人事件
    4.0
    かつて東京を震え上がらせた爆弾魔トキオ。犯人は自爆して死んだはずだったのだが……。5年後、同様の手口の犯行が起こり始める。デパートやスーパーに脅迫状を送りつけ、要求額が支払われないと、容赦なく時限爆弾を炸裂させるのだ。十津川警部は、トキオを追っていた元刑事を訪ねるが、その妻が上越新幹線車内で爆殺されてしまう! 手に汗握る傑作サスペンス。
  • いつまでも白い羽根
    4.0
    大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した木崎瑠美。毎日を憂鬱に過ごす彼女だが、不器用だけど心優しい千夏との出会いや厳しい看護実習、そして医学生の拓海への淡い恋心など、積み重なっていく経験が頑なな心を少しずつ変えていく……。揺れ動く青春の機微を通じて、人間にとっての本当の強さと優しさの形を真っ向から描いた感動のデビュー作。
  • 彼女の時効
    4.0
    夫をひき逃げで失った浅井久子。夫の命日に事故現場を訪れた彼女の前に現れたのは、交通事故がきっかけで殺された内海政子の幽霊だった。奇妙な幽霊との同居が始まり、次第にわかってきた政子の過去。久子は政子が気になっている娘探しを始めるが、2人の奇妙な接点から事件の真相が明らかに! サスペンスの名手が挑んだ社会派ミステリーの傑作。
  • 青い目の旗本 ジョゼフ按針(一)~衣笠の姫~
    4.0
    徳川家康が重用したイギリス人三浦按針(ウイリアム・アダムス)を父に、日本人を母にもつ三浦ジョゼフ按針。父亡き後、旗本の地位と領地、朱印状を継いだ。ある日、嵐により持ち船が難破、三浦半島に漂着したジョゼフは、その地を治める衣笠藩のお家騒動に巻き込まれる。背後にはジョゼフを追い落とそうとする老中の陰謀が……。破天荒な旗本の活躍を圧倒的スケールで描く、新たなる時代活劇!
  • 結婚家族
    4.0
    弟が、自分の元彼女と結婚!?(「墓前式」)姉の結婚式の真っ最中に、昔の男現る!?(「ビーチウェディング」)父親が、再婚直前に浮気!?(「結婚記念写真」)――人生最大のイベント、結婚を機に発生した、思いがけぬ「家族」の問題。さあ、どうする? 関係に悩み、互いに衝突しつつも、問題を乗り越えて新しい絆を結んでいく男女の群像を描く。ほろ苦くも温かい、幸せを結ぶ珠玉の短編集。
  • 三毛猫ホームズのあの日まで・その日から~日本が揺れた日~
    4.0
    〈今、この本を出すのは、「あの日」の衝撃と恐怖を忘れないためである。〉(「忘却という恐怖」より) 2011年3月11日、日本に激震が走った。新聞連載時、芸術評が主だったコラムは、「その日」から、社会への発言に重心を移した。震災から2年以上を経たが、復興は進まず、原発事故も収束の見通しが立たない。迷走する現代日本の未来のために。作家・赤川次郎からの提言。
  • 指定席~赤川次郎ショートショート王国~
    4.0
    「二級天使」「ローン天国」「時間旅行」……。ファンクラブ会員より募集したタイトルから紡がれる魅力的な32編のショートショート。思いもよらない展開のサスペンスやほっこり心温まる人情劇、はたまた愉快なファンタジーまで、バリエーションに富んだ作品群にページをめくる手が止まらない。きらめく技巧とユーモアに満ちた赤川ワールドを堪能できる珠玉の一冊。
  • トライアウト
    4.0
    シングルマザーの新聞記者・久平可南子は心に決めていた。息子のために仕事は辞めない。父親の名は誰にも明かさない。取材の折、彼女を見つめる戦力外通告を受けたプロ野球投手・深澤翔介。ふと気にかかり、インタビューを試みると、彼には可南子の秘密を知る素振りがあって……。仕事、育児、生きがい。今、前を向くことのリアルを、ひたむきな再起の物語に込める。
  • 横浜・修善寺0の交差~「修禅寺物語」殺人事件~
    4.0
    一枚の肖像画が死を招(よ)んだのか――!? 慶明大学教授・服部の依頼で市倉画伯が描いた肖像画には、拭い去れない死相が浮かんでいた。服部がその絵を手にした翌日、秘書が死体となって発見される。そして、助手の佐久田がホームから転落し、服部の娘も修善寺温泉の密室の中で変死した――。岡本綺堂(おかもときどう)の名作「修禅寺物語」と奇妙な符合を見せる、息もつかせぬ連続殺人!
  • 長野殺人事件
    4.0
    品川区役所で働く直子は、税金の督促で訪ねた男から、彼女が長野県出身者なのを理由に書類を渡される。一カ月後、その男・岡根は長野県内で遺体で発見された。周囲に怪しい男も出現し、不安に怯えた直子は夫の友人・浅見光彦に相談する。一方、長野で岡根殺人事件を担当するのは「信濃のコロンボ」竹村警部だった。不正支出金と知事選を巡る巨悪に二人が挑む!
  • 翳(かげ)ある墓標
    4.0
    トップ屋集団「メトロ取材グループ」の杉田兼助は、同僚の高森映子とともに銀座のキャバレーで取材をするが、協力した映子の友人のホステスが屍体となって発見された。警察の自殺判定に納得がいかない映子は独自に調べ始めるが、彼女も殺害されてしまう――。本格ミステリ界巨匠の異色作品。読み継がれるミステリファン必読の短編「達也が嗤う」を特別収録。
  • 連合艦隊 大挽歌~新・太平洋戦記11~
    4.0
    武蔵、瑞鶴は、容赦ない敵の砲弾、魚雷を受け、すでにその姿を海中に消していた。そしてついに、連合艦隊の象徴と謳われた大和が、フィリピン海溝にゆっくりと沈んでいった。ここに、77年の歴史を誇る連合艦隊が消滅した。祖国のため、勇敢に散っていった英霊たちへの聖なる挽歌は、半世紀余ののちのわたしたち日本人の耳に、今も聞こえてくるはずだ。
  • 蜘蛛の夢
    4.0
    雷鳴轟く激しい夕立が過ぎ去った四谷石切横町の一角、天をつく大銀杏の袂で雷に撃たれた若い美女の死体が! すぐそばには青い大蛇の骸が転がり、その奇怪な構図が見物人の背筋を凍らせた。女は芸妓あがりのあばずれで、蜘蛛の賭博に絡みがあるらしいが……。(表題作より) 根強い人気を誇る「半七捕物帳」シリーズ同様怪奇趣味に溢れた探偵譚、全12編を収録!
  • 応仁秘譚抄
    4.0
    時は室町。足利幕府の体制は、大名家の権力争いで大きく揺らいでいた。8代将軍義政は、弟の義尋を次期将軍に指名するが、義政の妻・富子に長男が誕生し、後継者問題が勃発。有力大名を巻き込み、武力抗争へと発展する。敵と味方が相乱れ、京の町を焼き尽くした「応仁の乱」。11年続いた乱の真相を、義政、富子など、当時の重要人物の視点でスリリングに描く。
  • いつでも夢を
    4.0
    手にカッターナイフを握りしめ、街角で雨に打たれつづける女。その姿を放ってはおけない二人の男。女と同様、胸の奥に深い哀しみを抱えるヤクザ者。生きるのに無器用な、売れない小説家。それぞれの孤独が出会ったとき、ほのかに希望は生まれ、やがてそれは、大きな愛情へと育ってゆく。太宰治賞作家が描く、ひとを愛するよろこびに満ち溢れた「純愛小説」の傑作!
  • 王を探せ
    4.0
    だから、どの亀取二郎が犯人なんだ!?――その亀取二郎は、2年前の犯罪をネタに恐喝されていた。耐えきれず、彼は憎き強請(ゆすり)屋・木牟田(きむた)を撲殺する……。警察がつかんだのは、犯人が「亀取二郎」という名前であること。だが、東京都近郊だけで同姓同名が40名。やっと絞りだした数人は、みなアリバイをもつ、亀取二郎ばかり。鬼貫・丹那のコンビが捜査するなか、犯人は次なる兇行に及ぼうとしていた!
  • おくうたま
    4.0
    信長によって小谷城が攻められ、浅井家は滅ぼされた。長政の庶子である喜十郎は京に逃げ落ち、疵医師の田代瑞石に預けられる。お家再興を目指す喜十郎に、織田の捕り手が迫る! 瑞石は、京を出て羽柴の軍勢に医師として加わった。瑞石の弟子として身分を隠す喜十郎だが、その正体に気づかれ……。医師としての修行に耐えながら、喜十郎は宿願を果たせるのか!?
  • 聖い夜の中で
    4.0
    事件はクリスマスに起きた!  父母のいない淋しい聖夜を過ごすひろむは、サンタクロースと街で出会った。が、その正体は、看守を撲殺して脱獄をした岩野昌造だったのだ。人質にとらわれた無垢な幼児と、サンタに扮した殺人鬼。緊迫の逃走の結末は?(表題作)――逝去した後も、根強い人気を博す著者の《最後の事件簿(ファイナル・ミステリー)》。卓抜な心理を巧緻に描いた美しい結晶の数々。
  • 薩摩スチューデント、西へ
    4.0
    坂本龍馬が西郷隆盛と歴史的対面を果たしていた幕末、若き侍たちが荒れ狂う波濤の海を命をかけて渡った。薩摩藩の命で西を目指したのは俊英15人と秘密使節4人の19人。海外列強の前に日本の将来を按じた薩摩藩は、新しい時代を担う者を育てるべく彼らを海外に派遣した。海外渡航禁止の時代、まさにその行為は命がけであった。著者渾身の傑作感動巨編。
  • 月の王
    4.0
    人語を解する狼を操る芸人・ダークシャが街に現れてから盗人騒ぎが起きだし、絨緞屋の主人は喉を噛み切られ殺された。やがてダークシャの死体が見つかり、狼は姿を消した。狼に興味を持った若き王子・アーモンは、従者・ヴァシタを連れて、シヴァ神が舞い降りるというムリカンダ山に向かう(表題作)。古代インドを舞台に繰り広げられる冒険譚5編。

最近チェックした作品からのおすすめ