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ぼくのミステリ・マップ 推理評論・エッセイ集成
一篇の詩を生むためには、 我々はいとしいものを殺さなければならない これは死者を甦らせるただひとつの道であり、 われわれはその道を行かなければならない ――(「四千の日と夜」より) 『荒地』同人として鮎川信夫らとともに日本の戦後詩をリードした国際的詩人にして、早川書房の初期編集長兼翻訳者として海外ミステリ隆盛の基礎を築いた田村隆一(1923-1998)。 アガサ・クリスティの翻訳に始まり、「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の出発、「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の創刊……その比類なき体験による、彼にしか語りえない数々の貴重なエピソードとユーモアは、詩(ポエジー)と戦慄(スリル)の本源的考察を通して、やがて21世紀の我々をも刺し貫く巨大な文学論・文明論へと至る――人類にとって推理小説(ミステリ)とは何か? 聞き書き形式でポーからロス・マクドナルドまでのクラシック・ミステリをガイドするロング・インタビュー(旧版『ミステリーの料理事典』『殺人は面白い』所収)を中心に、クロフツ『樽』やクイーンの四大『悲劇』といった翻訳を手がけた名作の各種解説、クリスティとの架空対談、江戸川乱歩や植草甚一にまつわる回想、生島治郎・都筑道夫ら元早川出身者との対談など、推理小説に関する著者の文章を単著初収録作含め精選し大幅増補した、まさに田村流ミステリ論の決定版。生誕100年記念刊行。 【目次】 Ⅰ クラシック・ミステリ・ガイド(インタビュー) Ⅱ 訳者解説(F・W・クロフツ/アガサ・クリスティ/ジョルジュ・シムノン/エラリイ・クイーン) Ⅲ エッセイ・対談(×生島治郎「諸君、ユーモア精神に心せよ」/×都筑道夫「EQMMの初期の頃」) Ⅳ 資料編 〈解説〉 押野武志 -
僕の目に映るきみと謎は
あなたは呪いの人形を受け取りました。 この人形を親友に渡さなければ、あなたは、次の友引の日に死んでしまいます。 あなたは、親友に、渡しますか? 僕の幼馴染、祀奇恋子(まつりぎ・こうこ)の視る世界は異常である。 彼女は謎(オカルト)を視て、怪異(ミステリ)を解き明かす霊能探偵だ。 ある時、僕たちの通う高校で生徒の連続自殺が起きた。そこには受け取った相手を呪い殺す「トモビキ人形」がかかわっているらしい。 親友から人形を渡された女子生徒の相談を受け、恋子は5W1Hを駆使して怪異を暴く、「除霊推理(オカルトトラッキング)」に挑むことを決める。 怖がりのくせに逃げない幼馴染を守るため、僕も助手として調査を始めるが――。 -
ぼくは漫画大王
第三回島田荘司推理小説賞受賞! 注目の台湾ミステリー 物語は第十二章から始まる。家出していた妻が自宅に戻ると、夫が殺され息子の健ちゃんは密室に閉じ込められていた……。 話は第一章に戻り、奇数章はライバル“太っ許(ふとっきょ)”と漫画大王の座を争う小学生・健ちゃん、偶数章は少年時代に起きた事件のトラウマで鬱々とした人生を送っている妻子持ちの方志宏(ほうしこう)という男を主人公に、二つの視点から語られてゆく。殺人事件の真犯人は誰? 懐かしき日本の漫画と、1970年代から80年代にかけての台湾の空気を盛り込んだ、企みに満ちた本格ミステリー。 -
ぼくらに嘘がひとつだけ
才能を決めるのは、遺伝子か環境か? 棋士一家に生まれた京介と、母子家庭で育ったライバル・千明。二人の“天才”は同じ病院で一日違いに生まれ、直後に不審な火事が起きた。「僕たちは取り違えられた子どもなんだろうか」。芽生えた疑念の果てに、彼らが辿り着く真実とは? 将棋界を舞台に描かれる、才能と運命、青春の光と影、そして家族の絆を問う感動作。 天才棋士の 才能は遺伝か環境か? そして愛はどこにある? 第一回「けんご大賞」作家 最新刊文庫 文庫版特別篇 「After Story 女の戰い」収録 「正直に答えてくれ。お前は、あの人と、母さんと、家族になれるか?」 彼らの人生を狂わせたのは、15年前の病院火災と「赤ん坊取り違え疑惑」。切ない選択の先に、希望の光は見えるのか。涙なしには読めない家族と友情の物語。 単行本 2022年7月 文藝春秋刊 文庫版 2025年6月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
ボクらのキセキ
「僕はもうすぐ君の彼氏になる男……でも僕たちは付き合ってはダメだ。なぜなら僕たちは、いつか人を殺すから……」 それはただのいたずら電話のはずだった。だけど僕らは出会い、そして僕は彼女に一目惚れをして……。 -
ぼくらはアン
弁護士事務所で働く青年・諒佑のもとに、幼馴染みである誠の捜索依頼がもたらされた。少年時代の出来事をきっかけに毎年必ず集まると約束していた日──クリスマスを目前に、誠はなぜ失踪したのか。諒佑は誠たちと出会った18年前の夏を回想する。無戸籍の諒佑と双子の妹の美子、ヤクザの家に生まれた誠、不法滞在の両親と暮らす姉弟マヨンチットとククリン。学校には行けずとも、楽しく豊かだった5人の生活は、殺人事件を機に一変する。誠の行方を追う諒佑は、奇しくもその事件の真相に迫ろうとしていた。警察小説の旗手、新境地たる傑作長編。/解説=若林踏 -
牡丹灯籠殺人事件
幽霊の訪問を受けた青年に贈られた死体の謎……名探偵・貴船が解くあやかしトリック! ある夜、大学生の翔はゆきずりの美女に一目惚れした。なんとか近づきたいと尾行した翔だったが、青山霊園で見失ってしまう。さらに彼女が名乗った名前のOLは、既に自殺して青山霊園に葬られていることが判明した。やがて、夜だけその美女が翔の前に現れるようになると、不可思議な現象が身の回りで起き始める。そしてついには殺人事件が…! 名探偵・貴船があやかしの謎に挑む本格ミステリー。●大谷羊太郎(おおたに・ようたろう)1931年、東大阪市に生まれる。慶応大学文学部国文学科中退。大学在学中にプロミュージシャンとしてデビュー。芸能界で過ごした後、1970年に『殺意の演奏』で第16回江戸川乱歩賞を受賞。翌年より推理作家専業。トリック中心の推理小説を120冊以上発表。近年は時代小説でも多くの著書を発表している。 -
墓地裏の家
新変格の無人の荒野を突き進む、シリーズ第二作! 吸血鬼が棲む館で血塗られた惨劇が。怪奇幻想ミステリー 東京・雑司が谷の墓地裏に教会を構える神霊壽血教は吸血鬼・ストリゴイを崇拝する異端の新興宗教。 「教主の様子がおかしい」との妻からの相談を受け、心理学を学ぶ大学院生・夷戸武比古(いどたけひこ)は教会を訪れる。 あらゆる用事を放り出して、ひたすら近所にできた観覧車に見入る教主・印南尊血に戸惑う夷戸。 やがて教主の娘が密室で死に(自死か殺人か?)、惨劇の幕が開く。 果たしてそれは教会に棲む吸血鬼の仕業なのか? 本格ミステリと怪奇幻想ホラーがせめぎ合う、賛否両論の異色作。 -
ボディ・メッセージ 被砥功児の事件簿
アメリカはメイン州・ベックフォード、ディー・デクスター探偵社に一本の電話が入る。探偵二名をある家によこしてほしい、そこで一晩泊まってくれればいいという、簡単だが奇妙な依頼。その家に向かったスタンリーとケンウッドに、家人は何の説明もなく、仕方なく二人は酒を飲んで寝てしまう。しかし、未明に大きな物音で目覚めた二人は、一面の血の海に四人分の切断死体が転がっているのを発見。罠かもしれないと、ディーの家に急行し警察とともに再び現場に戻ると、何と死体が消失していた――。大胆かつ奇怪な事件の謎で読者を魅了する、第20回鮎川哲也賞受賞作、大幅改稿で登場。 -
墓標なき墓場 高城高全集1
昭和33年、夏。北海道。未明の北の海に殿村水産所属の運搬船、天陵丸が沈んだ。乗組員6人は全員死亡。その朝、花咲港に入港した一隻のサンマ船が、岸壁に衝突した。海難事故と不審なサンマ船の衝突事故に疑問を抱いた不二新報釧路支局長江上武也は独自の取材を進めた。単なる事故か、それとも事件か……。だが、何者かの策謀によって江上は釧路を逐われる。それから3年。かつての関係者が次々と疑惑の死を遂げる釧路の街に、江上は帰ってきた――。日本ハードボイルドの黎明期を駆け抜けた幻の作家・高城高。霧にけぶる北の港町を舞台に描き上げた唯一の長編が、いまよみがえる! -
ボルドーの秘宝~現代フランス人の忘れられた祖先~
加納竜也は、渡仏してボルドー大学で醸造学を学び、ソムリエの資格をとった後、レストランのギャルソンになった。ある日、「ボルドーの秘宝」を探す謎の日本人と出会う。ひょんなことから加納は三ツ矢博と名乗るその日本人に従って、フランス中のゴロワ人の遺跡や遺物を見て回る小旅行に同行することになった。行き先は、ペリグーのガロ・ロマン博物館であり、バイヨンヌの城塞であったり、ポワティエに建てられたガロ・ローマン文化を扱っているサント・クロワ博物館だったりした。旅を続けながら加納は次第にゴロワに興味が湧いてくるのであった。ゴロワの記録と言えば『ガリア戦記』に行き着くと言われるが、加納には、ゴロワの聖地がキリスト教に乗っ取られたという風にしか解釈できない。 -
煩悩配達人
男にも、世間にも相手にされない、サエナイ女が求めた性とは? 「セックスして、お願い」。お願いです。女はついに男性向けの宅配ビデオ店に電話を入れてしまう。男にも、世間にも相手にされない女のいびつで切ない恋。欲望を抑えきれずに彼女たちが犯してしまう哀しい罪を、いったい誰が責められようか。あふれ出す女の本性を、男は抱えきれない…。週刊誌「女性セブン」で連載され好評を博した官能ミステリー。「電子版あとがき」を収録。 ●末永直海(すえなが・なおみ) 1962年福岡県北九州市に生まれる。漫画家小林よしのりの秘書、ホステス、旅回り演歌歌手など数多くの職歴を経て、1996年デビュー作となる「薔薇の鬼ごっこ」で第三回蓮如賞優秀賞を受賞。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁の主催する海外輸出小説、昭和~平成の優れた日本文学27作品に選出され、アメリカ、イギリス、ロシアで翻訳刊行される。 -
ボールパークの神様
留学先のニューヨークで目的意識もないまま過ごしていた恭平と篤郎のもとを、意外な人物が訪ねてきた。メッツの日本人ピッチャー、進藤だ。チームメイトにかけられた窃盗の疑いを晴らすために、クラブハウスボーイのアルバイトとして潜入しろという。さっそくメッツのホームスタジアムで働きはじめた二人は、選手の世話で大忙し。大量のユニホームの洗濯と食事の準備に追われている間に、またもや盗難事件が――。海外で奮闘しながら成長していく若者の姿を、活き活きと描いた青春連作ミステリ。文庫化に際して書き下ろしを1編加えた決定版。解説=吉井理人 -
ポケットは犯罪のために 武蔵野クライムストーリー
そのとき俺の頭にちょっとしたことがかすめた。待てよ、その手があるかってな。だから今、こうしてここでベンチに座ってるんだ。ほら、これだよ。この原稿。俺がかっぱらったやつの小説さ。お前、読みたいって、いってたろ。そんなに長い物じゃないから、お前も今、目を通して見ろよ。そしたら、俺がどうしてこんな恰好してるか、分かるからさ。(「やがて駅前のベンチで」より) 雑誌『メフィスト』に掲載された6本の短篇小説をつなぎ合わせ、ひとつの物語として構成した連作ミステリ。 *ポケットは犯罪のために *J・サーバーを読んでいた男 *フライヤーを追え *薔薇一輪 *函に入ったサルトル *五つのR ●浅暮三文(あさぐれ・みつふみ) 小説家。第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補を経て、1998年第8回メフィスト賞『ダブ(エ)ストン街道』でデビュウ。2003年第56回日本推理作家協会賞を『石の中の蜘蛛』で受賞。他作品に『実験小説ぬ』『ぽんこつ喜劇』、エッセイ『おつまミステリー』など多数。著作はイタリア、韓国で翻訳され、中学校教科書に採用された。日本文芸家協会、日本推理作家協会会員。 -
ポテトとスーパー
銀座の高級クラブに潜入して記事をという文英社の依頼を実行中の可能キリコは、常連客に誘われて沖縄の恩納村のリゾートホテルへと向かう。到着後さあ、夕日を見ながらのディナーをという段階で、同行したクラブの同僚・朱美の他殺体が発見される。高所恐怖症だと話していた朱美は、14階のホテルのベランダで殺害されていた――。一方、牧薩次は長野県の別荘地でリゾート計画にまつわる殺人事件に巻き込まれる。バブル末期、日本全国でリゾート計画が雨後の竹の子のように乱立していた時代をトリッキーに描く、〈ポテトとスーパー〉幻の長編。/解説=新保博久 -
ポテトとスーパー
何らかの賞を獲ったら恋人の可能キリコへ求婚すると、心に決めていたミステリ作家の牧薩次。文英社の「ざ・みすてり」大賞に、薩次の作品が選ばれたと、新宿ゴールデン街の行きつけのスナック『蟻巣』に連絡が入る。店の面々がお祭り騒ぎの中、当の薩次は嬉しいはずなのにどこか煮え切らない態度……。一方、選考委員の三人が、一人は北海道のホテルのコテージで殺害され、一人は箱根橿の木坂近くで事故に、一人は行方不明に、と次々と不幸に見舞われる。ミステリ新人賞の選考会をテーマに、薩次とキリコの結婚のエピソードを描いた、〈ポテトとスーパー〉シリーズ幻の長編。/解説=西日暮里佐保 -
ポテトとスーパー
高校3年生になった牧薩次と可能キリコのふたり。学業にそれぞれのクラブでの活動にと、青春を謳歌していた。大学受験直前の秋、彼らが通う西郊高校きっての秀才が校舎の3階から校庭に飛び降りた、はずなのに……。その遺体が発見されたのは、事件発覚から4時間も経ってからだった! さらに、クリスマス・パーティー会場での第二の事件。ともに校歌に沿った亡くなり方だと、薩次は気づく。“受験戦争”という言葉が一世を風靡した時代、ふたつの見立て殺人の真相とは? 『仮題・中学殺人事件』『盗作・高校殺人事件』に続く、シリーズ第3弾。/解説=市川憂人 -
ポテトとスーパー
新宿駅の九番線ホームで電車を待っていた牧薩次のうしろで鈍い爆音とともに売店から黒煙が上がった。パニック状態に陥った群衆は階段に殺到し、折り重なって転落した。死者9名、重軽傷者61名の大惨事であった。病院に担ぎ込まれた薩次は同室の若い被害者2人と意気投合し、その中の1人、三原恭助の実家、鬼鍬温泉に、退院後それぞれカップルで出かけることになった。だが、そこで密室殺人事件に巻き込まれる……! 『仮題・中学殺人事件』に引き続き、今度は「作者は 被害者です/作者は 犯人です/作者は 探偵です」と、作者が仕掛ける超ミステリ。ポテトとスーパーの名推理が冴える第2弾、ファン待望の新装版。/解説=はやみねかおる -
ポリティコン
充たされぬ魂の行き先は、破滅か、新天地か? 芸術家たちの理想郷「唯腕村」を舞台に繰り広げられる、絶望郷のごとき愛憎劇! 理想社会の実現を目指し、東北の寒村に建設された唯腕村は、もはや時代遅れとなったユートピア思想の残滓である。村の人間関係に倦み、強烈に女を求める青年・高浪東一は、謎の男と村に流れ着いた美少女・マヤを我がものにしようともがき、自らの運命を狂わせてゆく。 ユートピア思想の崩壊、性の乱れ、高齢化――様々な問題を抱えた村は、徐々に綻びを見せていき……。 ※この電子書籍は2011年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版(上)を底本としています。 -
ポンコツ探偵の名推理
金なし、職なし、妻子なし。 借金と不運を背負って、今日も事件を解決! 真面目にやっているのに、なぜか損をする。 コミュ障の元刑事とユトリ世代の元スリのコンビが大暴走! 現代サラリーマンの共感と爆笑120%! 書き下ろしユーモアミステリー 大物政治家・久丸の脱税事件捜査が原因で刑事を辞めさせられた八房文次郎。彼を窮地から救ったのは警察時代の部下・鍋島だった。彼女は八房に、『3D』という探偵を派遣する組織に登録して、探偵になってほしいと依頼する。八房の相棒役は、鍋島の恋人・弾正勘八。かつて八房がスリで逮捕した男だった。口だけが上手い、ゆとり世代の弾正に振り回される八房に舞い込んだ、仇敵・久丸からの依頼! 過去の因縁に決着をつけるため、事件に挑むのだが……。 明日が見えないおっさんに舞い込む、事件の数々! -
舞い下りた花嫁
タレント事務所の倒産を防ぐため、台風の中、社長・早瀬沙也加は東京へ戻ることに。嫌がるセスナ機のパイロットを説得して飛び立つが、トラブルに見舞われて行方不明になってしまう。 そのタレント事務所でアルバイトをしていた女子大生の塚川亜由美は、事務所が借金を抱えていることを知る。 返済できなければ、新人タレントが他の事務所へ取られそう。危機を乗り越えるため、亜由美は社長に就任するが……。 表題作のほか「花嫁は特殊任務」を収録。国民的作家の人気ユーモア・ミステリーをジュニア文庫化! -
マイ・ゴーストリー・フレンド
第12回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作 団地ホラー×ギリシャ神話×SF大作 「最近、少しずつ人が、消えているのです……」 団地で頻発する怪異を撮影する下流役者・佐枝子の前に、異界の扉から恐るべき物語が溢れ出す。 売れない役者の佐枝子は、ホラー映画脚本家の紹介で、都内の団地で頻発する怪奇現象を調査するドキュメンタリー映像のレポーターを務めることになった。さっそく当該の団地で寝泊まりした朝、窓から外を望むと、隣接する公園で四つん這いの大男を棒で打つ女と、双眼鏡でこちらを窺う怪しいファミレスのウェイトレスを目撃する。不気味に思いながらも周囲の人々に話を聞くと、団地のあちこちで大蛇が這いずったような跡が見つかり、管理人や住民の奇行が目立ち、行方不明者も出ているらしい。さらに、10年前に老婆が何者かに殺されて以来、呪われていると噂の部屋に赴くと、『666』から始まる走り書きと浴室にびっしりと生えた黒い大きなウロコが……第12回ハヤカワSFコンテスト優秀賞に輝いた、ギリシャ神話の世界が現実を侵食する団地ホラーSF大作。 -
埋葬
1999年、河口湖町の廃ホテルで起きた母娘の死体遺棄事件。犯人と目された少年の死刑確定後、被害者の夫は謎の手記を発表し失踪。10年後、ジャーナリストが再取材を行うが、関係者達の告白は事件の構図を次々と塗り替えてゆく……。 読者を幻惑・酩酊させる仕掛けで、純文学×ミステリ×フェイク・ドキュメンタリーの歴史的達成として小説界を騒然とさせた衝撃作、ついに文庫化。 本作ははたして、現代の「藪の中」か、奇書か、あるいは小説の極北か―― 酉島伝法さん(小説家・イラストレーター)推薦! 文庫化にあたり、ボーナストラックとして、著者独自の犯罪小説二篇(「トンちゃんをお願い」「私の娘」)を書籍初収録。 【目次】 Ⅰ 埋葬(2010) Ⅱ トンちゃんをお願い(2011)/私の娘(2019) 〈解説〉岡和田晃 -
埋葬された夏
1984年6月。16歳の少女コリーンは殺人容疑で逮捕される。イギリスの海辺の町アーネマスの異分子だった彼女は、有罪となり治療施設に収容された。そして20年後、進歩した科学技術が当時の証拠品から未知の人物のDNAを検出し、勅撰弁護人が再審を求めて動きだす。調査を依頼された私立探偵が町を訪れ、かつての関係者たちと会うことで甦る日々。悲劇に至るまでの1年ほどのあいだに何があったのか――現在と過去が交錯する構成が読者に投げかける、被害者捜しの趣向と衝撃の真相――そして鮮烈な幕切れ。感嘆をもたらす傑作英国ミステリ。/解説=霜月蒼 -
舞面真面とお面の女
工学部の大学院生・舞面真面(まいつらまとも)は、ある年の暮れに叔父の影面(かげとも)からの呼び出しを受け、山中の邸宅に赴く。そこで頼まれたこととは、真面の曽祖父であり、財閥の長だった男・被面(かのも)が残した遺言の解明だった。 ―― 箱を解き 石を解き 面を解け ―― よきものが待っている 従姉妹の水面(みなも)とともに謎に挑んでいく真面だったが、謎の面をつけた少女が現われたことによって調査は思わぬ方向に――? <メディアワークス文庫賞>受賞者、野崎まどが放つ怪作登場! -
舞鶴丹後 鳴き砂殺人ライン
10年前に浜松市で起きた夫婦殺害事件を調べ直すことになった上島警部と推理作家の吉本紀子。ごくふつうの日常を送っていた夫婦に、殺意を呼び込むようなきっかけは見あたらない。それでも被害者の過去を丹念に洗い直し、ついに真犯人を特定した。だが、その矢先、犯人が舞鶴にいるとの謎の電話が京都府警に入る。府警本部は万全の体制で犯人が潜伏すると見られる一帯を包囲するが、犯人は警察の目前で殺されてしまった! 警察が厳重包囲するなか、いったい誰が、どうやって……。 美貌の推理作家・吉本紀子と警視庁広域捜査官・上島警部のコンビが活躍する旅情ミステリ小説。 ●石川真介(いしかわ・しんすけ) 1953年、福井県鯖江市生まれ。東京大学法学部卒。トヨタ自動車に40年間勤務。1991年に『不連続線』で第2回鮎川哲也賞を受賞。錯綜したストーリーと堅牢な構成、女性の数奇な運命と斬新な社会テーマ、丹念な現地取材に基づくローカル描写とグルメ、そして奇抜なアリバイ崩しの長編旅情ミステリーを得意にしている。主人公は推理作家・吉本紀子と広域捜査官・上島警部。作品は『女と愛とミステリー』(テレビ東京)、『木曜ミステリー』(テレビ朝日)でドラマ化。福井ふるさと大使。鯖江市ふるさと大使。日本推理作家協会会員。 -
前崎中央高校科学部の事件ファイル
2年生に進級のタイミングで、東京の男子校から群馬県立前崎中央高校に転校してきた安井良。特別教室で活動している部活でも見学に、と思った放課後、化学室で奇妙な女子生徒を見かける。着崩した制服の上に白衣を羽織った金髪ギャルは、何と牛タンを焼いていた!? その女子生徒は、理系クラスのトップで科学部の2年生・木暮珠理だった。こんな強烈な出会いから科学部の面々と交流することになった良は、図書室の呪いの忌書事件、黄泉からの手紙事件、トンネルの悪霊事件に巻き込まれていく――。「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」優秀賞を受賞した、学園化学ミステリ!/【目次】#33 図書室の忌書事件……図書室である本を手に取ると呪われる!?/#34 黄泉からの手紙事件……下駄箱に届く白紙の手紙は黄泉からのメッセージ?/#35 トンネルの悪霊事件……丑三つ時にトンネルのまん中で手を叩くと悪霊に憑かれる!? -
前の家族
トラウマ級の結末!恐怖のマイホーム奇譚。 引越し後の鍵交換は、お済みです…よね? 中古マンションの購入から全ては始まった。 トラウマ級の結末が待ち受ける、芥川賞作家による恐怖のマイホーム奇譚。 三十七歳にしてマイホーム購入を思い立った小説家の猪瀬藍。気になるマンションへ内見に行くと、そこにはまだ、若い夫婦と幼い姉妹の小林一家が暮らしていた。彼らは十二年間住んだこの部屋を離れ、近くの新築一軒家に引っ越すという。 すっかり気に入った藍は購入を決意。リフォームも完了し、新生活を満喫していたある日、新居に小林姉妹が押しかけてくる。以来、食事やお泊まり会に招かれ、小林家との交流に甘美な幸福を感じる藍。だが、新居では奇妙な出来事が次々と起こり始め……。 日常を侵食していく不安と、衝撃の結末。芥川賞作家によるノンストップ・マイホーム奇譚。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『前の家族』 の文庫版となります。 -
マカロンはマカロン
下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルはカウンター七席、テーブル五つ。フランスで料理修業をしてきた変人シェフ三舟さんの気取らない料理が大人気。実はこのシェフ、客たちの持ち込む不可解な謎を鮮やかに解いてくれる名探偵でもあるのです。消えたパティシエが残したことば「マカロンはマカロン」の意味するものは? 蝶ネクタイが似合う素敵な大学教師が経験した悲しい別れの秘密とは? 豚足をめぐる少年と母親の再婚相手との物語等々、胸を打つ話ばかり。メインディッシュもデセールも絶品揃い。きっとご満足いただけます。【収録作】「コウノトリが運ぶもの」/「青い果実のタルト」/「共犯のピエ・ド・コション」/「追憶のブーダン・ノワール」/「ムッシュ・パピヨンに伝言を」/「マカロンはマカロン」/「タルタルステーキの罠」/「ヴィンテージワインと友情」/解説=若林踏 -
負けくらべ
伝説のミステリー作家、入魂の現代長編! 初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。ギフテッドであり、内閣情報調査室に協力する顔を持つ三谷に惹かれたのが、ハーバード大卒のIT起業家・大河内牟禮で、二人の不思議な交流が始まる。大河内が経営するベンチャー企業は、義母・尾上鈴子がオーナーを務める東輝グループの傘下にある。尾上家との軛を断ち切り、グローバル企業を立ち上げたい牟禮の前に、莫大な富を持ち90代にして権勢をふるう鈴子が立ちはだかる。牟禮をサポートする三谷も、金と欲に塗れた抗争に巻き込まれてゆく。 伝説のミステリー作家、19年ぶりの現代長編! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『負けくらべ』 の文庫版となります。 -
マザー
消された記憶と謎の都市伝説に迫るミステリ 彼はこの世界から消されてしまったのかもしれない――。 メジャーデビューを夢見て高校卒業と同時に上京した佐川夏実は、吉祥寺で毎週木曜日にストリートライブをしている。そんな夏実のバラード〈不在証明〉は、彼女のおぼろげな記憶の中にいる彼氏を歌った曲。彼との思い出が断片的によみがえることもあるし、ツーショット写真も手元にある。だが、写真を見ても夏実にはそれが誰なのか名前さえわからず、写真を撮ったときの記憶もなかった。 これは恐ろしく“都市伝説的”な事態だ――。 吉祥寺の恵晟大学で「都市伝説研究会」というサークルを主宰する伊神雄輝は、世の中に流布する数多の“伝説”の真相を究明していた。最近もっぱらの話題は、「イレイザーヘッド」により記憶を消されるという都市伝説だったが、あるとき雄輝の携帯に奇妙なソフトが届く。そのソフトを使えば、誰でも「理想の人物」を生み出すことができるという。 めくるめく展開と謎解きのスリル、そして予測できない結末が待ち受けるミステリ長編。夏実が歌うおぼろげな記憶と、雄輝が追う謎の都市伝説がシンクロし、やがて二人の人生を大きく揺り動かしてゆくとともに、内包された壮大なテーマが明らかに! -
マザー/コンプレックス
地下鉄の“ある事件”を機に母性が暴走する。 蜂須賀恵理子は、悲嘆に暮れている。自慢の息子が痴漢行為を咎められ、逃げようとして地下鉄に轢かれ、死んだのだ。冤罪だと信じる恵理子は、亡き息子のSNSにのめり込み、事件の真相を探ろうと奔走する。 夏川美夏は、激怒している。高校生の娘が電車内で痴漢を捕まえたが、被害には長い間遭っていたというのだ。美しい娘には芸能界で活躍してほしい。週刊誌記者に身辺を嗅ぎ回られ、美夏は苛立つ。 高奈琴絵は、幸せの絶頂から突き落とされる。不妊治療の末、ようやく待望の子供を妊娠した矢先、夫が痴漢をして逮捕されたのだ。琴絵を責める義母に、逆ギレする夫。離婚がちらつくが、一人で子供を育てる自信がなく琴絵は途方に暮れる。 地下鉄で起きたある事件を発端に、歪み、崩壊していく三つの家族。 そして、新たな悲劇が起こる―― 暴走する母性の先に衝撃の結末が待ち受ける、ドメスティック・スリラーの新たなる傑作! -
魔性の女
クラシックミステリー、日本初の女流探偵小説家。短編6本を収録。探偵桜井洋子へ富豪からの依頼とは。濡れ衣を被せられ獄中で自殺した友人の恨みを晴らす「深夜の客」。5兆円の金塊を守るものとは?「心霊の抱く金塊」。鉄の箱の内側に刃を並べた残酷な死刑道具-鉄の処女。伯爵夫人は自殺か他殺か。隠された秘密を暴く、S夫人の活躍を描いた「鉄の処女」。私の霊があなたをじっと見ている。何をしても知られてしまう。とうとう男は……「魔性の女」。伝書鳩を使った巧妙な窃盗。果たして犯人は誰か「鳩つかい」。上流階級に生まれた赤ん坊と我が子をすり替えた女。しかし子供は死んでしまい実の子に会いたい。美人鷹匠として会いにくるが、実の子は毒殺されてしまう。果たして真犯人は?「美人鷹匠」。※読みやすくするため現代の言葉に近づけてますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。