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ショコラの王子様
仙台駅から列車に揺られて十数分ほどの北岡駅。この無人駅の駅舎内には、ひっそりとショコラ専門店が開いている。店名は「カカオ・クリオロ」。味も見た目も絶品のショコラが売られているのに、なぜか、お客がまったく寄りついていない。 ある日、バレンタインに贈るチョコのことを考えていて自宅駅を乗り過ごし、北岡駅で降りることになった女子高生・翠は偶然、カカオ・クリオロに足を踏み入れる。そこで彼女は、店に客が入らない理由を知ることになる。 この店のショコラティエはイケメンなのに、とんでもない秘密をもっていたのだ……。 -
彼女のトカレフ
新宿・歌舞伎町のビルから飛び降りて亡くなった母親の形見を整理していた女子高生の摩耶。荷物を探るうちに彼女が見つけたのは、ずっしりと重い、黒光りする拳銃。 トカレフ。 やはり母は、なにか事件に巻き込まれたのだ――。 そう確信した摩耶は母の死の真相を探ろうと、トカレフを手に歌舞伎町へと向かい、ヤクザ抗争に巻き込まれる。 不条理なルール、納得できない暴力――立ちはだかる様々な困難に心折られながらも、歯をくいしばり、死にものぐるいでぶつかっていく摩耶。 そして彼女は、新たな人生を歩き始める……。 -
雨ときどき、編集者
出版不況にあえぐ大手出版社『仙葉書房』。そこに勤める中堅文芸編集者・真壁のもとに、一通の手紙が舞い込んだ。それは、新人時代からいがみ合いながら共に成長してきた担当作家・樫木重昂からの『遅れてきた遺言』。「真壁、俺の本を親父に届けてくれ――」。 樫木の父親は生粋のドイツ人。日本文学は読むことができないため、作品を翻訳する必要があった。真壁は『遺言』を胸に、超マイナー言語である日本語で書かれた『名作』を、世界に羽ばたかせる決意をする。出版業界と翻訳業界の狭間で東奔西走する文芸編集者の苦悩、その行く末は……!? -
土方美月の館内日誌
月曜日だけ探偵事務所を開いているという博物館『姫神郷土博物館』。大切なものを失ってしまった人は、不思議とこの博物館に集まるという。 名前負けコンプレックスを持つ従業員・沖田総司もそんな風変わりな博物館の縁に引き寄せられた一人。彼は就職詐欺に遭い、途方に暮れていたところを“名前だけ”で見出され、美人館主に拾われた。 「すべてのものには来歴がある」が口癖の館主・土方美月は、卓越した古物知識と新選組をこよなく愛するちょっと不思議な女性。総司は彼女と奇妙な事件を解くうちに、美月が探偵として失せ物捜しをする理由に気付いていく……。 -
七十年の約束
新米新聞記者・仲尾晴人(なかおはると)が病床の祖父・仲尾碧(なかおみどり)からある一人の女性に渡してほしいと託された一通の手紙――それは、67年前に書かれた、祖母ではない「蓮沼閑子(はすぬましずこ)」という見知らぬ女性宛てのものだった。堅物の祖父曰く、恋人でも、ましてや愛人でもなかったという。この閑子という女性と祖父の関係に興味を抱いた孫の晴人は、新聞記者の伝手をたどって、さっそく閑子の孫の水森咲子(みずもりさきこ)と会うことに。 そして、二人はお互いの話を繋ぎ合わせ、在りし日の祖父たちの想いを探っていく……。 手紙に込められていた一つの約束が、深く切なく心に響く感動の恋愛ストーリー。 -
あん
誰にも生まれてきた意味がある。 どら焼き店の軒先から始まる、限りなく優しい魂の物語 線路沿いから一本路地を抜けたところにある小さなどら焼き店。 千太郎が日がな一日鉄板に向かう店先に、バイトの求人をみてやってきたのは70歳を過ぎた手の不自由な女性・吉井徳江だった。 徳江のつくる「あん」の旨さに舌をまく千太郎は、彼女を雇い、店は繁盛しはじめるのだが……。 偏見のなかに人生を閉じ込められた徳江、生きる気力を失いかけていた千太郎、ふたりはそれぞれに新しい人生に向かって歩き始める――。 生命の不思議な美しさに息をのむラストシーン、いつまでも胸を去らない魂の物語。 -
ウイルスファクトリー SE神谷翔のサイバー事件簿 番外編
海外で猛威をふるっている新型インフルエンザウイルスが、日本にも上陸したという。 枯渇している特効薬の増産のため、国内でも最新の設備を搭載した東都製薬の工場が指定され、二十四時間の増産体制に入った。 そんな折、エールシステム社で、のほほんと仕事しているSE神谷翔のところに、公安のミサキと名乗る女性から、奇妙な依頼が舞い込む。 東都製薬の工場が、コンピュータウイルスに感染したとの情報があるため、マスコミ沙汰になる前に、至急、工場に赴いて調査・駆除してほしいという。 工場のシステムのことは分からないと言う翔に、ミサキは「全て遠隔で指示を出す」という。 翔に名乗るようにと渡された名刺には、なぜか、翔の尊敬していたスーパーハッカー、黒川龍の名が。 黒川龍は、「光の道」なる怪しい宗教法人に関わって失踪したきり、表舞台に姿を現していない。 誰がどんな目的でウイルスを送り込んだのか? 無線で話しかけてきた黒川は本物なのか? 任務が完了した暁には、翔の高校時代に失踪したガールフレンドの黒川美咲にも会えるという。 翔はいよいよ美咲と再会できるのか? -
首都高の神様
東京23区を中心に、その周辺地域を結ぶ都市高速道路、通称「首都高」。まるで人体を巡る血管のように、24時間眠らない日本の首都を支える道路。その上では、日夜、様々な人が様々なドラマを繰り広げている。タクシードライバー、新人営業マン、地方から出張でやってきた青年…。そんな彼らに訪れた小さな幸せ。それはもしかすると、首都高にいる「神様」が起こした奇跡なのかもしれない…。「首都高」をテーマに綴った、読後、ほんわかと心が温かくなる珠玉の短編集をお楽しみください。この作品は二〇一三年四月二十七日~二〇一四年三月三十一日の間、首都高メールマガジン「東京Slow Style」にて連載された『首都高の神様』に、書き下ろし作品「池袋線のランナウェイ」「料金徴収所」を収録したものです。また、この作品はフィクションであり、登場する人物、および団体は、実在するものとはいっさい関係ありません。 -
世の流れに抗って・・・
神野類治は生徒会会長選挙に立候補をしたいと考えていた。彼は新任の校長の教育方針に違和感を覚えている。学校を受験校にするというのだ。そのために、出来る生徒と出来ない生徒のクラス編成をするという。教師らで反対のひともいたのだ。 類治は人を成績で"差別"するのは間違っていると考えていた。だから、彼は生徒会長になり、校長に談判したいのだ。彼の対立候補はクラスの富士勝利であった。彼は受験戦争を認め、一流高校に入れる学校になるのに大賛成であった。彼の父親は世渡りがうまく、出世していた。母親も受験戦争には勝ち抜かねはならない、勝ち組に入るのに執着している婦人であった。 息子も親の影響を強く受けていた。 他方、理想主義的な類治はそのような"差別"を助長することは己の信念からも反対であった。それで、生徒会長に立候補し、生徒の過半数以上の支持を得て、新校長に直談判したいと思っていたのだ。 彼の助っ人には小学校からの友達、類治に好意を寄せる国島きみ子、それに学級委員で、ともに働いた東海林典子がいた。彼女を副生徒会長におし、立候補するのだ、しかし、その過程には色々、不安があった。 立会演説会を乗り切り、有利に展開していると思っていた選挙運動に、思わぬ事件が次々に持ち上がった。そして、類治らの選挙の行方は・・・。 -
ぼくと英語とニワトリと
養鶏を営む近郊農家のひとり息子・洋介が、町の中学校に入学して、新しい生活に戸惑い悩みなから成長していく姿を、生活感あふれる描写で追った青春ストーリー。洋介は、中学になって、勉強ことに英語ができない自分に焦りを感じる。授業についていけないだけではなく、毎日の学校生活の中でことあるごとに、小学生の頃には感じなかったサラリーマン家庭との生活感の違いも痛切に感じていた。そんな落ちこぼれかけた洋介を見かねて、クラスメイトの智子が「英語を教えてあげる」と手をさしのべてくれる。半信半疑のまま始めた英語の特訓だったが、智子のおかげでなんとか英語は克服できた。しかしその一方で、農家としてどう生き残っていったらいいか……という難問をも、両親と共に考えざるを得ない現実が洋介にのしかかっていた。現代の農業の問題や、中学生の勉強の悩み、いじめ、恋などをうきぼりにした作者渾身の感動作。 -
悲しみの底で猫が教えてくれた大切なこと
本書は「猫にまつわる感動体験」を通じて、登場人物が学び、成長していく全4話からなる小説です。「電車の中では読まないで下さい。ラスト30ページ、衝撃の結末に号泣しました」(34歳・女性)の読者コメント通りの感動物語。奇妙な猫との出会いを通して、登場人物が「生きるとは?」「家族とは?」「働くとは?」など人生を深く哲学していく4つのストーリーで展開していきます。それぞれのストーリーは独立しながらも関連しあい、最終話まで読むと一つの大きな物語として完成されます。衝撃のラストは、涙なしには読めません。思いっきり泣いた後、本当の幸せに気づく、そんな「気づきのある物語」です。 -
三ツ星商事グルメ課のあまい罠
桜のつぼみがほころぶ春。 三ツ星商事の悩める社員をとっておきの料理店に招き、そのトラブルを解決するはずの「グルメ課」メンバーは頭を抱えていた……。 グルメ課のリサーチ能力を買われ、人事部長に依頼された「社内の人材調査」の仕事が、実は「リストラ予備軍の粗探し」に利用されていたのだった。 この難局を彼らは一体どう【料理】するのか―――!? オマール海老の炭火焼、山岸豚のグリル、こぼれ寿司、浅草メンチ、大人のショートケーキ、花見こもち、etc。 実在の飲食店と絶品料理が、出会いと別れの季節を鮮やかに彩る、ほんわかグルメ小説! 息抜きグルメマンガも収録。 -
夫婦フーフー日記
実話から生まれたまさかの!泣けるコメディ。 作家志望のダンナ・コウタは、本好きなヨメ・ユーコと出会って十七年目にしてついに結婚。直後、妊娠とがんが発覚し、幸せな新婚生活は闘病生活へと様変わる。ヨメの病状をブログで報告し続けるダンナだったが、入籍から493日後、彼女は亡くなった。 悲しみに暮れる一方で、闘病ブログ出版の話が進み、ダンナは念願の本の出版ができると意気込む。しかし、そこへ死んだはずのヨメが現れた。 これは、幻影なのか。現実なのか――。やがて、お互い生きている間には伝えられなかった、それぞれの思いがあふれ出していく。 巻末には、監督と原作者の対談を収録した。 -
恋する・ヴァンパイア
2015年4月全国で公開される映画「恋する・ヴァンパイア」の原作小説。 日本で唯一存在するヴァンパイア一家に生まれた伴キイラは、自分がヴァンパイアであることを誰にも知られないように生きている。そんな中、小さい頃から思いを募らせていた初恋の人と再会。彼の名は、哲。人間の男の子だ。彼へ思いを伝えたいが、ヴァンパイアであることを知られたくない。そんなキイラのジレンマがこの恋の前進を妨げる。 ある日、横浜でヴァンパイアによる凶悪な事件が起こる。人間とヴァンパイアとの溝を深める出来事に心痛めるキイラ。その上、キイラがヴァンパイアだということが哲にバレてしまい・・・二人の恋は、いったいどうなる!? ヴァンパイアと人間の禁断のラブストーリー。とっておきの恋の物語をお届けします。 -
ライアの祈り
映画『ライアの祈り』森沢明夫原作小説! 吉永小百合主演映画『ふしぎな岬の物語』原作者としても著名な著者が描く話題映画の原作小説が待望の文庫版を電子化。 縄文時代から豊穣な土地として営みが続けられてきた青森八戸に赴任してきた桃子。バツイチ、35歳で恋に臆病になっている。人数あわせで呼ばれた合コンで出会ったのは、何とも風采のあがらない考古学者だった。彼の誘いで遺跡発掘に目覚めた桃子。古代の人々の、豊かで人間愛に満ちた暮らしを知るうちに、背負ってきた様々な呪縛から解き放たれていく。不器用な二人の思いは成就するのか……。縄文と現代、時を隔てながらも進んでゆく2つの感動物語。 -
残念な夫。
誰もがうらやむ“理想の夫”になるはずだった…… 子供が生まれたのに父親らしい進歩が見えず、家庭内カースト最下層にまで落ちた “残念な夫”。かわいかった妻は、心身ともに余裕をなくし、ヒステリックに怒る “モンスター"に。昨今社会問題化している「産後クライシス」に直面した夫婦は、離婚の危機を乗り越えることができるのか――。世間の夫・妻たちが“普段は言えない本音”を代弁! -
天使のどーなつ
男やファッションに興味なし。出世や金にも興味なし。垢抜けなくて野暮ったい灰庭留衣は、無類のドーナツ馬鹿だった。他人から変わり者扱いされても気にすることなく、一日中、美味しいドーナツのことばかり考えていた。 留衣が勤めるのは、首都圏に展開するチェーン店「羽のドーナツ」。代々木本社の開発部に所属する彼女の夢は、食べた人が笑顔になるドーナツ、食べた人を幸せにする奇跡のドーナツを作ること。 そんな彼女が巻き起こすトラブルの連続に、はじめは呆れていた周囲も、やがて――。 甘くて愉快で美味しい、心躍る物語、ぜひご試食あれ。 -
嘘つきは探偵の始まり
名探偵・神條拓真宅に忍び込んだ泥棒青年。彼が出会ったのは、棚を物色している見知らぬ一人の泥棒少女だった。 「私はあなたの妹ですよ。お兄さん。可愛い妹の顔を忘れてしまったのですか?」「実の妹の顔を忘れるなんて兄失格だな」──お互い「誰だ?」と探り合いながらも初対面でこんな嘘をつき合う二人が、なぜかコンビの探偵として奇妙な事件を解くことに……!? 「嘘は嫌いだ」というこの泥棒青年・神條久人も、先客の泥棒少女・柳野花も、一人では解けない心の嘘を抱えて生きている。そんな歪んだ二人がこの家で出会ったことには、何か理由があるようで……!? -
汐汲坂のカフェ・ルナール
横浜元町の汐汲坂(しおくみざか)と呼ばれる坂の途中に店を構える喫茶店「カフェ・ルナール」。店名は「狐物語」の主人公・ルナール狐を由来としており、アンティーク調の家具とレトロな雰囲気溢れる店内で美人店長こだわりの美味しい紅茶が飲めると評判のこの店には、一つの不思議な噂があった。 それは、訪れる客の悩みを聞き、謎を解く趣味を持った美人店長が人間ではなく「狐」だという噂──。 菱川春明(ひしかわはるあき)もそんな不思議な店を訪れることになった悩み多き大学生である。伯父の薦めにより春明も自身の悩みを聞いてもらおうとこの店を訪れるのだが……。 -
依頼は殺しのあとに
勤務中に血を吐いて倒れるまでブラック企業で働いていた青年・南は、退職後、「楽をして生きる」をモットーにして、裏社会の団体から小金をせびって暮らしていた。 ある日、霊感商法の団体から金をせしめてホクホクしていたところを、シマを荒らされ怒っている暴力団に囲まれる。震えながら謝る南だったが、「安心しろ。殺したりはしない。死なない程度に痛いだけだ」と言われ、絶望する。 だが、その窮地を一人の男に救われる。冴えない風貌の彼は、南を勧誘するのだった。 「兄ちゃん、掃除って興味ある? にこにゃんハウスクリーニングで働く気はないか?」
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