Posted by ブクログ
2020年10月13日
何ともジャンル分けし辛い一冊(^ ^;
読み始めて割とすぐに
「人が二人いれば争いが生まれ
三人いれば派閥が生まれる」
という言葉がずっと頭に浮かんでいた(^ ^;
タイトルからも表紙絵からも分かる通り、
お坊さんが主な登場人物。
当たり前ではあるが、「坊主として生まれる人」はいない。
寺の...続きを読む跡継ぎとかで「坊主になるべくして」なる人はいるが、
みなそれぞれの事情や思惑を抱えて、
修行をして坊さんに「なる」ものだ。
そんな、当たり前ではあるが、普段仏教と縁遠い私には
全く意識していなかった現実を見せられるところから始まる。
ある者は(順当に)実家の寺を継ぐために、
ある者は「職業として」安定を求めて、
本山での修行に参加する。
本書は、前半の「本山での修行」パートと
後半の「自分の寺での葛藤」パートに分けられる。
それぞれに、それぞれの人間関係があり、事件があり、
悩み、葛藤し、成長し、時に流され、時にやけになり...
とても「人間的な」ドラマが繰り広げられる。
何となく、坊さんとか「宗教家」というのは、
煩悩から解脱した「聖なる存在」と思いがちだが...
と言うか、私は漠然とそんなイメージを持っていたが、
どうしてどうして坊主の「現実」は生臭く、
「表の顔」では聖人ぶっている分一般人よりエグいくらい(^ ^;
でも、それが現実であり、よく考えれば当たり前か。
本当に修行ばかりしまくって、
それこそ霞食って生きてるような人(それは仙人か)は、
私のような俗物の目に留まることはあるまい。
我々「一般人」が触れる坊さんというのは、
「葬式仏教」と言うくらいで、葬式や法事の時くらいで。
それら「職業坊主」は、仕事として仏事を行っている訳で、
普通に消費税払って買い物してるし、免許の更新もするし、
「生活」は我々と何も変わらない(はずだ)。
まぁ、税金の優遇くらいはあるとしても(^ ^;
...と、本の内容と関係の無い感想ばかり書きたくなる、
それくらい本書の「坊主描写」がリアルと言うことか(^ ^;
ストーリー中に色々なことが起こるが、
不思議と「あらすじ」を書きにくい印象(^ ^;
話の「筋」と言うより、登場人物の心の動きを読む、
そういう本なのだろう、きっと(^ ^