Posted by ブクログ
2020年11月04日
母の病気をきっかけに家族の隠れていたものが明らかになるお話
視点が母、兄、弟、父と移りながら物語が進行する
最近物忘れが多くなった母
認知症ではないかと自分で疑うが、そうではないという思いも
しかし、兄夫婦の妊娠を祝う席での言動を訝しんだ家族の勧めにより受診したところ、1週間が山との診断が本人で...続きを読むはなく家族に告げられる
しっかりものと思われている兄の過去と現在の想い、へらへらとだらしのない生活をしているように見えて実はリアリストな弟、場当たり的な対応で自分で責任を持った選択ができない父
今まで表に出てこなかったそれぞれの想いに気づく
「砂上のファンファーレ」で発売したものを改題して文庫化したものらしい
砂上のファンファーレの方が物語をよく表していると思うけど、「ぼくたちの家族」も響き的にはいいんじゃないかと
一番心に響いたのは、お母さんの言葉
「幸せかどうかは、いつか死ぬときにしかわからないんだと思う」
確かになーと、今だからこそ思う
人生の中で浮き沈みってあるわけで、その時々で幸せだったとしてもそれが不幸の呼び水になってたりする場合もあるし、その逆もまたある
なので、本質的な人生の最後にしか幸せの評価ってできないんだろうね
幸せな人生だったと思って死にたいけど、できるだろうか?
先日、娘と話していて「寂しくない?」って聞かれたけど
今のところは全く寂しくないし、今後もそう思わないと今は思うんだけど
20年後とかどうなってるかわからないなぁ
ま、そんなに先のことを考えても無駄と言えば無駄なんだけどね
そのときもまだ独り身で生きてそうな気がするんだよなー
あと、家族って何なんだろうな?とも考えた
作中は親の方が借金まみれだけど、僕はこの歳になっても親に金銭的な事で迷惑をかけてるし、それ以上の迷惑をかけてきたからなぁ
何というか、申し訳ない気持ちでいっぱい
そして、そんな家族とあと何回会えるんだろう?とも思った
前に読んだ小説でも似たような事考えたけど、盆と正月を合わせても3ヶ月~半年程度しか一緒に過ごさないんだよね
そう考えると、家族というものが何とも言えないものに思えてくる
ちなみにこの小説は最初は映画を見て知って
読書会でも紹介されたので読んでみたら、映画の結末よりも先まで描かれていてよかった
ちなみに映画は
父・克明(長塚京三)
母・玲子(原田美枝子)
長男の浩介(妻夫木聡)
次男の俊平(池松壮亮)
あと、俊平の元カノで市川実日子もほんのちょびっと出てる
そうだ、市川実日子を見たくて映画を見たんだった
小説だと京子ちゃんと俊平の関係も詳しく書かれていて、そのエピソードも含めて俊平という人物に好感が持てるんだよな
ヘラヘラしているように見えてリアリスト、そして愛嬌もあるっていいキャラしてるせ池松壮亮