小説・文芸 - 集英社文庫作品一覧

  • サイケ
    4.0
    東京にある総合出版社に勤務する編集者「わし」は、人知れず自らの性的な問題に苦悩していた。幼い頃に刻み込まれた、ある性的嗜好が大人になった現在も、恋愛の深刻な障害となっているのだ。その原因となったのが某少年漫画誌だったのだが…。モーレツでサイケな70年代が育てはぐくんだ世代の悲喜劇。鋭い時代考察と、うずくやましさ満載、姫野ワールド全開の傑作短編集。
  • 好きなのに淋しいのはなぜ
    5.0
    好きだけどうまくいかないかもしれない。そんな不安、誰でも経験あるはず。そこでやめてしまったら、次の恋でもきっと同じ悩みの繰り返し。初めから100%理想の相手などいるわけがないから、時間と手間をかけて彼を自分の理想に育ててみては?「依存症とマメな男を見分ける」「無神経な男は気弱と知る」「浮気は時間と金を抑える」など、豊富な具体例とともに、悩める女性にエールを送る恋愛エッセイ。
  • 怪のはなし
    3.7
    物心ついた頃から、数多くの「この世ならぬモノ」たちと遭遇してきた著者。嵐の夜、停電した自宅に入り込んできた不気味な「何か」。東京大空襲の日がくると現れる、ボロボロで痛ましい姿の子供たち。夢の中から抜け出してきた猫とふれあい、侍の幽霊と東京を散歩する…。恐ろしくも、時に物悲しく、時に心温まる20の怪異を再現した、究極の実話怪談集。あなたの知らない、リアルがあります。
  • 結婚は人生の墓場か?
    3.7
    小早川正人。大手出版社に勤務し、年収は1000万円以上。二人の娘は有名お嬢様学校に通い、可憐な妻はステキな我が家でレースを編む。一見幸せな結婚生活だが、実態は多額のローンに追われ、仕事に追われ、散歩すらままならず――。みんなに祝福されてゴールインしたはずなのに、どこで間違ってしまったのだろう? シニカルで斬新な結婚論が炸裂する、強烈な夫婦小説。
  • ハガネの女
    4.0
    学生時代の友人に誘われ、臨時教員として公立小学校に赴任した芳賀稲子、通称「ハガネ」。だが、彼女が担当することになったのは、次々と担任が辞めていった訳ありのクラス。ひと癖もふた癖もある子供たちと非常識な苦情を申し立てるモンスターペアレンツ、そしてイジメや不登校の問題に、あだ名どおりの強さと誠実さで立ち向かうハガネだが…? 『YOU』で連載された人気マンガを小説化。
  • 吸血鬼のための狂騒曲(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.5
    神代エリカは、「正統な」吸血鬼の父を持つ女子大生。早朝、霧がゆったりと湖に広がる中、一隻のボートが湖の真ん中まで進んでいた。「やめて! 危ない!」と、言い争う男女の声。静寂が戻ると、ボートの中には男しか残っていなかった。その頃、エリカと千代子とみどりの三人は、友人の祐子の別荘に招かれ、林の中を早朝散歩していて――!? 表題作のほか、『吸血鬼のための料理教室』を収録。
  • 九つの、物語
    4.0
    大学生のゆきなの前に、長く会っていなかった兄がいきなり現れた。女性と料理と本を愛し、奔放に振舞う兄に惑わされつつ、ゆきなは日常として受け入れていく。いつまでもいつまでも幸せな日々が続くと思えたが…。ゆきなはやがて、兄が長く不在だった理由を思い出す。人生は痛みと喪失に満ちていた。生きるとは、なんと愚かで、なんと尊いのか。そのことを丁寧に描いた、やさしく強い物語。
  • 傭兵ピエール 上
    3.9
    十五世紀、百年戦争下のフランス。王家の威信は失墜、世には混沌と暴力が充ち、人々は恐怖と絶望の淵に沈んでいた。そんな戦乱の時代の申し子、傭兵隊を率いる無頼漢ピエールは、略奪の途中で不思議な少女に出会い、心奪われる。その名は――ジャンヌ・ダルク。この聖女に導かれ、ピエールは天下分け目の戦場へと赴く。かくして一四二九年五月六日、オルレアン決戦の火蓋は切られた……。
  • ジャガーになった男
    3.8
    伊達藩士・斉藤小兵太寅吉は恋人を捨て、冒険を求めて支倉常長遣欧使節に加わった。着いたイスパニアはすでに全盛期の栄光を失っていたが、一人のイダルゴ(戦士)と意気投合し、共に戦場に赴くために、帰国する使節団と訣別する決心をする。壮大なスケール、波瀾万丈の歴史ロマン。第6回小説すばる新人賞受賞作。
  • 東京―旭川殺人ルート(十津川警部シリーズ)
    3.0
    十津川警部の部下の西本刑事が、突然若い女に声をかけられた。怪しい男につけられているので、自宅まで送って欲しいというのだ。半月前、同じマンションの女が殺され、その頃痴漢騒ぎもあったという。十津川はセキュリティシステムの万全なマンションの構造とその女の行動に不審を抱く。やがて女も事件に巻き込まれ……。謎解明の為、警部北海道へ! 大好評十津川警部シリーズ3篇を収録。
  • 環状線に消えた女(十津川警部シリーズ)
    2.8
    雑誌記者亜木子は、友人から、1年前に失踪した京子を山手線内で目撃したと聞かされる。高価な毛皮に身を包んでいたという彼女の行方を追う二人の前に、1枚の尋ね人広告が。写真は確かに京子だが、名前は“ゆう子”。彼女に一体何が起きたのか? 日常から突然蒸発した彼女たちの陰に犯罪の気配を探る亜木子の挑戦! 4編を収録。
  • 幻想と死の信越本線(十津川警部シリーズ)
    4.0
    旅行作家・川内が発表したエッセイに書かれているのは私の姉だ、殺されたに違いない、犯人を捜してほしいと一人の女性が十津川警部を訪ねてきた。しかし川内は上野発“特急あさま3号”の車中で殺されてしまう。この事件を追う十津川警部の手で、11年前に信州で起きた放火殺人事件までが明らかにされてゆく。この表題作他、「阿蘇で死んだ刑事」「北の果ての殺意」「南紀 夏の終わりの殺人」のいずれも十津川警部が活躍する3編を収録。
  • 伊勢・志摩に消えた女(十津川警部シリーズ)
    2.5
    一人娘の女子大生、亜矢子が伊勢・志摩に旅行に出たまま戻らない。事件に巻き込まれたのか。元国務大臣で製薬会社社長の平山は十津川警部に相談した。元刑事だった橋本に調査を依頼すると、亜矢子は偽名をつかって伊勢市内の旅館に投宿していることを突き止める。しかしその夜、旅館の女将と女子従業員が何者かに殺されてしまう。単なる失踪と思われた事件が複雑になっていく。近鉄特急を舞台に、十津川警部の推理が冴える。
  • 祝日に殺人の列車が走る(十津川警部シリーズ)
    2.0
    十津川警部に、ラジオ深夜放送のリクエスト葉書を使って、殺人を予告する卑劣な挑戦状が届く。やがて黄金週間(ゴールデンウイーク)最終日、特急「有明」の車内で殺人が起こる。被害者は、不動産業などで莫大な資産をもつ小堀忠男。彼には、二人の息子と五人の愛人がおり、それぞれに遺産を分配する遺言状があった。骨肉の遺産争いかと思われた矢先、第二の殺人が……。時刻表トリックに挑む興奮の長編トラベルミステリー。
  • 殺人列車への招待(十津川警部シリーズ)
    4.0
    十津川警部に「殺人ゲームがしたい」と謎の電話がはいる。やがて、11月7日東京駅発の寝台特急『さくら』の車内で「ア」で始まる名前の女を殺すと、挑戦状が届く。悪戯か、本気か。当日は用心のため、「ア」で始まる女性二人を探し出し、ガードをつけた。だが、車内で別の女性が殺される。さらに、第二の挑戦状が……。窮地に追い込まれた捜査陣に大逆転はあるか!? 傑作鉄道トラベル・ミステリー。
  • 河津・天城連続殺人事件(十津川警部シリーズ)
    -
    新年早々、伊豆・河津七滝の宿に後藤ゆみという女が宿泊した。その二ヶ月前、同姓同名の女が七滝の一つ蛇滝で転落死していた。そして、二人目のゆみが宿泊した日、今度は釜滝で男の射殺死体が発見される。静岡県警が身元を警視庁に問い合わせると、急遽十津川警部と亀井刑事が出張してきた。殺されたのは連続殺人事件の容疑者の一人という。十津川らの手で驚愕の真相が明らかにされる。他三編を収録。
  • パリ・東京殺人ルート(十津川警部シリーズ)
    3.3
    パリ観光に訪れた男が突然失踪、サン・マルタン運河に死体となって浮かんだ。急遽フランスに渡った十津川警部は、留学生水原とパリ警視庁小メグレ刑事の協力を得て捜査を開始する。モンマルトルの似顔絵描きから、事件に関わる謎のブロンド美女の情報を入手するが、独自に調査を進めた水原は得体の知れぬ相手から脅迫を受ける。事件の裏に隠された恐るべき陰謀とは!?
  • 恋する短歌
    3.5
    ほんの少し勝ってほんの少し負けて 恋はいつでも少し悲しい――揺れうごく女性の気持ちを描き、共感をあつめる新鋭歌人・佐藤真由美が贈る、短歌+ショートストーリー集。初めてのデート、切なくて眠れない夜、見送る朝の光のまぶしさ…。恋が始まり、そして終わるまでの一瞬一瞬を鮮やかに切りとった、22篇の物語。
  • 恋する世界文学
    3.7
    奔放な女性はなぜモテるのか。男の嘘と女の嘘は、種類が違う? 『ティファニーで朝食を』『赤と黒』『アンナ・カレーニナ』など世界の名作15編の恋模様を、現代の恋愛エピソードにからめてリアルに軽やかに紹介。ときめき、切なさ、情熱、嫉妬…場所や時代は違っても、恋する気持ちは変わらない。恋愛短歌の名手が複雑な女心と悩める男心に迫る、甘くてスパイシーな文学案内。
  • 傷つきやすくなった世界で
    3.8
    時代の風が冷えこんで、ぼくたちの社会は余裕を失い、仕事に就くことも続けることも難しくなった。恋愛に向けるエネルギーさえ減っている。そんな若い世代に、人気作家があたたかなエールをおくるエッセイ集。社会に格差が存在しても、どうか心にまで格差を持ちこまないで――。やさしく力強い言葉が、明日へ踏み出す勇気をくれる。東日本大震災後の「今」を見つめた文庫版あとがきも収録。
  • 恋する四字熟語
    3.9
    会いたいのに会いたくない「二律背反」、好きな男のメールを裏読みする「一言一句」、噂と高感度の謎に迫る「悪事千里」、三角関係の結末は「漁夫之利」、「完全無欠」の愛はあるのか……。恋愛短歌の名手が、恋と人生の不条理を122語の四字熟語にからめ軽やかに描く、前代未聞の恋愛四字熟語エッセイ。せつなく甘く、ちょっぴり辛口。
  • 吸血鬼よ故郷を見よ(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    4.0
    神代エリカは、「正統な」吸血鬼の父を持つ女子大生。友人たちと行った年末の混み合うデパートで、突然起こった火事騒ぎに巻き込まれてしまう。どうやら、視線を向けるだけで火をつけられるという恐るべき超能力を持った女性のしわざらしいののだが…!? 花の女子大生になったエリカたちが、怒れるおばさまパワーに挑む!? 全三編を収録した大人気シリーズ。
  • 恋する歌音 こころに効く恋愛短歌50
    4.3
    うぬぼれていいよ わたしが踵までやわらかいのは あなたのためと――恋する女心をまっすぐに表現して人気の若手歌人・佐藤真由美。待望の初エッセイ集では、古今の名歌50首をひもといて恋愛短歌の世界へ誘う。万葉集から現代まで、あの有名歌もヴィヴィッドに響いてくる鑑賞と、女の本音爆発、ピリリと辛い恋愛指南。そして切なくリアルな新作短歌とともに味わう、50の恋、100の歌。
  • 現金強奪計画 ─ダービーを狙え─
    2.0
    冒険こそ若さのしるしだ。物わかりのいい世代と呼ばれることを拒否した7人の若者が、たったひとつ若さという共通項に結ばれてハードな冒険に挑む。狙いは東京競馬場のダービーの売上げ金20億円。用意周到な計画のもと、厳重な警備陣の裏をかき、まんまと計画を成功させるが…。痛快冒険物語。
  • 殺しのバンカーショット
    2.0
    ビッグトーナメント直前に〈この大会中に、あいつを殺してやる〉という脅迫状が届いた。日本ゴルフ連合会理事・吉田は、警察に警備を依頼する。十津川は早速捜査にあたるが、吉田は交通事故で死に、そしてトーナメント中に殺人が起こる。これはトッププレイヤーの有藤を狙ったものなのか。ゴルフ界の複雑な人間関係のなかで、次々と起こる奇妙な殺人の謎に挑む十津川警部の名推理。長編ミステリーサスペンス。
  • 真夜中の構図
    -
    参議院議員・太田垣にやっと大臣の椅子がまわってきた。だがその為には、5人の愛人を至急整理する必要がある。その役目を命じられたのが個人秘書の早川。だが、大臣夫人への夢に憑かれた女たちは、身を引こうとしない。ところが、愛人のひとりの変死から、連鎖的に女たちが殺されてゆく…。殺人の容疑者に仕立てられた早川! 仕組まれた事件の裏には、いったい何が…?
  • 死者に捧げる殺人
    2.5
    満員の後楽園球場。巨人の劇的サヨナラ・ホームランで興奮の坩堝の中で、1人の老人が絞殺されていた! 12日後、マニラで日本人が絞殺され、続いて……無関係に見えた殺人事件が、1本の線で結ばれていたとしたら──。十津川警部の推理が見事に立証されてゆく、傑作ミステリー集。
  • 日本ダービー殺人事件
    3.0
    競馬専門誌「週刊ホース」の新人記者芦沢は、先輩・松本の強烈な個性に興味を持っていた。日本ダービーを間近に控えた五月、十二連勝を飾る本命馬タマキホープのオーナーとジョッキーのもとに、「出走を取り消せ」という脅迫状が舞い込んだ。十津川警部はその文面に無気味さを感じる。厳重な警戒にもかかわらず、続々と起る怪事件。競馬界内部の不正と仕組まれた罠にいどむ十津川警部の名推理。長編小説。
  • イヴが死んだ夜
    -
    氷雨の浅草寺境内で、若い女性の全裸死体が発見された。太ももには、上品な顔立ちとは不釣り合いな“バラの刺青”が彫られていた。「被害者は岐阜市内の旧家の長女では…」という連絡で、現地へとんだ十津川警部は首尾木家の当主・大造に死体の確認を要請するが、拒否された。家出した良家の娘がなぜイヴと呼ばれ、殺されることになったのか? 空白の3年間の謎を追う、迫真の長篇サスペンス。
  • 夜の探偵
    -
    出所したばかりの元興信所の調査員・矢代に仕事の依頼がきた。デビュー間がないというのに人気急上昇中の新人歌手の過去を暴けというもので、写真で見るその売れっ子歌手は、矢代が惚れこんでいて、現在失踪中の浩子にそっくりだった。その上依頼人の弁護士は何の手がかりも与えてくれない…。プロダクション側は秘密を隠そうと必死だった。
  • 血ぞめの試走車
    -
    新型モデルは欠陥車か? テスト走行中、東名高速で事故を起こしたテスト・ドライバーの結城は、新車の売れ行きが落ちることを懸念した社のトップの命令で、孤独な旅に出た。悄然と愛車を西へ向けた彼のクルマをつける謎のスポーツカー。旅先で殺人事件に巻き込まれ、容疑者に仕立てられてしまった結城は…。自動車業界の熾烈な暗闘を描く傑作企業サスペンス。
  • 銀河のワールドカップ
    4.0
    1~2巻385~836円 (税込)
    花島勝は2ヶ月前から失業中。春、おだやかな昼下がり、不思議な三つ子がテニスをし、その脇では別の子供たちがミニサッカーを楽しんでいた。何気なくサッカーを見ていた花島だが、ひょんなことからその三つ子と試合に加わることに。しかし、子供の遊びだろうと高をくくっていたが、その三つ子のプレイは非常に高度なものだった。知らぬ間に真剣にボール蹴る花島。そう、彼は昔Jリーガーだったのだ。驚く子供たちは、花島に自分たちのコーチを依頼。彼は、子供たちと全国制覇を目指す決意をするが…。平成の「サッカー小僧小説」の決定版。
  • 芸術家たちの秘めた恋―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代
    4.0
    19世紀後半、ロマン主義全盛の時代を生きた作曲家メンデルスゾーンと作家アンデルセン。生まれも容貌もまるで正反対の二人を結びつけたのは、奇跡の声を持つ歌姫だった。三者三様の想いを胸に秘め、創作活動に没頭する彼らを待ち受ける過酷な運命とは……。『結婚行進曲』や『醜いあひるの子』など、不朽の名作を生み出した芸術家たちの知られざる一面に、『怖い絵』シリーズの著者が迫る。
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
    3.6
    「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」――長編怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。
  • たぶらかし
    3.3
    ドラマ化小説! 元舞台女優のマキ、39歳。あやしげな事務所に所属し、市井の人々の中で誰かの代役を務める「役者」を仕事にしている。多忙なセレブ母の代理として子供の学校に赴いたり、夫の親戚との付き合いを厭う新妻の身代わりや、さらにはワケありな葬儀での死体役まで、様々な役柄をこなしている。そんな中、あやしい青年・モンゾウが、マキに無理やり弟子入りしてきて……。第23回小説すばる新人賞受賞作。
  • 震災キャラバン
    3.4
    2011年3月11日、東日本大震災が発生! かつて阪神・淡路大震災で被災して、再建を果たした神戸の中華料理店。そのアルバイト店員・清美は気仙沼近くの出身で、実家とまったく連絡がとれない。店主の長男・勇太は、トランペットのオーディションを諦め、彼女を実家に送るため、支援物資を載せたバンを走らせる。なんとか彼女の故郷にたどり着くが…。復興の思いを込めて綴る長編ロードノベル。
  • 恋愛嫌い
    3.7
    女の世界は恋の話題で溢れている。でも、なじめない人間だっている。恋愛願望がなく、感情に溺れられない29歳の喜世美。猫と同居し、ブログでだけ自分を解放できる26歳の翔子。勤続12年、次長の肩書きもあるベテランだが、「前向き」が嫌いな35歳の鈴枝。男とつきあったことがないわけじゃないけれど、恋愛は苦手――。そんな女性たちの本音をリアルに軽やかに描き、明日へのエールをおくる小説集。
  • 七人の敵がいる
    3.9
    育児と仕事を何とか両立してきた、ワーキングマザーの陽子。息子の小学校入学で少しはラクになるかと思いきや、PTA・学童父母会・地域子供会などに悲鳴を上げる、想像以上に大変な日々が幕を開けた……。●入学早々、初の保護者会はPTA役員決めの修羅場に。空気を読めない陽子は、早速、敵を作ってしまう。「女は女の敵である」●仕事と子育ての両立に不可欠な、義母のサポート。“孫のためなら”の影に押しやられた本音は不満だらけ!?「義母義家族は敵である」など、笑いあり、涙あり、前代未聞の痛快ノンストップ・エンターテインメント!
  • 駆け込み団地の黄昏
    3.7
    東京近郊にひっそりと存在する、通称「駆け込み団地」。そこはDVやいじめなどで社会から疎外された人々が救いを求める場所。ある夜、現職大臣夫人の僚子がそこに逃げ込んだことから、静かだった団地の状況は一変。妻が逃げたという事実をひた隠しにしようとする大臣と、このスキャンダルを利用しようとする人々の思惑がからみ合い、思わぬ悲劇が引き起こされ――。社会派サスペンス。
  • 鳳凰の黙示録
    -
    西暦1614年。骨肉の争いが絶えない李氏朝鮮王朝。王は異母弟の暗殺を女剣士集団・琴七剣に命じるが、彼女らは王の非道を看過できず幼い王子を譲る側に。刺客として遣わされた妖術士軍団・魔別抄と死闘を繰り広げる。最後の一人となった碧蓮は正統な王位継承者の証を求めて白頭山へ。怨敵の壮一鴻と共闘し、活路を求めて日本に渡る。折りしも時は大坂冬の陣直前だった。不羈奔放の一大伝奇ロマン。
  • 愛はひとり
    3.3
    目が醒める。ひとりである……。今日も平穏な日常が虚しく過ぎていく。そして、果てしのない寂しさ――。淡々と、しかし赤裸々に語られる、ある女の「ひとりであること」。孤独な生活のなかで愛を求め続ける切実な心を、フレンチ・ポップスの名曲に託し、詩情豊かに、そして幻想的に描くビジュアル短編集。すべての孤独な女性必読の「処方箋」。この本で、あなたの症状もきっと治ります。
  • みんな、どうして結婚してゆくのだろう
    3.8
    タイトルそのまんまですが、みんな、どうしてどうやって結婚してゆくのでしょう? ちゃんと考えてみたことありますか? 老若男女みんながこだわる「結婚」とは一体何なのでしょう。「つきあう」って何なのでしょう。みんな、ほんとにわかってるんでしょうか? 誰もがそういうものだとハナから疑わないことを分析・考察させたら当代随一の著者が本音で迫る、目からウロコのヒメノ式エッセイ集。
  • A.B.O.AB
    3.3
    血液型にとらわれて「男女交際」なんてダサイ……などと考えてはいけません。血液型を信じましょう。A、B、O、AB、それぞれの血液型の男女が8人いて、恋愛のドラマが始まる。切ない擦れ違いや、ドライな別れがあって、でも詰まるところ収まるように収まる。それって、やっぱり運命だったのかも。新しい物語の世界がある血液型恋愛シミュレーション小説。
  • ひと呼んでミツコ
    4.1
    彼女はミツコ。私立薔薇十字女子大英文科在籍中。名高い香水と同じ名前を持つ女――。その盲腸の手術痕がうずく時、不埒なやつらに公衆道徳の鉄槌が下る。強力倫理観と超人的能力をあわせ持つスーパー学生ミツコは今日も行く。荒廃する現代社会を憂うすべての市民、まっとうゆえに切歯扼腕している老若男女必読。文学のジャンルを超越した傑作小説。21世紀はミツコの時代だ。
  • 本当の自分に出会う旅
    4.0
    水泳のインストラクターが、つらい肺がん治療の励みに医師と交わした約束。ダウン症の青年のハワイ初体験。金婚式をハワイで挙げるため、病と闘った仲良し夫婦。チェルノブイリで知ったおもてなしの心――。旅が作り出す軌跡のような瞬間がここにある。日本各地はもちろん、世界中を飛び回る著者が旅で出会った人々。あたたかい涙ととびきりの笑顔のエピソード満載のヒューマン・エッセイ。
  • 十津川警部 愛と祈りのJR身延線(十津川警部シリーズ)
    1.5
    探偵・橋本の叔母みさ子は、旅行会社の早田敬子の添乗で身延山参拝へ出発。だが予定日を過ぎても戻らず、橋本が問い合わせると、早田という社員はいなかった。さらに、早田とホテルにいた男が刺殺され……。男が残した16枚の名刺とみさ子の失踪は関連があるとみた十津川警部は身延山へ。遺族の切ない思いを叶える“ポストマン”の存在を知る。善意の人々を巧妙に欺く巨悪に挑む!旅情ミステリー。
  • 十津川警部 四国お遍路殺人ゲーム(十津川警部シリーズ)
    2.5
    東京深大寺。テレビ番組ディレクターの井上美奈子が、お遍路姿で殺害された。美奈子が企画したお遍路の速さを競う“お遍路ゲーム”の収録目前だった。翌日、捜査本部に「四国八十八カ所巡りで人が死ぬ」という内容の電話が入る。十津川警部は、徳島へ飛び、お遍路姿で収録を警戒。だが、お遍路さんが射殺され、事件は意想外の方向へ……。東京と四国を結ぶ難事件に挑む十津川警部の名推理!
  • 十津川警部 幻想の天橋立(十津川警部シリーズ)
    3.0
    京都・宮津。建設会社社長中西は、“東京の病院で監禁されているので助けて欲しい”という手紙が結ばれた風船を発見。内容を信じた中西は、東京の探偵事務所に調査を依頼。都内病院を探るが進展のないまま、第二の風船が天橋立の展望台で拾われ……。やがて、疑わしい家が炎上、お抱え運転手が殺害される。この殺人と監禁の謎を解くため、十津川警部は、宮津へ。天橋立と東京を結ぶ驚愕の連続殺人に挑む。
  • 十津川警部 「スーパー隠岐」殺人特急(十津川警部シリーズ)
    3.0
    東京の老夫婦が、鳥取から津和野へ。息子が借金を苦に自殺し、その金を返済する当てのない夫婦が選んだ死出の旅だった。思い出の地・秋芳洞を訪れたとき、何者かに襲われ、妻が殺される。その頃、東京で相次ぐ老夫婦の失踪に不審を覚えていた十津川警部は、独自の捜査に乗り出す。やがて、事件の陰に謎の組織の存在を突き止めるが……。東京・山口を結ぶ、怒りの捜査行。
  • 十津川警部 特急「雷鳥」蘇る殺意(十津川警部シリーズ)
    2.5
    平成元年、和倉温泉往きお座敷列車で若い女が不審死した。自殺か他殺かわからぬまま、15年以上経って、事件車両を買った高柳という男が、奇妙な掲示板を出す。事件当日、この車両に乗っていた人に話が聞きたい、謝礼に10万円払うという主旨だった。やがて、高柳のもとへ話をしに来た男が殺され……。時効を迎えた事件が新たな殺人を呼んだ!? 東京・金沢を結ぶ推理行に十津川警部が挑む!
  • あきらめない
    4.5
    働き盛りでがんになり、余命6か月と宣言されても転移に負けず、7年生き抜いた男性。思いがけない妊娠でシングルマザーとなった女子大生。あと3か月といわれながら、子供の卒業式まで生きたいと闘病を続けた母親――。辛い体験だが、病気をしたからこそ見えてくることがある。命のある限りあきらめないで丁寧に生きて欲しいと願い、あたたかな医療をめざして尽くす医師。珠玉のエッセイ集。
  • がんばらない
    4.3
    リンパ肉腫の青年が言った。「自分の入る墓を見てきた。八ヶ岳の見える景色のいい所だったよ」青年にぼくはささやいた。「よくがんばってきたね」最後まで青年は誠実に生きて、死んだ。そこには、忘れ去られた「魂への心くばり」があった。テレビドラマ化されるなど、マスコミの話題をさらった感動の書をあなたに。
  • 十津川警部 修善寺わが愛と死(十津川警部シリーズ)
    2.5
    十文字多恵子32歳が、自宅で絞殺された。老舗の六国デパート元副社長秘書というには、分不相応な豪華マンション暮らしに、十津川警部は不審を抱く。多恵子は『修善寺わが愛と死』という原稿を残していた。その小説は、鎌倉幕府三代の興亡にことよせて、六国デパートのお家騒動を描いているようだった。探り始めると社長が次々交代しており…。連続殺人の悲劇に挑む十津川警部。傑作長編ミステリー。
  • なげださない
    4.0
    チェルノブイリ原発事故で消えた村。いつかみんなが戻ってくる日を信じて、教会を再建するおじいさん。がんのため、痛みと闘いながら歌い続けたジャズ・シンガー。阪神大震災で隣に寝ていた母を亡くし、自分を責めて生きてきた女の子。過酷な状況、深刻な病気でも、ひとつのいのちを丁寧に生きる人々。大切なかけがえのないものを、なげださない姿を、あたたかく見つめる医師の希望と感動のエッセイ。
  • 上海特急殺人事件
    2.5
    東京で女子大生連続射殺事件が発生、手際からプロの殺し屋の犯行と思われた。現場近くで目撃された車の持ち主の芸能プロダクション社長が、海外で不審死を遂げ、“一九三一”というメモを残す。一方、上海で日本人ジャズ歌手の扼殺体が発見される。十津川警部は、中国警察の協力要請を受け上海へ。やがて、双方の事件の類似点を掴むが……。複雑に絡んだ謎を追って、大陸を疾走する決死の捜査行!
  • 十津川警部「ダブル誘拐」(十津川警部シリーズ)
    3.2
    三月三日、東京で七歳の少女鏑木美加が誘拐された。身代金一億五百万円を支払って解放されたが、犯人は逃走。捜査に行き詰まる十津川警部のもとへ、同じ日小樽でも美加という七歳の少女が誘拐されていたと報告が入る。身代金額まで同じという。やがて、第三、第四の誘拐事件が……。少女連続誘拐犯の真の狙いは何か! 奇怪な事件の謎を追って小樽、東京、京都へと飛ぶ十津川警部の推理行。
  • 僕達急行 A列車で行こう
    3.8
    丸の内にある大企業・のぞみ地所で働く小町圭と、下町の鉄工所の二代目・小玉健太は、鉄道好きがきっかけで親しくなる。ふたりとも、趣味や仕事ではさくさく動けるのに、女性には弱腰。失恋した小玉は、転勤になった小町を訪ね、東京から青春18きっぷで福岡へ。一緒に九州を鉄道旅行の途中、思いがけない出会いが……。森田芳光監督らしいこだわりの詰まった、心あたたまるコメディー映画をノベライズ。
  • 吸血鬼は良き隣人(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.3
    神代エリカは、「正統な」吸血鬼を父に持つ女子大生。クリスマス間近のある日、由子という少女がサンタに殺され、息子の幸男が警察にマークされている、と川添千恵がクロロック家に相談に来た。幸男は半年前まで由子と交際があり、サンタの衣装でバイトをしていたという。エリカとクロロックは早速、事件解決に乗り出すけれど!? 表題作のほか、「吸血鬼と雪男」を収録。大好評シリーズ!!
  • 科学の扉をノックする
    3.8
    宇宙のはじまりはカップからこぼれたコーヒー? 人間が豚を食べられるのは遺伝子のおかげ? 作家、小川洋子が様々な分野で活躍する科学のスペシャリスト7人にインタビュー。科学の不思議を解き明かすため、日々研究に打ち込むひとびとの真摯な姿に迫る。そこから見えてきた興味深い成果の数々とは。ふとした疑問から巨大な謎まで、科学に関するあなたの『?』を解決する珠玉の入門書。
  • 三月の招待状
    3.6
    8歳年下の彼氏と暮らす充留は、ある日、大学時代からの友人夫婦の「離婚式」に招かれる。昔の仲間が集まるそのパーティで、充留は好きだった男と再会するが、彼は人妻になった麻美とつきあいはじめ…。出会って15年、10代から30代へと年齢を重ねた仲間たち。友情、憧れ、叶わなかった想い――再会をきっかけによみがえるあの頃の記憶と、現在の狭間で揺れる姿を描く、大人の青春小説。
  • パパはマイナス50点
    -
    1996年ロンドンで、映画監督の夫・大島渚が脳出血を起こす。妻として、すぐに駆けつけたい思いは、マスコミ対策のため阻まれた。何もできないことを悔やみ、自らを責め、うつ状態に。それでも、どん底から這い上がり、女優を休業して、介護に専念。やがて、夫は『御法度』を完成させるまで奇跡的に回復したが…。十数年に及ぶ、闘病、介護の現実を赤裸々に綴る。寄り添い生きる姿が共感を呼ぶエッセイ集。
  • 龍の哭く街
    3.3
    暴力と金が全てを支配する街、歌舞伎町。氷室の勤めるバー『ハイランド』でも中国人マフィアの抗争話が絶えない。そんなある日、彼の元を一人の男が訪ねてくる。「入国管理局の第二庁舎に勤務されていましたね?」――にわかに慌しくなる周囲。元同僚の死、恋人の襲撃未遂、自宅の火事。氷室の身に一体何が迫っているのか。捨てたはずの過去が明らかになるとき、組織との孤独な戦いが始まる。
  • メルカトルと美袋のための殺人
    3.8
    推理作家の美袋三条は、知人の別荘で出会った佑美子に刹那的に恋をする。しかし彼女は間もなく死体で発見され、美袋が第一容疑者とされてしまった! 事件に巻き込まれやすい美袋と、「解決できない事件など存在しない」と豪語する魔性の名探偵・メルカトル鮎が挑む巧緻な謎の数々。脱出不能な密室殺人から、関係者全員にアリバイが成立する不可能犯罪まで――奇才が放つ、衝撃本格推理集。
  • 淋しいのはお前だけじゃな
    3.7
    〈振り向いてくれたけれども「がんばれ」はたぶん自分に言った言葉だ〉――。残業続きで恋人に会えない夏の日々、文芸部の美少女と何も起こらなかった高校時代、今も発熱し続ける叶わなかった夢……。短歌の背後にはいつも、淋しくて優しいストーリーがあった。日常の小さな感情を温かな筆致で描く、短い歌と短いストーリー。オオキトモユキの筆による、ユーモラスで少し悲しい絵物語も同時収録! ※この作品は底本のレイアウトデザインに忠実に表示しています。拡大表示はできません。
  • 女を磨く大人の恋愛ゼミナール
    3.0
    「また会いたい」と思わせる女になるには? 信頼できるパートナーと出会うには? 幸せな妊娠・出産のタイミングとは? リアルな考察や自身の経験をふまえ、楽しく、時に厳しく語りかける。「好奇心はどんな美容液より肌に効く」「恋の最終地点を結婚と決めない」などなど、将来への不安や迷いを抱えがちなアラサー世代に向けた、女磨き指南書。人気モデル平子理沙とのスペシャル対談つき。
  • せんべろ探偵が行く
    3.6
    「せんべろ」とは、千円でべろべろに酔っぱられる店のひと。酒をこよなく愛する、らも団長を先頭に、酒さえあればご満悦の中年探偵団が居酒屋巡礼の旅に出た。せんべろの聖地・大阪は新世界から始まり、東京、金沢、博多など、安くて気取らず、美味いアテを揃えた店を探して日本全国を駆け巡る。「せんべろ名店」で開催された爆笑座談会を収録。
  • インターセックス
    3.9
    「神の手」と評判の若き院長、岸川に請われてサンビーチ病院に転勤した秋野翔子。そこでは性同一障害者への性転換手術や、性染色体の異常で性器が男でも女でもない、「インターセックス」と呼ばれる人たちへの治療が行なわれていた。「人は男女である前に人間だ」と主張し、患者のために奔走する翔子。やがて彼女は岸川の周辺に奇妙な変死が続くことに気づき…。命の尊厳を問う、医学サスペンス。
  • はやぶさ 遥かなる帰還
    5.0
    2003年、5月9日。内之浦宇宙空間観測所から、小惑星探査機「MUSES-C」が打ち上げられた。「はやぶさ」と名付けられたその探査機は、小惑星「イトカワ」のサンプルを持ち帰ることを目標に、長い宇宙の旅へと出発する。「はやぶさ」は「地球スウィングバイ」を経て順調に航行していくが、「イトカワ」到着の前後に、リアクションホイールが故障、エンジンも不調をきたし、次第に満身創痍となっていく。果たして、「はやぶさ」は星のかけらを採って、無事に地球に帰ってくることができるのか――。
  • エンブリオ 上
    3.8
    1~2巻440~550円 (税込)
    エンブリオ――それは受精後八週までの胎児。天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、異常な「医療行為」に手を染めていた。優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。神の領域に踏み込んだ先端医療はどこへ向うのか。生命の尊厳を揺るがす衝撃の問題作。
  • 石川くん
    3.9
    「啄木の短歌は、とんでもない!」と糸井重里さんも驚嘆。親孝行で清貧という石川啄木のイメージは大誤解だった!? 本当は仕事をサボって友達に借金をしては女の人と……。そんなサイテーな、だけど憎めない「石川くん」をユーモラスに描いた爆笑エッセイ集。<一度でも俺に頭を下げさせた/やつら全員/死にますように>など、啄木の短歌には衝撃の現代語訳つき。朝倉世界一の可愛いイラストも満載。
  • 波に舞ふ舞ふ 平清盛
    3.3
    武士が貴族よりも一段下に見られていた、平安末期。平家の総領息子・平清盛は、瀬戸内の海賊討伐の際、流れ矢に当たって命を落とした厳島神社の宮司の娘のことを忘れられずにいた。そんなある日、ふとしたきっかけで出会った幼い四の宮から「ホトトギスの子か」という言葉を投げかけられる。それはつまり、清盛が、父・忠盛の本当の子ではないという意味で、白川上皇を父に持つということだった。自分だけがそれを知らなかったという事にショックを受ける清盛だが……。傷つき、迷いながらも成長する青年・清盛を鮮やかに描く書き下ろし大河ロマン!
  • 迷宮
    3.5
    24歳のOLが、アパートで殺された。猟奇的犯行に世間は震えあがる。この殺人をめぐる犯罪記録、週刊誌報道、手記、供述調書……ひとりの記憶喪失の男が「治療」としてこれら様々な文書を読まされて行く。果たして彼は記憶を取り戻せるのだろうか。そして事件の真相は? 視点の違う“言葉の迷路”によって、謎は深まり闇が濃くなり──名人級の技巧を駆使して大命題に挑む、スリリングな異色ミステリー。
  • 午前0時の忘れもの
    3.8
    愛していれば、奇跡もきっと起こる――バスの転落事故で湖の底に沈んでしまった死者たちが、愛する人たちに別れを告げるために、午前0時に戻って来た! 深夜のバス・ターミナルでの、死者と生者の不思議な出会い。生きることの切なさ、命の輝き、そして人を愛することの素晴らしさを描ききった、赤川ファンタジーの傑作。(大林宣彦監督・映画『あした』原作)
  • 誇り高き週末
    5.0
    べらぼうな財産を代々相続する柳原家の当主、柳原一馬は今年で70歳。妻を亡くして40年、独身で子供もない彼が、突然再婚を宣言する。相手はなんと28歳! さまざまな思惑を抱いた一族がこの週末に、大富豪の花嫁披露パーティに山荘に集まることになった。そこに28歳で死んだ、柳原の妻、早苗が幽霊となって現れた…。愛と殺意の週末を描く表題作。盗聴趣味の中小企業社長に起きる週末の悲喜劇、他1編。
  • 回想電車
    3.9
    深夜の電車に乗った男が遇った昔の恋人、同僚、かつて一期一会の出会いをした親子。一夜のうちに過去と未来が交錯して、その翌朝は……。不思議な時間軸で描かれた表題作ほか、孤独と愛と死、そして希望が見え隠れする、全9篇を収録。さまざまな人生の断片をたくみに映し出す、優しさとほのかな怖さを秘めた傑作短篇集。
  • 吸血鬼株式会社(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.6
    神代エリカは「正統な」吸血鬼の父を持つ女子高生。彼女の身の周りで、怪奇な事件が次々と起こる。献血車が強奪されるのを目撃したり、後輩・かおるの祖父の死体が病院から盗まれたり……。無関係に見える個々の事件だが、エリカと親友たちの捜査で、それらが一本の糸でつながっていることが判明する。だが、謎が明らかになるにつれ、危険が迫り!? 全三篇を収録した、大人気シリーズ第二弾!
  • 吸血鬼はお年ごろ(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.9
    女子高生の神代エリカ。高校生活最後の夏、エリカの通う女子高のテニス部員たちが、合宿中に喉を噛み切られたような傷を残し、失血状態で惨殺された。吸血鬼の仕業だ、という騒ぎの中、エリカは事件の解明に立ち上がる。実はエリカは「正統な」吸血鬼の父クロロックと人間の母の間に生まれた吸血族の一員なのだ……! 父と共に真相を追うが、犯人によってエリカの親友・みどりがさらわれて!?
  • 祝女
    3.5
    ユリとマキ。性格も男の趣味も全然違うが、なぜかウマが合う二人。いつものようにユリの家で手料理をパクついていたマキが〈今はお友達シリーズ〉と書かれたアルバムを見つけて手に取る。「あれ? これって、ユリの元カレ達?」(「ユリ&マキ 元彼?」)  NHK総合テレビで放送、大反響の“オンナの本音系コメディ”をノベライズ。思わずニヤニヤちょっぴりキュン! なんだか元気になれる短編集。
  • 砂のお城の王女たち
    4.0
    海外赴任から五年ぶりに戻った青年。久々に入った自分の部屋は、買った覚えのないインテリアで飾られ、きれいに掃除がされていた。不思議に思う彼の前に現れたのは、小学生の女の子二人。彼女たちは「あなた誰? 私たちの家に勝手に入らないでよ!」と言ってきて…。表題作のほか4編を収録。大人の思惑のはるか上を飛び回る子供たちが繰り広げる、リアルでちょっぴりダークな大冒険!
  • プリンセスはご・入・学(南条姉妹シリーズ)
    5.0
    南条家の星、サッちゃん(幸子)が、名門四ツ葉学園小学校にご・入・学! 母・麗子や、その双子の妹・美知をはじめ、南条一家はお祭り気分。ところが、麗子が父母会長に選ばれた途端、殺人事件が……。父母たちの人生模様を織り込みながら、四ツ葉学園をめぐる怪事件を軽快なテンポで描くユーモア・ミステリー。大好評「南条姉妹シリーズ」第4弾。
  • 南極。1/2
    -
    1~2巻550円 (税込)
    丸い肉塊に黒い縦筋が十数本。その不気味な肉質が蛇腹のように縮んで、にゅう、と眉毛が八の字になった──人気最低の四流小説家、南極夏彦(通称・簾禿げ)と編集者たちが繰り広げるナンセンスギャグの極致が、ついに電子化。秋本治とのコラボレーションなど、豪華連作の前半4編を収録。悶絶必至、京極先生のギャグ小説が読めるのは集英社だけ!
  • どすこい。
    3.8
    地響きがする──と思って戴きたい……相撲取りの討ち入りを描く「四十七人の力士」、肥満ミトコンドリアが暴れる「パラサイト・デブ」などなど数々の名作を下敷きに、パロディの極北を目指したお笑い連作巨編がついに文庫化。炸裂する京極ギャグの奔流に、いつしかあなたは肉の虜となる。しりあがり寿先生の4コマも読めるし、解説には大盛肉子ちゃんがゲスト出演。全編でぶのちゃんこ盛り!
  • 凍える月 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season IV
    3.8
    僕はいったい、どんなことでなら頑張れるんだろう…。勝利は本格的な就職活動の時期を迎えるが、自分が何をやりたいのかがわからず、漠然とした将来への不安を覚える。そして、いま、大きな困難に直面しているかれん。仕事のこと、おばあちゃんのこと、悩みながらも精一杯お年寄りの世話をする日々。責任とは、社会的立場とは…。大人への転換期に戸惑う勝利。セカンドシーズン第4弾。
  • 消せない告白 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season III
    3.9
    楽しい焼肉パーティー…のはずだった。オーストラリアから一時帰国した秀人さんを囲んだ、にぎやかな会が、一転激しい兄弟ゲンカに。さらに運の悪いことに、仲裁に入った勝利の頬に強烈なパンチが入った。顔面が腫れ、歯を失い、部活を休んだ勝利のもとを星野りつ子が見舞いに訪れ、これまでとは違う一面を見せる。一方、かれんはひとり悩みを抱えているが…。セカンドシーズン第3弾。
  • あの空の下で
    3.6
    初めて乗った飛行機で、少年は兄の無事を一心に祈っていた。空は神様に近いぶん、願いが叶う気がして――。機上で、田舎の駅で、恋人が住んでいた町で。ささやかな、けれど忘れられない記憶を描いた12の短編と、東南アジアから北米まで、6つの町での出会いをつづったエッセイの詰め合わせ。ANAグループ機内誌『翼の王国』人気連載をまとめた、懐かしくいとおしい、旅情を誘う作品集。
  • 黒鍵は恋してる
    5.0
    高校一年生のあかねは夏休み最後の夜、向かいのマンションで起こった殺人の瞬間のシルエットを目撃した。同じ夜、階上に越してきたピアニスト志望の女の子、真音と知り合い、二人はたちまち友達になる。翌日、あかねは刑事の訪問を受け、殺された女性は誰かの愛人で、部屋の持ち主は人気ロックシンガーであることを知って、好奇心と恐怖でいっぱいになるのだった…。危険な恋と友情の長編ミステリー。
  • グリーンライン
    3.6
    公園で襲われた不幸な夜から7年。そのショックで眠り続けた秋川裕果は突然めざめた。長い眠りからさめたとき、常に安全ゾーンを歩くようにしつけられていた女子高生は25歳になっていた。病院のベッドで、ただ茫然とする彼女の前に現れた刑事の話を聞くうちに、あの夜の記憶が甦ってきた。やがて不審な出来事が起こり始める。時効直前、忘れられていた犯罪が再び目をさます…。
  • 親しき仲にも殺意あり
    3.0
    平田結美と森口容子は幼稚園からずっと一緒の仲良しコンビだった。20年後、律儀でしっかり者の容子は刑事に、早くに両親を亡くした結美は明るくがんばりやのОL、実は腕利きの殺し屋になっていた。そして一人の男の命をめぐって、守る側とつけ狙う側とに分かれてしまった。皮肉な運命が、親友二人を対決に追い込む……。愛と友情をほろ苦く描く長編ミステリー。
  • 湖畔のテラス
    4.0
    妻に仕事といつわり、若い愛人と晩秋の湖を訪れた男に待ち受ける、妻のむごい仕打ち。霧に包まれたホテルで起きる愛の悲劇を描く表題作。ガールフレンドに招かれ、孤島の別荘に遊びに行った大学生が体験する恐怖の夏休みを描く「砂に書いた名前」など、何気ない日常生活の中にある愛と嫉妬が生み出す、ミステリアスな6つの物語。
  • あの角を曲がって
    5.0
    19歳の女子大生の涼子はエリートサラリーマン・内島と不倫の関係にあったが、その関係が彼の妻・通江にばれてしまう。涼子は「必ず彼を奪ってみせる」と心の中で決意する。涼子を慕うが想いを告げられぬ田辺は同級生の彰子に苛立ちをぶつける。一方涼子の妹・淑子は田辺に恋している。錯綜する愛の行方を描くラブロマンス。
  • 哀愁変奏曲
    5.0
    ハープの調べに愛がめばえ、シンバルの響きに、幼い日の残酷な思い出がよみがえる。ピアノのささやきは作曲家を夢みて、やがて挫折した青春の日々の追憶に誘う。懐かしきイングリッシュホルンの音色に女の哀しい人生模様が込められる。音楽と楽器を巡って奏でられる、愛と哀しみと恐怖のメロディ。連作ホラーサスペンス。
  • スクールバスは渋滞中(南条姉妹シリーズ)
    5.0
    ご存知、南条家の双子姉妹。外見は瓜ふたつ、ライフ・スタイルと性格は正反対。姉の麗子は純粋培養型箱入り奥さま。妹の美知は“暗黒通り”の女ボス。4歳になった麗子の娘・サッちゃんが通う名門幼稚園のスクールバスに爆弾がしかけられた。裏で糸を引くのは学園の土地乗っ取りを企む悪いヤツ。南条家のプリンセスの無事救出をめぐって一家が大活躍する、シリーズ第3弾。
  • ベビーベッドはずる休み(南条姉妹シリーズ)
    5.0
    南条家の双子姉妹。顔はそっくりだが性格は正反対。のんびり屋の姉・麗子は結婚して一児の母となったが、妹・美知は相変わらず“暗黒通り”の女ボス。赤ん坊のサッちゃんを囲んで順風満帆の南条ファミリーを狙う不審な影、影、影。ある日、邸の地下室から若い女の死体が発見され、サッちゃんが消えた…。一家を襲う怪事件に立ち向かう双子コンビの冒険がはじまった…。
  • 瑠璃でもなく、玻璃でもなく
    3.6
    美月・26歳・未婚・OL・妻がある会社の同僚と不倫中。英利子.・34歳・既婚・専業主婦・子供なし。バリバリ働く友人を最近眩しく感じている。将来像を描けない不安を抱える美月と、単調な毎日に漠然とした不満を覚える英利子。恋も家庭も仕事も自由な時間も、他人にあって自分にないものは妬ましい。女はどこまで欲張りなのか。結婚という選択はどれだけ女の人生に影響を与えるものなのか。
  • ウェディングドレスはお待ちかね(南条姉妹シリーズ)
    4.0
    「その結婚はおやめなさい。ハネムーンの帰り道、棺で戻ってくるつもり?!」 双子姉妹の姉・麗子の挙式直前、正体不明の女が謎の忠告。名門・南条家はパニックに陥った。一計を案じた母は、妹で暗黒通りの女ボスと呼ばれる美知に助けを求める。純情可憐のんびり姉と、ケンカなら負けない妹という、対照的なお嬢様姉妹がまき起こす恋と冒険のユーモアミステリー。好評の南条家姉妹シリーズ。
  • 約束 村山由佳の絵のない絵本
    3.9
    自分たちにできないことは何もないと信じていたあのころ。ケンカをしても、いたずらして怒られても、ただ一緒にいるだけで楽しかった……。子どもに読ませたい物語を大人になったいま、読んでみると、深いところで切なく心に響く。打算なくつきあっていた友だち、当たり前のように思っていた親からの愛情。自分の中にあった真っ白な心。村山由佳が子どもむけに発表した三篇の絵本を文字だけで再構成。
  • 逝年
    4.1
    人生にも恋愛にも退屈していた二十歳の夏、「娼夫」の道に足を踏み入れたリョウ。所属するボーイズクラブのオーナー・御堂静香が摘発され、クラブは解散したが、1年後、リョウは仲間と共に再開する。ほどなく静香も出所するが、彼女はエイズを発症していた。永遠の別れを前に、愛する人に自分は何ができるのか? 性と生の輝きを切なく清澄にうたいあげる、至高の恋愛小説。傑作長編『娼年』続編。
  • ハムレットは行方不明 上
    5.0
    大学の写真部顧問、衣笠教授は三年前に兄を交通事故で失い、やがて兄の未亡人を妻に迎え教授の地位も受け継いだ。父の事故死に疑惑を抱いた息子の久志は失跡し行方不明…。ある日、女子大生・綾子が新宿の歩行者天国で撮った一枚の写真を見て衣笠教授は顔色を変えた。そこには失跡中の義理の息子、久志が写っていたのだった。久志は何故姿を現わしたのか。青春ミステリーの前編。
  • 幽霊物語 上
    4.5
    1~2巻440円 (税込)
    霧深い夜の高速道路で交通事故に遭った青年社長・山岡重治はなんと突然“幽霊”になってしまった。あっという間の自分の死が信じられず戸惑う山岡の前に、夜道で暴漢に殺された幽霊少女・郁子があらわれた。たちまち親しくなった二人は、それぞれの家庭をのぞきに行くことになった。盛大な葬儀が営まれる山岡邸には、社長のポストをめぐる陰謀の臭い。郁子の家では娘殺しの犯人を追う父親が殺されていた!
  • 毒 POISON
    3.7
    わずか一滴で致死量に達し、しかも検出不可能という完全犯罪を約束する毒の小ビン。愛人をうとましく思う週刊誌記者から刑事、女性タレント、首相暗殺を企てる過激派へと“毒”は人々の手を転々とする。人々の心の深奥に潜む殺意を横糸に、軽妙な恋のかけひきを縦糸にからませたオムニバス長編ミステリー。

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