歴史・時代作品一覧

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  • 火花散る おいち不思議がたり
    3.9
    この世に思いを残した人の姿が見えるという不思議な能力を持つ娘おいちは、父のような医者になることを夢見て、菖蒲長屋で修業を積んでいた。そんなある日、おいちの前に現れた女が、赤子を産み落としてすぐ姿を消し、殺される。女は一体、どんな事情を抱えていたのか。そして母を亡くした赤子の運命は? 殺された女の、聞こえるはずのない叫びを聞いたおいちは、思わぬ事態に巻き込まれていく。一方、おいちの父のもとには、老舗の薪炭屋の主人と内儀が訪ねてきていた。母・おきくの病を治してほしいという。店を訪ねたおいちは、鬼女の顔を宿したおきくの心の闇を感じ取る。二つの出来事は、思いがけない展開を見せていき……。悩みながらも強く生きたいと願うおいちに想いを寄せる新吉、凄腕の岡っ引・仙五朗、そして個性的なキャラでおいちを見守る伯母おうたも健在。人気の傑作時代ミステリー「おいち不思議がたり」シリーズ第四弾。

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  • 戦死 インパール牽制作戦
    5.0
    昭和21年2月9日、元陸軍大佐棚橋真作はGHQからの出頭命令に接して、古式通りの割腹自殺をとげた――著者は、その死に疑問をいだき、間近に迫っていたインパール作戦の陽動作戦として実施された「ハ号作戦」に参加した第55師団の生き残りの人々の証言や日録を克明に調べていくうちに花谷正師団長の部下への自決強要の問題が浮かび上がってくる。軍隊という巨大な組織の冷酷無残な非人間性を描いた戦記文学の傑作。著者のインパール五部作の一冊。
  • 昭和史をどう生きたか 半藤一利対談
    4.0
    「昭和史」対話篇、待望の文庫化。 『世界史のなかの昭和史』が刊行され、代表作「昭和史シリーズ」が完結――それらのエッセンスを、12本の対談で理解できる! あの戦争の指揮官たちのそれぞれの戦後。 硫黄島の戦いに殉じた栗林中将の手紙。 東京空襲の夜に凧を揚げていた少年。 「阿部定事件」で中断した国会。 反安保デモの終わった夜――。 激動の「昭和史」を目撃した半藤氏と12人の対話がポスト平成時代に問いかける。 「私たちは『昭和』をこう生きた。君たちはどう生きるのか?」 もはや対談者の多くが鬼籍に入られたいま、この本そのものが「昭和史」です。 〈対談者とテーマ〉 ●澤地久枝――ふたつの戦場 ミッドウェーと満洲 ●保阪正康――指揮官たちは戦後をどう生きたか ●戸高一成――なぜ日本人は山本五十六を忘れないのか ●加藤陽子――天皇と決断 ●吉村昭――東京の戦争 ●梯久美子――硫黄島と栗林忠道 ●野中郁次郎――撤退の本質 ●野坂昭如――繁栄という名の貧窮 ●宮部みゆき――熱狂の昭和 ●丸谷才一――戦争と艶笑の昭和史 ●佐野洋――清張さんと昭和史 ●辻井喬――希望と喪失の世紀
  • おたふく 山本周五郎名品館I
    4.4
    没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。 山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができる傑作短篇集の決定版! 生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。 その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。 市井に生きる庶民の哀歓、弱き者の意地、男と女の不思議など、特に時代小説に傑作が多く、その数も膨大なものがある。 山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。 第1巻は「一丁目一番地のひと」と題して、周五郎作品に登場する女性像を分析する。 本書の収録作は以下の9篇。 「あだこ」(絶望した武士を立ち直らせるけなげな娘) 「晩秋」(仇である老臣の立派さ) 「おたふく」(かわいい女) 「菊千代抄」(男として育てられた君主の哀しみ) 「その木戸を通って」(ふっと来て、ふっと消えた女) 「ちゃん」(酔っ払いだが腕のいい職人の父親) 「松の花」(妻に死なれて初めて知る妻の偉さ) 「おさん」(自分の性に翻弄される女を追って) 「雨あがる」(おおらかな浪人とその妻)
  • 六歌仙暗殺考
    3.3
    不可解な心中事件から始まった連続殺人の謎に挑む、名探偵・南条圭の推理。殺害現場には僧正遍昭、在原業平といった六歌仙の歌仙絵が、つねに残されていた。犯人を追う鍵は六歌仙の秘密にあるのだろうか。最も現代的な舞台設定と懐しい探偵小説の世界。古典と現代を結びつける、井沢元彦の歴史ミステリー。
  • 緒方洪庵 浪華の事件帳 : 1 禁書売り〈新装版〉
    4.0
    2009年に「NHK土曜時代劇」で連続ドラマ化された人気作が、本年、舞台でお目見え! 5月に「大阪松竹座」「新橋演舞場」で相次いで公演(公演名「蘭 RAN 緒方洪庵 浪華の事件帳」主演/藤山扇治郎・北翔海莉)されることを記念し、傑作シリーズ2作を新装版、同時刊行!! 備中から大坂に出て思々斎塾で勉学に勤しむ緒方章(後の洪庵)は、師匠の言いつけでご禁制の蘭学書を入手するため、禁書売りと取り引きする。だが、その男が殺され、章は否応なく事件に巻き込まれる……。物語の幕開け、第1弾!
  • 孤狼 おたすけ源四郎嵐殺剣
    -
    大坂の陣で敗れた戦国武士、萩原源四郎は、御家再興の夢もあきらめ、江戸で用心棒となっていた。我流ながらも剣の腕は達人。そして、周りに呆れられるほどの女好きでもある。寛永三年冬―仲間の鳥海伊織とともに源四郎が依頼された仕事は、正体不明の浪人や忍びが襲いくる危険極まりないものであった。依頼人である美姫に隠された、天下を治める剣の謎。揺れる江戸幕府の重臣たち…。柳生新陰流の剣豪がそれぞれの思惑で動きはじめた!迎え撃つは源四郎の我流殺法、嵐殺剣!刃風と血飛沫の向こうに見えた意外な黒幕とは。
  • 悪大名裁き 鬼神観音闇成敗
    -
    大川端で浪人や町人を無差別にねらった辻斬りがたてつづけに起こった。その亡骸の背には、刃物による不自然な三筋の傷跡が……。北町奉行所隠密廻り同心の沼上大蔵をはじめとする「闇成敗」の面々は、下手人の作為のあるやり口に不審を抱き、探索に乗り出す。やがて彼らがたどりついたのは、とある大名屋敷で行われている悪逆非道な殺戮だった。なぐさみのために無辜の者を殺し、異端の流派の剣士同士を御前試合で殺し合わせ、それに飽き足らぬ藩主が市中における辻斬りまで行わせていたのだ。憤怒に燃える沼上同心は、三十八文見世「銭屋」の面々とともに極悪どもに挑む。だが、対する敵の剣士は魔剣妖剣揃いの強者だった!
  • 闇に咲く おいち不思議がたり
    3.9
    「あそこには、人を喰らう鬼がいるんです」江戸深川界隈で立て続けに起きた夜鷹殺しに怯える女の、悲痛な叫びがこだまする。そんななか、この世に思いを残した人の姿が見えるおいちの前に、血の臭いをまとった男が現れる。商家の若旦那だというこの男は、亡き姉の影に怯えていた。おいちに助けを求めてきた男は、事件に関係しているのか、それとも――。腹を裂くという猟奇的な手口に衝撃を受けたおいちは、岡っ引の仙五朗と力をあわせ、ある行動に出るのだが……。父・松庵のような医者になりたいという思いを胸に秘め、18歳になったおいちは、事件の糸口を見つけ、解決することができるのか。生き方に悩みながらも、強く生きたいと願う女性を描いて人気の青春「時代」ミステリーシリーズ第三弾!

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  • 光秀叛逆の血脈
    -
    野望説、怨恨説、黒幕説、突発説……本能寺の変の要因については、さまざま取り沙汰され、現在でも新たな説が出てくる度に、世間の関心を集め続けている。果たして何処に真実があるのか!?明智光秀は元々、源氏一族の土岐氏の支流を標榜し、その血脈に矜持を持っていた。よって、足利義昭に近侍し、幕臣となったことは殊の外名誉であった。だが同時に織田家の家臣に招かれたことで運勢の歯車は狂いだす。義昭と信長の対立が激化、義昭が京を追われるのだ。新しき世の構築の可能性を模索しながら苦悩を深める光秀──。そして運命の天正十年六月二日は着実に迫りつつあった!日本史上最大のミステリーとも言われる本能寺の変の真実に迫る意欲作!!
  • ゆらやみ(新潮文庫)
    3.3
    幕末の石見銀山。間歩(まぶ)と呼ばれる鉱山の坑道で生まれたお登枝は、美貌を見込まれ女郎屋に引き取られた。初めて客を取る前の晩、想いを寄せる銀掘の伊夫を訪ねるが、別の男に襲われる。とっさに男を殺め、窮地を救ってくれた伊夫と身体を重ねたお登枝。罪と秘密をともに抱えた二人の行く末は――。変わりゆく世を背景に、宿命を背負った男女の灼けつくような恋を官能的に描き切った力作時代長編。
  • 消滅世界 上
    3.7
    長野の山奥で起こった住民消失事件。それを解決するため派遣された陸上自衛隊特殊部隊サイレント・コアの土門康平一佐は、その現場でひとりの少女を保護する。彼女の体内には見たこともないメモリ機器が埋め込まれており、そこには動画データが――この世界にはもういない人物から、司馬と姜を名指しして「自分たちを助けてほしい。われわれが全滅したら、この被害は拡大するだろう」というメッセージが記憶されていた。検証を重ねた結果、土門は最強コマンド・司馬は残し、原田&姜小隊を連れ、《彼》の救出を決意するが……。
  • 合本 秋山久蔵御用控 全30巻【文春e-Books】
    5.0
    主人公の南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、心形刀流の遣い手。“剃刀久蔵”と称され、悪人たちに恐れられている。何者にも媚びへつらわず、自分のやり方で正義を貫く。 「町奉行所の役人は、お奉行の為に働いているんじゃねえ、江戸八百八町で真面目に暮らしている庶民の為に働いているんだ。違うかい」。 大人気の時代小説シリーズ「秋山久蔵御用控」全30巻を、合本としてまとめました。
  • ふろしき同心御用帳
    -
    1~7巻660~715円 (税込)
    奉行所に出仕するのが大嫌いな定町廻り同心の近藤信吾。代わりに決まって行く先は船宿の「千成」で、瓦版屋の栄吉や医者の八朔、女将のお蔦らに大げさな自慢話を聞かせて過ごす。されど騒ぎが出来すれば、己の義と情をたぎらせて、刀と大法螺で一件落着。広げた風呂敷は必ず畳む! 粋な男の活躍と江戸の町に住む個性豊かな人びとが織りなす痛快無比の時代シリーズ第一弾! 『ふろしき同心御用帳 恋の橋、桜の闇』改題。
  • 黎明の艦隊(1) 真珠湾攻撃中止命令
    -
    天皇の勅命によって、真珠湾攻撃中止命令が下された。しかし、この命に従わず、謀略作戦を繰り広げる陸軍を、東条英機と「影の組織」が渾身の力をふり絞って阻止する。そして2年。海軍は大艦巨砲を廃し空母主体の大機動艦隊、「新八八機動艦隊」を誕生させた。そして、いままさに、その夢の空母艦隊が、怒濤の海にその全貌を露呈する。荒唐無稽な小説を粉砕する待望の大型新人ついに登場。
  • 本懐
    3.3
    討ち入りの真の目的は――(「親心腹」大石内蔵助良雄)/わが人生は裏切りの連続だった――(「応報腹」織田信長)/幕府御用絵師、衝撃の切腹(「持替腹」)/大政奉還直後若年寄とになった外様大名の策とは(「漸く腹」堀長門守直虎)/おいがもっと早くに死んでおれば――(「漸く腹」西郷隆盛)/死の間際まで、夢枕にたった亡霊の正体は――(「不切腹」今川義元) “切腹の間際”を時代小説の雄が描き出す傑作短編集。
  • 海賊の日本史
    4.0
    藤原純友、松浦党、倭寇、村上水軍。海に囲まれた日本列島は、古来、「海賊」と呼ばれる人びとの活動の舞台だった。様々な地域で活躍した様々な「海賊」たちの存在を通して日本の歴史を読み直す、ユニークな日本史の試み。
  • 時代小説がもっとわかる! 江戸「仕事人」案内
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 時代小説を100倍楽しむためには、1時代背景を知る、2生活文化を知る、3人物を知る、この3点が重要です。 しかし、それ以上に大切なことがあります。 それは江戸時代の「仕事」や「職能制度」を知ることです。 江戸時代は世界に類例を見ない幕藩制度に支えられた特殊な時代で、当時の政治体制ならではの「仕事」がたくさん存在しました。 本書は「仕事人」が描かれた時代小説を紹介しながら、江戸時代の「仕事」を解説していく、まったく新しい視点の時代小説読本です。 100万人の時代小説読者の机上を飾る、スーパーエンターテイメントになります。
  • 勇気をくれる日本史 誰も知らない偉人伝
    値引きあり
    5.0
    日英同盟の影の立役者・柴五郎、インドネシア開放の父・柳川宗成、沈み行く船の艦長・佐久間勉、神様になった警察官・増田敬太郎…博多の歴女が、知られざる日本の英雄たちを語る! ※本書は二〇一四年一月に小社より刊行された単行本『日本人の知らない日本がある こころに残る現代史』を改題し、加筆・修正して文庫化したものです。
  • 武蔵坊弁慶(一)玉虫の巻
    4.3
    源氏再興に義経と行動を共にし、衣川で果てたわれらが弁慶は、身の丈2メートル、130キロの巨躯にみなぎる怪力に似ず、美女・玉虫との恋に身を灼く純情な青年でもあった。正義感に燃えてふるった蛮勇のせいで比叡山を追われた弁慶を待つものは……。剛力無双のヒーロー・弁慶の波乱万丈の生涯を描く痛快巨編。男の強さ、優しさ、哀しさがみなぎる、NHK大型時代劇原作にもなった全10巻。
  • 青江鬼丸夢想剣
    -
    刀鍛冶に育てられた美少年・次郎丸は、一刀流奥義"夢想剣"の会得と引き換えに師匠・伊藤一雲斎を斬り、育ての親を見殺しにする。非情の剣鬼と化した彼は「鬼丸」と名を変え江戸を目指すが、謎の魔手が行く手を阻む。やがて幕府を巻き込む大騒動が!? 吉宗暗殺を目論む異能集団と新陰流一門に挑む、瞠目の剣豪小説。
  • 三鬼の剣
    -
    天下無敵の剣、無住心剣流の奥義を極めた弟子に譲られる、長谷川道場主の座。常陸幻鬼、三河水鬼、出羽猿鬼の三鬼が修業から江戸に戻り、比留間道場三兄弟との因縁の対決が始まった。息づまる死闘と謎の数々。加えて直心影流毬谷直二郎の剣の冴え。乱歩賞作家が初挑戦したミステリーと剣豪小説の二刀流!
  • はぐれ用心棒 仕置剣
    4.0
    飯炊き下手な独り身の男ばかりが住み、夕餉どきには飯のこげる匂いが立ちこめるため“おこげ長屋”と呼ばれる浜町堀の裏長屋。元南町奉行所の定町廻り同心・伏木真九郎と、養子縁組をしくじって家を出た御家人の次男・蓮見健吾は、大家の為五郎から用心棒の仕事をもらい、細々と暮らす長屋の住人。ある日、二人のもとに刀傷を負った浪人が転がりこんできた。男は倉内又之助。藩のお家騒動の罠にはまり、脱藩してきたらしい。だがこの又之助、なかなかの剣の遣い手で、度重なる真九郎たちの危地を救うことに…。理不陣な理由でそれぞれの居場所を失った三匹の浪人が、立ち向かう悪の数々。ところが、その背後には又之助を狙う刺客の影が…。痛快時代長編。
  • 三国志外伝
    3.4
    「いつの世でも、人が生きてゆくということは、むずかしいものである」(序より) 正史にもとづいた大作『三国志』全12巻を書き上げた著者が、時代の潮流の外にいながらも忘れがたい12人の生涯をたどった。 『三国志』をあらわした陳寿(ちんじゅ)、輝ける倫理観と志望をもっていた太史慈(たいしじ)、魏の名臣・王粲(おうさん)・・・。 ある者は、権力者や政治の中心に近づきながら、遠ざかることを余儀なくされた。その苦難をどのようにしのいだのか。曹操、孫権、劉備、関羽といった英傑たちとはことなり、歴史の中で一瞬だけ輝いた人生。その輝きが愛惜の念とともに描かれる。 著者による後漢・三国年表つき。
  • 御町見役うずら伝右衛門(上)
    -
    うずら小屋の番人とは、世を忍ぶ仮の姿! 「うずら伝右衛門」こと志摩銀之丞は、尾張藩主・徳川宗春の「隠秘御用」を務める御側足軽で居合の達人。質素倹約で享保の改革を進める将軍・吉宗に対し、景気刺激策をとる宗春の命を受けた伝右衛門は、下屋敷内に東海道五十三次を模した町屋を造成することに!?
  • 縄文人の死生観
    3.8
    土器に納められた生後間もない赤ちゃんの遺体。妊娠線が刻まれた臨月の女性土偶。抱きあって合葬された親子の墓。顔にイヌを乗せて埋葬された女性――。縄文の墓や遺物は、精一杯の生を送り、ときに病魔や死の恐怖と闘った何千年も昔の人びとの姿を雄弁に物語る。そしてその背後に広がる、自然や母胎への回帰、再生をめぐる死生観とは? スピリチュアルブームや散骨葬など、現代日本人の死のあり方をも照らし返す、墓の考古学。 *『生と死の考古学 縄文時代の死生観』を改題し文庫化したものです。 【目次】  まえがき──墓を研究するということ  プロローグ──発掘調査の現場から 第一章 縄文時代の墓とその分析 第二章 土中から現れた人生──ある女性の一生 第三章 病魔との戦い──縄文時代の医療 第四章 縄文時代の子供たち──死から生を考える 第五章 縄文の思想──原始の死生観  エピローグ  文庫版あとがき
  • 信長殺すべし
    3.5
    天正十年六月二日、明智光秀は本能寺に信長を討つ。果して黒幕は存在したのか、したならばそれは誰なのか。幾多の仮説を生んだ日本史史上最大の謎がいま明らかに。誰も気付かなかった歴史の真実、そして新事実の発見により導き出された驚愕の真相とは!? ミステリー界の気鋭がものにする超本格歴史推理。
  • 耶律徳光と述律(上)
    3.0
    契丹国の皇帝・耶律阿保機は、渤海攻略中に命を落とす。後継者には、彼の妻・述律の後押しで、凡庸だと思われていた徳光が選ばれた。彼は凄まじい勢いで契丹をまとめ、晋に侵攻する。やがて、晋を滅ぼし、「大遼」を建国するが……。
  • 李嗣源(上)
    3.0
    中国の唐代末期。遊牧民の有力者を父親に持つボギレは、その能力を河東の王・李克用に見いだされ、その仮子となる。やがて、李克用の息子・李存勗が皇帝になるが、彼の政治を顧みない態度に、李嗣源の不満は高まっていく。稀代の名君を描く中国歴史巨編。
  • 朱温(上)
    3.0
    朱温は奴僕の身ながら、謎の男・李我に武術と兵法を学び始める。彼は唐王朝への反乱軍・黄巣の乱に参加して頭角をあらわし、やがて後梁を建国して皇帝の座を手に入れるのだが……。朱全忠の一生を描ききった、著者渾身の中国歴史小説。
  • 縄文土器・土偶
    4.5
    縄文人はどんな人たちだったのか? その謎を解く鍵は、彼らが使った道具にあった! 日本各地でつくられた土器・土偶。その造形は摩訶不思議で奇天烈だが、意表を突く原始的な力強さを持つ。火焔土器、ミミズクやハート形の土偶などから、自然と共存した生活や交流・精神世界までもが見えてくる。縄文の主要な作品をカラー写真と最新の科学的知見を盛り込んだ解説で紹介。縄文時代の国宝全6点を含む図版 100 点超えの入門書の決定版。
  • 柳生百合剣
    -
    柳生十兵衛は、父・宗矩の命で大和国柳生ノ庄に蟄居の身となる。ある夜、柳生一族累代の菩提寺に謎の念仏僧集団が現れ、柳生新陰流太祖・石舟斎宗厳の遺骸を奪い去った。抗する柳生の遣い手たちをことごとく斬殺して…。やがてさらなる災厄が柳生を襲う。新陰流自体が“消滅”し、遣い手たちがことごとく無力化してしまったのだ。なぜか唯ひとり難を逃れた十兵衛は、江戸の柳生屋敷に向かうが、いつしか将軍家をも揺るがす陰謀に巻き込まれ…。  波瀾万丈の伝奇時代小説。「電子版あとがき」を追加収録。 ●荒山徹(あらやま・とおる) 1961年富山県生まれ。上智大学卒。新聞社、出版社勤務を経て、朝鮮半島の歴史・文化を学ぶため韓国留学。延世大学校延世語学院韓国語学堂卒業。1999年『高麗秘帖』で小説家デビュー。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で三度、吉川英治文学賞新人賞候補となり、2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を、2017年『白村江』で第6回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。日韓交流史を主題とする時代伝奇小説を発表して注目を集めた。他の作品に『竹島御免状』『長州シックス 夢をかなえた白熊』『シャクチ』『キャプテン・コリア』など多数。
  • 柳生薔薇剣
    -
    故国・朝鮮との縁を切るために美貌の女性うねが、鎌倉東慶寺に駆け込んだ。朝鮮で虐げられ日本に永住を決意した朝鮮の人々を、強制帰国させるために朝鮮使節団が来日したのだ。幕府内の家光派と忠長派の対立や使節団の思惑もからみ、うね争奪をめぐって幕府は二分される。名だたる剣豪や忍者群の暗躍、朝鮮妖術師も加わり、血で血を洗う暗闘が始まった。  東慶寺住持・天秀尼に特別な想いを寄せる三代将軍家光は、柳生但馬守宗矩に密かに寺の守護を命じる。宗矩は、嫡男十兵衛を凌ぐ剣客でもある実の娘・矩香を男子禁制の東慶寺に遣わすが、そこに現れた人物こそは…!?  柳生新陰流と朝鮮妖術師の対決、三代将軍家光の密やかな恋、朝鮮出兵に隠された真実など、時代小説の面白さ満載の破天荒な力作伝奇長篇。「電子版あとがき」を追加収録。 ●荒山徹(あらやま・とおる) 1961年富山県生まれ。上智大学卒。新聞社、出版社勤務を経て、朝鮮半島の歴史・文化を学ぶため韓国留学。延世大学校延世語学院韓国語学堂卒業。1999年『高麗秘帖』で小説家デビュー。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で三度、吉川英治文学賞新人賞候補となり、2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を、2017年『白村江』で第6回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。日韓交流史を主題とする時代伝奇小説を発表して注目を集めた。他の作品に『竹島御免状』『長州シックス 夢をかなえた白熊』『シャクチ』『キャプテン・コリア』など多数。
  • 天下布武金融戦記
    -
    戦国時代の帰趨を決めたのは金融だった!? 光秀と信長、そして特殊弓兵「織田邪弓隊」と謎の女武者・卯月の戦いの異色歴史小説。 =目次= ・桶狭間一五六〇 邪弓隊、前へ! ・光秀の長い四日間一五六九 本圀寺の変 ・天正六年の行方不明一五七八 堺・大船御覧 ・信長の身代金一五八二 敵は本能寺にありの真相
  • 降りしきる
    4.3
    激しく降り続ける雨の中、女が一人壬生村の新選組屯所に駈け込んだ。好きで来たわけではない、と自棄ぎみにからむ芹沢鴨の女を、沖田総司や土方歳三は、強引に追い返そうとする。その夜、屯所内では凄惨な斬り合いが――。幕末から明治にかけて、時代の奔流に浮き沈みする男女の哀歓を描く、名作短編集。
  • 孫連れ侍裏稼業 脱藩
    3.0
    柳原通りで発生した辻斬りの下手人は、一太刀で首を刎ねる秘剣を操る手練。その男を始末する裏の仕事を引き受けた伊丹茂兵衛のもとへ、突如、国元である亀沢藩の目付がやってきた。凄腕の剣客との立ち合いを控え、気を引き締める茂兵衛に、彼らは驚くべき事実を口にした――。敵を追う茂兵衛と松之助に新たな局面。人気シリーズ、怒涛の第三弾!
  • 遠山金四郎が咆える
    3.5
    江戸所払いの刑を受けた罪人たちが、江戸の町に潜伏しているらしい。知らせを受けた北町奉行遠山景元、通称金四郎は早速探索を始める。そんな中、大鳥玄蕃という謎の儒学者の存在が浮かび上がった。彼が開く塾に、脛に傷を持つ御家人が多く集まっているという。不穏な空気を感じる金四郎だが、男の企てにすっかり翻弄されて――。シリーズ第三弾。
  • 世界を変えた 最強の戦闘指揮官30
    3.0
    凡将と名将を分けるもの――それは常に最前線に身を置き、状況の変化に即応できるかどうかだ。本書は、百戦錬磨の傭兵経験を持つ著者が、“ローマ史上最大の敵”と恐れられたハンニバル、激情と共に大戦車軍団を率いた異色の猛将パットンなど、世界を変えた最強の戦闘指揮官30人を厳選、その勝利の秘訣を解説していく。逆境と困難の時代に、戦場のリーダーシップを学ぶ一冊。

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  • 水戸黄門 天下の副編集長
    4.0
    『国史』が成らねば水戸藩は天下の笑いもの。一向に進まない編纂作業に業を煮やした前水戸藩主・徳川光圀公(実在)は、書物問屋の隠居に身をやつし、遅筆揃いの不届き執筆者どものもとへ原稿催促の旅に出た。お供は水戸彰考館の覚さん(実在)、介さん(実在)をはじめ、鬼机(デスク)のお吟など名編修者たち。まずは下田を訪れた御老公一行は、なにやら不可解な陰謀にぶち当たる! 痛快時代エンターテインメント。
  • 科戸の風の天の八重雲 囚われの媛神
    -
    長野県のとある山中で、古から封じられていた媛神という祟り神を解き放ってしまった大学生の十朱春生。しかし、祟り神というにはあまりにも弱々しく見える媛神に、春生はいつしか保護欲をかきたてられていく。一方、代々、媛神を封じ続けてきた御室忠行にとって、この世に混沌をもたらすとされる媛神は必ず封じ直さなければならなかった。果たして、媛神が招く災いとは? そして、春生の運命は…。日本神話をベースにした長篇伝奇小説。 ●加門七海(かもん・ななみ) 東京都生まれ。オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、怪談、エッセイ、フィールドワーク作品などを著す。最新刊は『お咒い日和 その解説と実際』(KADOKAWA)。小説に『目嚢』『祝山』『鳥辺野にて』など、エッセイ『猫怪々』『霊能動物館』『墨東地霊散歩』など多数。
  • 現代語訳 三河物語
    -
    徳川家の譜代として、主君を裏切ることなく代々奉公してきた大久保家。その家筋を誇り、子々孫々に至るまで忠勤にはげむことを説いた『三河物語』は、松平郷に興り家康に至るまでの徳川家九代の歴史を今に伝える重要古典である。著者の大久保忠教、通称彦左衛門は、歴史上名高い長篠の戦い(1575)や関ヶ原の戦い(1600)、そして自ら参戦した上田城攻め(1585)などの様子を生き生きと描写し、ときには「天下のご意見番」として、主君への憤懣をも隠さない。当時の俗語で書かれた難解な原文を、読みやすい現代語訳で送る。
  • 漱石センセと私
    3.6
    俳人・歌人の久保より江(1884-1941)の波乱万丈の半生を、名筆家・出久根達郎が情緒豊かに描いた長編小説! 漱石センセに恋い焦がれた少女時代、漱石の妻・鏡子との奇妙な絆、正岡子規から学んだ俳句、そして生涯の伴侶・久保猪之吉との出会い──。 松山に住む美少女が、漱石、鏡子、子規、高浜虚子、柳原白蓮らとの出会いや別れを通して、やがて大人の女性へと変貌を遂げていく。 「センセ」はどんな人なのか? 鏡子夫人は本当に「悪妻」だったのか? より江から見た、知られざる「夏目漱石」を描く!
  • 若き日の明智光秀
    2.0
    美濃明智城の落城後、光秀は若くして諸国放浪の旅に出た。知謀の将、北条氏康。上洛を窺う今川義元。天才武将、武田信玄。そして運命の人、織田信長。――権謀術数渦巻く戦国の英雄たちとの出会いの中で、光秀は何を見、何を学んだのか。優れた知性と誠実さとを備えた光秀を本能寺へと駆り立てたものは何だったのか。『明智軍記』にヒントを得、練達の作家が史実と想像力とを駆使して、新たなる光秀を描く。渾身の書き下ろし長編。
  • 直江兼続と妻お船
    3.7
    戦国の上杉家を支える二大巨頭の重臣のひとつ、直江家には一粒種の娘“お船”がいた。後継者となる嫡子のいなかった直江家では、男子の様に活発な少女として育てられ、のちに鎌倉時代の女傑・北条政子にも比肩される器量をもった、聡明な女性となる――。謙信が死去すると、その養子同士の景勝と景虎の間で、越後を二分する熾烈な跡目争い「御館の乱」が勃発する。直江家は景勝を支えて勝利するも、お船は愛する夫を暗殺されてしまう。悲嘆にくれるお船の再婚相手として、三歳年下の幼馴染みである“兼続”が婿に選ばれたことから、戦国を代表する名軍師・直江兼続が生まれ、二人の運命は大きく動き始める。幾多の困難を乗り越えて結ばれたお船と兼続の戦国夫婦ぶりは、「前田利家と松」「山内一豊と千代」に勝るとも劣らない。秀吉・家康の天下人を相手に、内紛で弱体化した上杉家の危機を救った男と女の物語を鮮やかに描いた力作小説!

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  • 前田慶次郎と直江兼続
    -
    「天下御免の傾奇者」前田慶次郎と、「義と愛の将」直江兼続。かたや己が自由を貫き通した生粋の武辺者であり、かたや上杉謙信の“義”の心を受け継いだ越後の若き宰相だ。立場も性格もまったく異なる二人が互いに惹かれ合い、家康の天下掌握の野望を目前にして共闘がついに実現――。慶次郎の謎に包まれた前半生を追いつつ、戦後屈指の“莫逆の友”を生んだ運命の出会いを描く!

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  • 炎剣が奔る 居眠り同心影御用23
    3.0
    第6回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞受賞 真夏の夜の奇妙な捕物。賭場が忽然と消えた! 更に謎の毒殺事件も…。 五千石の大身旗本屋敷での怪談噺の会で居眠り源之助が目撃した幇間怪死事件! 盗人朝霧一味の一万両は? 源之助一家三人同心が挑む。 本所の妙法寺を五十人の捕方が囲んだ。寺社奉行からの応援要請で南町奉行所、火盗改も加わり踏み込んだ。ところが……。あるはずの賭場が消えた。寺の隣には、大番頭であった五千石の大身旗本・上柳右兵衛督安信の隠居屋敷があった。屋敷では病身の隠居のため、怪談噺の会が開かれているという。北町奉行所の元筆頭同心で今は居眠り番の蔵間源之助は、その会に招かれ…。
  • 天下無双の傾奇者 前田慶次郎
    4.0
    戦国の乱世をもっとも痛快に、自由奔放に生き抜いた武将――前田慶次郎。朱柄の鑓を縦横無尽に振るい、合戦では鬼神のごとき働きで敵陣を震え上がらせた。と同時に、たとえ主君に対しても命を賭けて己の意地を貫き通す“傾き者”として名を馳せていた。また武辺のみならず、古今典籍にも通じた風流人であり、家康に追い詰められて窮地に陥った上杉景勝・直江兼続の主従へ参陣するなど、「義」に厚い人物でもある。誰だろうと理不尽には屈しない、そんな周りが惚れ込むような反骨の男だったが、前半生は決して恵まれたものではなかった。本来、自分が継ぐはずだった前田家の家督を叔父の利家に奪われ、長く不遇の時代を強いられる。だが、天下統一を目指す織田軍の東征は乱世を大きく揺さぶり、この猛き武将を戦国最後の活躍の場へと解き放つのであった――。日の本を掌握した豊臣秀吉の前ですら、平然と傾いて魅せた「天下御免の傾き者」の生涯を描く!

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  • 奥州藤原四代記
    -
    わたくしたちが十二世紀において東北の僻陬の地に平泉政権をもったのは、歴史的事実にしても不思議な気がしてならない。政権の新都平泉の都は忽然と北上川の畔に出現した、絢爛たる、目もくらむばかりの寺院群を中心とした市であった。それは、京都ともちがう、考えられもしない異風の“蝦夷の人間と精神”の匂いのするむしろ大陸的な都市だった。どうして、このような都市が出現したのであろうか。(「あとがき」より) 暗躍する朝廷、源氏との確執、そして悲劇の末路……。奥州に燦然たる平泉文化を築いた父祖四代の本格的歴史小説。
  • 恋の川、春の町
    3.3
    女に愛され、ふざけながら、幕府に挑んだ男。 武士ながら戯作者として人気を博した後、謎の死を遂げた恋川春町。 六人の女を通して描く、その情けなくも愛おしい、不器用な生き様が胸に迫る――。 「妻は、くノ一」著者、全力の自信作! 駿河小島藩の年寄本役・倉橋寿平のもう一つの顔は、江戸で人気の戯作者・恋川春町であった。 戯作者としての矜持は、黄表紙を通じお上を批判しながら、人々を楽しませること。そして探し求めるのは、共に世の中を遊べる“菩薩のような女”――。 しかし、定信による娯楽の規制は厳しさを増してゆく。 女たちと関わりながら、定信からの呼び出しを無視し続ける春町だが、盟友の朋誠堂喜三二は筆を折り、さらに江戸一の人気戯作者の座は若き山東京伝に奪われつつあった。 悩みぬいた春町が辿り着く先は? 笑えて泣ける戯作者魂と恋模様を、洒脱な筆致で描ききった勝負作。
  • 友殺しの剣
    -
    「文芸ラジオ 1号」に掲載された「犬神」と、未発表の「友殺しの剣」をまとめた著者初の時代小説集。

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  • 暗殺春秋
    3.0
    研ぎ師の勝蔵は剣の師匠・奥山孫左衛門に見込まれ、暗殺者の裏稼業を持つようになる。九寸五分の匕首で次々に悪党を消してゆく中で、次第に現れる闇の権力者・一橋治済の影。治済と老中・青山忠裕の陰の争いに巻き込まれていく勝蔵もまた、いつしか殺しの悦楽にはまり、のっぴきならなくなっていく……。 解説・井家上隆幸
  • 円朝の女
    3.7
    全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで――。スーパースターと五人の女が現代に甦る。 時代の絶頂を極め、近代落語の祖といわれた大名人・三遊亭円朝と、彼を愛した五人の女。 江戸から明治に変わる歴史の転換期を乗り越えた、大名人と女たちの人生が深い感慨を呼ぶ傑作時代小説。
  • シナン(上)
    3.9
    これは、山ではないか。  シナンは、その巨大な石の建造物の前で、そう思った。  この積みあげられた石の量感は、まさしく山であった。その山の量感が、そこに立った瞬間、シナンに襲いかかってきたのである。  山を、人間が作ることができるのか。  シナンは、感嘆の声を心の中で洩らしている。 一六世紀、壮麗王スレイマン大帝のもとで繁栄を誇るオスマントルコ帝国に、工兵から宮廷建築家へと昇りつめた男がいた……。「石の巨人」と呼ばれ、史上最大のモスクに挑んだ天才建築家シナンの生涯を描く。
  • 秀吉の能楽師
    3.7
    晩年の太閤秀吉に、能の指南役として仕えた、役者・暮松新九郎が見た、秀吉の狂気とは? 太閤秀吉を能に没頭させよとの密命を帯び、天下人に接近、目論見どおり秀吉は能楽に熱中するようになるが、やがて秀吉に老いの影が忍び寄る。新九郎に密命を下したのは誰なのか、その真意とは? そして新九郎自身の数奇な出自とは? 家康・利家ら大名たちを巻き込み、華やかな舞いと権謀術数が繰り広げられる、桃山時代絵巻。
  • シナン(上下合本版)
    -
    一六世紀、壮麗王スレイマン大帝のもとで繁栄を誇るオスマントルコ帝国に、工兵から宮廷建築家へと昇りつめた男がいた……。「石の巨人」と呼ばれ、史上最大のモスクに挑んだ天才建築家シナン。百年の生涯で四七七もの建造物を手がけ、かたちなきイスラムの神を空間に描こうとした男の物語――。悠久の都イスタンブールに刻まれたその軌跡を辿り、薫り高きイスラム文化に迫る渾身の歴史長篇。〈解説〉角野史比古
  • 隼人始末剣 最強の本所方与力
    4.0
    本所方与力──大川以東の区域を取り締まる特殊な与力であったが、かつてこの地を治めた本所奉行の替わりに置かれていた。よって、屋敷を置く大名家ではいざという時に備え、奉行並の威信がある与力に袖の下を渡す者も多かった。そして今、この職に就いているのが上村隼人である。彼は庶民の暮らしを第一に考え、貰った紙包みはお救い小屋に贈り、また公明正大で、大名家も畏れる存在であった。人々は、その名をとって「上さま」と呼び、殿様よりも偉い上様(将軍)になぞらえたのだ。そんな本所の上さまの耳に、炭の値が高騰しているという報せが入る。その陰には、とある藩の野心が蠢いていて……。大名、恐るるに足りず!頼もしき与力の津田助広二尺三寸五分が、いざ閃く!!
  • 吉原花魁事件帖 青楼の華
    4.0
    夢も現実も紙一重。ならば今宵は覚めぬ夢を。ここは吉原、幻の城――。花魁道中の最中に矢で狙われたのは、花魁かそれとも客か。得手の三味線を乱した芸者が文に託した真意とは。叶わぬ思いに自害を図った遊女の“想い人”の正体は。吉原と島原を表す料理とは一体……。吉原随一の花魁となった華舞が、欲望と嫉妬が渦巻く世界で、不可解な謎を艶やかに解き明かしていく連作短編小説。

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  • 姫さま剣客 柳生飛鳥
    -
    江戸城内で将軍家光を襲った暗殺事件。宴の場で舞姫になりすました刺客が家光に向かって毒矢を放ったのだ。その場を救ったのは、新たに護衛に加わった美貌の女剣客・飛鳥。飛鳥は柳生十兵衛の隠し子だという。その美しさを、すっかり気に入った家光は、さっそく夜伽に来るように申し付けるが、そこで十兵衛が耳打ちした。飛鳥は、上様が戯れで江戸市中に出て、その時抱いた高級料理屋の仲居が産んだ落とし胤だと……。刺客を送ったのは豊臣秀頼の忘れ形見・国松。暗殺に失敗した国松だが、豊臣家再興を願い、さらなる謀略を企てる。そんな国松を迎え撃つ、十兵衛・飛鳥父娘の活躍は?書下ろし時代娯楽小説。
  • 野獣王の劍~柳生一刀流~
    4.0
    徳川三代家光の治世。将軍家剣術指南役である柳生新陰流と小野派一刀流の門弟が次々と斬殺される事件が起こった。柳生但馬守宗矩は息子二人に、辻斬りの正体解明を命じる。兵馬と名乗るその男は、二つの流派を会得した恐るべき遣い手であり、柳生一族の心胆を寒からしめる野望を持っていた――。剣のみに生きる男の凄まじい活躍を描く、新たな剣豪小説の誕生!
  • ごんたくれ
    4.3
    安永四年、京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、ひょんなことで奇跡の出会いを果たす。喧嘩しながら才能を認め合い、切磋琢磨し腕を磨く若きふたり。鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれた彼らは、求めた道の先に何を見たか? 京画壇の華やかなりし時代、実在した二人の奇想の絵師をモデルに、芸術を探求する人間の性と運命を描き出した、傑作時代長編。
  • 太平天国戦記
    -
    19世紀中葉、清朝打倒を掲げて中国南部に蜂起、長江下流域に強勢を誇った太平天国。拝上帝教をもとに、漢民族の復興を掲げた指導者・洪秀全は、強力な軍団を組織して清朝勢力を駆逐していった。ところが南京に至り、天京と名づけて都とすると、洪秀全ら上層部は貴族的生活に染まり始める。「なぜ、一気に進撃しなかったのか?」――大陸情勢の視察を命じられた紀州藩士・蜂田十兵衛は、そんな疑問を投げかける。金ピカの宮殿や装束、不毛な権力抗争と粛清の嵐、清朝軍やゴードン将軍率いる常勝軍からの猛攻、無気力なまでに何もしない天王こと洪秀全……戦乱の只中に身を投じながら、蜂田十兵衛は絶頂から転落していく太平天国を目のあたりにする。構想・取材に7年を費やした著者渾身の長編小説。戦記として描かれているが、そこで語られるのは戦う姿勢を失った組織が自壊していく過程であり、太平天国を反面教師とする「勝つ組織」への教訓の書といえる。

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  • 大菩薩峠 一
    -
    中里介山の長編大衆小説。幕末の日本。甲州大菩薩峠から始まるお話。冷酷無比なダークヒーロー机竜之助は「音無しの構え」の使い手。放浪する主人公。入り乱れ交錯する登場人物たち。それぞれの人生を生き生きと描く。時代小説で、大衆小説の先駆けとされる不朽の傑作。過去何度も映画化されている。一巻は「甲源一刀流の巻」と「鈴鹿山の巻」を収録。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 深川無明剣 密命斬刑帖
    -
    八州廻りの小菅専之助は、悪を憎む義心ゆえに、権限の及ばぬ水戸藩に逃げ込んだ悪党を斬ってしまう。御役目を罷免され、貧乏御家人としてくすぶっていた専之助であったが、ある日、北町奉行・遠山金四郎に呼び出される。深川に巣くう凶賊の壊滅――斬り捨て御免の密命を受けた専之助は、林永暢という武士と組まされた。しかし、その林という男は、賊の首魁を追い、清国から密かに渡ってきた清人であった。生まれや性格の違いから反目しあう二人であったが、互いの腕を認め、いつしか男の友情が芽生えていく。専之助の居合いと林の中華武術が、深川の闇を切り裂く!
  • 侠盗組鬼退治 烈火
    -
    悪い奴らに怒りを燃やせ! 相次ぐ火事の黒幕は!? 人情旗本の必殺鬼退治! 書下ろし痛快時代エンタメ! 火事の裏にある企みは――真の悪党を炙り出せ! 銭相場で大儲けした旗本・堀田左近は、この世にはびこる悪党どもを退治しようと、幼なじみの土屋又兵を火付盗賊改役に仕立て上げた。さらに剣客から盗人あがりまで、義侠心にあふれた仲間を引き込み、世直しに乗り出す。そんな左近の周辺で立て続けに火事が。これは偶然か、それとも……!? 闇にうごめく悪と人情仕事人たちの丁々発止の闘い!
  • 鬼の冠 武田惣角伝
    -
    一瞬の技に生涯を捧げた男! 幕末から昭和を生きた大東流合気柔術の達人、闘いと漂泊の日々。武道の神髄は合気にあり。極みを追い続けた生涯。 幕末、会津の神主の子として生まれ、明治維新後、会津藩家老をつとめた西郷頼母より大東流の武術を学んだ武田惣角。若き日に武者修行の旅に全国をめぐるが、折しも鹿児島の西郷隆盛が挙兵したとの報が。惣角は西郷軍に参加する覚悟を決めるが…大東流柔術の中興の祖となり、合気を極めた武術家の熾烈な闘いと、漂泊の生涯を描く傑作歴史長編! 解説/菊池 仁
  • 鎧月之介殺法帖 女怪
    -
    藩の危機を救うため、潜入した公儀の隠密を討ち果たしたものの、臨月だった妻を殺されたうえ、幕府の仕置きを畏れた藩重役たちに裏切られ、脱藩を余儀なくされた掛川藩槍奉行の木暮月之介。姓を鎧と変え、素性を隠して深川に暮らす月之介は、ある日人斬りの科で北町奉行所に捕縛されてしまう。北町は冤罪と知りながらその首を刎ねようと画策するが、月之介は上役に不審を抱く定廻りの弓削勘太郎に助けられ、脱牢に成功した。弓削とともにお尋ね者となりつつも、月之介は罠の裏側に北町与力を操る大盗一味の存在を掴み、探索に乗り出すが…。癒されぬ過去を背負いながら、闇に巣くう悪を相手に修羅の剣で立ち向かう、書下ろし活劇シリーズ第一弾!
  • 将軍の太刀  影裁き請負人始末
    -
    十一代将軍徳川家斉の御代、江戸の町は、うつけ組と呼ばれる悪の一団の存在に怯えていた。強請、拐かし、乱暴狼藉、そして強盗、殺害……。この正体不明の集団に敢然と立ち向かう若者がいた。旗本、修理田右京である。右京は、屋敷を出て深川の長屋住まい。爺さんの大家、五郎左衛門の代人として大家の仕事もこなす毎日を送っていた。だが、うつけ組の残忍な刃は、ついに長屋の住人にも向けられて来た。遣い手を自認する右京は、長屋を守ろうと頭領との対決へ向かう。ところが、そこで驚愕の真実が明るみに……。謎が謎を呼ぶまさかの事態に、右京はある決意を固めてゆく!若き剣客旗本の、師弟愛、恋情、そして親子の絆を描く、躍動感あふれる新シリーズ、開幕!!
  • 空蝉 元御庭番半九郎影仕置
    -
    隠密探索中に、敵方に素顔を晒してしまうという失態を犯した公儀精鋭の御庭番・津坂半九郎。支配若年寄にお役御免を申し出るが、影の力となって支えよとの命を受け野に下った。捨て扶持をもらい、再びお上より声がかかるのを待ちながら、尾州浪人と偽って浅草の裏店に居を構えた半九郎。庶民にとけこみ、ようやく町に馴染みはじめた半九郎だが、様々な厄介ごとが絡みついてくる。ある日、訪ねてきた幼馴染みとの再会を喜んでいる最中、浅草仲見世で偶然見かけたのは、西国の雄藩の抜け荷の証しを握ったまま逐電した幕府の密偵だった。そしてその男を匿っているのが、半九郎の仇敵だと判明するのだが……。気鋭が書下ろす痛快長編時代小説!
  • 忍法さだめうつし
    -
    蒙古を使って倭国を奪え……日元の交渉を決裂させ、元を日本遠征に導いたことで、高麗王の計略は成ったかに見えた。しかし元寇は二度とも失敗。日本の復讐に怯える高麗王の下に、時の執権・北条時宗が高麗に上陸したという報せが…。(「以蒙攻倭」より)。  元寇の時代から現代にまで及ぶ日朝間の歴史の闇を、忍法や妖術渦巻く壮大無比の奇想で抉る傑作時代伝奇小説。連作短編集。 *以蒙攻倭 *忍法さだめうつし *怪異高麗亀趺 *対馬はおれのもの ●荒山徹(あらやま・とおる) 1961年富山県生まれ。上智大学卒。新聞社、出版社勤務を経て、朝鮮半島の歴史・文化を学ぶため韓国留学。延世大学校延世語学院韓国語学堂卒業。1999年『高麗秘帖』で小説家デビュー。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で三度、吉川英治文学賞新人賞候補となり、2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を、2017年『白村江』で第6回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。日韓交流史を主題とする時代伝奇小説を発表して注目を集めた。他の作品に『竹島御免状』『長州シックス 夢をかなえた白熊』『シャクチ』『キャプテン・コリア』など多数。
  • 捨ててこそ 空也(新潮文庫)
    4.0
    平安時代半ば、醍醐天皇の皇子ながら寵愛を受けられず、都を出奔した空也。野辺の骸を弔いつつ、市井に生きる聖(ひじり)となった空也は、西国から坂東へ、ひたすら仏の救いと生きる意味を探し求めていく。悪人は救われないのか。救われたい思いも我欲ではないか。「欲も恨みもすべて捨てよ」と説き続けた空也が、最後に母を許したとき奇跡が起きる。親鸞聖人と一遍上人の先駆をなした聖の感動の生涯。 ※文庫版に収録の「虚実のおもしろさ、仏教の核心」(ひろさちや)は、電子書籍版には収録しておりません。
  • 常勝将軍 立見尚文(上)
    5.0
    陸軍大将・立見尚文は、元桑名藩士である。桑名藩は会津藩の盟友として幕末から佐幕派の雄として行動した。いわば賊軍出身者で大将まで立身するのはきわめて稀であり、しかも立見の場合、戊辰戦争・西南戦争・日清・日露の戦役と、つねに最前線にあって戦い、かついかなる厳しい状況下でも立見個人は敗走を知らない。まさに「常勝将軍」なのである。本書は、史上まれに見る天才指揮官であった立見尚文の生涯を、少年時代から永眠までを克明に描いた渾身の歴史大河小説である。上巻は、桑名藩内で頭角を現わし、戊辰戦争では鳥羽伏見の戦いからやがて北越方面へ転戦、雷神隊という精強な部隊を率いて新政府軍を恐れさせた立見の前半生を描く。旧幕府軍の降伏後は謹慎を経て司法省へ出仕、やがて指揮官としての能力を買われて陸軍に招かれる。西南戦争では西郷隆盛の本軍を追い込む活躍。陸軍軍人として立見の評価は一気に高まり、出世街道を駆け上がっていく。

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  • 百姓一揆の風景―文政十三年「伊方騒動」
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 伊予宇和島藩は、積年の財政難に苦しんできたが、文化文政年間に藩はそれを打開するために種々の無理な政策を推進した。 この時期、半農半魚の伊方村を統ていたのは寛文年間から150年にわたって世襲庄屋として強勢を誇っていた大庄屋であった。庄屋は、藩の政策に忠実で信頼も厚かったが、村人たちには私用で駕籠を担がせるなど強圧をもって臨むことが多かった。 文政13年、藩が百姓たちから政治献金を募る形の御無尽銀を預かっていたのを庄屋経費として流用していたことが、村の予算に立ち会う年行事役が、念仏講の席で暴露したことが口火となって庄屋罷免への動きが広がっていった。百姓たちは影では清盛庄屋などと言って揶揄しながらも抑えられてきた長年の不満が吹き出す形になって、一気に庄屋罷免の機運が高まっていった。この騒動の中心となったのは、頭取あった市右衛門、森蔵、佐吉、金十郎らであった。彼らは、当時、役5500人の村民のうち約800人を引きつれて、隣の大洲藩に庄屋の罷免を宇和島藩に掛け合ってもらうよう願い出て、一週間にわたり肱川河原に滞在した。結果として、庄屋は罷免され、頭取たちは一人が斬罪、他は流罪となった。 本書は、若い衆宿や、念仏講、お祭り、鰮漁等、当時の百姓たちの生活の様子や頭取たちのキャラクターや心情に迫ってみた。併せて、藩政における庄屋と百姓たちとの関係についての考察を深めることを目指した。
  • 青嵐 見届け人秋月伊織事件帖
    3.7
    伊織、けじめの「見届け」を描く文庫書下ろし完結巻!「押し込みをやる悪い奴らの情報がある」見届け人志願でだるま屋を訪ねた男は、食い詰めた大店の息子・巳之助だった。生き別れの母との再会を願い、仕舞屋で下働きする巳之助は、伊織が探索する、世間を震撼させた悪党一味につながっていた。伊織、けじめの「見届け」と母子の悲縁を描く感涙のシリーズ完結巻。
  • 池田屋乱刃
    3.6
    維新とは、志士とは何だったのか。池田屋事件で死んでいった志士たちを注目の歴史作家が熱く描く。「乃美さん、わたしは卑怯な男だ」――明治十年、死の床についた明治の元勲・木戸孝允こと桂小五郎は、かつての同僚に、事件の真実を語り始めた。池田屋で新選組に斬られ、志半ばにして散っていった各藩の志士たち。福岡祐次郎、北添佶摩、宮部鼎蔵、吉田稔麿。松陰や龍馬の周囲で懸命に生き、日本を変えようとした男たちの志とは。
  • 八丁堀の狐
    -
    静かにただ独りで悪に食らいつく北町奉行所与力・狐崎十蔵。江戸の悪党たちは恐れを込め「八丁堀の狐」と呼ぶ―。本所、小石川、八丁堀で町奉行所同心が続けざまに斬殺された。面子を潰され下手人の捕縛に躍起になる町方同心たちをよそに、十蔵は本所鐘楼下の博奕打ち、般若の五郎蔵一家を執拗に追う。十蔵の狙いは「稲妻」。江戸八百八町の町人をむしばむ禁制の麻薬だった。売人を泳がせ、五郎蔵一家の背後に八百石小普請組の旗本が潜んでいることを突き止めた十蔵。だが、そこで用心棒を務めるのは同心殺しの人斬り浪人だった。襲いくる神速の殺人剣。待ち受ける巧妙な罠。絶体絶命に陥った八丁堀の狐だが…。気鋭が贈る迫力の書下ろし。
  • おもかげ坂
    -
    凶賊捕縛の大捕り物で、同心・坂巻慶之進は、賊の頭目が放った捨て身の一撃により非業の死を遂げてしまう。残された妻・お幸は、ひとり息子の辰之助とともに、市ヶ谷の屋敷へと移り住んだ。慶之進の死から五年が過ぎ、天保三年、夏―。武芸道場月心館で、辰之助の学友、新一郎の行方がわからなくなった。心配する辰之助をよそに、あまりにも冷淡な態度をとる新一郎の母親。話を聞いたお幸は、新一郎の消息を知るため、ある策を講じる。秘めた親子の情が結んだ、意外な結末とは?市井に巻き起こる様々な事件を、鮮やかに解決していくお幸の活躍。夫の親友、北町同心・麻生源史郎との間に芽生えるほのかな恋慕に、お幸の女心が揺れ動く。
  • 北の麦酒ザムライ 日本初に挑戦した薩摩藩士
    -
    薩摩島津家一門に生まれた村橋久成。幼き日、西郷隆盛が人は愛するものと言った事を胸に刻む。長じて藩の英国留学生となり陸軍学を修得して帰り、戊辰戦争に参戦。勝者として北海道開拓使官吏となった久成は、倫敦で飲んだ旨い麦酒を日本で造ろうと奔走するが…。近代国家への改革の裏で藩閥の権力抗争が渦巻く現実に反発。エリートでありながら、敗者に寄り添い不器用に生きた侍を描く傑作歴史小説。
  • はぐれ烏 日暮し同心始末帖
    4.3
    風貌は頼りなし。ただし、腕におぼえあり――。北町奉行所の平同心・日暮龍平(ひぐれりゅうへい)。旗本ながら部屋住みを嫌って町方に婿入りした、妙な男である。ひょろりとした痩躯に柔和な風貌だが、実は小野派一刀流の遣い手。何も知らない同僚は、雑用をおしつけ〈その日暮らしの龍平〉と嘲笑(わら)うが、一向に意に介さない。ある日、北町奉行から凶悪強盗団の探索を命じられ……剛剣で江戸の悪を一掃する痛快時代小説! 超人気シリーズ「風の市兵衛」の作者が放つ新装「日暮し同心始末帖」第1弾、また異色のヒーローが誕生した!
  • 酔いどれ一魂 死一倍五萬両
    -
    “酔いどれ一魂こと速水一郎太は、北町奉行所の定町廻り同心。酒にだらしなく、役所勤めもいい加減。だがこの一魂、八丁堀きっての剣客で、しかも酒に酔うほどに技が冴える酔剣の遣い手だ。ある日、竪川であがった日本橋の油問屋武蔵屋主人の水死体。その数日後、主人なき武蔵屋に突きつけられたのは、店の身代全てに相当する死一倍の証文だった。親の財産の範囲で金を借り、親が死んだら倍返しする死一倍。跡取り息子萬吉が借りた五百両の借金が、なぜか五萬両に化けていたのだ。計ったような武蔵屋の変死に不審を感じた一魂は手先の佐七らとともに真相を探りはじめる。だがその矢先、萬吉につながりのある人物が立て続けに殺され、その凶刃は一魂にも…。
  • 古城秘話
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    「文化的遺産はすべて、それをめぐる人とのかかわり合いにおいてこそ、後世の人々の心をより強く打つものなのだ」隠密が潜み、裏切りが行われ、亡霊がさまよう。──北は松前城から南は鹿児島城まで、全国三十の古城名城にまつわる秘話裏話伝説記録を、そこに込められた哀しみと憤りと、怨念と呪詛と、闘いとその血汐とともに鮮やかによみがえらせる。
  • 龍之介始末剣  同心殺し
    4.0
    八丁堀組屋敷近くで例繰方同心が斬殺された。二年前、義憤ゆえに幕臣を襲ったため北町奉行所同心を解任され、今は裏店に〈萬揉事【よろずもめごと】相談所〉の看板をかかげる相楽龍之介は、元上役の定町廻り同心・坂本伊三郎に助けを頼まれ、下手人探索に立ち上がった。南茅場町の湯屋、弾正橋たもとと連続する同心殺し。必死の探索を続ける龍之介だったが、調べの末に浮かび上がったのは、黒薊【くろあざみ】の六蔵と名乗る元武士の一味だった。かつて、無実にもかかわらず弟と朋友を当番方与力に殺された六蔵は、町方への復讐の鬼と化していたのだ。事件の背景を知った龍之介は一味を次第に追い詰め、ついに二人は思川の畔で対峙する。吹き荒れる斬戟の嵐の決着やいかに!?
  • 明治無頼伝
    4.0
    新選組三番隊長・斎藤一――鳥羽伏見の敗戦後、会津藩に身を投じ、軍と闘い抜いた彼は、明治になり、藤田五郎と名を改める。新政府に抵抗を続ける旧会津藩士・高津仲三郎を助けるべくその跡を追い、東京警視庁に奉職しつつ、さらに西南戦争にまで参加した彼が見た「明治」という時代とは。幕末有数の剣士といわれ、時代の変化にも己の節を曲げずに強く生き抜いた男の軌跡を追う、本格歴史長編小説。

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  • 波止場浪漫 上
    -
    清水次郎長の娘が胸に秘める、運命の恋。 次郎長の末裔である著者が描く渾身の大河ロマン! 稀代の侠客として名を馳せた清水の次郎長。 ご一新の後は旧幕臣と官軍が入り乱れる殺伐とした清水港で地元の名士となり、波止場をつくる時も先頭に立った。 次郎長の養女となった「けん」は、幼い頃に出逢った白皙明眸の西洋医の面影が忘れられず、やがて二人の関係は深まっていくが……。 近代化に突き進む明治から大正の世に清水港で船宿を営み、「波止場のおけんちゃん」と呼ばれて人々から愛された次郎長の養女を主人公に、市井に生きる人たちの愛と別れを描く大河ロマン。
  • 桑港特急
    4.0
    清水湊から父島、そしてアメリカへ! アメリカに憧れ、アメリカを旅した時代小説作家・山本一力のウェスタン小説登場 江戸末期の文政年間、小笠原の父島に漂着した娘とアメリカ人の元捕鯨船乗りの間に生まれた兄弟、丈二と子音。 彼らはアメリカの捕鯨船フンラクリン号の副長だった若き日本人ジョン・マンと出会ったことで、大航海への夢を募らせていく。 当時、海の向こうのアメリカ西部はゴールドラッシュに沸き、一攫千金を夢見る人々が殺到。 シャンハイの大富豪チャンタオも事業拡大を狙ってサンフランシスコへ向かう。 途中立ち寄った父島で、丈二と子音の兄弟を船に乗せ、たどり着いた新天地で作業着店を開業。 そこにやって来たのが、妻を殺したサントス一味への復讐を誓うリバティー・ジョーだった。 日米中を股に掛けた、男たちの死闘必至の大作戦が始まった――。 週刊文春に一年以上をかけて連載された、山本一力版の大西部劇。超弩級の作品がついに文庫化! 解説・縄田一男
  • 崑崙の玉/漂流 井上靖歴史小説傑作選
    -
    中国の古代から人々が執心してやまない「玉」の産地として聞こえた、誰も知らない崑崙山を目指して黄河の源流へと遡っていく一行に襲いかかる苦難の行方を描いた「崑崙の玉」。著者の独擅場とも言うべき西域・中国もののみならず、戦乱の世において非運に倒れた武将たちの運命を見据えた戦国もの等も収録。透徹した視線と自在な筆致が冴える傑作短篇集。
  • 将軍の影法師 葵慎之助 拝命
    3.0
    将軍家と縁続きである〈葵の若〉こと勝田慎之助は、直心影流小太刀の遣い手ながら、父の死により寺の住職となっていた。が、突然、「上様をお守りせよ」との予期せぬ命を拝する事態に──。諸藩をも巻き込み、将軍の座を狙う御三卿の田安宗武と一橋宗尹(むねただ)。〈公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)〉の後見人となった慎之助は御側御用取次の大岡忠光、九代家重を陰で警固する葛西衆らとともに天下の大乱を防げるのか!?
  • 師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録
    3.5
    師走も半ば、京都鷹ヶ峰の藤林御薬園では煤払いが行われ、懸人(かかりうど)の元岡真葛は古くなった生薬を焼き捨てていた。慌ただしい呼び声に役宅へ駆けつけると義兄の藤林匡(ただす)が怒りを滲ませている。亡母の実家、棚倉家の家令が真葛に往診を頼みにきたという。棚倉家の主、静晟(しずあきら)は娘の恋仲を許さず、孫である真葛を引き取りもしなかったはずだが……(表題作)。人の悩みをときほぐす若き女薬師の活躍。
  • 雑賀の女鉄砲撃ち
    4.2
    紀州雑賀(さいか)は宮郷の太田左近の末娘・蛍は、鉄砲に魅せられ射撃術の研鑽に生涯をかける。雑賀衆は、すぐれた射手を輩出する鉄砲集団だ。武田の侵攻に対し織田信長が鉄砲三千挺を揃えたと聞いた蛍は、左近に無断で実見に赴き、三州長篠で武田騎馬隊が粉砕される様子を目の当たりにした! 信長、家康を助け、秀吉、雑賀孫一と対立。戦国を駆け抜けた蛍はじめ四姉妹の活躍を描く歴史時代冒険活劇。
  • 丞相 of 興亡 始皇帝革新の先導者 その生きざま
    -
    他国の一介の下級役人から秦に渡り辛苦を超えて這い上がり、秦始皇帝の天下統一を実現する。宰相となり時代を見通した見識と胆力で、激動の時代を駆け抜け,一大帝国と運命を共にした男の真の生きざま。

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  • にゃん! 鈴江藩江戸屋敷見聞帳
    3.4
    鈴江藩の江戸屋敷に奉公することになった呉服商の娘・お糸。仕えた正室・珠子には猫の化身疑惑が!? しかも屋敷内は権謀術数が飛び交い、何やら不穏な空気。一目惚れした殿さまを守りたい…そんな珠子の心意気に打たれ、お糸も立ち上がる! 町娘の目を通して、人(猫)情と世情を描いた極上のエンターテインメント!!
  • こげなお人ではなか! 発見された西郷隆盛の写真
    -
    誰もが知ってる英雄の、誰も知らない本当の顔 明治7年。陸軍省で撮られたという、一枚の集合写真。写っていたのは山縣有朋、勝海舟といった元勲たち。その中に、なんと西郷隆盛がいると言う。しかし、一般に伝わるその人とは、似ても似つかない姿で写っていた。本当に西郷隆盛なのか? 地道な調査・検証から真実を導き出す歴史ミステリー。 【目次】 1 ミスト 2 カール・カッペン 3 ジュリアスのポートレート 4 廃藩置県 5 顔認証 6 西郷隆盛の実像 7 天才児津田出 8 審判 あとがき 参考資料 【著者】 茶屋二郎 1945(昭和20)年、金沢市生まれ。慶応大学卒業後、小学館入社。その後バンダイに転じ、35歳で社長に就く。日本玩具協会会長、デジタルメディア協会理事長などを歴任。現在日本おもちゃ図書館財団代表理事。平成29年旭日中綬章を受章。著書に「若き血に燃ゆる」(リベラルタイム出版社)、「1868年 終わりの始まり」(講談社)、「遠く永い夢」(日新報道)、「アメージング・グレース」(ボイジャー)など。
  • 謀略の首 織田信長推理帳
    4.0
    天下統一を目前にした織田信長にとって、最大にして最後の敵は一向宗の総本山石山本願寺であった。彼らを壊滅すべく、配下の九鬼水軍では秘密兵器、鉄甲船の建造に着手した。本願寺と組む毛利家はスパイを信長の側近に送り込み、計画の妨害を狙った……。怪事件に信長の推理が冴える!長編歴史ミステリー。
  • 源助悪漢(わる)十手
    -
    弱みを握られれば骨までしゃぶられ、些細な借りを作ればいつまでもたかられ――。浅草西仲町の御用聞き、源助の巨体を目にするや、町中の人が逃げ隠れする毎日だ。ところが、ひとたび十手を握ると、謎に満ちた事件をたちまち解決する豪腕ぶり。その特異な能力も、めったによい方に発揮されないのが困りものだが……。悪漢岡っ引の活躍を描く、痛快捕物帖!
  • 孤剣 勇之助世直し始末
    -
    天保十一年、江戸の風紀は乱れに乱れ、とくに堕落した幕府役人の間では、賄賂や不正がはびこっていた。幕臣の腐敗に業を煮やした目付・鳥居耀蔵は、使い捨てにできる若い侍を探し、きたるべき政治改革に向けて、極秘の計画を進める…。深川の岡場所をうろつく中川勇之助は、小人目付中川家の三男。いわゆる部屋住の身分である。将来に希望が持てず、自暴自棄となっていた勇之助は、深川で思わぬ刃傷沙汰に巻きこまれた。やくざとの喧嘩に負け、切腹さえも覚悟した勇之助の前に、実戦剣術の荒武者と、鳥居耀蔵の姪、お凛が現れる…。必殺の剣法を身につけた勇之助が、卑劣な役人どもを成敗する。
  • ロンドン狂瀾(上)
    4.0
    1930年1月、日米英など五大海軍国によるロンドン海軍軍縮会議が始まろうとしている。随員を命じられた外務省情報部長・雑賀潤は、首席全権の若槻礼次郎らと日本を旅立った。だが、各国の利害が対立する外交交渉は難航の連続。その上、海軍軍令部は自らの主張に固執し、妥協案に対して拒絶の姿勢を崩さない。熾烈を極める状況の先に、雑賀は光明を見出せるか!?
  • 晦日の月~六尺文治捕物控~
    3.5
    名代の十手持ち辰三が姿を消したのは昨年暮れ。上方の悪党「名なしの幻造」を追ったまま行方がしれない。縄張りの日本橋をあずかる子分の文治だが、切れ者の親分と比べると頼りにならない。辰三の娘お加代が、御用の向きにも口を挟んでくる。心根の優しい大男と跳ねっ返り娘が智恵を寄せ合い、御用の謎を解き明かす。時代小説の新鋭が情感豊かに描く、傑作捕物帖。
  • 流星刀夢しずく
    -
    時は幕末、慶応四年。倒幕をめざす薩長の東征軍が迫るなか、江戸の西の入口にあたる青梅村の人々は、戦乱の予兆に戦々恐々としていた。そんなとき、村の百姓の五男坊・甚介は山中の小屋で謎の女刀鍛冶・美百合と出会う。美百合は百五十年後の未来からやって来たという美少女。甚介は美百合から流れ星の隕鉄で作った流星刀「冥王丸」を授かり、不思議な力を身につけることになった。男女の和合と剣技を掌る流星刀に導かれた甚介は、今後、歴史がどう動いていくかを美百合に教わり、戦乱を避けるべく、幕軍と薩摩軍のあいだを取り持つことになるのだが……。時を駆ける神秘の剣を巡る時代ロマン、完結編!
  • 新装版 御免状始末 闕所物奉行 裏帳合(一)
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    ※<ご注意ください> 本書は、二〇〇九年十一月に刊行された作品を改版して電子書籍化したものです。 遊郭の打ち壊しが起こり、闕所物奉行、榊扇太郎は競売の入札権を持つ天満屋とともに後始末にあたる。事件を発端に不可解な殺人が続発、そこには水戸藩の思惑と幕府の陰謀が入り乱れていた。やがて吉原にも魔の手がのび、扇太郎にも危険が迫る! 痛快時代小説新シリーズ、待望の新装版!
  • 桜舞う おいち不思議がたり
    3.5
    「おいちちゃん、怖いよ。助けて……」。――胸騒ぎを覚えたおいちは、友のもとに駆け付けるのだが。本書は、この世に思いを残して死んだ人の姿を見ることができる娘・おいちが、その能力を生かし、岡っ引の仙五朗とともに、複雑に絡んだ因縁の糸を解きほぐしていく好評「おいち不思議がたり」シリーズ待望の新作。江戸深川の菖蒲長屋で、医者である父・松庵の仕事を手伝うおいちは17歳。父のような医者になりたいと夢を膨らませているのだが、そんなおいちの身にふりかかるのは、友の死、身内の病、そして自分の出生の秘密にかかわる事件等々。おいちは、様々な困難を乗り越え、亡き友の無念を晴らすことができるのか。悩みながらも強く生きたいと願う主人公を書いてきた作家・あさのあつこの青春「時代」ミステリー第二弾! 解説は、作家の小松エメル氏。

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  • おたすけ侍 活人剣
    -
    美濃の国の小藩、松木藩では大変なことが持ち上がっていた。藩主の丹羽氏善が年若くして急逝してしまったのだ。時は徳川三代家光の世、多くの大名が改易の憂き目にあっていた。お世継ぎのいない松木藩のお家取り潰しは、もはや時間の問題だった。絶体絶命、藩の窮状に際し、慌てふためく重臣たちをよそに、祐筆をつとめる若輩の侍・藤崎修吾は、主君が江戸の芸者に産ませたと噂されるご落胤を世継ぎに据えることを提案する。藁にもすがりたい重臣たちは、修吾を江戸に遣わし、消息の途絶えた落胤探しの命を与えた。主君の死を隠し通せる日数はわずかしかない。果たして世継ぎは見つかるのか……。藩の危機を救う若侍の姿を軽妙な筆で描いた痛快書下ろし長編!

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