三浦しをんのレビュー一覧

  • ビロウな話で恐縮です日記(新潮文庫)

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    単純に面白い、だけでなく、ふと考えさせられる内容と、この比喩とか表現秀逸すぎる、ってきう発見が多くて、改めて三浦しをんのエッセイは私にとってバイブルであり辞書にもなる、と思った次第。

    作家が書く異性はドリーム、っていうネタ
    荷物の山をバーナムの森と例えるセンス。ここでシェイクスピアだす?
    あとはブラッケスト•マーライオン。お見事です。

    2023.6.27
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    2023年06月28日
  • 墨のゆらめき

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    面白かった

    殺人事件もなければ大恋愛もないお話ですが、なぜかハラハラ(笑)
    久しぶりに引き込まれて読み直したいと思った作品でした。

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    2023年06月20日
  • ビロウな話で恐縮です日記(新潮文庫)

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    またまた登場、よしながふみ!
    今回の推しは 『フラワー・オブ・ライフ』 だ。
    ほかにも、三宅乱丈の『イムリ』、西田東の『天使のうた』、杉本亜未『ファンタジウム』など、日記が漫画の紹介にもなってる。
    三浦しをんさんのように怒涛の勢いで漫画を読みふけることはできないので、今回の推しはパスすることにする。

    「つきあいたい」好きと、「男だったら、こうなりたい」好きについてイロイロと考えていて、なるほどなあと思った。
    しをんさんのご指摘のとおり、男である私は「女だったら、こうなりたい」という視点では女性を見ていないことに気づいた。
    女優、歌手、スポーツ選手、芸術家、アナウンサー、と数多くの女性を(主にテレビで)目にしていて好きな人が沢山いる。
    めったにこんなことは考えないので、代表として二人ずつ選んでみた。
    ・「女だったら、こうなりたい」好きは、 綾瀬はるか 望月理恵 … 何でもうまくこなし、こうはなれそうにないと感じる。
    ・「つきあいたい」好きは、 狩野恵里 小泉今日子 … どこか不器用そうだけど一所懸命に生きていて、気持ちが素直に行動として現れる感じに魅かれる。
    考えている時に普段から「いい娘だな」と思っていて頭にすぐ浮かんだのは、 芦田愛菜 上白石萌音 田中瞳 (若すぎるのでこの2択からは外した)

    さて、最近ちゃんとしたレビューを書いていない気がするが、今回もこのエッセイのレビューになっていないな。
    「たくる」から始まる小田原の方言の話とか、
    「お昼」とは言うのに「お朝」「お夜」とは言わないことから、「お」や「ご」の付け方の法則を考えるとか、
    時々現れる「言葉」に関する考察は鋭いなーと感心する。

    今回なるほどと思った箴言(しんげん:教訓の意をもつ短い句。戒めとなる言葉。)を紹介しておこう。
    三浦しをんさんが母親と喧嘩をして確信したことらしい。
    「人間は相手に対して、心にもない『いい事』(つまりお世辞)を言うことはできるが、心にもない『悪い事』を言うことはほとんど不可能だ。
    悪口、ののしり等は、常日頃、心の中で思っているから口から出るのである」

    まあ、大部分はときどき自虐ネタを家族や友達との会話に絡ませて、日常の普通の出来事を面白おかしく書いているのだが、つまらん漫才よりもずっと出来がいいと思う。
    本書も十分に楽しめました。

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    2023年06月14日
  • 白いへび眠る島

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    田舎の小さな島の夏を感じる一冊。
    映画にしたらとてもきれいで不思議な映像になるんだろうな、と思いながら読んだ。

    この作品に出てくる「女踊り」や「持念兄弟」は河口の稚児舞や寝屋子文化に近く、舞台は架空の島だけれど、日本のどこかにある田舎の島、と想像をかき立てられた。

    古い因習が残るけれど、少しずつその伝統が薄れていきそうな予感のする土地で、そこに住む光市と、島から離れて生活している悟史。その妹の日和子と同級生・佐和子。神社の次男・荒太とその友人・犬丸。
    対になる彼らが信頼し合って、血縁ではないのに血縁以上に繋がり合ってる感じが、しっとりと胸に残る。

    白蛇や「あれ」がいったいなんなのかははっきりされず、賛否両論があるが、謎が謎のままなのが良かった。
    そもそも昔話や伝承は口伝で話が変わっていたり、ちゃんと記録が残っていなくて、昨今の民俗小説のように理屈っぽくなく(それはそれで興味深くおもしろいが)、ファンタジーとしてとても楽しめた。

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    2023年06月10日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    ネタバレ

    沈黙に焦る、ありがとうがないと腹が立つ、体育がだるくて嫌い、など普遍的な悩みに作家7名が趣向を凝らして答えた1冊。
    とくにありがとうがない、という悩みに対し、そもそも世界で「ありがとう」をめったに言わない国の人がおり、水くさいと考える人もいるということを初めて知った。自分の考えだけだと決して浮かばない考えなので、興味深い。
    その他にも「結局悩み解決してないじゃん」といったものもあったが、回答の内容が大喜利のようで面白く、こう考えればいいんだな、自分もこういうところあるなぁと楽しく読めた。
    真剣な悩み解決に一役買う本ではないが、小さいコラムを読んでいるようで面白かった。

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    2023年06月04日
  • 墨のゆらめき 無料お試し版

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    三浦しをんらしい

    軽いユーモアを含んだ語り口がとても読みやすく、まほろ駅前シリーズの作家三浦しをんらしい作品である。中国 及び 日本で特異的に育った「書」という芸術を題材にのびのびとした描き出し方をした作品である。

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    2023年06月04日
  • 桃色トワイライト(新潮文庫)

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    「乙女なげやり」のレビューで「乙女」と「なげやり」の言葉の合体について書いたのだが、今回のタイトルは「桃色トワイライト」だ。
    これは、しをんさん曰く「少女漫画タイトルの法則」によるものらしい。
    「ひかえめレモン」「恋色メタモルフォーゼ」「ゆびさきミルクティー」「ときめきトゥナイト」「きもちフルムーン」
    名詞を二つ重ね合わせると、なんじゃそりゃという珍妙さが生まれる。
    そういうことで、意味が分からないが、何となくいかがわしくて、何かが起こりそうな予感の『桃色トワイライト』に決めたそうだ。

    三浦しをんさんのエッセイは抜群に面白い。
    だが、その面白さを伝える言葉が出てこない。
    こんな表現力のなさをもどかしく感じていたら、解説の岸本佐知子さんが的確に書いてくれていたので一部を抜粋する。

    ---ココカラ→
    三浦しをんのエッセイの最大の魅力は、何といってもライブ感だ。
    次々に流れては過ぎていく〈今〉をはしっとつかみ取ってくる、その運動神経のよさ。
    そうやってつかみとってきた〈今〉にあやまたずツッコミを入れていく、キレキレの言葉芸。
    うかうかしていると、思いもよらないときに思いもよらない角度から思いもよらない語彙のツッコミが飛んできて、飲んでいたお茶を盛大に吹くことになる。
    ←ココマデ---

    三浦しをんさんの「爆笑エッセイ」読破を目指して、2005年出版の本作まで達した。
    2008年の「悶絶スパイラル」と2012年の「お友だちからお願いします」は読んだので、
    次は2009年の「ビロウな話で恐縮です日記」を読みます。

    # 最近は2000年~2010年頃の本もよく読んでいる (^-^)♪

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    2023年05月19日
  • 政と源

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    読みながら、ジーンとしたり、ホロリとしたり、クスッとしたり、ニヤッとしたり、73歳の国政と源二郎、幼なじみコンビに心奪われた。

    政も源も、それぞれ偏屈なところがあるけれど、源は自由奔放が故で偏屈というより頑固という方が合っているか。政の方がややこしいタイプで、本当に偏屈。
    でも、70年以上の幼なじみならではの息ピッタリなところをみせたり、喧嘩したり、妬んで拗ねたり。何も言わなくても分かり合っていて、そういう生涯の友っていいなぁと思う。

    三浦しをんさんの表現にも、はっとさせられるたり、ジワッと情景が広がって心動かされる。
    国政と源二郎が生まれ育ち、今も暮らす町の象徴にもなっている水路に、今生きている人々の人生だけでなく、これまで生きてきた人や、これから生まれくる人々に至るまで、永遠に続く時の流れをなぞらえているところが特に良いなぁと思った。

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    2023年05月07日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    とても面白い。そして大人も人生の訓示として読むべき?ww私は読むべきだと思います。
    肩の力を抜きながら生き抜く術を教えてくれています。
    回答者様達は、こども向けに言葉を選んで優しい言葉で答えてくれていると思うのですが、内容はけっこう辛辣ですし的を得ています。さすが。
    読んで良かった

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    2023年04月24日
  • 仏果を得ず

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    流石です!

    仏果の世界は全くわからなかったので、物語に入り込めるか心配だったんですが、
    やっぱり三浦しをんさんの書かれる世界は素晴らしいです!どんどん物語の中にのめり込めました!
    もっと読み続けていたいと思う作品です!

    #感動する #ドキドキハラハラ #カッコいい

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    2023年03月11日
  • 新装版 三四郎はそれから門を出た

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     この本は大きく分けて、色々な本が読みやすい素晴らしい文章と言葉で紹介されている書評部分、本に関係したりしなかったりするエッセイ部分で構成されている。なのでそれぞれに分けて感想を書きたい。

     まず書評部分。多くの場合はコミカルで読んでて吹き出してしまうような愉快な文章でありながら、時折ワタの中に仕込まれたナイフのように鋭くて深い言葉が飛び出てくるのがアクセントを与えている。当の本を読んでいないのに紹介文だけでも心に刻印を残していき、舐めていた甘え心を踏み潰していくようは気分だ(まぁその教訓はすぐ忘れてしまうのだが)。特に「すべて「乙女」たちのために」のエッセイは詩的かつ鋭い言葉で、綴られた痛切かつ鋭利かつ湿った恐るべき文章であり、短い文なのにも関わらず読んだ瞬間に最近悪くした肝臓を抉り出され踏みつけられているような気分になった。特に最後のタバコと肺胞に関する文章の存在感は圧巻だ。もはや同じ作者が本当に書いたんですか!?みたいな感じだが、恐るべきことにどちらの方向性でも圧倒的なまでにパワーと迫力を持ちえる文章なのである。親しみを感じたという部分で言うと「ドラえもん」に関する箇所だろう。自分たちがドラえもんに感じている寂寞と懐かしさと親しみをここまで言語化され代弁されているような気持ちになるのは中々ない機会だ。そしてやはり大の読書家の作品であるためか、本の魅力を伝える文章の力が強く、読みたい本リストがどんどん埋まってしまう

     次に本を読む時のあるあるや思想、あるいはそれ以外に関するものを描いたエッセイ的部分。
     自分も少しものを書いたり、本を読んだりするのは好きなので親近感のある話題が多いかった。それ以外にも面白いものや愉快なもの、行ってみたいなぁとなる旅行記など色々あったが、特に家族に関するエッセイの「耐えがたく、替えがたい、私の家族」はなかなかにグッときた。家族は煩わしいし衝突することも多いがそれでも失いたくないものなのだ。その他にもビールに関する大人と子供のめぐる営み、やたらキャラクターの濃い弟と母親、思いもよらなかった日常や非日常の楽しさを書いたり、鋭い考察をしたり、思い出を振り返ったり、旅行先で手に入った遠い文化と世界の馬の合う友人の話だったり様々でどんどん読み進めてしまった。


     以上のように、時にコミカル、時にクスッと、時にすらすら、時にじっくり、時にしんみり、時にギックリ、時にワクワク。よんでいて様々な感情が湧き出てきて、そして面白い。読ませる力がすごく、引き起こす心の躍動がすごいエッセイ集だった。
     やはり一番好きなのは、コミカルな作者から繰り出させる最終章「愛の唄」に多い、本から得た知見を鋭く理解し言語化し受け止めていく過程であろう。それは本当に本というものに真摯で高度に向き合い糧としていく姿であり、凄まじい成長であり、心を抉る恐るべき言葉だ。自分は恥ずかしながら大分のほほんと生きてたために、そうしたものに迫れる可能性が高い文学部に入って卒業してもなお、よくわからず悩んでしまい、そしてその悩みすらもすぐ忘れてしまう。だからこうした姿には畏敬と嫉妬と負い目が混ざったようななんともいえない感情を抱くのである。「ファイブスター物語」における愛についての一考、「百鼠」における神への視線と神ではないものへの信仰などは思わず読んで唸ってしまった。もちろんそれ以外のテイストのエッセイでも本の内容や中身に対し、鋭く把握して書き上げているものばかりで、毎回本を読みながら「フーム、よくわからん!すまない!〇〇よ(本の題名)!」と心で叫んでしまう自分として爪の垢でも煎じて飲みたいくらいだ。なんだが本の内容が移ってしまったような結びとなったがいやはや楽しかった。本ともう少し親しんでみようかなぁ、という気分になった。

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    2023年03月10日
  • 夢のような幸福(新潮文庫)

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    しをんさんは、私には「心の広い神経質な人」が合うと言う。
    あまり聞かない言い回しだ。
    私は「心が狭くて無神経な人」だから、自分と反対の性格の人がいいんだと。

    表現の魔術師だと思う。

    「寝ようと思えばいつでも寝れる、いくらでも寝れる。」を、
    「睡眠に関しては、瞬発力、持久力ともにかなり優等生だと自負している。」と言い変える。

    言葉の魔術師だと思う。

    しをんさんのエッセイは、とてもテンポよく読めるのだが、
    「脳内麻薬物質が分泌されている状態で、勢いに任せて書いている。」と書いてあった。
    なるほど、この書き手の勢いが読み手にも伝わってくるんだな。
    そして、読み手にも脳内麻薬物質が分泌されてきているに違いない。

    本書では、自分と同じ錯覚をしていた三浦しをんさんがいた。
    心斎橋にて:しをんさん「通天閣がないよ!」「何度も心斎橋からの中継映像を見たが、そこには通天閣も映っていたぞ!」
    大阪に詳しい友達二人「映ってないってば」
    自分にも、通天閣の"日立"の文字と"グリコ"の看板、テレビでは同時に見ている感覚が確かにある。
    浅草側の吾妻橋からアサヒビールのウン〇ビルとスカイツリーが一緒に見えるのと同じイメージ。
    東京の人、きっと同じように錯覚している人が多いと思う。

    三浦しをんさんの新しいエッセイが書店に並んでいたけれど、次は「乙女なげやり」だ。

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    2023年03月05日
  • 星間商事株式会社社史編纂室

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    腐女子出るの親近感。楽しい面白い。
    みんなの持つ固定観念も描きつつ、それを気にしつつも気ままに生きる人々が描かれる。ただキラキラ充実しているわけではなく、悩みもあって、それを乗り越えたり抱えながらも素敵な日々を送っている。悩みがなくなることはないと思うし、楽しみを忘れない大人になりたい。

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    2022年12月29日
  • 悶絶スパイラル(新潮文庫)

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    尋常ではない好きな物事に対する愛、飽くなき好奇心、溢れ出す妄想、理解できない事象に対してぶちまける不満。挙げればきりが無い程に面白い日常のエピソードがふんだんに盛り込まれているエッセイ集。今回も三浦しをんさんの切り口の鋭い指摘に笑いが止まらない。本当にすごいなぁ…面白すぎる。

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    2022年12月22日
  • ビロウな話で恐縮です日記(新潮文庫)

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    本当にビロウな話が満載で、昼飯時には読めなかったよ。文庫かは2018年だが、初出は2008年。ずいぶん文庫化を待ったよ。しをん嬢の見る夢は、微に入り細を穿つ内容で、やはり作家になる方の夢は違うな~。私、吾輩、俺、おら、拙者……その時々での一人称にクスっと笑ってしまう。ネズミ御殿に興味がないというのは、自分も同じ。そして文庫本あとがきが、やはり日記を主体とした書きぶりが良かった。

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    2022年12月15日
  • 政と源

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    ネタバレ

    三浦しをん(2013年8月単行本、2017年6月文庫本)。
    初めてのマニアックなテーマではない三浦しをんの小説、東京の下町に暮らす幼馴染の老人二人の人情温まる物語。

    一人は有田国政73歳、大学を卒業後銀行に入行、見合い結婚をして娘が二人、孫が一人居るが、数年前に妻の清子は家を出て長女夫婦の家に同居している。家庭を顧みず、妻の助けを求める声に応えず、と言うか全く無神経で深読みが出来ない、寄り添うことが苦手な性格によるところが大きい結果なのだろう。現在寂しい年金一人暮らしをしている。
    もう一人は堀源二郎73歳、幼い頃に兄が病死、父親は戦死、母親と弟と妹は空襲で死亡。小学校もろくに卒業出来ずに「つまみ簪職人」に弟子入りして、師匠の元で修業を積む。20代で小学校の教師の花枝と恋愛結婚して幸せな生活を送っていたが、花枝は40代の時に病死する。子供には恵まれずに一人で今も「つまみ簪職人」を続ける。しかし2年前に初めて弟子の吉岡徹平を迎えて、この20歳の弟子が元ヤンキーではあるが、結構手先が器用でデザインセンスもいいのだ。しかも源二郎を師匠としてリスペクトし、慕い、身の回りの世話までしている。国政はこの源二郎の境遇にやや嫉妬している。

    二人は歩いて5分の所に住んでいる、73年来の幼馴染。性格も生き様も全く違うが子供の頃に同じように戦争を経験しても、家族と疎開していた国政と違って東京大空襲の中、一人生き残った源二郎にとって国政は唯一の家族同様の親友なのだ。孤独な国政にとってもただ一人の親友だ。
    物語はこの二人がお互いに気を掛けながら、二人に関わってくる人間との困難な問題に上手く対処して、生い先短い残りの人生を逞しく生きていく、心が洗われる、胸にグッとくる、そして勇気づけられる物語だ。

    若い頃、源二郎の花枝との結婚は略奪婚に近い。恋する二人の結婚を花枝の父親は認めず略奪婚に近い結婚なのだが、それに協力したのが国政で、この時の国政の親友思いの予想外の行動力には驚いてしまう。
    また最近、妻に家を出られて一人暮らしの国政が台風の日、ギックリ腰の痛さで自宅の2階で身動き出来ずにいると、早朝に源二郎が虫の知らせだと言って国政の家の鍵のかかった玄関のガラス引き戸を割って入って来て助けたりして、何かこの二人には他人にはわからない強い結びつきがあるようだ。
    そしてこれも最近、吉岡徹平が昔の悪い仲間のチンピラに絡まられていると知ると、源二郎と国政は無謀にも角材持参の力ずくとハッタリで徹平を助け、チンピラ達を追い払ったりして年甲斐もなく無謀なところも共有している。

    物語の核となっているのは、国政が失った家族の信頼を取り戻せるかどうかと言う問題だ。
    国政の妻の清子からの失望、怒り、軽蔑、諦めそして無視される国政の姿に自業自得だと清子に共感しながらも、身につまされる思いで同情している自分がいて、何とか修復出来ることを期待しながら読んでいたのだが、娘からも同様の扱いを受ける状況に至ってはこれはもう無理かなと悲観していた。
    それが吉岡徹平の結婚式の仲人を引き受けたことから、国政の清子への説得のための誠意あるハガキ攻勢が始まり、結果的に清子の心のわだかまりを少しだが解きほぐすことに成功し、晴れて二人で仲人として結婚式に出席するのだ。毎日書いたハガキの内容は感動的で国政も変わったのかなと思い、自分はどうだろうかと考え込んでしまった。

    結婚式の後、国政と源二郎が交わす言葉に切なくて胸がつまる。
    国政「来年の桜を見られるのか、俺たちは」
    源二郎「さあなあ」「俺たちが見られなかったとしても、来年も再来年も桜は咲くさ。それでいいじゃねえか」

    人それぞれの永遠があり、それぞれの永遠は住んでる街の景色を変えていくが、そこに生きる人の営みは変わらない。国政と源二郎もそれぞれの永遠を生きたが、今二人は変わらず隣にいる。二人はきっと現在の自分の状況、自分達の生きた永遠を受け入れたのだろう。後悔とか満足とか不安とか恐怖とか希望とかの雑念を全て超越したかのように。




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    2022年10月17日
  • 舟を編む(上)

    無料版購入済み

    まるでドラマ

    まるでドラマのようにストーリーが紡がれて不思議な余韻があります。みっちゃん、いい味出してます。ノイタミナ枠で放送されていたようなのでアニメも見ました。多少の変更はありますが、雰囲気はそのまま。辞書作りって大変なんだなあ。いろんな年代が登場してとても社会性を感じました。こういう漫画もあるんだと感心してしまいました。

    #深い #癒やされる

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    2022年10月13日
  • サイドストーリーズ

    購入済み

    しゃれた構成のアンソロジー

    煙草をテーマに有名作家の有名小説の番外編ばかりを集めたという大変にしゃれた構成のアンソロジー。
    もとの小説を読んでいれば読み返したくなるし、読んでいなければ読みたくなるという、出版社 作家の術中にはまってしまうたちの悪い本。
    番外編ではあるが元の本の色合い香りを程よく保った佳作が多い。

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    2022年10月03日
  • 『罪と罰』を読まない

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    ロシアものは自分に酔う
    こんな本読んじゃってる自分を想像するだけで満足してるかもしれない。
    何冊か読んで途中棄権してる本もあるが、罪と罰も上下巻で揃えて読むタイミングを逃している。

    そこにこの本があると知り、こちらを読んだら読む気になるのか…?なんて
    ちょっと遠回りしてみることに。

    結果、四人の読書会がエッセイのようでもあり
    とてもハマってしまった。
    作家さん達であるから、書き方や持って行き方なんかも自分と比較したりする、そんな会話もめっちゃ楽しい。
    罪と罰を普通に読んでいたらこうは思わなかったと思う。

    ロシアものは難解だ
    だって人の名前も日本人にはとっつきにくい発音(発声)
    それでいてあだ名が二つ三つ出てきたり
    例えば、太郎さんを、父は太郎兵衛と呼ぶがははあはタロちゃんと読んだりする、それが物語の中で出てくると同一人物なのかなんだかわからないまま読んでいてなんだそうか!というのがある。

    ドストエフスキーをドストと言うこの四人。
    ああ、そんな感想持っていいのか、私だけじゃなかった、などなど
    共感に溢れてこれから罪と罰、読むより楽しみが増した。

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    2022年08月20日
  • 新装版 三四郎はそれから門を出た

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    三浦しをんのおすすめ本のエッセイ集。
    どれも読んでみたいと思ったが、まずはメモしたものから順次読もうと思う。
    また作者の生声がそのまま本になったようなエッセイならではの文章で大変面白かった。
    作者のオタクっぽい表現(ぶるぶるぶると口で(ここでは文でだが)言っているところとか)などは凄く共感が出来た。

    三浦しをんの作品はののはな通信しか読んだことがないがおすすめ本と並行して作者自身の作品も読んでいこうと思う。

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    2022年08月06日