三浦しをんのレビュー一覧

  • まほろ駅前狂騒曲

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    前作から半年以上、開いてしまったが、すぐにこの独特な世界に戻り浸ることができた。
    これで終わりだなんて、とても残念。「また新しい年を迎えた」のだから、是非とも続編を望む。

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    2023年06月13日
  • 白いへび眠る島

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    田舎の小さな島の夏を感じる一冊。
    映画にしたらとてもきれいで不思議な映像になるんだろうな、と思いながら読んだ。

    この作品に出てくる「女踊り」や「持念兄弟」は河口の稚児舞や寝屋子文化に近く、舞台は架空の島だけれど、日本のどこかにある田舎の島、と想像をかき立てられた。

    古い因習が残るけれど、少しずつその伝統が薄れていきそうな予感のする土地で、そこに住む光市と、島から離れて生活している悟史。その妹の日和子と同級生・佐和子。神社の次男・荒太とその友人・犬丸。
    対になる彼らが信頼し合って、血縁ではないのに血縁以上に繋がり合ってる感じが、しっとりと胸に残る。

    白蛇や「あれ」がいったいなんなのかははっ

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    2023年06月10日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    ネタバレ

    沈黙に焦る、ありがとうがないと腹が立つ、体育がだるくて嫌い、など普遍的な悩みに作家7名が趣向を凝らして答えた1冊。
    とくにありがとうがない、という悩みに対し、そもそも世界で「ありがとう」をめったに言わない国の人がおり、水くさいと考える人もいるということを初めて知った。自分の考えだけだと決して浮かばない考えなので、興味深い。
    その他にも「結局悩み解決してないじゃん」といったものもあったが、回答の内容が大喜利のようで面白く、こう考えればいいんだな、自分もこういうところあるなぁと楽しく読めた。
    真剣な悩み解決に一役買う本ではないが、小さいコラムを読んでいるようで面白かった。

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    2023年06月04日
  • 墨のゆらめき 無料お試し版

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    三浦しをんらしい

    軽いユーモアを含んだ語り口がとても読みやすく、まほろ駅前シリーズの作家三浦しをんらしい作品である。中国 及び 日本で特異的に育った「書」という芸術を題材にのびのびとした描き出し方をした作品である。

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    2023年06月04日
  • 桃色トワイライト(新潮文庫)

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    「乙女なげやり」のレビューで「乙女」と「なげやり」の言葉の合体について書いたのだが、今回のタイトルは「桃色トワイライト」だ。
    これは、しをんさん曰く「少女漫画タイトルの法則」によるものらしい。
    「ひかえめレモン」「恋色メタモルフォーゼ」「ゆびさきミルクティー」「ときめきトゥナイト」「きもちフルムーン」
    名詞を二つ重ね合わせると、なんじゃそりゃという珍妙さが生まれる。
    そういうことで、意味が分からないが、何となくいかがわしくて、何かが起こりそうな予感の『桃色トワイライト』に決めたそうだ。

    三浦しをんさんのエッセイは抜群に面白い。
    だが、その面白さを伝える言葉が出てこない。
    こんな表現力のなさを

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    2023年05月19日
  • 政と源

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    読みながら、ジーンとしたり、ホロリとしたり、クスッとしたり、ニヤッとしたり、73歳の国政と源二郎、幼なじみコンビに心奪われた。

    政も源も、それぞれ偏屈なところがあるけれど、源は自由奔放が故で偏屈というより頑固という方が合っているか。政の方がややこしいタイプで、本当に偏屈。
    でも、70年以上の幼なじみならではの息ピッタリなところをみせたり、喧嘩したり、妬んで拗ねたり。何も言わなくても分かり合っていて、そういう生涯の友っていいなぁと思う。

    三浦しをんさんの表現にも、はっとさせられるたり、ジワッと情景が広がって心動かされる。
    国政と源二郎が生まれ育ち、今も暮らす町の象徴にもなっている水路に、今生

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    2023年05月07日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    とても面白い。そして大人も人生の訓示として読むべき?ww私は読むべきだと思います。
    肩の力を抜きながら生き抜く術を教えてくれています。
    回答者様達は、こども向けに言葉を選んで優しい言葉で答えてくれていると思うのですが、内容はけっこう辛辣ですし的を得ています。さすが。
    読んで良かった

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    2023年04月24日
  • まほろ駅前狂騒曲

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    シリーズ完結編? 前作同様、いい味だしてるなー。登場人物がみんな憎めない。最後はみんなで鍋を囲むというラストも良かった。はるの可愛らしい仕草も良く書けてる。

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    2023年04月23日
  • 『罪と罰』を読まない

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    ここ最近のヒット。いや〜みんなの言い放題っぷりが気持ちが良い。ドスコ?馬かな?って冒頭の辺りから爆笑。
    ちょっととっつきにくそうだな〜と避けていた外国文学だけど、やはりキリスト教とかの影響はありつつも、こんなふうに面白がって読めるんだ!っていう大発見だよね。
    後書きでもお話されているように、読む前から読むことは始まっている。あらすじとか見ながら選んでる時、わくわくするあの感じ。そして読んだ後も読書は続く。本はなにより待ってくれるから、良い。その通りだなと。
    誰かと読書会できたら楽しそう!

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    2023年04月16日
  • 天国旅行

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    「心中」がテーマのお話。
    命について考えさせられた…。

    死んでしまったらもう、その人がどんなことを考えていたかなんてわからない。
    だからこの本はどの話も、謎は完全には解けない。読者としては「え、この謎は??気になる!」という気持ちでモヤッと感は残る。
    けれどそれこそが残された者の立場。死者とは話せないので、記憶で推し量ることしかできない。

    物語だから解決した方が読者的にいいだろう、とするのではなくリアルに謎のままにするのが好きだったな。

    他の方の口コミを見ていたら、結構重たい内容だったり、モヤっとした終わり方な部分に賛否両論あるみたい。メンタルが落ち気味な時に読むとちょっとつらいかもしれ

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    2023年04月14日
  • 仏果を得ず

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    流石です!

    仏果の世界は全くわからなかったので、物語に入り込めるか心配だったんですが、
    やっぱり三浦しをんさんの書かれる世界は素晴らしいです!どんどん物語の中にのめり込めました!
    もっと読み続けていたいと思う作品です!

    #ドキドキハラハラ #カッコいい #感動する

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    2023年03月11日
  • 新装版 三四郎はそれから門を出た

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     この本は大きく分けて、色々な本が読みやすい素晴らしい文章と言葉で紹介されている書評部分、本に関係したりしなかったりするエッセイ部分で構成されている。なのでそれぞれに分けて感想を書きたい。

     まず書評部分。多くの場合はコミカルで読んでて吹き出してしまうような愉快な文章でありながら、時折ワタの中に仕込まれたナイフのように鋭くて深い言葉が飛び出てくるのがアクセントを与えている。当の本を読んでいないのに紹介文だけでも心に刻印を残していき、舐めていた甘え心を踏み潰していくようは気分だ(まぁその教訓はすぐ忘れてしまうのだが)。特に「すべて「乙女」たちのために」のエッセイは詩的かつ鋭い言葉で、綴られた痛

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    2023年03月10日
  • 夢のような幸福(新潮文庫)

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    しをんさんは、私には「心の広い神経質な人」が合うと言う。
    あまり聞かない言い回しだ。
    私は「心が狭くて無神経な人」だから、自分と反対の性格の人がいいんだと。

    表現の魔術師だと思う。

    「寝ようと思えばいつでも寝れる、いくらでも寝れる。」を、
    「睡眠に関しては、瞬発力、持久力ともにかなり優等生だと自負している。」と言い変える。

    言葉の魔術師だと思う。

    しをんさんのエッセイは、とてもテンポよく読めるのだが、
    「脳内麻薬物質が分泌されている状態で、勢いに任せて書いている。」と書いてあった。
    なるほど、この書き手の勢いが読み手にも伝わってくるんだな。
    そして、読み手にも脳内麻薬物質が分泌されてき

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    2023年03月05日
  • 星間商事株式会社社史編纂室

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    腐女子出るの親近感。楽しい面白い。
    みんなの持つ固定観念も描きつつ、それを気にしつつも気ままに生きる人々が描かれる。ただキラキラ充実しているわけではなく、悩みもあって、それを乗り越えたり抱えながらも素敵な日々を送っている。悩みがなくなることはないと思うし、楽しみを忘れない大人になりたい。

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    2022年12月29日
  • 悶絶スパイラル(新潮文庫)

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    尋常ではない好きな物事に対する愛、飽くなき好奇心、溢れ出す妄想、理解できない事象に対してぶちまける不満。挙げればきりが無い程に面白い日常のエピソードがふんだんに盛り込まれているエッセイ集。今回も三浦しをんさんの切り口の鋭い指摘に笑いが止まらない。本当にすごいなぁ…面白すぎる。

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    2022年12月22日
  • ビロウな話で恐縮です日記(新潮文庫)

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    本当にビロウな話が満載で、昼飯時には読めなかったよ。文庫かは2018年だが、初出は2008年。ずいぶん文庫化を待ったよ。しをん嬢の見る夢は、微に入り細を穿つ内容で、やはり作家になる方の夢は違うな~。私、吾輩、俺、おら、拙者……その時々での一人称にクスっと笑ってしまう。ネズミ御殿に興味がないというのは、自分も同じ。そして文庫本あとがきが、やはり日記を主体とした書きぶりが良かった。

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    2022年12月15日
  • 政と源

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    ネタバレ

    三浦しをん(2013年8月単行本、2017年6月文庫本)。
    初めてのマニアックなテーマではない三浦しをんの小説、東京の下町に暮らす幼馴染の老人二人の人情温まる物語。

    一人は有田国政73歳、大学を卒業後銀行に入行、見合い結婚をして娘が二人、孫が一人居るが、数年前に妻の清子は家を出て長女夫婦の家に同居している。家庭を顧みず、妻の助けを求める声に応えず、と言うか全く無神経で深読みが出来ない、寄り添うことが苦手な性格によるところが大きい結果なのだろう。現在寂しい年金一人暮らしをしている。
    もう一人は堀源二郎73歳、幼い頃に兄が病死、父親は戦死、母親と弟と妹は空襲で死亡。小学校もろくに卒業出来ずに「つ

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    2022年10月17日
  • 舟を編む(上)

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    まるでドラマ

    まるでドラマのようにストーリーが紡がれて不思議な余韻があります。みっちゃん、いい味出してます。ノイタミナ枠で放送されていたようなのでアニメも見ました。多少の変更はありますが、雰囲気はそのまま。辞書作りって大変なんだなあ。いろんな年代が登場してとても社会性を感じました。こういう漫画もあるんだと感心してしまいました。

    #癒やされる #深い

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    2022年10月13日
  • サイドストーリーズ

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    しゃれた構成のアンソロジー

    煙草をテーマに有名作家の有名小説の番外編ばかりを集めたという大変にしゃれた構成のアンソロジー。
    もとの小説を読んでいれば読み返したくなるし、読んでいなければ読みたくなるという、出版社 作家の術中にはまってしまうたちの悪い本。
    番外編ではあるが元の本の色合い香りを程よく保った佳作が多い。

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    2022年10月03日
  • 『罪と罰』を読まない

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    ロシアものは自分に酔う
    こんな本読んじゃってる自分を想像するだけで満足してるかもしれない。
    何冊か読んで途中棄権してる本もあるが、罪と罰も上下巻で揃えて読むタイミングを逃している。

    そこにこの本があると知り、こちらを読んだら読む気になるのか…?なんて
    ちょっと遠回りしてみることに。

    結果、四人の読書会がエッセイのようでもあり
    とてもハマってしまった。
    作家さん達であるから、書き方や持って行き方なんかも自分と比較したりする、そんな会話もめっちゃ楽しい。
    罪と罰を普通に読んでいたらこうは思わなかったと思う。

    ロシアものは難解だ
    だって人の名前も日本人にはとっつきにくい発音(発声)
    それでいて

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    2022年08月20日