あらすじ
映画化もされた第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の多田と行天が帰ってきた!相変わらず、汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も引き受ける多田便利軒。ルルとハイシー、星良一、岡老人、田村由良ら、お馴染みの愉快な奴らも健在。多田・行天の物語とともに、曾根田のばあちゃんの若き日のロマンス「思い出の銀幕」や岡老人の細君の視点で描く「岡夫人は観察する」など、脇役たちが主人公となるスピンアウトストーリーを収録。
※この電子書籍は、2012年10月に文藝春秋より刊行された電子書籍の表紙を変更したもので、内容に変更はありません
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Posted by ブクログ
前作『まほろ駅前多田便利軒』は直木賞を受賞。切りのいいエンディングだったので、それで終わりと思いきや、この番外地でめでたく復活。
ほぼ読み切りの7篇。ふたりの主人公(多田と行天)のハードボイルドさが若干弱まってはいるが、しゃれた会話と緩急のあるストーリー展開は前作以上。7篇はどれも同じ長さ。所定の枚数で、きちっと感動的に仕上げるあたりはさすが三浦しをん。
「まほろ」は絶妙のネイミングだと思う。『古事記』が専門の父上へのリスペクトも入っているのかもしれない。
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面白い!!便利屋という職業だからこそ有り得る(?)奇想天外な日常がとてつもなく面白いです。大きな事件が起きたり、ハラハラドキドキしたり…って事はないのに、飽きさせないのはすごい!前作の登場人物に絡んだ話が多かったのも、まほろファンとしては嬉しいですね。そして、多田と行天の相変わらずのゆるさ。これは癖になります。
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前作を読んでしばらく経ちましたが、改めて読み始めてもユニークな作品です。
多田と行天だけでなく、他の登場人物のキャラクターもすごく良いです!細かな描写に潜む『人となり』の描き方や、シーンの作り方がとても上手だなと思いました。
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前回の登場人物の生い立ちが語られており、2人のコンビ結束のおかげで解決といった感じになって仲良ささほっこりします。
その中でも、曽根ばあちゃんのストーリーが好きです。おばあちゃんになっても、昔の恋話が出来るなんてとても素敵。
最後には、2人の過去の残像が垣間見えて互いに寄り添う感じが友情のように見えました。
また、2人のストーリーが続編で出たらいいのになぁと思います。
番外編
多田便利軒の二人の活躍?がまた見られます。
まほろ駅前多田便利軒に出てきた登場人物たちの視点によるオムニバス形式の番外編集です。
最後は行天の心の暗い部分が描写されていて、続編を読むのが楽しみになりました。
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「まほろ駅前番外地」(三浦しおん)
「まほろ駅前多田便利軒」の続編でスピンオフ連作短編集ですが、本編以上に、脇役だった登場人物が生き生き描かれていて引き込まれました。私は特に4編目の「岡夫人は観察する」が気になりました。多田という主人公はともかく真面目で、人が引き受けないような仕事を便利屋として、真面目にこなすのですが、彼の常連客の年配の夫妻の日常と、夫婦の機微が、老年を迎えた私に響いたと思います。多田の新しい恋を予感させる女性が登場したりで、続編も気になります。初版は2011年10月の刊行でしたが、文庫本のカバーからして昭和の匂い。濃厚な人間関係やチェーン店ではない路地裏の懐かしさと、登場人物の今の時代にも繋がるような孤独感が、今初めて読んでも新鮮だったのかもしれません。
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『まほろ駅前多田便利軒』の続編(というより、番外編?)との事で、前作では主人公だった多田さんと行天さんを、別のキャラの視点から見たストーリーが多かったです。
前作を読んだけれども続きを読むべきかどうか迷っている方向けに、それぞれのお話をかいつまんで紹介します。前作を読んでいない方には訳が分からないと思いますので、ここはスルーして他の方の感想を参考にしてください。
「光る石」
行天さんのまさかの行動に大変驚かされ、世の中には知らない方がいいこともあるのだと思い知りました。
「星良一の優雅な日常」
どちらも選びたくない究極の2択。
今、明かされる星良一の恐ろしい一面とはΣ(||゚Д゚)ヒィィィィ
「思い出の銀幕」
突然始まる大正ロマン。
曽根田のばあちゃんと、行天さん、(多田)啓介さんの恋の三角関係の行方は…!?
(なお、回想シーンの行天さんと啓介さんは、彼らとちょっと似ているそうですが別人です)
「岡夫人は観察する」
なぜ岡さんが毎回、神奈中バスの間引き運転の調査を多田便利軒に依頼するのか、その真実がついに明らかになります。
そんなのどうでもいいと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、何やら喧嘩中の多田さんと行天さんの様子を観察する岡夫人は、少し見ものです。
「由良公は運が悪い」
多田さんがほぼ登場していないのですが、わたしはこのお話が一番面白かったと感じました。
歌に自信はあるけど、お金が無くお腹が空いて困っている方にも必見です。タダ飯を頂ける方法が載っています。でも一人だと怪しまれるので、実践するには由良公が必要かもしれませんが(^^;
「逃げる男」
行天さんのタバコ代やご飯代のみならず、プロテイン代まで増えるんじゃないかという不安と、埃が巣くう魔窟を掃除するも依頼人に料金を踏み倒されるんじゃないかという不安でいっぱいになりつつも、最後は多田さんの胸がいっぱいになる、そんなお話です。
「なごりの月」
買ったばかりのマフラーを行天さんに取られてしまうも、それ以上に気がかりな出来事が起こってしまいます。
次回作への伏線?にもなるかもしれない(ならなかったらすみません)、お話でした。
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思い出の銀幕が好き。
・菊子は行天に会って、策略と駆け引きを知った。つまるところ、恋を知ったのだった。
・一生、あの気持ちを知らずに過ごすひともいるだろうが、私は知ってよかったと思ってるよ。
恋のことだけじゃなくて、あらゆること、嬉しい出来事も悲しい出来事も
こうやって言えるように生きていきたい
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。色んな人の視点からのお話が散りばめられていて、行天と多田以外の人も好きになれる、まさに番外編なお話。そんな中でもやっぱり二人の過去に潜む闇が見え隠れしていて、そこは次の作品でさらに明らかになっていくんだろうと思った。
Posted by ブクログ
便利屋多田と行天と、前作登場人物が登場する短編集。
曽根田のばあちゃんの若い頃の恋愛や、由良公が行天に振り回される1日、岡夫妻と便利屋との関係性等々…短編もとても面白かった。
エンゲージリングを飲み込んでしまった行天や遺品整理の依頼があった依頼者に恋をしてしまいそうな多田。
多田と行天の掛け合いが本当に好き。私もまほろの住人になって、便利屋に依頼したいと思った♪
Posted by ブクログ
多田と行天を、彼らの目線でなくその依頼人に語らせる建て付けになっています。
版画のように、2人の心の機微が客観的に語られ、浮かび出てきますが、1番深く核心に迫ったのは最後の「なごりの月」でしょう。
月は明るい部分しか見えないけれど、影の部分にも月はあり全体を構成している。
多田にとってはそれは最初の結婚であり、行天では子供時代の虐待と思われる。
それが、最後の最後に、2歳の幼児という語らない客によって浮き彫りにされる構成が、すごいと思いました。
当然ながら続編も読みます。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の続編です。
相変わらず行天は多田の家に転がり込んでて、でも仕事は積極的には手伝ってない状態。新規のお客様の依頼を受けたり、前作の依頼者たちがまた登場したり。本当にまほろ駅がどこかにあるんじゃないかって期待しちゃう。
Posted by ブクログ
前作登場した人たちのスピンオフ作品。
特に大筋で繋がっているとかはないがそれぞれの短編が軽快に進んでいき読みやすかった。
妙にリアリティがありその場にいるような感覚になれる作品。
Posted by ブクログ
前作では、ゲスト出演の方々が、今作では、短編ながらも各々の主人公で、多田と行天が客観的に見ることによって好感度アップに繋がり、まほろ市にも興味を持つことになり。
また続きが楽しみです。
Posted by ブクログ
先が気になり過ぎて、立て続けに続編を読む。
曽根田のばあちゃんの「思い出の銀幕」、
若き日のろまんすが、まるで目の前で繰り広げられているかのような色鮮やかさ。
岡夫人の観察も、意外に?繊細、更に洞察力も凄まじく驚く。
岡夫人の穏やかで優しい人柄も垣間見る。
ラストは次に続くような終わり方で、今から楽しみ!
行天の中の氷もきっと少しずつ溶けていくことを願う。
★「岡夫人は観察する」の中から、好きな一文メモ
男女や夫婦や家族といった言葉を超えて、ただなんとなく大事だと感じる気持ち。
とても低温だが、しぶとく持続する、静かな祈りにも似た境地。
諦めと惰性と使命感とほんの少しの暖かさ。細々と、毎日働き、自分の役目を果たすときの心情と同じ感覚で細く結びついている。
Posted by ブクログ
便利屋を取り巻く環境はどうなるんだろうとちょこっと気になったおまけのお話。
とても読みやすくそれぞれの日常がちょっとずつ垣間見えたりして面白かった。
続きも楽しみです。
Posted by ブクログ
面白くて一気読み。
二人の関係性と、それを取り巻く周りのお客さんの距離感ややり取りのテンポがよくてどんどん読みすすめられる。
最後の終わり方から、続編が気になる。
Posted by ブクログ
前作で登場した人物1人ひとりに焦点を当てた番外編。前では脇役だった人を主人公とした話に、ちょいちょい多田と行天が出てきて、2人のケンカの推移も描かれるから、スピンオフでも楽しんで読めた。
Posted by ブクログ
スピンオフ、とてもよかった。星くんの話と岡さんの話が好きだった。多田と行天がいろんな人と関わりながら、少しずつ過去と向き合っていく様が微笑ましくてよかった。1話ずつの話の中心は前作に出てきたまほろ市の人たちだけど、ちゃんと依頼が終わったあとも関わり合いがあって、ふたりは1人になりたがってそうなのに、やっぱりちゃんと人と繋がってるんだなと思った。まあお互いがいるけどね。良いブロマンスを読んだ。
Posted by ブクログ
「多田便利軒」ではぎこちなく、あっさり描かれていた2人が、本書ではいい意味で人間臭く、重みをもって描かれています。2人の絡ませ方も、逆転しかけている立場や、嫌々言いながらも依存し合う様子も、前作より読み応えがあります。さて、勢いに任せて、「狂騒曲」を読むとしますか。でも、完結編を読んでしまうと、もう彼らには会えなくなると思うと読みたくない。そのくらい活字を通して、彼らに会っているのは楽しい。
Posted by ブクログ
三作目の狂想曲を読む前の段階としては、一作目だけで終わってた方がなんかよかったなという感想。スピンオフ的に脇役たちの背景が描かれているのは読み物としては面白いけど、一作目に描かれていた多田の元夫や元親としての苦悩が印象的だっただけに、二作目でそういったテーマがぼやけてしまった感じがある。文学的なものがエンタメになってしまったような残念感がなきにしもあらず。
でも見方を変えれば、人生とか世の中って当たり前だけど単独のテーマがあって流れているわけではなく、いろんな人の人生模様が絡まり合って紡がれていくものだから、テーマがぼやけることはある意味リアルだよなとも思う。
三作目がどんなようになるのか読み進めてみたい。
Posted by ブクログ
とても面白い。多田の視点じゃなくて脇役達の視点で描いたスピンオフってのがファン心理わかってるなー。どの話もすごくいいよ。岡夫人とユラコーの話がお気に入り。続きを予感させる展開だし次も楽しみ。
Posted by ブクログ
まほろ駅前多田便利軒 という直木賞受賞作品のスピンアウト作品とのこと。既刊を読んでおけば良かった。過去に含みのある便利屋の多田と行天、この二人に関わるお客の人生模様がコミカルに描かれる。前作を読みたい。
Posted by ブクログ
「まほろ駅前多田便利軒」のスピンアウト作品とのことであるらしいが、全くそんなことは露知らずに、前作を読まなかったが、断然楽しめた。その理由は便利屋を営む主人公多田啓介と行天春彦のキャラクター設定だけにとどまらず、出てくる依頼人の設定がしっかり、かつ生き生きとして、それらを包むかの様な、まほろ市の「丁度いい」感が成功の要因であろう。
便利屋ということで、様々な依頼をされ、勿論苦悩や嫌な仕事もあるのであろうが、あまり重苦しくならないのは、便利屋二人の絶妙な掛け合いで物語が進んでいくからであろう。
少しの人生訓は内包するものの、さらりとして意識させずに読ませていることは、まさに文章の妙なるところなのであろう。
Posted by ブクログ
前作『まほろ駅前多田便利軒』の
スピンオフとなる本作『まほろ駅前番外地』
今回も、生真面目な多田と、いつの間にか多田便利軒に居ついているつかみどころのない行天コンビが、ゆるりと様々な依頼を引き受ける。
スピンオフだけに、まほろ市のお馴染みの顔触れに焦点が当たる物語も多く、意外な一面を垣間見れるのもまた楽しい。
単体でも勿論面白いが、未読の方は『まほろ駅前多田便利軒』から見るのがオススメだ。
収録は以下の7作品
『光る石』
『星良一の優雅な日常』
『思い出の銀幕』
『岡夫人は観察する』
『由良公は運が悪い』
『逃げる男』
『なごりの月』
特に私が印象的だったのは、以下2作品。
『星良一の優雅な日常』
裏社会の若きボスの日常が、意外に所帯染みていてどこかコミカルで、それでいながらストイックさは忘れない。
母親と恋人の清海にめっぽう弱い。そして日記は忘れない。こういう男は何だか憎めない。
そして『思い出の銀幕』
曽根田のぼあちゃんが訥々と語る若かりし頃のロマンス。いやぁ、一生忘れられない程の恋っていいもんだなぁ。
そしてそこで語られた、徴兵で戦に駆り出された男同士だけに分かり合える結び付き。なんとも深いなぁ。
多田と行天が作り出す、独特でゆるくて居心地のいい空気感はそのままに、たくさんのキャラクターが登場する物語は、何やら賑やかで騒がしい。
個性豊かな各章は、読んだ人それぞれに心に残る作品が異なりそうで、それもまた興味深い。
Posted by ブクログ
前に読んだ本の続編というか番外編。短編が集まった感じ。
本編の内容はあまり覚えてなかったけど、それでも楽しめた。本編とは違い、主人公以外の視点が中心となって展開した。解説では「幸福の再生」が全体のテーマとされていた。言われてみれば確かにと思ったが、自分はそこまで読めていなかったので反省。全体のテーマを意識しながら読めるようになりたい。
Posted by ブクログ
まほろ駅前多田便利軒に登場する人物の過去や彼らを育んできた環境が人物像の輪郭をくっきりと際立たせてくれるストーリー。 早く次を読みたい。シリーズ化を強く希望