三浦しをんのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
まほろ駅前シリーズの最終版。
これまででできた人たちが、少し成長したり相変わらずだったりしながらたくさん出てきます。
最大の見せ場であろう駅前大集合は、さすがに予定調和すぎて好みは分かれるかも知れません。
でもああいう息をつかせないはちゃめちゃなシーンがふっと終わることで物語がリセットされたような感覚があったので、意図的なんだろうなと思いました。
多田と行天も、その後完全なリセットまではいかないまでも過去を咀嚼し消化できた感じがあり、再生しながら生きていくという作品のメッセージを味わえます。
3作のまさに大円団として楽しく読み終えることができました。 -
Posted by ブクログ
連作の7篇。それぞれ、世界が滅亡に向かいつつある時に、世界のどっかで起こった小さなドラマを語る。各作品の冒頭には、よく知られた日本昔話の梗概。最初はなんで?と思うが、これがのちのちボディブローのように効いてくる。
7篇の間には、登場人物の名前が似ていたり、状況が酷似していたりと、通底する部分がある。でも、完全につながるわけではない。そのすれ違いが、もどかしさとも懐かしさとも愛おしさともつかない不思議な余韻を醸し出している。
たとえば最後の章はいかにもSFらしいタイトル、「懐かしき川べりの町の物語せよ」。なぜ主人公は神保百助、助っ人は、僕、有馬、鳥子の3人なのか。ストーリーテラー、三浦しをんの力量を見せつけられる。 -
Posted by ブクログ
クスッといった生半可なものではない。ブヒッといったものが来るかもしれない。通勤電車なら、用心して読まないと。
エッセイ集としては4作目、2002年「週刊新潮」連載の53話。この年にはFIFAワールドカップが日韓共同で開催された。その話題でも盛り上がる(第二幕「玉蹴り三昧」)。
とくに妄想の暴走するエッセイがいい。たとえば、高村薫の小説『晴子情歌』の新刊案内のワンフレーズから、その内容を想像する。でも、どうしたら、息子に手紙を届けるために百羽の伝書カモメを飼育する母親の話になったりするのか。
「ザ・ワイド」の草野仁や有田芳生、玉蹴り選手のベッカム、シーマン、カーン、ロナウジーニョ……懐かしさも満喫できる。 -
Posted by ブクログ
三浦しをん、ついにワインの本場ブルゴーニュのコート・ドールに出かけ、ぶどうを摘み、醸造所を見学し、デギュスタシオンをした、その紀行文なのかと思いきや、そうではなかった。黄金の丘を転げまわり「たい」だった。
ワイン講座、全17回、充実の480ページ。三浦しをんを含む丁稚5人、ワインソムリエの岡本麻理恵先生からワインのすべてを教わるという企画。座学だけでなく、ワインを見て、嗅いで、味わって、酔う。毎回の本数は2~7本。数えてみると、試飲したのは全部で55本!
しっかり読むと、ワインの産地、色、値段、香り、味、適温、そしてぶどうの品種や料理とのマリアージュの知識が身につく。 -
Posted by ブクログ
続編もまたまた面白い、というより楽しかった。
神去村に来て一年が経ち、20歳になった勇気は、益々神去村に魅了され山の仕事に打ち込んでいく。
『神去村なあなあ日常』は、山の美しさと恐ろしさの中で、勇気が成長していく話だったが、続編の『神去村なあなあ夜話』は、神去村の勇気とゆかいな仲間たちの話といった感じだ。
ヨキも相変わらず破天荒で面白く、繁ばあちゃんもいい味を出している。
横浜育ちの勇気の感覚とはかなりズレている村の人たちの個性的なキャラの中で、非の打ち所がない中村林業のおやかたの清一と、勇気が思いを寄せる直紀さんの凛としたかっこよさが、全体的をビシッと締めてる気がする。
勇気がパソコンに記録として書いているという体で語られる物語だが、小気味良いテンポがとても心地よくて、ワクワクしながら話に吸い込まれていく。
自分も神去村にいるかのような違和感のなさ、安心感が不思議である。
三浦しをんさんの筆力ってやっぱりすごい。
続々編はもう出ないのかなあ。
-
Posted by ブクログ
2025/04/11
海と山に囲まれた餅湯温泉が舞台の小説。のどかでさびれた町に暮らす高校2年生の怜は、2人の母親がいて両方の家を定期的に行ったり来たりしながら暮らしている高校生。そんな複雑な家庭の事情や段々と近づいてくる進路選択、そんなことをもろともしない自由奔放な友人たちに振り回されながら学校や日常での生活を過ごす様子がゆったりと描かれている。
そんななか、餅湯博物館から縄文式土器が盗まれたとのニュースが入り、生活が進む傍らでその犯人を探そうとする試みも始まる。
またストーリーが進んでいく中で怜の出生についても徐々に明らかになっていく。
ストーリーの展開の仕方がとても秀逸で、シリアスな場面…なんだよね?というところで唐突にくるギャグみたいな展開や、クスリと笑える一文がとてもいい味を出していると思いました!