あらすじ
これからどうやって生きていこう? マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら……。いざ、活動を始めてみると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描きます。直木賞受賞作家の才気あふれる小説デビュー作。(解説・重松清)
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くーーーーーーめちゃくちゃ良い読後感。一気に読み終えてしまった。三浦しをんがデビュー当初こんな話を書いていたなんて。エッセイや月魚の印象と違ってかなり好みだった。
解説で重松清に言われて納得してしまったのは、可南子の語り口が古風でありながら鼻につかないこと。変に畏まったり情緒的になられるよりむしろ自然で、2時間スペシャルのドラマに見入っているような気持ちにさせられた。
2時間スペシャルが思い浮かんだのは、政治家の父といけすかない秘書、小言の多い義母、要領のいい高校生の弟たちの存在も大きい。字面だけ見たらドロドロっぽいけど、内容は圧倒的にホームコメディ。ギャグ。渡る世間は鬼ばかり的な(?)くだらなさと、女性として/家の後継としての押しつけられる像から脱却してやるという気概が、可南子の勢いのある語りによって面白く、そして熱く体現されている。単にテーマが設定されているというより、そのテーマとキャラ造形が相互に作用し合ってより面白くなっているから前のめりで読めた気がする。記憶を消してもう一回読みたいランキングに入るかもしれない。感想書いてたらもっと好きになってきた。
家族だけでなく友人の性格も中々に魅力的だった。砂子も父も言動の割に嫌な人に見えないのは「憎めない」のがかなりポイントだと思う。そしてそれは可南子がちょっとずれた呆れ方や怒り方をしてくれるからだ。今すぐ東京の父の家だけ床上浸水すればいいのに、と真剣に思った。というように。
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再読。やっぱりおもしろい。格闘する者に○は、その通りだ。しをんの変態っていつも素晴らしいと思う。神去なも初めからあったんだ。愛すべき処女作。再読しても、やっぱりいい。
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三浦しをんさんのデビュー作!
就活を軸にして、家族や恋愛についても描かれていて、とても共感しやすい物語。デビュー時からこんなに勢いのあるボケとツッコミをしていたのかと驚いた。
最初の文章がここに繋がって、タイトルはここで回収されて…というように、物語の構成がおもしろい。
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好きなことを仕事にしたい、という誰しも一度は考えたことであろう理想と実際の就活の厳しさ。
非常にバランスよく描かれています。
全体的に就活に対して、ゆったりと構えている登場人物達に癒されました。
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三浦しをんさんのデビュー作。
しをんさんのエッセイが大好きで、デビュー作のこちらも読んでみたかったのですが、私が遥か昔に経験した就職活動の話ということで、今更共感できるか心配だったのですが(^^;;、なんのなんの、一気に読み終えました!
登場人物のキャラクターも面白く、主人公がおじいさんと付き合っていたり、お家騒動もあり、本題の就職活動も、出版社の面接の様子を暴露(!?)するものだったりと、盛りだくさんの内容でした。
他のしをんさんの小説も、どんどん読んでいきたいです!
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三浦しおんさんのデビュー作。最近、読み進めが遅い作品が続いたが、これはあっという間に読み終わった。飽きさせない、軽妙洒脱のさすがの展開。
漫画好きで、脚フェチの老人と付き合っているという変わった女子大生の可南子。家も訳ありの義母がいて、半分遺伝子が同じ弟がいる。弟にも大学の友人達にも隠し事が無く、老人と付き合っていることも隠さない。
この可南子が就職活動を行うことに。実在する大手出版会社を絶妙に判読可能にして笑わせてくれる。就職活動がタイトルの「格闘」なのかと思ったら、違ったようだ。
ピントのズレた父親が登場と思ったら大物政治家のようだった。お家騒動、恋愛騒動も入れて全部盛りの内容だったが、最後の締めに幾つもの疑問を残したまま終了。続編でも考えていたのだろうか。
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しをんさんのデビュー作
これがデビュー作なのかとびっくりと同時に、本をめくっていきなりお姫様が結婚相手を選ぶのにゾウを選ぶという話から始まって、なんのこっちゃ?いきなりしをんさんの妄想?と思っていたら途中で謎が解けたのだけど、その物語が就職試験の〇〇。
急にあんな話その場で書ける!?ってまた驚き。
そしてK談社や集A社の当時の面接模様が主人公可南子を通して暴露され(笑)
極め道のエッセイで講談社とは一体ナニガ?(・∀・)と思って、この作品を読むことにしたので、
なるほどなるほど。そういうことか。と
令和の今じゃ考えられない面接。
可南子がいつのまにか脳内でしをんさんに変換されている場面も多数w
面白かった!
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三浦しをんの処女作にして、その後の活躍を予感させる傑作青春小説である。いきなり結婚の条件として象を選ぶ王女の話が出てきて何事かと思うが、主人公・藤崎可南子の就職試験の○○だったというオチが途中で明かされる。ついでながら、その時に本作の題名の謎も明かされる。というように事実と妄想が入り交じり、崩壊寸前の家庭も男女差別も笑い飛ばす主人公の生き様が爽快である。落ち込んだ時に読むと気分が揚がること請け合いだ。
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家も恋人も友達もワケありな就活生。弟くんのたくましさや西園寺さんの優しさが気に入った。主人公が試験で書いた作文(ショートストーリー)がうますぎる。最近ない、他の小説にない設定や言葉遣いに頭の色々な部分を刺激された。
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三浦しをんのデビュー作。
決して主人公が何かを成し遂げたり、大成功したりする訳ではないのだけど、不思議な読後の爽やかさがある。それは読者に近い等身大の主人公を描いているからか。みんな人生色々大変なこともあるよねと寄り添ってくれているような。
今まで手にとらなかった三浦しをんの作品だったけど、読んでみて良かったなぁ。
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本の題名といい、出だしの象選びの姫の話といい、これは不思議な小説かなと思いながら読み進む。漫画が大好きで“脚フェチ”の爺さんと相思相愛、就活中の大学4年生、可南子。彼女を取り巻く複雑な家庭環境。本の題名の由来や家族との関係がだんだん明らかになってきた時は、どっぷり物語に浸かってる。気の置けない友人達や、複雑ながら愛すべき家族に見守られながら“格闘”する姿に○。
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就活をマイペースに過ごす文学部3人。
当たり前だけど一人一人が考えを持ってて、その人それぞれに異なる背景がある事を強く考えさせられた。やっぱり三浦しをんさんの文章は読みやすくて面白かった。
1番良かったのはボーナスがビーナスとボケナスを足して二で割ったような魅惑的な言葉、としてたここ。
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面白かった。自分もちょうど就活の時期だったので読んでみたのだが、就活の不安が少し晴れるかのような、重い話ではなく楽しい話だった。主人公が就活を成功しまくるといったありきたりな話ではないのもgood。人生って自由なんだなと考えた。
自分の若い頃を思い出す
就職活動をする女子大生の姿が生き生きと描かれている。家柄を考えれば、無理して就職をする必要も無いと思われるが、それに対して反発してなんとか自活して生きていこうと考えている。
漫画を趣味とする主人公の可南子は出版社で働きたいと願う。未だ男性優位の考えがうっすらと残るのが会社であり、筆記試験では合格しても面接では面接官のなんとなく女性を馬鹿にしたような質問に窮して、上手くいかない。大手業界は落ちてしまうのだが、中小の業界への就職活動を諦めずに続けていく。
大学の友人たちとの気心の知れた気軽な会話には、はやり言葉など世代の違いがあって意味が分からず、辞書を引いて理解するという面倒を感じたが、正直、逆に余計に興味をそそられた。面接試験で面接官とのやりとりのことなども、若い人の考えていることがここでは感受性たっぷりに描かれている。
物語は、試験に受かるかもしれないと期待をしていた小さな出版社から不採用の通知を受けて意気消沈していた時、家出をしていた弟が帰るという幸な結果が同時にもたらされる。そして家族の暖かい絆に改めて気付いてそれを抱きつつ、おそらくは再び出版社への就職活動に挑戦するというところで終わる。読後感が良い。
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文学部の大学生が就職活動に奮闘する話、ということで他人事とは思えず……あはは。
冒頭のメルヘンなお話が素敵です。作中であんなふうに使われるのねぇ。『私が語りはじめた彼は』の時も思ったけれど、しをんさんの小説は導入部分に惹き込まれることが多いかも。
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このタイトルは、こういうことであったのか! と読んでわかりました。
これは、作者自身の体験を元にして書いたのかなぁ?
特に出版社の面接のところとか。
なかなかおもしろく読めました。
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三浦しをんさんデビュー作。
大学生可南子の就活の様子や複雑な家庭事情、超年上のおじさま西園寺さんとの恋の様子などについて描かれていた。
西園寺さんと可南子の関係がホッコリしていて癒し。また、実際全く血の繋がっていない家族が弟・旅人の家出などを通して仲を深める場面は良かった。
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面白かった。
平成の純文学的な内容だった。
平成中期のコンプライアンスこんな感じだったな、と懐かしく思った。
圧迫面接とか、高校生のたばことか、"ホモ"という呼び方とか。
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三浦しをんのデビュー作ということで読んでみる。
なるほど、デビュー作にしては、クオリティーが高い。
流石、売れっ子作家になるだけのことはある。
文章も読みやすく、サラサラ読める。
印象に残るほどの作品ではないが、面白く読んだ。
星は3.4くらいか。
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三浦しをんさんのデビュー作。
主人公の女子大生とその友達が、マイペースを崩さずに就職活動をしている、(ように思える)ちょっと脱力系で緩めの物語です。
シニカルなユーモアの中に温かみを感じさせる主人公の雰囲気が、エッセイでのしをんさん自身を彷彿とさせて面白いんですよね。
漫画が好きなところも共通していますし。
K談社とか集A社とか、ある意味あからさまな社名の会社での面接の模様は、実体験も多少は入っていたりするのでしょうか。
そんなことを考えながらの読書がとても楽しかったです。
主人公を始めとする登場人物も印象深く、この人たちにまた会いたい、そんな風に思いました。
ちょっと変わったタイトルも、読めば意味が分かりますよ。
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大学生の就職活動とか、とある職につくために勉強しまくっていたころに適当に受けた3社くらいしか思い出せない。内一社は内定もらったが、最終質問がイチローか松井、どっちが好き?だったのは強烈に覚えている。でもってその頃の記憶は後悔まみれの黒歴史なので正直掘り返したくない。
というのは自分の大学生のころで、この本の人たちは「就職?んなもんなくても生きていけるでしょ?」という考え方が強いので安穏とした大学生活を送っていてたいへん羨ましい。いいなぁ。人生毎日夏休み。
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タイトルの意味、なんだろうなぁと思ってずっと読み進めていたのだけれどまさかそういう事だったとは。
就職活動がいかに学生をスポイルして、精神を荒廃させるかは、実のところ就職活動らしきものをしたことのないワタシには実は想像がつかないのだけれど、石田伊良さんの「シューカツ!」とかこの本を読んでいると本当に辛くて気持ちが萎えるものだなぁとひしひし思う。とてもじゃないけれど、自分では耐えられそうもない。
早々に就活を諦めてドロップアウトする若者や、社会に出てくるなり疲れ果てている新入社員を見るとさもありなん、と思うもの。
非常にとんでもない家庭環境の主人公だけれど、実におおらかで愉快な性格。こういうキャラ設定は三浦さんの真骨頂でしょうなぁ。大好きです。
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⭐︎3.5
就活を軸に話は展開しますが、主人公の女子大生・可南子は70近い爺さんと付き合ってたり、家族の問題など色々出てきて、次はどうなるの!?と展開が読めず楽しく読破しました。
SPI試験に際して、「なぜ就活でスパイの適性が必要なの?」とか、主人公の独特の感想でクスッと笑える要素も多くありました。
就活に関する記述は共感できるとこも多かったです。
タイトルの意味も中盤にさらっと出てきますが、そこを切り取るか!?という感じでした。
三浦しをんさんの作品は初めて読みましたが、主人公がなかなか個性的で面白かったです。
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読んでから三浦しをんさんデビュー作と知る。
就活と、家のしがらみと、変なおじーさんとの恋愛関係?と、なかなかよくわかんない話
生きてたらいろんなこと起こるよね、みんないろんなことに格闘しながら生きてるんだよね、ってかんじかなぁ
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可南子、砂子、二木君の大学生っぷりがいい、呑気なんてものを通り越していて。若いんだからこの先なんとでもなる、と言えば確かにそうなんだけど周りの学生を見たらもう少し真剣に就職活動してもいいんだけどな。まあ、三人ともまだ余裕がある。オイラが学生の時にこの物語を読んでいたら、「ふざけんじゃねえよ」って思ってたろうな。オイラの就職活動は可南子以下だったけど、当時はフリーターって言葉もなくてどこの会社でもいいからとにかく就職するしかなかった。オイラが勝手にそう思っていただけかもしれないけど、まさか大学卒業後も親のすねをかじる選択肢はなかったなぁ。でも今この物語を楽しく読むことができたオイラは気持ち的には少し余裕が持てるようになったのかもしれない。自分の子どもたちに対してもあまり干渉しない。望むのは自分がやりたいことを早く見つけてくれるといいなぁってことくらい。いくら血のつながった子どもでも、ひとりの人間だからオイラの思うようにはならない。思い通りになんかならなくてもいいから、自分のやりたいこと、やるべきことに真っすぐであればいい。
だから可南子も砂子も二木君も好きだな。旅人も。怠惰で呑気なことに説教する気にはならない。彼らには彼らの意思があってやっていることだから。
あぁ、そう思うと子どもに教えてもらうことって多い。だから知らないことやできないことを大人ぶってごまかす必要なないと思う。いまの歳になって思うけど大人も子どももやってることなんか大差ない。西園寺のじいさんみたいになれたらいいな。
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就職活動が終わったので読んでみた。
自分の将来進む道を決め、自己分析で己と向き合い、面接で人間性を否定されてる気分を味わうなど精神的にきつい時が何度もあった。
女の子らしいからと選考を落とされた時と、面接で面接官が自分の肩書きを名前を名乗らずに面接を始めた時は特に理不尽だなぁと感じた。
志望した企業から内定をいただき就職活動を終えたが、それで本当によかったのかという不安は拭えない。
私の就職活動はコロナの影響をあまり受けない業界、業種を志望していたこともあり、比較的苦しまなかった方だと思う。
それでも可南子の就職活動は生ぬるすぎて驚いた。
小説としてはところどころに思わず笑ってしまう箇所があり、軽く読めて気分に合っていた。
会社に入るだけが『大人』じゃないで。
Posted by ブクログ
就活を中心とした内容だけれども、家族のことや、いつも一緒にいる友達からのカミングアウトがあって、読んでいておもしろかった。可南子と砂子と二木ちゃんの関係がいいなぁと思った。みんなのこの先のことが気になった!私も就活生なので、周りに流されすぎずに頑張ろうと思えた。出版社の試験で、二木ちゃんが「帰ろうか」と言った場面があった。可南子は「受けなければ可能性はゼロだけど、受けたら少しはK談社に入れる可能性が出てくるんだから」と言っていたのが印象に残った。また、二木ちゃんは可南子に「好きなものを諦めて後悔するくらいなら、駄目でもともとでやったみたほうがいい?」と尋ね、可南子は「うん。たぶんね」と答えていた。私も後悔なく、挑戦していきたいと思った。