【感想・ネタバレ】木暮荘物語のレビュー

あらすじ

小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年、二階建て全六室のおんぼろアパート・木暮荘。現在の住人は四人。一階には、死ぬ前の愛あるセックスに執念を燃やす大家の木暮老人と、刹那的な恋にのめり込む女子大生・光子。二階には、光子の日常を覗くことが生き甲斐のサラリーマン・神崎と、姿を消した恋人を想いながらも別の男性からの愛を受け入れた繭。一見平穏な木暮荘の日常だが、それぞれが「愛」を求めたとき、痛烈な哀しみがにじみ出す。それを和らげ、癒すのは、安普請のぼろアパートだからこそ生まれる人のぬくもりだった……。直木賞作家が紡ぐおかしくも温かな人間物語。

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Posted by ブクログ

肩肘張らず面白かった。何かしら悩みを抱えながら、それを共有すると意外となんとかなるもので。みんなで生きてる。

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2025年10月19日

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終始ユーモラスな筆致で、愉快な場面の愉快さがより際立って表現されていたが、どの章においても展開が大胆ではあるが共感をそそるおもしろい人間関係が丁寧に描写されていて、しみじみとした余韻を感じることができる読書になった。
三浦しをんさんの描く男女関係には嫌味がなく、直接的な性にまつわる単語が登場しても下品でなく、楽しく想像を膨らませることができると思う。

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2025年09月04日

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とても好きな本。
色々な人たちの人生を垣間見ることができる。
小さな屋根の下いろんな人がいるんだなと感じることができた

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2025年03月28日

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おもしろかった~
ここに住む人たち、そして周りの人たち。
性と生の感情があふれてる!
このあと、みんなどうしてるんだろう?
めちゃめちゃ気になる!!

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2024年11月28日

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ネタバレ

三浦しをんが書く人間が好き。
だから、これもとてもよかった。

ただ昔マッチングアプリで出会った男性と初めてデートした時に「小暮荘物語が1番好きな本」って言ってたけど、初対面で言うような本では無いだろと思った

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2024年11月14日

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登場人物がみんなすれ違って、欲求不満のまま……
点と点がつながらないのに関係性が崩壊しないところがすき。泥の味のマスターとヤクザとトリマーの子の続きを読みたいし、あんな三角関係、小説らしくていい。

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2025年06月29日

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ふとした時の灯台のようなものってあるよなあ
並木とニジコ、トリマーとヤクザの関係性
ピース、嘘の味は特に好きだった

橋本紡の 九つの、物語 をおもいだした

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2025年06月15日

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木暮荘という古くてボロいアパートの住人と、その周辺の人々の連作短編である。
これからどうなるのか気を持たせながら次の人にバトンが渡るところが、三浦しをんさんは絶妙に上手いな。

それにしても、どの話もやばい話だ。
特に、畳を上げて床の板の隙間から下の部屋の女子大生を覗くサラリーマンの男はヤバすぎる。
覗く男というより、男の目がそこに住みついているような異様な状況。
絶対捕まる、これは犯罪だ!とハラハラしてしまった。
ところが、女子大学生は覗かれているのも承知で、そのうち男の覗きが公認になる。
サラリーマンも女子大生も普通じゃないな。
でもヤバいけどなんだか笑えるオチになっていて、ちょっとほっこりしたり切なかったり…。
今は若い人も立派なマンションに住んでいる時代だが、こんなボロアパートを懐かしく思う人もいるんだろうな。


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2025年06月04日

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二階建てアパート木暮荘の住人とその関係者が主人公の連作短編集。壁が薄く、古いアパートだから隠し事ができるような環境じゃなく 嫌でも目に入ってしまう、聞こえてしまうからこその、人間模様。 たまたま、今住んでいる人たちの出来事が絡み合って、関わりができて 居心地の良い場所が、できあがる。一番面白かったのはアパートの大家である木暮老人の話。あとは一見ちゃらんぽらんな女子大生光子の話は悲しいエンディングが心に残った。

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2025年04月11日

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おかしくて、愉快で、温かい。
変人だらけだな〜と思いながらも、だんだん逆に普通って何かと自分に問いかけたくなる。
とにかく退屈ない日常が楽しい。

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2025年04月10日

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世田谷代田にある築何年もするボロアポートの木暮荘が舞台。住人や、その周りの人たちのお話。
物語の登場人物全員や、自分の周りの人への愛情がじわじわ増してくる本だった。

#シンプリーヘブン
「見たか、繭。だれが動揺しないって?」でなんかブワッときた。
3人でいる時間が、なんか、よかったな。

#心身
このときはまだ光子ファンではない。

#柱の実り
切ない。前田さん、またふらっときてほしい。

#黒い飲み物
冷めているのかと思ったら、めちゃくちゃ愛してるんじゃん…ってなった

#穴
光子ファンになるきっかけ。

#ピース
泣く。光子が愛おしいし、神崎の思いやりも沁みた。

#嘘の味
別れが寂しくなったときに読みたい。
恋が始まるきっかけ、共感だったな。
記憶の中に自分もいるって思うと、励まされる。

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2025年03月14日

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木暮荘の住人それぞれのストーリーで語られる短編集です。
どの話も性を絡めつつ、人とつながること、求められることで人は自身の生を認めてあげられる、と伝えているように感じました。
特に好きなのは「心身」。
いい年のおじいちゃん大家が、猛烈にセックスしたくなり、その納得のいく解決に向けて煩悶します。
いやらしさはなく、その「求められたい」気持ちに共感しました。
大きなドラマはないけど、読後感がよかったです。

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2025年02月25日

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オンボロアパート小暮荘の住人をめぐる短編集。
天井からのぞかれてる女子大生の話が妙に好きだったな。

元カレと今カレと同居するとか、70の老人がどうやってセックスするかに思い悩むとか、天井から階下をのぞくとか、どれもめちゃくちゃ変なのに、単なるそこにある日常って感じがした。小暮荘がオンボロアパートゆえに成立してるのかもしれない。

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2025年01月25日

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「舟を編む」を読んでからの本作
小暮荘というおんぼろアパートに住む人々のお話
そんなに強い関わりや繋がりがあるわけではないのに、おんぼろ故に他者の存在を感じながら生活する人々
大家の小暮老人が「必要とされたい、求められたい」と思う気持ちがよくわかるなぁ

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2025年01月17日

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理想的な生き方を阻む性、促す性、いろいろな性の形が描かれています。女性作家が性を描いた作品は多いですが、私が出会った作品の中では、1番すうっと入ってきたような、1番(私の感覚と)乖離がなかったような…。ただ、官能系ではないにしろ、1話ごとにセックスセックスとくるのと、尻切れ感のある結末に、読み疲れてしまった章もありました…とは言え、最終章で本作品への愛おしさが爆発。中途半端でいい加減で不器用な登場人物ばかりでしたが、一生懸命に生きる姿にエネルギーをもらうとともに、「もっと適当に生きても何とかなるかな」と、日々の生活に疲弊し切った私は思ったのでした♪

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2024年11月23日

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江戸時代の長屋暮らし、または途上国の下町ってこんな感じなのだろうか。
三浦さんの小説によく登場する、「おんぼろ木造アパート」「若い住人」「犬または猫」というフレームワーク。住人同士が日々助け合って過ごすような、生活感が溢れているお茶の間ホッコリ小説かと思ったら、性生活が露骨に描写され、登場人物のプライベート丸出しの短編集だった。そりゃ、恥ずかしいけど、生きていれば誰だってありますよね・・・
ただし、登場人物同士の希薄で淡白な関係性、微妙な距離感は現代そのもの。この描き方はリアリティがあって面白い。プライベートはお互い様というか見て見ぬフリの割り切り方で、恥じらいも無く、木暮荘に住み続けて(居座って)しまうわけで、登場人物それぞれが「不思議な異常さ」を持っている。
物語自体は楽しく読めてしまうのだか、何となく違和感が漂う。そもそも、前時代的な木造賃貸物件に、若い女性が住んでいて、日々のいざこざやオーナーのペットを媒介して入居者同士が少しずつ繋がっていく・・・という設定はユートピアなのかも知れない。スタイリッシュだけれども殺伐としたアーバンライフの中にある、おんぼろ物件というオアシス、そんな期待を読者に抱かせてくれる巧妙な仕掛けが、この小説に仕組まれているのだ。

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2024年10月19日

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「何言ってんだ笑」と「何やってんだ笑」が詰まったお話。
駅のホームや、喫茶店、アパート、、
目を凝らして過ごしてみようかな笑

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2024年08月29日

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とあるアパートを中心に据えた連作短篇。もっとこの世界観に浸りたい。どのエピソードもなぜか性にまつわるエピソードに仕立てられてる。どの話も良かったんだけど、大家のじいさんがセックスしたくなる話とトリマーの話と覗き穴の話が印象に残ってる。どうも自分もアパートオーナーなので東京ロンダリングもそうだったけどこう言う話は楽しめる。

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

タイトルのイメージと実際の中身は、結構違うところがあったが人間らしいなぁと思うところもたくさんで面白かった。
性欲に関することも割と包み隠さず表現されているところも、ある意味人間らしいなぁと。
みんな言わないけど、こういう欲や妄想ってあるよねぇという部分がいっぱい盛り込まれている。
人によっては犯罪だろう…と思う描写も多々あるが、それも許容できる器の広さが小暮荘の住人の特徴なのだろう。
ものにもよるが、ちょっと道徳的に反した行動をするとすぐSNSで批判されてしまう世の中には、もっとこの住人のような器の広さがあってもいいのかな…と個人的に思った。

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2024年06月15日

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ネタバレ

ぱっと見、これはアパートの住人を巡る短篇連作、であります。

ただ、本作、それにとどまりません。

誤解を恐れずに言えば、性を巡るそれぞれのストーリーといっても良いと思います。

70を過ぎて、どうしても(お金で買うのではない)セックスをしたい大家、イマ彼と元彼と両方に挟まれて心も揺れる20代OL。子どもが産めない体に生れつき、セックスをしまくる女子高生、それを恨めしそうに上から除くサラリーマン等々。

どれもかなり際立った個性のキャラクターが、この小暮荘に縁あって集い、物語を紡いでいきます。

・・・
これが単なるキワモノだらけの捧腹絶倒物語ならば、新味のないどぎついだけの物語であると思います。

が、本作がきらりと光ると思わせるのは、それぞれのキャラクターがそれぞれ思いを抱え、実は真摯な悩みを持つからです。そして、そうした思いは、多くの人にも見られるものであるからだと思います。

嫉妬であったり、執着であったり、名残惜しさであったり、はたまた苦しさであったり。

そのような「想い」を人物にまとわせることに成功しているところに本作の秀逸さがあると思います。だから、ぱっと見は大分変な人たち、否、ぶっ飛んでいるといってもよいのに、読んでいくといつの間にか共感してしまう、そういう造形が多くあるのでした。

エンタメっぽいけど、それにとどまらない。純文学というには面白過ぎる。私はそういう思いを読中に抱いておりました。

同じような感想を巻末で金原瑞人さんが書いていたのも印象深かったです。もっとも彼は芥川賞と直木賞でたとえ、両者の特徴を一緒に仕上げる作家として三浦しをん氏を評されていました(相当意訳しました)。

・・・
ということで一か月ぶりの三浦作品でした。

ただただ面白い、そういうのもいいのですが、その裏に人間らしい悩みや苦しみが見えるところ、そのブレンド具合に筆者の妙が光ると感じる一作でした。

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2025年12月06日

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ネタバレ

坂田繭
木暮荘二〇三号室の住人。花屋の店員。専門学校のデザイン科に通っていたときから、フラワーショップさえきと喫茶さえきの常連だった。アルバイトで雇ってもらい、卒業と同時に正式に採用された。

伊藤晃夫
繭の彼氏。代々木上原の小さな企画会社に勤めている。

ジョン
大家の飼い犬。

瀬戸並木
繭の三年前の彼氏。真っ黒に日焼けし無精髭を生やしている。繭と同じ専門学校の写真科。

佐伯
花屋「フラワーショップさえき」。

マスター
佐伯の夫。フラワーショップさえきの奥のスペースで喫茶店「喫茶さえき」をやっている。

美容師さん
三十歳くらいの女性。美容院の定休日に部屋に飾る花を買いに来るという勝手な推理でそう呼んでいる。

木暮
小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全室ぼろアパート木暮荘の老大家。娘夫婦が転勤の都合で家に転がりこんできたため、木暮荘の空き部屋に移った。

後藤
木暮の旧くからの友人。病に倒れ入院中。妻にセックスを断られた。木暮が見舞いに行って一月もしないうちに死んだ。

木暮の妻

ちなつ

峰岸美禰
代々木上原から徒歩八分ほどの犬の美容院「トリミングハウス・プティ・キャン」に勤めている。

中井
「トリミングハウス・プティ・キャン」の主。四十代後半。二十年以上のベテラン。美禰はひそかに「女ムツゴロウ」と呼んでいる。

土田
二十三歳。「トリミングハウス・プティ・キャン」の従業員。

前田五郎
四十歳くらいの男。

牧野
就職浪人中で近くのバーでアルバイトをしている。

神崎
サラリーマン。就職を契機に木暮荘の二〇一号室に引っ越してきた。ファミリーレストランの本社統括センターに配属。

さとちゃん
一〇二号室の女子大生が呼んでる男。二号。聡。

せいちゃん
三号。

光子
女子大生。一〇二号室。


光子の大学の友達。

亜希
光子の大学の友達。

ヨシフミ
亜希の彼氏。

はるか
亜希の子。

桑田
並木の師匠。並木が通っていた専門学校の講師だった。

遠藤幹也

笹井恵美

北原虹子
フラワーショップさえきで花を買ったときに、並木に声をかけた。

野島

キング・キタ
二十年以上も人気ナンバーワン料理マンガを連載している『九鬼クッキング』の作者。



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2025年11月04日

Posted by ブクログ

性の香りがする短編集。彼ら、彼女らの望みは結実しない。ただ、未来はわからない。それを木暮荘はじっと見つめている。まとめると、こんな感じ。三浦しおんとしては、ちょっと異質な匂いのする本だった。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

東京の各停駅最寄りの古びたアパート、そこの大家さんや住人や、その人たちと関わる人たちの連作集。
話は少しファンタジーのような、あり得なさそうな設定ではありますが、でもそれぞれの話がさわやかな印象を残して、さすがに達者なストーリーテリングです。読み終わって良い気持ちになりました。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

風が強く吹いている、あの家に暮らす4人の女、に次いで読んだ、ひとつのお家にさまざまな住人の生きているさま。前作といい意味で似てる雰囲気もありながらまた全然違う。何故か昔読んだ足立充とか高橋瑠美子の漫画に出てくるモブシーンら日曜日の晴れた日を思い出す。セックスがこんな毎回キーワードになってくるとは思っても見なくて(でもカジュアルに描かれてて)でも読み進めていくと切なくて愛しくて皆んな好き。特に光子のピースのラスト近く、通勤電車の帰り道、心がぎゅぎゅっと掴まれて目が潤みそうになった。これは紙で読むべき本だ。

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2025年03月31日

Posted by ブクログ

木暮荘住んだら何かあるかもね//モトカレとイマカレなぜか仲良しに繭の気持ちはどこへゆくのか/旧友が残した言葉セックスが木暮老をば終始悩ます/男根に似てるキノコが見えるのはトリマー美禰とヤクザの前田/淹れられた泥の味したコーヒーはいったいなにを示すのだろう/観測者女子大生の生活を覗いてるうち目の人となる/子を生めぬ光子のもとに赤ん坊木暮荘みな子育てモード/嘘つきが作ったならば砂の味並木とニジコつくる料理は。

■木暮荘についての簡単な単語集

【葵】光子の友人。
【亜季】光子の友人。はるかを生んだ。
【伊藤晃生/いとう・あきお】繭の現在の恋人。お人好しっぽい。
【神崎】木暮荘の住人。二〇一号室。サラリーマン。会社が気に入らなくて税理士の資格を取ろうとしている。あるとき、住人のいない隣の部屋との間の壁をうっかり破ってしまった。
【九鬼クッキング】並木が子供の頃から続く人気料理漫画。担当編集者は野島さん。
【桑田】瀬戸並木の、写真の(自称)師匠。最近あまり仕事してないらしい。酒に身体を蝕まれている。
【木暮】木暮荘の大家。一〇一号室で暮らすようになったのは自宅に娘夫婦と孫たちが転勤の都合とかで転がり込んできたから。妻を残してジョンとともに木暮荘に入った。
【木暮荘】築ウン十年、全六室のボロアパート。
【佐伯・夫】フラワーショップさえきの奥で「喫茶さえき」を経営している無口な男。長年フラワーショップさえきに勤めているのに繭はまだ名前を知らない。
【佐伯・妻】フラワーショップさえきの経営者。おっとりしている。最近夫の淹れるコーヒーに泥の味を感じられる。他の人は何も言わないので自分だけの感覚らしい。
【ジョン】小暮の飼犬。
【セックス】《セックスとは本来、発情したら挑みかかるだけの身勝手な衝動のことなのではないか。》p.263
【瀬戸並木】三年前、繭とつきあっていたが何も言わずに旅に出たので繭は別れたつもりだった。繭とは同じデザインスクールで繭はデザイン科、並木は写真科だった。で、今はいちおう写真で食っていけてる。《俺はこれからもきっと、ずっとこうだと思う。気の向くままふらふら歩く》p.37。《こういう、距離の取りかたがちょっとずれたひとを、並木はきらいではなかった。》p.251。《並木には、共感と観察を同時に行う癖があった。》p.263
【トリミングハウス プティ・キャン】美禰が勤めている店。主は中井さん。美禰がひそかに「女ムツゴロウ」と名付けているのはどんな犬でも魔法のように手なづけてしまえるから。従業員は美禰の他には二十三歳の土田くん。
【ニジコ】北原虹子。フラワーショップさえきでいつも五本の花を買う女性。《耳に届くニジコの声は、冬の風みたいに乾いている。》p.252。他人の作った料理は食べたくない。「嘘の味がするから」。泥の味がするときは浮気しており、砂の味がするときは嘘をついているとわかるのだとか。
【はるか】赤ん坊。亜季が生んだ。
【フラワーショップさえき】繭が勤めている花屋。佐伯夫妻が経営している。夫は奥のスペースで喫茶店も経営している。もともとは喫茶店だったものに妻が花屋を併設した。
【前田五郎】美禰が見つけた「モノ」に気がついたゆいいつの? 他者。カタギでない雰囲気。《俺ぁ、飯が食えてたまに笑えりゃ、それでいい。そうやって死ぬまで生きられりゃいいなと思うよ》p.111
【牧野】喫茶さえきの常連の女性。就職浪人中。
【光子】木暮荘の住人。一〇二号室。女子大生。生理の来ない体質で妊娠は難しいと言われている。
【美禰/みね】峰岸美禰。トリマーで「トリミングハウス プティ・キャン」で働いている。専門学校生だった頃からもう十年近く勤めている。木暮荘の犬(ジョン)を洗いたくてしかたがない。ある日駅の柱に奇妙なものを発見するが誰も気がつかないようだ。
【繭】坂田繭。木暮荘の住人。二〇三号室。花屋「フラワーショップさえき」の店員。デザインスクールを出てから六年間勤めている。アルバイト時代も含むと八年。今の恋人は伊藤晃生、前の恋人は瀬戸並木。

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2025年01月02日

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「木暮荘物語」というタイトルは、宮部みゆきさんの「小暮写真館」と混同してしまう。
小泉今日子さんと角田光代さんが書評を書いているので読んでみようと思った作品。

三浦しをんさんの小説は、「舟を編む」「神去なあなあ…」「愛なき世界」など読んだが、本作品はこれらと雰囲気が違う。
角田光代さんが、本書の登場人物は変人ばかりだと言っているが、現実社会でこんな人ばかりが密に接する状況は考えにくい。
非現実の設定にすることで、現実のドロドロ感をうまく排除しているように感じる。

中核にあるテーマは「性」で、「生」の中の「生殖」に関わる問題をいろいろと提起した内容になっている。
このテーマを取り上げるとは、三浦しをんさんにとってチャレンジングな作品だなあと思った。

変人キャラで資産家の娘が出てくる。
この女性は、働くことなく優雅に一人暮らしをしている。
彼女は父から貰った財産を食いつぶすことを目的に生きている。
この物語では脇役っぽい一人なのだが、かわいそうな人だと思った。

資産家の娘に限らず、この物語の登場人物たち、このあとの人生はどうなるの?
難しいテーマなのに深刻にならず、むしろ笑い飛ばすような書きっぷりは、三浦しをんさんならではだ。

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2024年12月18日

Posted by ブクログ

本作を読んで、落語に登場する長屋の住人の人情噺や、高橋留美子の漫画「めぞん一刻」を思い出しました。みんな余計な力が抜けていて、心に正直に生きている。でもここまであけすけなくらいに正直だと、突き抜けているというか、うらやましいというか。だって、人は皆だいたいは、理性で自分を抑制しながら生きているものだから。江戸の町の長屋も、めぞん一刻も、そして木暮荘も、住んでいる人たちはとても魅力的でした。

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2024年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々の三浦しをん。

まあまあ重い話だった。風俗を呼んだり、不妊症だったり。不妊症って怖いな。
普通って何か、とか変わってるとは何か、みたいなことを思った。
面白かった気がする

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2024年08月17日

Posted by ブクログ

相変わらず三浦しをん節全開。
マイペースすぎる並木くん、実は深い想いを抱えてる女子大生の光子、不思議なオーラをまとったニジコ。みんな愛すべきクセ強で、しをんさんらしいキャラクターでした。

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2024年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きな人もいるようなので、個人的な問題か。
ちっとも面白くないなと思いながらも進展に期待をしながら読んで、やはり×。読むのやめ!

 そして月日は流れ、10年後におよんで今、読んでいます。“なんや,おもしろいがな”
 なんだろうなぁ、その時の精神状況もあったんでしょう。三浦さんに失礼なことをしてしまいました。
 三浦さんの本は「神去りなぁなぁ日常」読んでからお気に入りの作家さんでした。この後の展開を楽しんで読みたいと思います。

読み終えました。う~ん…ストーリーの設定とかがあまり現実的でないという気がします。特に“穴”などは。

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2025年05月25日

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