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Posted by ブクログ
この本は大きく分けて、色々な本が読みやすい素晴らしい文章と言葉で紹介されている書評部分、本に関係したりしなかったりするエッセイ部分で構成されている。なのでそれぞれに分けて感想を書きたい。
まず書評部分。多くの場合はコミカルで読んでて吹き出してしまうような愉快な文章でありながら、時折ワタの中に仕込まれたナイフのように鋭くて深い言葉が飛び出てくるのがアクセントを与えている。当の本を読んでいないのに紹介文だけでも心に刻印を残していき、舐めていた甘え心を踏み潰していくようは気分だ(まぁその教訓はすぐ忘れてしまうのだが)。特に「すべて「乙女」たちのために」のエッセイは詩的かつ鋭い言葉で、綴られた痛切かつ鋭利かつ湿った恐るべき文章であり、短い文なのにも関わらず読んだ瞬間に最近悪くした肝臓を抉り出され踏みつけられているような気分になった。特に最後のタバコと肺胞に関する文章の存在感は圧巻だ。もはや同じ作者が本当に書いたんですか!?みたいな感じだが、恐るべきことにどちらの方向性でも圧倒的なまでにパワーと迫力を持ちえる文章なのである。親しみを感じたという部分で言うと「ドラえもん」に関する箇所だろう。自分たちがドラえもんに感じている寂寞と懐かしさと親しみをここまで言語化され代弁されているような気持ちになるのは中々ない機会だ。そしてやはり大の読書家の作品であるためか、本の魅力を伝える文章の力が強く、読みたい本リストがどんどん埋まってしまう
次に本を読む時のあるあるや思想、あるいはそれ以外に関するものを描いたエッセイ的部分。
自分も少しものを書いたり、本を読んだりするのは好きなので親近感のある話題が多いかった。それ以外にも面白いものや愉快なもの、行ってみたいなぁとなる旅行記など色々あったが、特に家族に関するエッセイの「耐えがたく、替えがたい、私の家族」はなかなかにグッときた。家族は煩わしいし衝突することも多いがそれでも失いたくないものなのだ。その他にもビールに関する大人と子供のめぐる営み、やたらキャラクターの濃い弟と母親、思いもよらなかった日常や非日常の楽しさを書いたり、鋭い考察をしたり、思い出を振り返ったり、旅行先で手に入った遠い文化と世界の馬の合う友人の話だったり様々でどんどん読み進めてしまった。
以上のように、時にコミカル、時にクスッと、時にすらすら、時にじっくり、時にしんみり、時にギックリ、時にワクワク。よんでいて様々な感情が湧き出てきて、そして面白い。読ませる力がすごく、引き起こす心の躍動がすごいエッセイ集だった。
やはり一番好きなのは、コミカルな作者から繰り出させる最終章「愛の唄」に多い、本から得た知見を鋭く理解し言語化し受け止めていく過程であろう。それは本当に本というものに真摯で高度に向き合い糧としていく姿であり、凄まじい成長であり、心を抉る恐るべき言葉だ。自分は恥ずかしながら大分のほほんと生きてたために、そうしたものに迫れる可能性が高い文学部に入って卒業してもなお、よくわからず悩んでしまい、そしてその悩みすらもすぐ忘れてしまう。だからこうした姿には畏敬と嫉妬と負い目が混ざったようななんともいえない感情を抱くのである。「ファイブスター物語」における愛についての一考、「百鼠」における神への視線と神ではないものへの信仰などは思わず読んで唸ってしまった。もちろんそれ以外のテイストのエッセイでも本の内容や中身に対し、鋭く把握して書き上げているものばかりで、毎回本を読みながら「フーム、よくわからん!すまない!〇〇よ(本の題名)!」と心で叫んでしまう自分として爪の垢でも煎じて飲みたいくらいだ。なんだが本の内容が移ってしまったような結びとなったがいやはや楽しかった。本ともう少し親しんでみようかなぁ、という気分になった。
Posted by ブクログ
結構ボリュームあるし、ペラペラめくったら知らない作家の本ばかりだし、面白そうな所だけ適当につまみ食いするつもりで読み始めた。
で、結果は隅から隅まで熟読!どこを読んでも面白い。
飛ばし読みなどしたら損した気分になってしまうではないか。
三浦しをんさんは生真面目で控え目な清楚なお嬢様タイプだと勝手に思っていたけど、イメージが粉々に砕け散った。
建前は本の紹介だけども、実態は三浦しをんはこんな人だよ、こんなことを考えながら生きているんだ、という自己さらけ出し本。
これらのエッセイが書かれた時期は、15年ほど前だけど今も変わってないよね?
最近のエッセイも読んでみて三浦しをんの進化を確認せねば。
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