三浦しをんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文楽、いわゆる人形浄瑠璃など、テレビでさえまともに見たことがない。それがどうしてこれを読むかと言うと、著者の三浦しをん氏の作品「舟を編む」があまりに面白く、彼女の別の作品も読んでみたいと思ったからだ。「仏果を得ず」という作品が文楽をベースにしているということなので、全く文楽の知識がない自分は、あわせて読みたいと帯に書いてある、この「あやつられ文楽鑑賞」を先ず読むことにした。
文楽初心者の自分には、おそらくそれが正解なのだと思う。文楽のイロハに触れることができたと思う。少しミーハーではあるが、三浦しをん氏が、どんどん文楽にはまっていく様子がありありと伺える。しかも代表的文楽作品の筋やキモを上手く語ってくれていて、とても読みやすかった。いかにも現代っ子という感じがする。
また、個々の作品の解説も素晴らしい。例えば「仮名手本忠臣蔵」などは、ただの武士の忠義の話ではなく、その裏に隠された義士たちの心理を語る。
浄瑠璃では人形が演じることによって、人間以上に人情や心理を語ることができるという。人形に命が吹き込まれるそうだ。一度真剣に舞台を鑑賞してみたい。
また、他の芸能にも造詣が深い所を見せているが、紹介していた歌舞伎や落語はテレビやCDなどでも鑑賞することが出来る。落語は桂枝雀の「寝床」を紹介していたが、手元にある落語のCDの中には桂文楽による「寝床」があったので聴くことが出来た。素人義太夫を聞かされる周りの人たちの迷惑ぶりが面白おかしく語られおり痛快であった。噺家の名前がまた『文楽』というのが偶然とはいえさらに面白かった。 -
Posted by ブクログ
これはいい。
小説原作のコミックとしては、かなりの完成度じゃないかな。小説を読んですぐに風強ファンになって手に取ったから、コミックを見る目は厳しかったと思う。けど本当に、いい。
原作の風強の良さを決して壊していないのに、コミックス版独自の視点で掘り下げられた新しい風強の世界をうまく作りあげている。
特に、東体大をただの悪役にしなかった所に作者の技量を感じる。榊は本当にいい子だし、向井くんの『お前は箱根走れよ』ではもう涙が止まらない。古賀も松平も朝倉もマルさんも、それぞれエピソードがいい。持田もなかなか(笑)
六道大の藤岡も小説よりもキャラに深みが出ていて、力強い存在になっていた。藤岡の話す高校生の頃のハイジさんとの話もいい。ハイジさんとお父さんの関係がただの確執ではなかったからこそ、走がハイジさんにとってどれだけ眩い光だったかが分かる。
そしてアオタケメンバー。
確実に成長していく、食いついていこうとする王子はすごくかっこいい。
ムサの2区は箱根で走る、ということが伝わる区間だったと思う。箱根での〈雰囲気に飲まれてしまう〉がどういうことなのかよく分かって怖かったし、だからこそ、そこから抜け出した走りは見ていて気持ちよかった。
ジョータの兄ちゃんな一面がかっこいい3区とジョージの焦りに息が詰まる4区。
そこから、山登りの5区。この5区では神童の強さと、アオタケの絆が伝わった。この区間は、読んでいるだけのわたしが何故か苦しくなってしまう。
復路までの一夜もまた、イチ押しシーンがたくさん。
ユキが走る6区は原作でも大好きな区間。それが漫画で読んでみると、更に魅力増強!坂道の怖さとそこを迷いなく駆け降りるユキは本当にかっこいい。原作の『ここはずいぶんさみしいところだねカケル』で感じたぞっとするほどの美しさが真っ直ぐに表現されていてすごく嬉しい。音楽好きなクラブに行くオシャレ男子感のあるビジュアルもよかった。
ニコチャンは陸上を諦めてしまった経緯と心情を丁寧に描写されていて、再び走り始めることが出来た喜びを思うと切ない感動でいっぱいになった。
キングのキャラが変えられてしまったのは残念だったけど、みんなが走るからではなく走りたいから走るになっていくキングの変化は見ていてなんだか嬉しい。
カケルについては、始めに万引きをしている設定が変えられていないのがよかったと思う。カケルの心が少しずつ解れていくのも、成長したカケルのかっこよさも本当によく描かれている。箱根の9区でのゾーンに入ったシーンの表現も速さを感じるほどうまくてゾクゾクした。
9区を駆け抜ける走を待つハイジさん、襷を繋ぐシーンと二人の笑顔を見て、感極まって涙が零れた。
ハイジさんは漫画を通して、アオタケのお母さんっぷりやしたたかさと脆さがきちんと描かれていた。10区ではレースの展開やハイジさんの心身の状態やメンバーの絆、すべてが見所。ただ一つ、千切れて弾けるようにゴールして右腕をあげる圧倒的な瞬間は変えないで欲しかったと思う。
エピローグは、原作でのハイジさんの「おかえり」がとても好きなのだけれど、作品としては漫画のほうがうまいと思った。どちらもとてもいいことに変わりはないけれど。
気持ち悪いくらいの長文になったけれど、この漫画は本当に素晴らしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ直木賞作家であり、今年の本屋大賞を取った三浦しをんさんによる爆笑エッセイ。
彼女の小説は『月魚』とか『白蛇島』とか『まほろ駅前多田便利軒』とか、高校生のころにいろいろ読んでました。
特に『月魚』は淡々としたストーリーの中に隠されてる静かな激情(矛盾してるけど、ほんとなんだもん)が、私の心をとらえて離してくれなかった。
けれどエッセイはそんな印象をぶち壊すがごときハイテンション。
特に「ロード・オブ・ザ・リング」を観てアラゴルン役のヴィゴに恋してるしおんさんがね、もう壊れてるw 頁捲る度にアラゴルンアラゴルンってね。「おぉまたかーっ!」って吹いたわ。
どうしようもないことをフルパワーで妄想していく彼女。そして類友と言うべきか、奇想天外な彼女の友人たち。それをテンポよく文章にしていくのって、やっぱり才能だろうな。その背景には、いろんな本を読んで考えた(妄想した)ことがあるんだろうな。
彼女の人となりを感じる、素敵な一冊だと思います。