三浦しをんのレビュー一覧

  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    「さまざまな人を思う気持ち」に深く触れることができました。人は違う。登場する人々の姿は一様ではなく、それぞれに異なる考えや背景を抱えています。その多様さが、むしろ人間という存在の豊かさを浮き彫りにしているように感じました。
    人は立場や経験によって違った見方を持つものだろう――そう改めて気づかされ、納得する。そのことを受けとめることが、自分自身の心を少しだけ、広くすることにつながるのではないかとも思いました。
    たまには自分の心を振り返り、「ああ、こんな気持ちもあるもんだなぁ」と穏やかに見つめ直すことも大切だと感じました。自分の人を愛する気持ち、どんなだろうか?

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    2025年09月23日
  • 神去なあなあ夜話

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    神去が帰ってきた!
    と言っても自分は2冊続けて読んだのだが。

    今作も非常に面白かった。

    今自分が関心を寄せる神話や神道に通ずる話も出てきて、そして登場人物のみんなの関係性が深まっていくのもあって、読み進めるのが楽しい。

    どうか次回作も出していただきたい。修験道やら仏教やらについて触れるというのもあって良し、単に人物の物語が続いていくのも良し。次回作、出ないかなあ。

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    2025年09月22日
  • 神去なあなあ日常

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    めちゃくちゃ面白かった。

    出版時期を考えると、今ではかなりメジャーとなった地方創生、地方移住の先駆けだったと思う。

    勇気の年齢で山や神様に魅力を感じるのはなかなか難しいだろうと思うが、ユーモアあふれる成長物語が心地よい。そして、やっぱり神去山という舞台が魅力的だ。

    30歳を超えて都会勤めにげんなりしている自分にとっては、この読書は沢のほとりで音を愉しむひと時のような感覚だった。

    気持ちよかった。

    それから映画WOOD JOB!の原作だったことを読み終えてから気付いた。確かによく見ると副題に本と同じ名前がある。ということで当然見直した。配役がぴったりでよかった。

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    2025年09月21日
  • ののはな通信

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    少女ふたりの往復書簡を通して描かれる、20年以上にわたる重厚な人生の物語。

    可愛らしい装丁からほのぼのとしたあたたかい物語を想像したらまったく違い、深く深く激しい女の物語だった。
    女性同士の恋愛や生き方について今ほど寛容ではなかった時代の友情とも愛情とも言えぬ関係の揺らぎ。家庭環境・時代背景が複雑に絡み合い、読んでいる側まで胸を締めつけられるような緊張感を感じた。

    時代や家庭の“普通”に縛られた2人だからこそ、素直な気持ちを直接言葉にできず、手紙やメールを介して遠回しにしか伝えられず、制約の中で互いを想い合い交わされる言葉が美しくもありもどかしい。
    手紙だからこそ積み重なった年月の重み、信

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    2025年09月21日
  • 墨のゆらめき

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    ホテルマンとホテルで契約している書耕士とのなんとも心温まる物語。面白くて一気読み。
    初めは疎んじながらも居心地の良さに抗えず関係が続いていく感じが良い。代書の内容も冴え渡っている!
    お互いの仕事にもプロ意識が感じられてこういう描写もスラスラ読みやすく楽しい作品だった。

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    2025年09月14日
  • のっけから失礼します

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    購入した本

    2024年のナツイチに際に購入した依頼、積読になってしまった本を2025年の夏のうちに読まなければ!と思って読んだ。『しんがりで寝ています』がとても面白かったので前巻であるこちらを購入。ずっと面白いんだな、この人。どの話が面白かったなど細かいことは覚えていないのだけれど、全てが面白い。友人と話した雑談をだんだん忘れるように、この本の内容を忘れるのもそれに近い。いい意味で記憶に残らないので、何度でも読んで楽しみたいと思った。

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    2025年09月14日
  • ののはな通信

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    愛とは、考え実践し続けること。
    ミッション系の女子高に通うののとはな。
    特別な関係になり、嫉妬し、離れ、40代になってから再度連絡を取り合うようになる。
    女子高生特有の未熟さと背伸びが垣間見れるやり取りから、国際問題や震災にまで波及していく幅の広いお話。
    ののやはなと一緒に成長していけるような気がする、愛を知ることができたような気がする、じんわり心が暖まるお話でした。

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    2025年09月12日
  • 木暮荘物語

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    終始ユーモラスな筆致で、愉快な場面の愉快さがより際立って表現されていたが、どの章においても展開が大胆ではあるが共感をそそるおもしろい人間関係が丁寧に描写されていて、しみじみとした余韻を感じることができる読書になった。
    三浦しをんさんの描く男女関係には嫌味がなく、直接的な性にまつわる単語が登場しても下品でなく、楽しく想像を膨らませることができると思う。

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    2025年09月04日
  • ののはな通信

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    私はこの小説を読み、短大生のときに亡くなった友人のことを思い出した。

    彼女と私は同じ学校に通っていたわけではなく、学生会館で出会った。初めて都会に出てきて、田舎者で、妙な解放感を感じながらも、不安と恐怖も心の中にあった気がする。

    彼女とは入居してすぐの交流会で意気投合し、それからは夕ご飯の後にロビーに集まっては思い出すのも難しい他愛もない話をよくした。

    短大を卒業し、学生会館を出た私は、また田舎に戻った。彼女が住む場所には遠かったからあまり会えなかったけど、メールやSNSでのやりとりが続いていた。

    彼女は脳腫瘍になった。病状が悪化していくにつれてメールの数は減り、最後に会って数ヶ月後に

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    2025年08月30日
  • 墨のゆらめき

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    ん?しをんさんのまっとうな小説は久しぶり?「エレジーは流れない」が最後だったかな。もっぱら爆笑エッセイを読み耽ってたし。そのギャップたるやもはや別人格。でもまぁ今作は主人公の続力(つづきちから:チカ)にしをんさんがすこし宿ってた気がする。もしくは書家、遠田薫にも。足して二で割ったら三浦しをんの完成か。しかししをんさん、相も変わらずいい感じの物語紡ぎすぎ。泣けるとまではいかなかったけど、漢詩の意味や遠田の生い立ちからじんわりするじゃないですか。二人で代筆屋やればいいのに。あ、まほろ駅前のコンビを思い出した。

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    2025年08月25日
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)

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    ネタバレ

    1. 前半と後半の構成の面白さ
    前半はハイジと走を中心に物語が進み、二人の関係や葛藤が軸になっていた。ところが駅伝パートに入ると、各メンバーにスポットライトが当たり、それぞれの背景や走る理由が明かされていく。読み手としては、その掘り下げが面白い一方で、駅伝の行方が気になりすぎて「早く次を!」とじらされる感覚もあった。この“焦らし”は、物語を一気に読む没入感を高めていたように思う。

    2. 喧嘩の場面の熱量
    特に印象に残ったのは、メンバー同士が感情をぶつけ合う喧嘩のシーン。言葉を選ばず、ストレートに相手に向けて本音をぶつける様子からは、青春の衝突の眩しさと痛みが同時に伝わってきた。『舟を編む』の

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    2025年12月01日
  • 舟を編む

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    ネタバレ

    1.仕事物としての面白さ
    辞書作りという、普段は想像もしない世界の仕事の流れが鮮やかに描かれていた。用例を集める地道な作業や、細部にこだわる校正の場面は、一見地味なのに、読んでいると息を呑むほど緊張感がある。『大渡海』が完成した瞬間、長い年月の積み重ねが一気に報われるような感動があった。自分の仕事にも「良さ」はどこにあるのかを改めて考えたくなった。プログラミングも地道な作業と細部へのこだわりの結晶だと信じているよ。

    2.仕事に対する熱い想いがよかった。
    登場人物みんなが仕事に対して熱い想いを持っているのが感じられてよかった。馬締が熱心なことは当然として、西岡やみどりもみんな結局熱い人だった。

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    2025年12月01日
  • 舟を編む

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    最後は泣いた 
    難しい?真面目?そうなタイトルからは想像できないテンポ良い出だしで、読みはじめてすぐに声を出して笑ってしまい、あっという間に物語に引き込まれた。不器用な人たちが精一杯に生きていくその姿に胸を打たれた。
    『人は辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。』
    最後は思わず泣いてしまったし、まだまだ読んでいたかった。

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    2025年12月05日
  • しんがりで寝ています

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    評判通りにとても楽しく、心が安らぐエッセイ。仕事と研究活動の息抜きにと思って取り寄せたものの面白さに止まらなくなり、一気に読み切ってしまった。発想や着眼点がユニークで日常の些細な出来事を捉えていることにも共感と、感心をさせられる。

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    2025年08月23日
  • 乙女なげやり(新潮文庫)

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    単行本は2004年刊。コンセプトは「なげやり」、英語で言うならnegligent。
    著者いわく「へたれ日常エッセイ」。その日常のなかでも、自分の町を歩き回る「よろよろ徘徊週間」がおもしろい。なかなかいい日常だ。「横浜線、窓ガラス汚れすぎ!」で始まる「ひとり舞台」もいい。これもローカルネタ。
    本書だけのコーナーは「なげやり人生相談」。相談者と回答者、ボケとツッコミの一人芝居。いかにも三浦しをんらしい。文庫版には「帰ってきたなげやり人生相談」が付いている。

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    2025年08月18日
  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    『愛なき世界』を書かれた作者の恋愛短編集ってどんな感じなんだろう、と期待MAXで購入した本
    結果、簡単に期待を飛び越えて行った。女児向け少女漫画みたいな鉄板の恋愛が全くない!(実は1話「王道」がお題の作品があるのだが、そのお題からこの話が出来上がるのかと驚愕した)
    鉄板の王道恋愛モノには飽きたという方には全力でおすすめしたい。
    帯に「恋愛は普通じゃない」と書かれていたけど本当にその言葉通りの内容の話ばかり。
    だが、誰しも登場人物の心情にはどこか共感できるんではなかろうか。そういえば自分にもこんなことがあったかもしれない…このような存在がいたかもしれない……と。

    個人的に、
    ・私たちがしたこと

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    2025年08月16日
  • 夢のような幸福(新潮文庫)

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    2003年刊、エッセイ集としては5弾目。もとはウェブマガジン連載。
    三浦しをんはまだ実家住まい。母親、弟、たまに父親が登場。Yちゃん、ナッキー、Iちゃんが常連。今回は映画ネタ、漫画ネタが多い。
    38篇中のマイベストは「今日麩の味噌汁」。母親の不味い味噌汁をヒントに、なんと推理小説1個ができあがる!

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    2025年08月15日
  • しんがりで寝ています

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    「BAILA」、2019年6月号~23年8・9月合併号に連載。『のっけから失礼します』の続編。
    連載時期が新型コロナの大ブレイクとかぶってしまったもんから、だいぶおとなしめ。不要不急のおでかけができないため、話題は近場、ほぼ部屋のなかのことから始まる。ピカチュウのぬいぐるみと対話する毎日。
    コロナワクチン接種など、リアルタイムネタも多い。ChatGPTだかγ-GTPだかチャットGPRだかも登場する。

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    2025年08月15日
  • 墨のゆらめき

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    書家とホテルマンの、何とも形容しがたい、魂の応答のようなものを感じました。もう面白い。これ読んでよかったなって思わないひといないと言いたいです。起承転結の、転から結にかけてが、ジェットコースターみたいに揺さぶられるけど、降りた瞬間にもっと乗る! まだ降りたくない! って訴えたくなるというか…とにかく面白くてもう本当に読み終わりたくなかったです。

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    2025年08月14日
  • まほろ駅前多田便利軒

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     トラブルを呼び寄せる男、行天が狂言回し的な役割を担います。行天本人も、また、主人公の多田にも深く心に傷を持つのが読み進めるほどにわかり、共感しました。東京郊外の架空の街を舞台に(町田市がモデルとも言われますが)こんな隣人が便利屋として私の側に、もしかしていたなら、私も惹かれる人でありたいと思います。
     作者の三浦しおんは、今やっているドラマ「舟を編む」の原作を書いた人だと知りました。テレビは主演の池田エライザさんの好演もあり見続けていますが、あの言葉に拘りまくる人達の物語を、いつか私も本で読んでみたいと思います。

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    2025年08月11日