三浦しをんのレビュー一覧
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くーーーーーーめちゃくちゃ良い読後感。一気に読み終えてしまった。三浦しをんがデビュー当初こんな話を書いていたなんて。エッセイや月魚の印象と違ってかなり好みだった。
解説で重松清に言われて納得してしまったのは、可南子の語り口が古風でありながら鼻につかないこと。変に畏まったり情緒的になられるよりむしろ自然で、2時間スペシャルのドラマに見入っているような気持ちにさせられた。
2時間スペシャルが思い浮かんだのは、政治家の父といけすかない秘書、小言の多い義母、要領のいい高校生の弟たちの存在も大きい。字面だけ見たらドロドロっぽいけど、内容は圧倒的にホームコメディ。ギャグ。渡る世間は鬼ばかり的な(?)くだら -
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上巻ののどかでほのぼのとした感じから一変、下巻は少し不穏な雰囲気。
研究室で持ち上がるいくつかの問題に向き合うメンバーたち、そこに大きく関わるのが、のほほーんと入ってくる藤丸の存在。
門外漢の何気ない言動に気付かされるってあるあるですが、藤丸のこのキャラクターが効いてきます。
誰のことも一旦受け入れて咀嚼してみる、だから慮れる。もう藤丸は愛じゃん、と思ったり。
あとは松田先生ね、上巻から気になってましたがまさかそんな。松田先生いいよなぁ。
世紀の大発見も日々の地味な作業の積み重ねの結果で、これはいろんな研究室で今も進行中なんだよなぁ。
料理の世界だってなんだって、真摯に誠実に向き合うってのはそ -
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ネタバレ---
## 感想
仕事で林業従事者の方と接することもあり、本書が丹念な調査の上に書かれていることがよく分かった。
本書に登場する神去村はフィクションだが、こうした過疎地の山村は日本中にあり、同じような状況にある。
こと林業に関して言えば、本当にこの本にあるような感じで、高齢者ばかりになっている。
また、「儲からない」「人がいない」「家が建たない」などなど、業界は傾いていくばかり。
補助金がないと成立しない自治体もあるほどだ。
そんな状況を思い、仕事で解決の一助になればと私は日々取り組んでいるつもりだが、この本も、「林業エンタメ小説」と銘打たれてはいるものの、同じような想いを感じ -
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【短評】
久方振りの三浦しをんは、箱根駅伝を描いた青春小説である。
長距離走は学生時代の持久走程度しか経験がない。その経験も「キツイツライ」という思い出で満ち満ちており、走る喜びとは無縁な私だが、まんまと夢中になった。
魅力的なキャラクタを産み出し、動かすのが上手な作家と改めて思った。
暴力事件により高校の陸上部を退部した蔵原走(くらはらかける/カケル)は、寛政大学『竹青荘(通称:アオタケ)』の住人・清瀬灰二(きよせはいじ/ハイジ)にアオタケへの入居を勧誘される。ハイジには密かな野望があった。
地方出身の秀才「神童」、漫画を愛する美形「王子」、双子の「ジョータ」と「ジョージ」、弁護士志望の「 -
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実直なホテルマンの続力(つづきちから 別名チカ)と奔放な書家の遠田薫。
2人が仕事を通じて出会い、徐々に親交を深めていく様子が描かれる。あっ!BLではないです。
大人になってもこんな風に友情が育まれるって素敵だなぁと読み進めつつ、次第に違和感が膨らんで気になっていく遠田の過去・・・
一方で、遠田の書家としての才能を発揮する場面では「書」にクローズアップした描写に引き込まれる。
筆の躍動感や、墨の香り、精神と技が繰り出す空気感が伝わってきて、静謐な美しさを感じた。
余談だが、表紙のアーティスティックなデザインは造形作家shikafuco(シカフコ)氏の「胞」という作品で土で作られているそう -
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3人の娘達は小学生になると書道教室に通いました。良い先生に出会えてお陰様で習わせて良かったと思っています。きっかけは元気すぎる長女に一週間に1時間正座をさせるのが目的でした。習字を見る機会が多かったからでしょうか、毛筆に興味があります。この本の主人公は仕事で書道家と知り合いになり、その作品と人柄に惹かれて行き友人になれると思った矢先にやくざとの関係を知ることになりました。ホテルの従業員としての仕事上、元ヤクザと関わることはタブーでした。しかし、今は書道家であり、また素晴らしい作品を書き人間としての魅力もあり、これからも友達のままで行くことにしました。一途に書道と向き合う彼は決して悪い人ではない