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海と山に囲まれた餅湯温泉。団体旅行客で賑わったかつての面影はとうにない。のどかでさびれた町に暮らす高校2年生の怜は、母親が2人いる家庭の中で、迫りくる進路の選択や自由奔放な友人たちに振りまわされ、悩み多き日々を送っていた。そんなある日、餅湯博物館から縄文土器が盗まれる事件が発生する。 ――モヤモヤした日常を吹き飛ばす、青春群像小説!
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Posted by ブクログ
餅湯商店街、最高! 三浦しをんさんの青春小説。「神去なあなあ」シリーズもとってもおもしろかったけれど、 気を緩めると、読みながらうっかり吹き出しそうになったり、気づけば口元がニヤッとゆるむので、注意。 全編に渡って、男子高校生の愛すべきおバカさが満載なのだけど、その中にグッとくる場面が散りばめられ...続きを読むている。 が、その顛末もやはり、読みながらクスッとなりニヤッとしてしまう展開となるので、とても気持ちのいい、前向きになれる読後感。 いいなぁ。こういう人情味あふれる街も、そこで共に生まれ育った心からの友達も。
爆笑! 最後まで読んで、やっと題名が腑に落ちて、 お笑いを観ている(読んでいる?)感覚だった! 高校生男子の勢い全開で、ぶっ飛んだ青春小説を読んで、私までスッキリと晴れやかな気持ちになった!ありがとう!
エレジーは流れない もっちもっち〜もち湯〜 主人公を取り巻く友人が、繊細だったり、あっけらかんだったり、誰も似つかぬ個性的で良い関係だなあと思いつつ読み進めていった。 もち湯商店街の危機管理アプリメールの連携の様子は、思わず笑ってしまった。 現代は、近所付きあいなどほとんどなく生活をしている人が多い...続きを読む。そんな中、もち湯商店街は、人情味があってとても温かい。 主人公を含む友人達は、高校卒業しそれぞれの人生を歩んで行く門出前で物語が終わる。 皆なんだか大物になるのでは、と思えてしまう。 三浦しをんさんの才筆を味わえて、時に爆笑し幸せな読書の時間が持てました。
11月1冊目 最後まで読んでタイトルみると少しうるっとくる。 その時その瞬間をみんな一生懸命でよかった。 町中親戚か?ってくらいお節介なのも 私は結構好きで憧れます。
私事ながら三浦しをんさんの作品を久々に読みました! 避けていた訳では無いのですが、本当にたまたま触れる機会が少なかったのかと思います。 本作はライトな三浦しをんの物語に分類されるかと思います! 同じ高校生でワイワイということで村上龍さんの『69』や石田衣良さんの『14』が好きな人達には薦められる...続きを読む物語かと思います。 私にとっては遥か昔銀河の彼方の高校生の時代を思い出しました。出来れば怜達の物語はずっと長く続いて欲しいなぁと思いました。 因みに、『エレジー』て何?と思って調べてみたら『哀しい歌』だそうです。 という事は本書は・・・ 海と山に囲まれた寂れそうな温泉街の高校に通う主人公の怜には母親が二人いる? 迫り来る進路の選択を前にして、勝手気ままな友人達に振り回されてそこそこ楽しそうな時間を過ごしていた。 そんなある日博物館の土器が盗まれる!!? 悩み多き主人公、しかし題名のとおり決して寂しい物語では無い!
面白かったです! と思わず小学生みたく元気に叫びたくなる一冊。 三浦しをんのバカさ加減(いい意味で)や、青臭さ(いい意味で)がふんだんに盛り込まれていて、感動するのに、ところどころで爆笑必至。 こういう、軽めの文体なんだけど、決してラノベじゃないのって何ていうジャンルなんだろうね? 大好きだって...続きを読むことしかわかりませんね。 田舎の男子高校生たちのゆるふわ青春物語なんだけど、泣け泣けという書き方じゃないんだけど、読んでよかった、この子達に会えてよかったとジンと心が震えてしまうお話だったよ。 ちょっとだけネタバレするとね…友達にカンチョーしたら、その友達のお尻が硬すぎて骨折する脳筋男子が出てくるよ! カンチョー相手も自分の尻の硬さを自慢するようなおバカ脳筋男子だよ! もう、サイコーすぎます。
一気に読んだ。 ほのぼのストーリーかと思いきや、 友だちや商店街の絆とか、母と子の繋がりとか、温泉のようにあたたかった。 他の同級生たちのお話も読みたいなー。
あなたは、”青春物語”と聞いてどんな作品を思い浮かべるでしょうか? この質問の答えは人によってさまざまでしょう。この世に数多ある小説に”青春”を描いた作品も数多存在します。それら全てを読破した方はいらっしゃらないでしょうし、そこに何を求めるかによっても正解は異なってきます。女性作家さんの作品限定の...続きを読む読書を続けて920冊超を読んだ私としては次の作品が思い浮かびます。 ・恩田陸さん「夜のピクニック」: 高校生活最後に行われる”歩行祭”の一夜を描く物語 ・湊かなえさん「ブロードキャスト」: 高校の”放送部”の活動を王道的に描く物語 ・辻村深月さん「この夏の星を見る」: 中・高生たちの”スターキャッチコンテスト”を描く物語 イヤミスの女王とも言われる湊かなえさんが”青春物語”に登場することにはビックリされる方もいらっしゃるかもしれませんが、いずれも負けず劣らず”青春”の熱さを感じさせる、まさしく王道の”青春物語”です。しかし、”青春”のあり方に決まりはありません。”夢や目標”に向かって突っ走るだけが”青春”ではないのです。 さてここに、『のどかを超えて、なにもかもが緩慢な町』に暮らす高校生たちの”青春”を描く物語があります。漠然とした将来への思いの中に、ゆる〜く流れていく時間をまったりと生きる高校生たちを見るこの作品。そんな物語の中に繊細な”青春”の感情を垣間見るこの作品。そしてそれは、”しをん節”全開に展開する物語の中に高校生たちの愛おしい”青春”の日々を描く物語です。 『おはよ』と『声をかけ』、『狭い台所に無理やり据えたダイニングテーブルのそばへスクールバッグを放った』のは主人公の穂積怜(ほづみ れい)。それに『投げない!埃が立つ!』と『コンロの火を止め』『振り返る』母親の寿絵(としえ)に『うっせえ。掃除しろ』と怜が返すも『怜がやんなさいよ。あたし腰痛いんだから』と言われてしまいます。『挨拶をしないと、「あららー、怜ったらなんでスカしてんの?反抗期?」とにやにやするし、声をかければかけたで小言が飛んでくる。やっていられない』と思う怜は『男子高校生が母親と二人で暮らすのはなかなか大変だ』と思います。そして、『ごちそうさま』と食事を終えた怜は『店のシャッターを頭上へと押し開け』『アーケード』へと歩き出します。『のどかを超えて、なにもかもが緩慢な町』という『餅場町』は、『比較的温暖な気候で海も山も温泉もある』『一大リゾート地』として発展してきました。そして、そんな街の高台にある『県立餅場高校』へと通う怜ですが、『寝覚めが悪かった』こともあって『午前中の授業にはまったく身が入』りません。そんな中に同じ『二年C組の教室前方の席で、突っ伏した机ごとがったんがったん揺れている』佐藤竜人(さとう りゅうじん)がさらにひどい様子を見せます。しかし、『昼休みを告げるチャイムが鳴ると』『嵐の海から突如として生還し』、『怜、ジミー、今日は屋上な!』と言うと『購買にダッシュ』する竜人。そして、『ジミーこと丸山和樹(まるやま かずき)と連れだって』屋上へと向かう怜。三人は『気心の知れた幼なじみ』でもありました。『持参した弁当の包みを解』いていると、『階段室のドアがばーんと開き、竜人と二年B組の森川心平(もりかわ しんぺい)が』、さらには『二年A組の藤島翔太(ふじしま しょうた)も登場し』、めいめいが持ってきたものを食べ始めます。そんな中、『そういえばさ』、『さっきの遺跡で思い出したんだけど』と語り始めた丸山は、『餅場博物館から縄文土器が盗まれたって、今朝のニュースでやってた』と続けます。『海辺の丘のうえにある』『バブル期に建てられた鉄筋コンクリート製の偽物』という『餅場城』。しかし、『客などほとんど来なかった』ことから『築城して数年後に』『町立の博物館に転身し』『餅場博物館として活用されてい』ます。『気候もよく住みやすいのは大昔からなのか、丘では縄文時代の遺跡が発掘され、出土品は餅湯博物館に収めら』れたというそれから。『ああ、そのニュースなら俺も見た』、『でも、土器なんか盗んでどうするんだろう。高く売れるもんなのか?』と会話する面々。そんな中『十五万!』と突然叫んだ竜人は『縄文土器についてスマホで検索し』た『フリーマーケットサイト』の画面を見せます。『ほんとだ、レプリカだけじゃなく、本物っぽいのがけっこうある』と感心する怜は、『盗品を売買しようってやつもいるのかもな』と思います。『「俺たちもパクっとけばよかったなあ」とおおいに嘆』き、『あの博物館、警備ゆるゆるだもん。いまからでも行こっか』と呟く心平。それに、『バカ、十五万の土器で道を踏みはずしてどうする』と言う怜に『えー。だって、こっちなんて四十万だよ?』と『竜人のスマホ画面』を指す心平。そして、一同が心平の指すところを注視した『その瞬間、ぴこんとメッセージの着信を告げるバナーが表示され』ます。『いま来れそう?』というその内容を見て『素早くメッセージアプリを立ちあげ』た竜人。『どこ?』、『美術準備室。会いたいなって』、『すぐいく』と『衆目のなか』に応酬する竜人は『じゃな』と言うと『そそくさと屋上から立ち去』りました。『竜人を呼びだした相手はもちろん、彼女の秋野愛美(あきの まなみ)』です。『心平と同じクラスで、藤島とは親戚筋にあたる』という愛美は『元湯町の旅館の娘』でもあります。『校内でも有名』という『竜人と愛美のラブバカップルぶり』ですが、一つ問題があります。竜人が暮らす『餅場』と愛美の暮らす『元湯は対立気味』であり、『本人たちは控えめに交際してい』ます。もし『全開で交際したら』『地球上のすべての火山が噴火するんじゃないか』と危惧する怜。『県立餅場高校』に通う怜たちの”青春”全開な日常が描かれていきます。 “海と山に囲まれた餅湯温泉。団体旅行客で賑わったかつての面影はとうにない。のどかでさびれた町に暮らす高校2年生の怜は、母親が2人いる家庭の中で、迫りくる進路の選択や自由奔放な友人たちに振りまわされ、悩み多き日々を送っていた。そんなある日、餅湯博物館から縄文土器が盗まれる事件が発生する”と内容紹介にうたわれるこの作品。本の帯に”一番身近な青春小説”と記されている通り、高校生が主人公となるまさしく”青春物語”が描かれていきます。 さて、そんなこの作品を三つの方向から見ていきたいと思います。まず一つ目は絶対に外せない”しをん節”全開に展開する物語です。私は三浦しをんさんの小説はほぼコンプリートという状況なのでサラッと”しをん節”と書いてしまいましたが、しをんさんの小説を読まれたことのない方、「舟を編む」だけは知ってますという方には全くピンと来ないと思いますので幾つかご紹介しましょう。 『「あ、これ?」心平はひょいと馬を取りあげ、怜に投げて寄越した。「オーブンで焼く粘土で俺が作って、菜花にあげた。ウマコちゃん」 「蘇我氏かよ」怜は慌ててキャッチしたウマコを眺める』 まずはサラッとダジャレを入れる箇所です。このような言葉にこだわる表現があちこちに登場します。 『これ以上佐藤干物店の雰囲気が悪くなると、干物が縮こまってキーホルダーサイズになってしまうかもしれない』 こんな風に奇妙な比喩もあちこちに登場します。サラッと一箇所二箇所であればどうということはないのですが、繰り返し繰り返し登場するのが”しをん節”の真骨頂です。そして、”しをん節”の奥義は実はこんなものではありません。それこそが”お下劣”な世界を覗き見る表現の数々です。怖いもの見たさでちょっとだけ覗いておきましょう。『右手の中指と人差し指を骨折した』という心平。さて、その理由は何でしょう? 『ふといたずら心を起こし、野球部の守備練習でライトに立っていた竜人に背後から忍び寄った。そして渾身の力で「カンチョー!」をかましたところ、指が折れたのである』、そして心平が『竜人に言い残した言葉は、「おまえのケツは硬すぎる」だったらしい』。 はい、「舟を編む」しかご存知でない方にはキョーレツな表現の登場でしかないと思います。そして、あくまでサラッと何事もなく綴られていくのが”しをん節”なのです。いかがでしょうか?こんな程度?という声が聞こえました。では、秘密兵器を登場させましょう。『唐津の高校生』と喧嘩ムードになった面々。そこで登場します。『とにかく、ちょっと駐車場の便所に来い』と『腕組みして顎をしゃく』る竜人。 『「俺のうんこが太ぇとこを見せてやる」 「いらない」 唐津の高校生はいっせいに首を振る』 いかがでしょう?というか、いきなり『俺のうんこ』ですからね。こういった文章表現が嫌いな方からすると一気に冷めてしまわれるのではないかと思います。この辺り、この作品の★評価にもストレートに反映されているような気もします。とにかくこのキョーレツな表現の総合体がこの作品の何よりもの魅力なのです。”しをん節”が炸裂するこの作品、これはもう読むしかありませんね! 次に二つ目は『祭り』の場面が登場するところです。しをんさんというと、神去山に守られながら自然と対峙し、自然を利用し、自然を守っていく人々の姿を描く「神去なあなあ日常」も有名です。同作には”オオヤマヅミさんの大祭”が圧巻の表現の中に描かれていました。そんな「神去なあなあ日常」を彷彿とさせるかの如くこの作品に描かれるのが『毎年十一月下旬』に『餅湯神社で』行われる『大祭』です。『別名「暴れ祭り」とも呼ばれ』るその祭りは、キョーレツです。どんなものかを見てみましょう。 ・『餅湯町と元湯町を代表して、ふたつの御輿が神社から出発し、それぞれの町内を練り歩く』 ↓ ・『どちらの神さまも御輿を激しく揺らされたり破壊されたりするのが大好き』 ↓ ・『商店街の一角にある小さな祠のまえで御輿をがんがん地面に叩きつけ、河口近くの橋から川に御輿を投げ落とし、引っぱりあげたと思ったら今度は浜辺まで盛大に揺らしながらかついでいって焚き火に投げこみ、いぶされて焦げかけた御輿を仕上げに海へ放りこむ』 なんともキョーレツです。こんなことをしてバチが当たらないのか心配になりますが、『乱暴狼藉をすればするほど神さまが喜ぶという言い伝えなのだからしかたがない』という考え方の先に毎年続けられてきた祭りです。そんな祭りに、参加する高校生たちの姿が描かれていきます。 ・『竜人と心平はもちろん率先して御輿をかつぎ、要所要所で御輿を地面に叩きつけていた。叩きつけられた御輿に男衆が殺到し、押し転がしたり乗っかったりする。そのたびに観客からはどよめきや歓声が上がる』。 ・『「どりゃあ!」と御輿に跳び蹴りを食らわせ、焚き火へ突きこんだ』心平 そんな中に『「おまえもやらんかい」とうなが』された怜は、 『子どもみたいに目を輝かせているおっちゃんたちの気持ちに水を差すのも憚られ、角材でぽこぽこと御輿を叩いておいた』。 なんとも可愛い姿を見せる怜。しかし、そんな怜も『祭りの熱気にあてられ』ていきます…と描かれていう『大祭』は物語の前半部分の一つの山場を作ってもいきます。こういった過激な祭りが”しをん節”との相性の良さを見せるところも間違いなくこの作品の魅力の一つだと思います。 最後に三つ目は、上記した通りこの作品が高校を舞台にした”青春物語”だというところです。まずは、登場人物となる高校生たちをご紹介しておきましょう。 ● 『県立餅場高校』に通う高校生たち ・穂積怜: 主人公、二年C組、『餅場商店街の「お土産 ほづみ」』に母親の寿絵と暮らす、幽霊美術部員 → 進路 第一希望: 進学、第二希望: 家業を継ぐ ・佐藤竜人: 二年C組、怜の幼なじみ、野球部、愛美と付き合う、佐藤干物店の息子、脳みそまで筋肉に鍛えあげた男 → 進路 第一希望: 広島カープ、第二希望: 横浜ベイスターズ、第三希望: 楽天イーグルス ・丸山和樹: 二年C組、怜の幼なじみ、商店街の喫茶店の息子、美術部長、おとなしい性格でやや影が薄い ・森川心平: 二年B組、怜の小学校からの友人、サッカー部、父親は大手電気メーカー勤務、生命力が強い、皆勤賞 → 進路 第一希望: セミ ・藤島翔太: 二年A組、元湯町の藤島旅館の跡取り息子、大人(だいじん)の風格、愛美の親戚筋 ・秋野愛美: 二年B組、元湯町の旅館の娘、竜人の彼女、見た目がかわいいのみならず、『気立てがよくて賢いけど素っ気ない』という絶妙な性格 主にこの六人の高校生たちが登場します。進路に悩み、恋に悩み、そして家族との関係性に悩み…とそれぞれの登場人物たちはまさしく高校生の青春を謳歌しながらもそれぞれに陰と陽の側面を見せていきます。ただ、上記した”しをん節”がどこまでも炸裂していることもあって見方によっては全てがすべておふざけにも感じてしまうところが人によっては引っかかりを感じるところかも知れません。もちろん、”しをん節”をこよなく愛する私、さてさてはどこまでも心地よい時間を過ごさせていただいています。 さて、そんな物語の主人公の穂積怜は複雑な家庭環境にあることが匂わされていきます。冒頭、 『男子高校生が母親と二人で暮らすのはなかなか大変だ』 という表現をもって、『餅場商店街』にある『お土産 ほづみ』を営む母親と二人で暮らしていることが説明される怜ですが、 『怜は赤ん坊のころは商店街にはいなかった。桜台の家で、伊都子に育てられていた』。 そんな説明の先に二人の母親らしき人物が存在することが明らかになります。整理しておきましょう。 ・穂積寿絵: 『おふくろ』、『お土産 ほづみ』を営む、四十まえ ・光岡伊都子: 『お母さん』、桜台の豪邸を所有、やり手の女社長で東京と行ったり来たり、五十代後半 物語では、この両名の間を行ったり来たりする怜の姿が描かれていく中で、幼き日々よりこんな思いを抱いてきた怜の内面が語られていきます。 『おふくろも、お母さんも、俺のことを息子としてどう扱っていいのかわからないのかもしれない』。 二人の母親の間には何があるのか、そんな二人と怜はどんな関係性にあるのか、そして存在が見えない怜の父親とは何者なのか、物語は上記した高校生の青春を生きる怜の日常を描く物語の中に徐々に全体像が明らかになっていきます。また、物語の前半を盛り上げる『大祭』の描写に対して、物語後半では、冒頭で触れた『餅場博物館から縄文土器が盗まれたって、今朝のニュースでやってた』という点に光が当たってもいきます。しかし、そんな物語を支配するのはどこまでいっても”しをん節”全開な物語です。さまざまなものが、さまざまな事ごとが雑多に、”ごっちゃ煮”の如く混ぜ合わせられながら結末へと向かって突き進んでいく物語。書名の『エレジー』=『哀しい歌』のことにサラッと触れる物語には、怜をはじめとした高校生の今を生きる登場人物たちがゆる〜く”青春”を謳歌していく姿が描かれていました。 『のどかを超えて、なにもかもが緩慢な町。警戒するとしたら、トンビに弁当をさらわれないかということぐらいしかない、怜の住む餅湯町』。 そんな『餅場町』を舞台に高校生たちの”青春物語”が描かれていくこの作品。そこには、”しをん節”全開に、すべてを吹っ切って描く三浦しをんさんならではの物語の姿がありました。登場人物である高校生たちの個性豊かな描き方に物語が活き活きと動き出すこの作品。実在するかのように細かいところまで描写される『餅場町』の魅力が伝わってくるこの作品。 人によって好き嫌いが極端に分かれそうにも感じる、兎にも角にも”しをん節”にどっぷり浸るのが吉と感じた、そんな作品でした。
青春最高! 進路や家族について悩む。それぞれの家族の形や友情、皆周りの人と支え合いながら生きているのだ 男子高校生の日常のような面白くそして心も温まる作品でもあった。 笑あり、涙あり。 周りの人を大切にしよう、自分を大切にしようと思えた
のどかで少し寂れた温泉街。ここで暮らす高校生たち。 「もっちもっち、もちゆ~」と頭に残る気の抜けたメロディーが流れるのんびりとした餅湯温泉では、ゆったりとした時間が流れている。 怜は、お母さんとおふくろの2人の母親がいる複雑な家庭で育ち、にぎやかな友人に囲まれながらも、ありふれた高校生らしい日常を...続きを読む送る。 ありふれた生活の中でも、ちょっとした騒動があったり、将来に不安が尽きなかったり、家族の真実を知るのが怖かったり。平穏な生活を望んでいるも、ゆらゆら揺れる感情と共に、青春という芽吹きの季節を生きている。 愛する餅湯の土地で確かに生きている高校生の物語。「もっちもっち、もちゆ~」の音楽と共に育った彼らは、これからも一歩ずつ人生を歩むのだろう。 煌めくような希望に溢れた青春ではないが、微温湯のようにありふれた日常を揺らめく感情と共に一生懸命生きる、そんな物語だった。
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