三浦しをんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『船を編む』を読み終えてから、しばらくのあいだ言葉について考えていた。
普段、僕たちは言葉をあまりにも簡単に使っている。「ありがとう」と言ったり「大丈夫」と言ったり、「またね」と言ったりする。口から出てしまえば、それらは空気の中に消えていく。でも、その言葉が相手の中にどんな形で残るのか僕たちはほとんど知らない。
この小説に出てくる馬締は、そんな言葉をまるで一つずつ手のひらに乗せるように扱う。彼は人付き合いが器用な人間ではない。むしろ不器用で、少し変わっている。でも言葉に対しては驚くほど誠実だ。
辞書を作るという仕事も考えてみればずいぶん奇妙な仕事だ。一つの言葉について調べ、考え、例文を集め、また考える。それを何年も続ける。完成した辞書を手に取った人は、その長い時間についてほとんど何も知らない。そこに書かれているのはただ言葉の意味だけだからだ。
でも、その「ただの意味」の裏側には誰かが過ごした膨大な時間がある。
僕はそこに、この小説のいちばん静かな魅力があるように思った。
世の中にはすぐに結果が出るものがたくさんある。スマートフォンで調べれば数秒で答えが出るし、欲しいものは翌日に届く。でも言葉というものはそういう速度では扱えない。誰かの気持ちを理解するにも、自分の気持ちを伝えるにもそれなりの時間が必要になる。
馬締を見ていると、不器用に生きることは、必ずしも悪いことではないのだと思えてくる。時間をかけることによってしか見つからないものがある。そして、その時間を惜しまない人間がいるからこそ、僕たちは何気なく言葉を使うことができる。
『船を編む』というタイトルも好きだ。
言葉は海のようなものなのかもしれない。広くて、深くて、ときどき自分がどこにいるのかわからなくなる。その海を渡るために、人は辞書という船を作る。
その船に乗って僕たちは今日も誰かのところへ向かっている。
そんなことを考えながら、僕は本を閉じた。 -
Posted by ブクログ
いつも思わず笑っちゃうエッセイに感謝…!
いわゆる「オタク」な話を聴くのが好き。一途というか、少し過激で、愛が溢れていて、本当に面白い。自分は何か1つにハマれないと思っているから、その感じをたまに味わいたくなる。(周りからすると私もオタクの一種ぽいけど笑)
なんでエッセイストの周りはこんなに面白い日常が…!と思うけど、変わったことが起こるばっかりじゃなくて、ちょっとした気づきだったり、捉え方だったり、表現の仕方が長けていたり、っていうところもあるんだろうな。「型」にハメたらちょっとは面白い文章が書けるのかも。いつ誰のために書くんだって感じだけど。笑
もふもふピカチュウ関連の章とか、EXILE一族の鑑賞会している章、鉢替えの章あたりが特に好きだったな。 -
Posted by ブクログ
4人の会話が面白くて楽しくて、ほかの作品でもまたこの4人でやってほしいです!
作家さんならではの、「この先はこう進むのでは?」「いや、まだこれだけページがあるから私ならこういう展開にしますね」などの予想を聞けたのも面白かったです。
それだけでなく、みなさん結構ふざけていて「名前が覚えられない!」とあだ名をつけたりツッコミを入れたりしながら話しているのがすごく良かったです。
作家さんたちの対談というと、もっと堅苦しいものを想像していたけど、そんなことはなくて友達同士で本についてあれこれ話しているような楽しさがありました。
「罪と罰」はハードルが高い作品というイメージがあって今まで読もうと思ったこともなかったけど、4人の話を聞いているうちにどんな作品なのか気になって読んでみたくなりました。
読まないのにみんなであれこれ想像して語ることで、こんなに「読む」ことを楽しめるんだなと思いました。
読書って、実際に本を読み終わることだけじゃなくて、読んでいる途中に考えたり、人と語り合ったり、読み終わったあとにまた思い出したりすることまで含めて「読む」なのかもしれないな、と感じました。
岸本佐知子さんが、4年越しにみんなでまた罪と罰の話になったとき、みんなだいぶ記憶が薄れてるところも、私もあんなに感銘を受けたのにほとんど内容覚えてない!ということがあるので、私の記憶力と頭の悪さかと思ってたけど、作家さんたちもあるんや!と安心しました。
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私にとって公共の場で読めない作家が二人いる。
朝井リョウと三浦しをんである。
この二人が作家として世の中に送り出してきた著作はいずれもしずばらしい。人間の営みのなかにある愚かさも尊さも描いていて、ファンである人は多いことは想像に難くない。
しかし、エッセイは違う。いや、広義の意味では違わない。二人のエッセイも小説作品と同じくとてもおもしろい。本当に、マジでおもしろい。おもしろすぎて普通に声出して笑ってしまう。
私はわりとゲラなので笑ってしまうハードルが小学1年生がやるゴム飛びくらい低いのだが(ゴム飛びっておもしろいよね、小さいころめっちゃやってた)、それを差し引いたとしても日常においての目の付け所も語り口もシュールで一癖も二癖もある。
おもしろいという言葉の意味が笑いのツボをついてくるという意味でおもしろいのである。
このたび読んだ三浦しをんのエッセイ『好きになってしまいました』は日常的なエッセイでありながら、著者の「うつくしいもの」や旅の様子などが収められている。
どうやってもポインセチアを枯らしてしまうため、お風呂場をその子の居住地にしただとか、ベランダのいちごを狙いにくるナメクジや鳥や虫との攻防戦。時折挟まる友人や家族との軽妙なやりとり。
ありきたりではないうつくしいものに、うつくしいとはいったい何なのか、と考えたくなるし、懸命だったり、怠惰だったりしながらも日々の生活をする様子がおかしい。
親しみの持てる内容から、旅行記のなかで山形の即身仏を見た際の長編エッセイは読みごたえ抜群だった。これJR東日本のサイトにのせたほうがいいんじゃないか。山形県の観光課の皆さん見て(読んで)ますか?
めずらしいものを見ると、とりあえず手に持っている薄い電子板でパシャリとやりたくなる現代の病を持っているものとして、即身仏エッセイにはちゃんと赴いた場所へ敬意を払うことの重要さを再認識させられた。
あとがきまでずっと笑っており、こんなおもしろエッセイだから出かけるときも携えて、公共交通機関で読んだりもしていたが、おもしろすぎてマスクの下でずっと下唇の内側を噛んでいた。マスクを常につけていても変な人間扱いされなくてよかった。
今後おもしろい本やおすすめ本を聞かれたら、ミステリとかSFとか明確な方向性を希望されない限りは三浦しをんと朝井リョウのエッセイをとりあえずすすめてみることにする。 -
Posted by ブクログ
とてもとてもよかった。
今まで駅伝をきちんと見たことがなかったけど、走りに向き合い賭けた人たちの物語に向き合ってこなかったことを後悔するほどの作品だった。
現実ではあり得ないお話とはわかっているものの、現実的なお話で自分も近くで見ているような感覚に陥った。各々が走りに向き合い、各区間ごとに登場人物一人一人の描写が細かく、とてもよかった。
自分もまるで走っているのではと錯覚するくらい没頭してしまった。
1位になることだけが全てではない、その先を見据えて走りを追及することがいかに困難か知ることができた。今後も大切にしたい作品と巡りあえてしあわせです。 -
Posted by ブクログ
良かったなー!最高に面白かった!!
本当に走ってるいるかのよう!
陸上競技をやってたらやっぱり箱根駅伝は憧れる!
陸上は基本的に孤独を感じやすいし、1人で戦ってる感もあるけれど、駅伝は想いも一緒に繋いでる感があって大好き!信じるってこういうことか…となった
1区なら10区まで丁寧に描かれててすごい
登場人物も魅力的でみんなも色々あったり何より初心者だから不安や文句を言いつつ最後は本気で目指して走ってというのがすごくいい!
こういうアツい小説は読んでて気持ちが良い!
走るってどういうことか、私も知りたい
走ってるとランナーズハイは経験するけどやっぱりゾーンはないなぁ
これを読むと本当に走りたくなる!!