三浦しをんのレビュー一覧

  • 舟を編む

    Posted by ブクログ

    言葉への鋭い感性を持つ馬締と、編集部の面々が、新しい辞書作りに向けて奮闘する話。
    ベテランの編集者、日本語研究する老年の学者、辞書作りへの熱意に感化され始める同僚や後輩たち。

    辞書作りにはどの言葉を載せるかに情熱を傾けるだけでなく、それぞれの意味の説明や、紙質にまで気を遣う。そんな多大な労力をかけて生み出される辞書というものはとんでもない手間がかかっていることを学んだ。

    それぞれが込めた想いや、熱量に心揺さぶられる1冊。ぜひ辞書をこの手でめくりたいと、そう思わされた。

    0
    2026年09月01日
  • あやつられ文楽鑑賞

    Posted by ブクログ

    文楽はまだ一度も観たことがないが、そのおもしろさが文章からとてもわかりやすくかつ刺激的に伝わってきた。チケットを購入したが、とても楽しみ!

    0
    2026年09月01日
  • 舟を編む

    Posted by ブクログ

    『船を編む』を読み終えてから、しばらくのあいだ言葉について考えていた。

    普段、僕たちは言葉をあまりにも簡単に使っている。「ありがとう」と言ったり「大丈夫」と言ったり、「またね」と言ったりする。口から出てしまえば、それらは空気の中に消えていく。でも、その言葉が相手の中にどんな形で残るのか僕たちはほとんど知らない。

    この小説に出てくる馬締は、そんな言葉をまるで一つずつ手のひらに乗せるように扱う。彼は人付き合いが器用な人間ではない。むしろ不器用で、少し変わっている。でも言葉に対しては驚くほど誠実だ。

    辞書を作るという仕事も考えてみればずいぶん奇妙な仕事だ。一つの言葉について調べ、考え、例文を集め、また考える。それを何年も続ける。完成した辞書を手に取った人は、その長い時間についてほとんど何も知らない。そこに書かれているのはただ言葉の意味だけだからだ。

    でも、その「ただの意味」の裏側には誰かが過ごした膨大な時間がある。

    僕はそこに、この小説のいちばん静かな魅力があるように思った。

    世の中にはすぐに結果が出るものがたくさんある。スマートフォンで調べれば数秒で答えが出るし、欲しいものは翌日に届く。でも言葉というものはそういう速度では扱えない。誰かの気持ちを理解するにも、自分の気持ちを伝えるにもそれなりの時間が必要になる。

    馬締を見ていると、不器用に生きることは、必ずしも悪いことではないのだと思えてくる。時間をかけることによってしか見つからないものがある。そして、その時間を惜しまない人間がいるからこそ、僕たちは何気なく言葉を使うことができる。

    『船を編む』というタイトルも好きだ。

    言葉は海のようなものなのかもしれない。広くて、深くて、ときどき自分がどこにいるのかわからなくなる。その海を渡るために、人は辞書という船を作る。

    その船に乗って僕たちは今日も誰かのところへ向かっている。

    そんなことを考えながら、僕は本を閉じた。

    0
    2026年08月31日
  • 夜の恩寵

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    久しぶりにダークな三浦しをん作品を読めて幸せ。チャキチャキしてるのも楽しいけど、ダーク味ある方が真骨頂なのではと思う。
    短編には連続性がある。時系列がどうなっているか分からないまま読み進めるから、途中で登場人物たちの十数年後と分かってからヒヤリとしたものを感じた。お話がどこへ進むのか分からない不安定さ、自由さ、不気味さが最高に楽しかった。

    0
    2026年08月31日
  • 仏果を得ず

    Posted by ブクログ

    文楽ものは有吉佐和子のを読んだことがあるが、あれは正統派というかかなり重たい作品だった。しかしこの「仏果を得ず」は現代的な明るい作品でとても面白く読むことが出来た。丁々発止とかわされる会話の面白さ、銀大夫のやりたい放題に見えて弟子への愛があふれている言動など、現代の文楽がもしこの作品の通りの状況なら、いいなあと思う。とても温かい気持ちになる作品。作中の都々逸合戦もとてもいい。

    0
    2026年08月28日
  • 墨のゆらめき

    Posted by ブクログ

    年齢と共に、友人関係は希薄になる。
    お互いの立場や環境から、疎遠になったりする。
    人は最後には、一人で旅立つのが決まりだが、
    最後まで友は、大切だと考える。
    会いたいと、思いが募った時には、
    思い切って会いに行こう。

    0
    2026年08月28日
  • 愛なき世界(上)

    Posted by ブクログ

    「愛なき世界」なんていう題名にそぐわない愛にあふれた作品。温かい空気感の研究室、円服亭、そこに集う人々。あっという間に引き込まれ、完読。その勢いのまま下巻に突入予定です。

    0
    2026年08月27日
  • しんがりで寝ています

    Posted by ブクログ

    いつも思わず笑っちゃうエッセイに感謝…!
    いわゆる「オタク」な話を聴くのが好き。一途というか、少し過激で、愛が溢れていて、本当に面白い。自分は何か1つにハマれないと思っているから、その感じをたまに味わいたくなる。(周りからすると私もオタクの一種ぽいけど笑)
    なんでエッセイストの周りはこんなに面白い日常が…!と思うけど、変わったことが起こるばっかりじゃなくて、ちょっとした気づきだったり、捉え方だったり、表現の仕方が長けていたり、っていうところもあるんだろうな。「型」にハメたらちょっとは面白い文章が書けるのかも。いつ誰のために書くんだって感じだけど。笑
    もふもふピカチュウ関連の章とか、EXILE一族の鑑賞会している章、鉢替えの章あたりが特に好きだったな。

    0
    2026年08月27日
  • 墨のゆらめき

    Posted by ブクログ

    読み始めて直ぐに好きな作品だと直感
    主人公のホテルマンと筆耕師の関係と人物設定がとてもはまりました。
    書道家から生まれ出た文字の墨色、艶、筆感などの表現が素晴らしくどんな字になっているのか?楽しく想像を巡らし読み進めました

    0
    2026年08月27日
  • 『罪と罰』を読まない

    Posted by ブクログ

    4人の会話が面白くて楽しくて、ほかの作品でもまたこの4人でやってほしいです!

    作家さんならではの、「この先はこう進むのでは?」「いや、まだこれだけページがあるから私ならこういう展開にしますね」などの予想を聞けたのも面白かったです。

    それだけでなく、みなさん結構ふざけていて「名前が覚えられない!」とあだ名をつけたりツッコミを入れたりしながら話しているのがすごく良かったです。
    作家さんたちの対談というと、もっと堅苦しいものを想像していたけど、そんなことはなくて友達同士で本についてあれこれ話しているような楽しさがありました。

    「罪と罰」はハードルが高い作品というイメージがあって今まで読もうと思ったこともなかったけど、4人の話を聞いているうちにどんな作品なのか気になって読んでみたくなりました。

    読まないのにみんなであれこれ想像して語ることで、こんなに「読む」ことを楽しめるんだなと思いました。
    読書って、実際に本を読み終わることだけじゃなくて、読んでいる途中に考えたり、人と語り合ったり、読み終わったあとにまた思い出したりすることまで含めて「読む」なのかもしれないな、と感じました。

    岸本佐知子さんが、4年越しにみんなでまた罪と罰の話になったとき、みんなだいぶ記憶が薄れてるところも、私もあんなに感銘を受けたのにほとんど内容覚えてない!ということがあるので、私の記憶力と頭の悪さかと思ってたけど、作家さんたちもあるんや!と安心しました。




    0
    2026年08月26日
  • 『罪と罰』を読まない

    Posted by ブクログ

    ドストエフスキーの「罪と罰」を読んだことない作家4人が座談会形式で内容を推理する話
    斜め上の推理展開で面白いのだが、本番は罪と罰を読んでからの感想
    ロシア語の人物名が覚えられず変なあだ名付けたり、4人ともスヴィドリガイロフ推しだったり、共感するポイントが多くて楽しかった
    愛之助が犬のように話すくだりは声出して笑った

    0
    2026年08月24日
  • 夜の恩寵

    Posted by ブクログ

    え?ホラーですか?毎晩何個かの夢を見て毎朝忘れるために思考停止しながら他情報を入れて有耶無耶にしている私からすれば洒落にならない話だったんですけど…とは言っても同じ夢の世界線の続きを毎日見続けるなんてことはないし予知夢になった記憶もないけど、悪夢ではあるからそれが現実だったらと恐怖する気持ちはよくわかる。いやでも、あそこまで痛覚が現実と遜色ない状態は恐怖でしかない。感触はあるけどなんとなく、夢の中の自分にとって1番強いのはその時の自分の“感情”だけは生々しいんだけど、それに伴って五感がはっきりしたら…怖ッ

    0
    2026年08月23日
  • 好きになってしまいました。

    Posted by ブクログ

    私にとって公共の場で読めない作家が二人いる。
    朝井リョウと三浦しをんである。
    この二人が作家として世の中に送り出してきた著作はいずれもしずばらしい。人間の営みのなかにある愚かさも尊さも描いていて、ファンである人は多いことは想像に難くない。
    しかし、エッセイは違う。いや、広義の意味では違わない。二人のエッセイも小説作品と同じくとてもおもしろい。本当に、マジでおもしろい。おもしろすぎて普通に声出して笑ってしまう。
    私はわりとゲラなので笑ってしまうハードルが小学1年生がやるゴム飛びくらい低いのだが(ゴム飛びっておもしろいよね、小さいころめっちゃやってた)、それを差し引いたとしても日常においての目の付け所も語り口もシュールで一癖も二癖もある。
    おもしろいという言葉の意味が笑いのツボをついてくるという意味でおもしろいのである。
    このたび読んだ三浦しをんのエッセイ『好きになってしまいました』は日常的なエッセイでありながら、著者の「うつくしいもの」や旅の様子などが収められている。
    どうやってもポインセチアを枯らしてしまうため、お風呂場をその子の居住地にしただとか、ベランダのいちごを狙いにくるナメクジや鳥や虫との攻防戦。時折挟まる友人や家族との軽妙なやりとり。
    ありきたりではないうつくしいものに、うつくしいとはいったい何なのか、と考えたくなるし、懸命だったり、怠惰だったりしながらも日々の生活をする様子がおかしい。

    親しみの持てる内容から、旅行記のなかで山形の即身仏を見た際の長編エッセイは読みごたえ抜群だった。これJR東日本のサイトにのせたほうがいいんじゃないか。山形県の観光課の皆さん見て(読んで)ますか?
    めずらしいものを見ると、とりあえず手に持っている薄い電子板でパシャリとやりたくなる現代の病を持っているものとして、即身仏エッセイにはちゃんと赴いた場所へ敬意を払うことの重要さを再認識させられた。
    あとがきまでずっと笑っており、こんなおもしろエッセイだから出かけるときも携えて、公共交通機関で読んだりもしていたが、おもしろすぎてマスクの下でずっと下唇の内側を噛んでいた。マスクを常につけていても変な人間扱いされなくてよかった。
    今後おもしろい本やおすすめ本を聞かれたら、ミステリとかSFとか明確な方向性を希望されない限りは三浦しをんと朝井リョウのエッセイをとりあえずすすめてみることにする。

    0
    2026年08月23日
  • ゆびさきに魔法

    Posted by ブクログ

    三浦しをんさんの他の作品を読んだことがあるのだけれど、文章の書き方がかっちりとしていたり、やわらかい雰囲気だったりと作品によって違う味がしているようで面白いと思った。

    「美」は人の心を励まし、日々の暮らしの希望になってこそだ、という文章に心が惹かれた。美容院でイメチェンしたり、ネイルやまつパをすることはなくても生きていけるものである。しかし、ふとした瞬間に心が軽くなったり、モチベーションになってくれたりと理論的には証明できない魅力があると思った。

    コガネムシのシーンはクスッと笑えた。

    0
    2026年08月21日
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    登場人物の人間像が良かった。
    実際にはあり得ない物語だが、引き込まれた。

    1位になることだけが全てではない。

    0
    2026年08月16日
  • 好きになってしまいました。

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    久しぶりに三浦しをんさんのエッセイを読んだ。
    大分県の竹田市と愛媛の別子銅山に行きたい。

    永井玲衣さんのエッセイと同時期によんでいたので、同じエッセイでも雰囲気の違いに笑いつつ。どちらのエッセイも好きですが。

    私も手ぬぐい集めが趣味だし、EXILE一族も好きだし、と共通点を見つけられるエッセイは、読んでいて共感できるので、とても楽しい。

    0
    2026年08月15日
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「面白かった...。終わってしまった...。」がまず第一声にでます!!
    面白くてページ数も少なくないのにどんどん読んでしまいました。早く続きが読みたくて止まらない手と、まだこの物語を終わらせたくないという気持ちの葛藤もすごく楽しかったです。
    最後の終わり方も現実離れしすぎていない感じが程よく、小説だしな。ありえないな。など思わせないくらいのリアリティがあって清々しい気持ちになれました。スポーツってこんなに素晴らしいものなのかとしみじみ感じさせられました。

    0
    2026年08月14日
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    とてもとてもよかった。
    今まで駅伝をきちんと見たことがなかったけど、走りに向き合い賭けた人たちの物語に向き合ってこなかったことを後悔するほどの作品だった。
    現実ではあり得ないお話とはわかっているものの、現実的なお話で自分も近くで見ているような感覚に陥った。各々が走りに向き合い、各区間ごとに登場人物一人一人の描写が細かく、とてもよかった。
    自分もまるで走っているのではと錯覚するくらい没頭してしまった。
    1位になることだけが全てではない、その先を見据えて走りを追及することがいかに困難か知ることができた。今後も大切にしたい作品と巡りあえてしあわせです。

    0
    2026年08月13日
  • 月魚

    Posted by ブクログ

    三浦しをんはとても繊細に文章を綴る人なのだと思った。夜の光のように美しく繊細でありながら、新鮮さも感じるような心地の良い文章だと思った。

    二人を結びつけているのは昔の過ちなのか、それとも愛なのか。私はどちらも関係があると思った。私はそれらが愛であると良いなと思った。
    一見反対な性格のように思える二人だが、お互いを尊敬して、信頼している。二人とも言葉に出すことはないけれどそのような感情をひしひしと感じられた。

    0
    2026年08月10日
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    良かったなー!最高に面白かった!!
    本当に走ってるいるかのよう!
    陸上競技をやってたらやっぱり箱根駅伝は憧れる!
    陸上は基本的に孤独を感じやすいし、1人で戦ってる感もあるけれど、駅伝は想いも一緒に繋いでる感があって大好き!信じるってこういうことか…となった
    1区なら10区まで丁寧に描かれててすごい
    登場人物も魅力的でみんなも色々あったり何より初心者だから不安や文句を言いつつ最後は本気で目指して走ってというのがすごくいい!
    こういうアツい小説は読んでて気持ちが良い!
    走るってどういうことか、私も知りたい
    走ってるとランナーズハイは経験するけどやっぱりゾーンはないなぁ
    これを読むと本当に走りたくなる!!

    0
    2026年08月09日