三浦しをんのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
伝統芸能の文楽という事で読む前に若干の躊躇はあったものの、あっという間に読み終えた。
主人公の健(タケル)は高卒10年目の太夫。師匠は人間国宝だが、芸には厳しいのにその他はユルユル。京都公演に女性を招待し、大阪の自宅に戻らず遊びまくる。師匠の命令で組まされる三味線は偏屈で知られる兎一郎。
芸事に熱心に取り組む健と兎一郎。その健に恋の相手が出来る。女性に甘い師匠に、女性との付き合いを禁止されたり、応援されたり。
兎一郎と師匠の深い関係や、ライバルの師匠への一時的な弟子入りなど、あちこちに読ませどころ満載だった。
人形浄瑠璃、文楽といった難解な世界を、下世話な筋から解説してもらい、本物を見たくなっ -
-
Posted by ブクログ
この本を一冊読むだけで数十冊の「読みたい・読んでみたい本」の山ができるので、時間の無い時に読むと後悔します。
三浦さんの読書の幅広さに圧倒。学術的なもの、物語、エッセイから果てはBLまで…。
昨今、ビジネスの観点から「教養を身につけること」や「読書」について
やんや言われてますが、本書はそういった実利目的一切なし!
ただ読みたいから読むのだ!という純粋な読書への思いがほとばしっています。
(そして、読んだものがおもしろければ共有したい!という本好きならではのおせっかいさも溢れてる笑)
読みたいものを自分の周りに散らかして、一日中本と漫画に溺れたい! -
Posted by ブクログ
ネタバレ駅前で便利屋を営む多田と同級生の行天が、依頼者からの様々な依頼の中から進んでいく日々のストーリー。
由良公やルル&ハイシー、岡さんや星、清海など個性のある登場人物もとても好き♪
行天は子供が欲しい元妻のために人工受精をした経験あり。多田は浮気相手との間との子かもしれない子供を生んだ妻との関係性が微妙であったが、生後1ヶ月で子供が亡くなってしまったことを機に離婚してしまった。お互い色々なことを抱えているも、行天のことが鬱陶しいと感じつつ、いなくなってしまうと探してしまう多田。絶妙なバランスなのに噛み合っていない2人を取り巻くストーリー。まほろ市が東京の町田市を思い描けるリアリティーのある -
Posted by ブクログ
まほろ駅前シリーズの最終版。
これまででできた人たちが、少し成長したり相変わらずだったりしながらたくさん出てきます。
最大の見せ場であろう駅前大集合は、さすがに予定調和すぎて好みは分かれるかも知れません。
でもああいう息をつかせないはちゃめちゃなシーンがふっと終わることで物語がリセットされたような感覚があったので、意図的なんだろうなと思いました。
多田と行天も、その後完全なリセットまではいかないまでも過去を咀嚼し消化できた感じがあり、再生しながら生きていくという作品のメッセージを味わえます。
3作のまさに大円団として楽しく読み終えることができました。