あらすじ
ののとはな。横浜の高校に通う2人の少女は、性格が正反対の親友同士。しかし、ののははなに友達以上の気持ちを抱いていた。幼い恋から始まる物語は、やがて大人となった2人の人生へと繋がって……。
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Posted by ブクログ
少女ふたりの往復書簡を通して描かれる、20年以上にわたる重厚な人生の物語。
可愛らしい装丁からほのぼのとしたあたたかい物語を想像したらまったく違い、深く深く激しい女の物語だった。
女性同士の恋愛や生き方について今ほど寛容ではなかった時代の友情とも愛情とも言えぬ関係の揺らぎ。家庭環境・時代背景が複雑に絡み合い、読んでいる側まで胸を締めつけられるような緊張感を感じた。
時代や家庭の“普通”に縛られた2人だからこそ、素直な気持ちを直接言葉にできず、手紙やメールを介して遠回しにしか伝えられず、制約の中で互いを想い合い交わされる言葉が美しくもありもどかしい。
手紙だからこそ積み重なった年月の重み、信じ合う互いの心の結びつきが確かにあった。
人を想い、想われること、愛すること、生きることについて考えさせられる、そしてきっと何度も読み直したくなる、骨太な一冊だった。
Posted by ブクログ
愛とは、考え実践し続けること。
ミッション系の女子高に通うののとはな。
特別な関係になり、嫉妬し、離れ、40代になってから再度連絡を取り合うようになる。
女子高生特有の未熟さと背伸びが垣間見れるやり取りから、国際問題や震災にまで波及していく幅の広いお話。
ののやはなと一緒に成長していけるような気がする、愛を知ることができたような気がする、じんわり心が暖まるお話でした。
Posted by ブクログ
私はこの小説を読み、短大生のときに亡くなった友人のことを思い出した。
彼女と私は同じ学校に通っていたわけではなく、学生会館で出会った。初めて都会に出てきて、田舎者で、妙な解放感を感じながらも、不安と恐怖も心の中にあった気がする。
彼女とは入居してすぐの交流会で意気投合し、それからは夕ご飯の後にロビーに集まっては思い出すのも難しい他愛もない話をよくした。
短大を卒業し、学生会館を出た私は、また田舎に戻った。彼女が住む場所には遠かったからあまり会えなかったけど、メールやSNSでのやりとりが続いていた。
彼女は脳腫瘍になった。病状が悪化していくにつれてメールの数は減り、最後に会って数ヶ月後に彼女の母親から亡くなったとのメールが一通届いた。私は仕事中で、休憩室一人だった。
もう彼女の顔も思い出せないくらい、あの日々は日常に溶け込んでしまったけれど、親友と言えるような深い関係でもなかったけれど、楽しかったなぁと、ののはな通信を読みながら過去の自分と彼女との日々に浸っていました。
読んでよかったです。
Posted by ブクログ
2人の往復書簡。高校生〜大人になるまでの手紙やメールのやりとりで構成された小説。
そして愛の物語。
最初の方は、学生特有の世界観、あの時にしか味わえないもの(それをまさに青春というのかもしれない)がとくと伝わってきた。
時間が経つにつれ、お互いのすごく環境やいざこざ、結婚や仕事のことが変わっていく。
それぞれ違う道を歩むにつれて、変化していくところと変わらないところがある。当然のことだがその中でも変わらないこともある。
それを長い時間の流れの中で感じることができるこの物語には心が動いた。
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4.1
胸がぐぅぅぅっと抑えつけられてる感じ。ずっと。でも泣けなくて、でも知ってる感情がいっぱい詰まってる感じがして、苦しい。けどこの長い物語を読んだことを決して後悔しない。
ののとはなのあの時の愛がとても美しく感じて、なぜかその気持ちを自分も知ってる感じがして。何年経っても何十年経ってもあの時ほどの燃え上がる恋心には出会えないんだというちょっとした絶望。でもそれでも自分の好きな場所や人たちとの関係をちゃんと愛して、でも心の一番深いところでは昔のダイヤモンドをずっと求めてる。お互いを一番深いところで求め続けてる。確かに一生のうちにその気持ちに一度も出会えない人もいるのだとしたら、そういう思い出や相手がいたのはとてもとても幸せなこと。はなとなんで再会できないのが1番の感想。でも、二人は20年直接会ってないから今のお互いの顔も髪型も体型も老いも感じず、距離も遠いのに、心が繋がってる感じがしてむしろよかったのかも。顔を面と向き合って合わせないからこそすんなり前と同じように本音を曝け出し合えたのかも。そう思うようにしようかな。
為五郎なんで帰ってこないの。
Posted by ブクログ
2人のやり取りが本当に教室のメモのようで短くてラリーの多さにようやく慣れたと思ったら決別。振り返ってみると訣別してからお互い成長して再開していく楽しみな物語になった。初めは短い文章が成人になって自我が目覚めるとだいぶ自分を分析して書く量が抜群に増えた。もうここまで来ると引き込まれてしまい、上手な見事な表現で、おみそれしました、一年以上振りの三浦しおんは良い。思春期で性を体験すると冷めてしまうのだろうか、悦子さんはどうして病気を言わず消えたのか。支えてあげる欲しいの両徳ではと思う、ハナの難民キャンプも
Posted by ブクログ
お互いを大切に思い合う関係性が人生を通して保たれていました。(途切れたり離れたりしたことがあったのにも関わらせず)切なくて愛おしい関係性だと思いました。こんなに誰かを愛し、愛することができるだけで人生はすばらしく豊かになるのだなと思いました。素敵な本に出会えてよかったです。
Posted by ブクログ
2人の女性の文通だけで成り立っているという面白い本だった。ののとはなのように忘れられないくらい情熱的な恋を経験したことがないので羨ましいと思った。最後は再会するのかと思ったが思いもよらぬ結末だった。
Posted by ブクログ
ひらがなと表紙がかわいい 作者で選んだだけ 裏のあらすじも読まずに
全然想像してなかった内容だった
ののとはな 2人の女性の手紙のやりとりだけで全て終わる 最後はかなりかけ足で読んでしまった
第一章で激しく燃え上がるんだけど、大人になってからの話もまたいい
勝手にミステリ的な要素を探そうとしまったがそういう話じゃなかった
おもしろかった 新しい読書体験ができた
Posted by ブクログ
読み始めはゆるい高校生百合かと思っていたら、展開がおもしろくてドキドキハラハラでグイグイ引き込まれた。
往復書簡の小説は初めて読んだけど、感情の揺れや状況も伝わってきて面白かった。
Posted by ブクログ
最初はただ仲がよく、気の合う同級生だと思ってた。恋愛がうまくいかなくなっても、相手のことを思う気持ちは変わらない。手紙やメールで繋がりを保ち続ける2人の家族は、この2人のことをどう思っていたのだろう。2人の空気感や距離感は、ただの同級生ではなくなっていた。それぞれの人生を歩むことに変わりはないけれど、お互いを大切にしていることがよくわかる。
手紙やメールの内容を知らない家族だって、机に向かって考えているののやはなを見ていれば、自ずと2人のただならぬ関係性には気づいてしまうかもしれない。
苦しくて楽しくて、こんなに幸せな恋愛ができることは、どんな経験とも代え難い、素晴らしいことなんだろうな。手紙を相手にこれだけの長い文章で何度も何度も伝えることができるのも、2人の気持ちの深さ、強さだと思う。私も手紙かこう
Posted by ブクログ
最初ちょっとエロすぎて驚いてしまった、、!
手紙だけでストーリーが繰り広げられるのが、面白い。
途中で途切れながらも、ずっと相手のことを忘れずにやり取りができるのって素敵だなあ
Posted by ブクログ
好きな人と"手紙"でやりとりする。
1日に何ラリーもできないから、僕なら発狂してしまいそうです。
授業中の手紙のやり取り、懐かしいなぁ。中継役をやったことがあったようななかったような。。
はなちゃん、どうかご無事で。
Posted by ブクログ
タイトルからほっこり系のお話かと思いきや…
ののの言葉に共感できることが多かったです
魂の片割れとも思える存在を知った人の、「だれかを愛し、だれかに愛されるにふさわしい人間になるべく…」という言葉の重み
後半に行くまでは好みじゃないかもと思いましたが、2人の人生を見守るにつれて終わらないで欲しいと感じるようになりました
辻村さんの解説も素敵でした
Posted by ブクログ
横浜のミッション系お嬢様校でであったののとはなの間の往復書簡。
クールなののと天真爛漫なはな、正反対ながらも心通わせる二人。やがてとあるきっかけで別離するが、再び手紙のやりとりを始める。思春期の熱く激しい感情の応酬以上に、年月を重ね心理的にも物理的にも距離が開いた二人の互いを標に進む姿が眩しい。おとぎ話のような「運命の相手」ではなく、「運命を作る相手」ともいえる、昭和の終わりから二十年以上にわたる二人の年月を綴る。
Posted by ブクログ
なんて表したら適切か分からないが、胸が苦しくなる物語だった。愛と別れ、思い続けること。この先ののがはなや為五郎と再会できるかどうか分からないけれど、それはたいした問題ではなくて、自分以外のものを思えること自体が幸せなんだと思った。
わたしもうさぎを飼っていて、彼女の絶対的な存在に安心し勇気づけられているので、一人ベッドで涙するシーンで目の奥が揺れた。
泣きそうで泣けない、泣く必要のない物語。
Posted by ブクログ
前半は高校生の恋愛のいざこざじゃん!って思ったけど、後半は2人の人生観とかお互いへの愛みたいなのが詰まっててまじで名作!
普段の会話や生活ではなく、お互いしか読まない手紙だからこそ、自分がどう生きたいかとか平和への想いとか考え方とかが整理されて記載されていて、文通スタイルの良さみたいなのを感じました。前半は文通じゃなくて生活を普通に描いて欲しいと思ったけど、後半になって文通スタイルが効いてきていた!!
ののの1人好きだけど寂しがり屋なところ、頭が良すぎて自己完結しがちなところとか、はなのおとなしそうなのにちょっとクレイジーなところとか、すごく具体的にイメージできて、頭の中に2人がいる!笑
2人の考え方がどんどん柔らかくなっていって、歳をとるのも悪くないのかって思える
Posted by ブクログ
ののとはな、二人の人生が交わり、離れ、また漸近する、その過程が丁寧に紡がれた物語でした。どきどきしながら1章の幸せいっぱいのやり取りを読み、破綻した後のどこかひりつくような2章、そしてかつての愛を懐かしみ愛おしみながら未来へ進む3章と読み進めました。このやり取りがいつかまたどこかで再開するような気がして、その先を読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
私に魂というものがあるからそれはあなたのものです!
女子高生から大人になるまでの2人のやり取り
手紙のやり取りやけど妙に光景?情景が浮かぶし2人の大人へのなり方がとても素敵で強かった
Posted by ブクログ
2018年第8回新井賞
2019年第25回島津恋愛文学賞
2019年第7回河合隼雄物語賞 受賞
横浜のミッション系お嬢様学校で出会った 庶民の、ののと 外交官の娘、はな
二人の高校時代の少女らしい手紙やメモ、少し大人になった大学生の便り、40代を迎えやり取りされたメール 残された書簡は段ボール一箱
その書簡のみで構成された小説
高校時代の狭い二人の世界での友情から恋愛への移行
それは、若さゆえの好奇心からのトラブルで破局を迎えた
彼女らは別の道を選択して大人になっていく
破局した後もわずかな手紙で続いていた関係は、はなの外交官との結婚で再び終止符が打たれる
四十を過ぎた二人は距離はあっても 生き方は違っても リスペクトと親友を超えた気持ちは続く
そして、二人の愛の話は人道的な愛へのラストに向かう
昭和59から64が 少女時代の書簡
2010から2011 が大人になったEメール
二人の成長に時代の流れや事件事故を表現する大河風でなかなか読ませます
二人の百合物語ならそれで終わりなのだけど
その時の気持ちを根幹としてその後の生き方を描いたところが素敵
ただし、女子だったことがある私でさえ、手紙の多さと恋愛的甘美さに折れそうだったので読む人は選ぶかも
高校生時代のメモ回しや 大人になって年賀状に加えられるようになったEメールアドレスにドキドキしながら送信したことも思い出した
Posted by ブクログ
文通のみでストーリーが展開する作品。
女の子同士の2人の恋物語。
2人の性格というか描写というかたまに分からなくてイライラするところがチラホラ。
会わない、もう文通しないと言いつつ結局くっつき求め合う感じが恋だなあと( ´-` )
文通の昭和から始まり震災で終わる。時代も感じられて良かった!
ラストがモヤっとしたし分からないけれど、最後の最後まで互いを想いあってる文が印象的。
Posted by ブクログ
装丁から、可愛らしくほのぼのした物語を予想していたけど、思いっきり裏切られた。
とても激しくて情熱的な愛の物語。
思春期独特の美しさや残酷さにドキドキしたり、大切に思うからこその選択に切なくなったり、強く凛とした姿に涙したり、、、展開に心と頭が追いつかない!!
一緒にいることだけが愛じゃない。
離れていても共に生きていくことはできる。
思いがけない最後に言葉を失うも、じんわりと温かな気持ちになる。そんなお話でした。
Posted by ブクログ
長い時間をかけて読んだ。
ののもはなもポエミーで、少女時代の秘密の恋を神聖化してる感じがどうも苦手だったからだ。
10代で、ましてや男子のいない女子校で運命の恋なんて決めつけるのは早すぎるし、行き過ぎた友情や若気の至りみたいなものだと思っていた。現に二人は割と早く別れてしまうし、はなは結婚してしまう。
後半から一気に面白くなった。
続きが気になって仕方がなかった。
はなの最後の手紙の一文「感謝します。神さまでなくあなたに。」に痺れた。
読み終わった時、とても切ない気分になった。
大人になってまた再会するような陳腐な展開を想像した自分を恥じた。
Posted by ブクログ
こんなに分厚い往復書簡、しかも女の子同士の恋?…読む前は足踏みしてた。
高校時代の手紙のやりとりからはじまる。小学生時代は交換日記、中学生時代は文通、授業中の手紙、高校時代はメール。話すことが溢れていた私の学生時代を思い起こさせて、すごくリアルで、あとがきで辻村深月さんが書かれたように私の物語でもあるんだって思った。
時間とともに変化し、胸に抱える宝石も輝きを変え、その経過を往復書簡で表す。なんだかどっぷりはまってしまった。
匿名
女子高生から40代になるまでの手紙とメールのやり取り。手紙のやり取りだけで彼女らに起こったことや心のありようがわかる。10代のいっときの愛をここまで大事にしてきた2人はとてもカッコいい。
Posted by ブクログ
タイトルと言い始まり方と言い
いわゆる【甘酸っぱい女の子同士の恋愛】と
思っていた
だけど読み続けるとそれぞれが大人になり
それぞれが相手の知りえない経験をし
それを後々メールで伝えることで
お互いが【あの気持ちは本物】だと
激しく何度も再確認し合う
ラストは想像と違った
だからこそリアルか…
猫飼いの身としては為五郎が
たくましく暮らしているか気になる
Posted by ブクログ
往復書簡の形式で進むお話というのがとても新鮮でおもしろかった。本当にこれだけで長編小説が成り立ってしまうのね…
一方からの手紙が続く様だけでここまで「語れる」とは、小説家って本当にすごいなと思った。
登場人物は二人ともお嬢様って感じ。
ののは一般家庭ではあるものの、通ってる学校がお嬢様学校だからだろうか。
小説全体を通して、二人の学生時代から大人になるまでが描かれており、物語の壮大さとしては、『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』(ガブリエル・セヴィン)にも似ている。人間の人生をまるっと読んだような感覚。
特に学生時代の、友達以上恋人未満のような秘密を含んだ甘い雰囲気は、とてもキュートでかわいらしい。また、大人になってからのやり取りにも二人らしさが詰まっていて、年上の二人にも関わらず「大人になったねぇ」と感慨深くなってしまう。
一方で終わり方はちょっとあっさりめで、やや消化不良感あり。恋愛小説とはこういうものなのか?
どこかでまた巡り合い、素敵な関係を続けていってほしいなぁ、と未来に思いを馳せてしまった。
Posted by ブクログ
これは図ることのできない愛の物語だなと思いました。
年頃の年齢から大人になるまでの中で手紙の書き方や口調も変わっているのが細かい。
ののもはなも相手のことをずっと思っている、大切に思っている、それが切なく儚い。
文通、あこがれるなぁ。
Posted by ブクログ
なんかすっきりしない終わり方だった…。いつかどこかでまた会えるんだろうか。
わたしはどちらかというとののだから、はなになりたい気持ちがすごくわかる。
Posted by ブクログ
読み始めて最初に感じた少女時代の文体の違和感は舞台が昭和だからで、自分の周りにいるそのぐらいの年代の人たちを想像すると、少女時代はこんな感じだったのかな、と思えるところがちらほらある。
言葉遣いが笑ってしまうぐらい同じだったりするのだ。ガラガラが出てきたときには驚いた。(他にも言う人いたんだ、と)
その時代なんだと思って読み進めれば、わりとすんなり内容は入ってくるし、時代を考えれば考え方や価値観も自分を合わせにいって読むことができる。
やりとりがもどかしくて速達で手紙を送る時代。
やったことがないからどんなふうに日中学校で過ごすのかなんて考えてしまった。交換ノートのように直接相手に渡さなくていいし、誰かに見られる心配もない。
2人が恋人同士になるなんて、全く知らずに読んだので衝撃だったし、恋愛にまつわるあれこれも人様の手紙を勝手にこちらが読んでしまっているような感覚にもなった。
2人の成長と、心の在り方の変化が丁寧に描かれていて、会えても会えなくても、どうか2人それぞれの相手に対する想いがどんな形であれ通じますようにと祈りたくなる最後だった。