三浦しをんのレビュー一覧
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辞書編纂・出版に挑む人たちの小説。
言葉に取り憑かれた人たちが辞書を編むのか、それとも辞書を編むうちに言葉に取り憑かれるのか。
本作に登場するのは、言語学を修めながらも人とのコミュニケーションには難のある馬締を主人公に、ベテラン辞書編集部員の荒木、監修者の松本先生ら、言葉や辞書編纂に偏執狂的熱意を持った人たちが中心になる。
彼らの熱意をベースに繰り広げられる、辞書編纂のいろはや数々の語釈(という言葉を本書で初めて知った)を縦糸に、この辞書編纂事業に携わった「普通」の人々……同僚の西岡や岸辺、製紙会社の宮本らが、当初その熱意に戸惑いながらもいつのまにかすっかり巻き込まれ、各々ができる形で辞書の -
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ネタバレ高校生の時に読んで、懐かしいなと思って手に取って再読。都会育ちの高卒、平野勇気が放り込まれた職場は三重県の林業の現場、神去村。山と共に生きる個性的な村人達と繰り広げる一年に亘る騒動記。
環境というものは大事だなと改めて思う。主人公が馴染みのない林業にのめり込めていけたのは、神去村の人全員が山に対して真摯に向き合っているからだと感じた。やはり人間、環境に対応していく生き物だと思うし、自分を高めていこうと思うか、現状維持でなあなあに過ごして行くかは周りの環境に左右されると最近思う。主人公が周りの村人達、ヨキや清一さん、巌さん、三郎じいさん、ミキさんや裕子さん、山太、直樹さんにどんどん引っ張られて行 -
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全国津々浦々、少しニッチなテーマを扱う博物館紹介本。
秘宝館をはじめ、ボタンやメガネなど、いろんなテーマの博物館があるものなのだなあと感心するとともに、三浦しをん節を味わう。
今回は何より解説を読んで納得。なるほどなるほど。三浦しをんって対談とかそういうの上手な人なんだね!なんだかわかるよ。人とのやりとりが生き生きしてるもの。
ボタン博物館に行きたい&熱海の秘宝館は一度行かねばと思っております!
個人的に、性具や性愛関係はなぜか色々博物館へ行っておりまして…チェコはプラハのセックス博物館や中国は上海近郊の性愛博物館など。怪しげかと思いきや、かなり真面目に性を取り扱っていて、お国 -
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感覚で使っている言葉の数々をまた別の言葉で定義づける。なんて魅力的な仕事なんだ。まさか男や女の言葉の定義を変える時がくるだなんて昔は思いもしなかっただろうなぁ。日々蠢く言葉を相手にしているので終わりは一生来ないのだろうけど、そのぶん辞書ってその時代の感覚をかなり正確に表しているものなのでは、と思った。
言葉をたくさん知っていることは世界の解像度をあげることで、世界の解像度を上げることは自分の人生を豊かにすることだと思っている。感情が昂れば昂るほど気持ちを言葉に表せずやきもきすることばっかりだけど、思い出や記憶をを鮮明に残すためにできる限り正確に心や情景を言語化したいなあ。私はやっぱり言葉が好 -
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ネタバレ上巻に引き続き、植物学研究のやり方を詳細に教えてくれて、大変興味深い。四重変異体作り方やPCR検査のやり方など、文系の生物好きにはたまらない。シロイヌナズナについて詳しくなれた気がする。
物語としては長い割に「転」の部分がなくて淡々とした印象があるけれど、キャラクターが良いので楽しく読める。真面目な本村、死神教授の松田、頼れる川井、姉御肌の岩間、サボテン加藤と個性的な研究室の面々。何かを熱心に愛する人は、やはり魅力的だなぁと思うし、彼らに混じって研究してみたくなる。
そして何より、藤丸のカラッとした性格によってジメジメしたものがなく暖かい物語になっている。フラ丸くんに幸あれ。