あらすじ
私は、彼の何を知っているというのか? 彼は私に何を求めていたのだろう? 大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘――それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか……。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。(解説・金原瑞人)
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2年くらい前に古本市で出遭ってからずっと積読してた一冊。きみはポラリス、も読まないとだな。
彼女の作品をデビューから追っかけたくなる。まほろ駅前多田便利軒、読みたくなる。魅力的な作品だった。愛は美しいのか醜いのか、人を愛するとはどういうことか、私たちはどう生きていくべきなのか、それを追求する普遍的メッセージ性が感じられる。
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一人の男性の不倫から生じた波紋を 彼に関わる人々をそれぞれ主人公とした六編のオムニバス。
主人公達は波紋に過剰に反応し踠き苦しむ。回避した者も呑み込まれた者もいる。恋人や家族の絆の儚さの冷淡な表現が巧み。
評価が分かれ気味の作品のようですが、各章とも独立した短編として完成していること。ラストの家路に含ませた儚い危うい希望が好みで高評価。
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えっこれが三浦しをん?
ととてもびっくりした。
まほろ駅前とか神去なぁなぁの印象が強かったので。
ああいうほのぼのした作品の裏にこんな一面があったなんて。
前なにかのインタビューで高校の時、お父さんとバスの運転手としか異性と話さなかったみたいなエピソードもあったので、あまり恋愛というか性愛の印象もなかったので。
この本の主人公、村川融のように、三浦しをんもまた色々な角度からみた物語があるのだろうと思った。
この作風から変わっていった経過が知りたいなと思った。
ひたひたと満潮になる静かな水みたいな小説でとても良かった。元々金原瑞人さんのエッセイで勧められていて読んだのだが、そして解説にある通りなのだが、一文一文が美しいと思う。
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なんというか、心が冷たくなる感じ。でもそれが決して不快なわけではなく、ある意味落ち着くというかなんというか。不思議な感覚です。
連作短編形式で、村川融を軸としてつながりがありますが、その村川自身のイメージがふわふわとしています。どことなくミステリー仕立てですが、合理的な解釈を求める小説ではなさそうです。怪文書の謎は、読者に委ねられているんでしょうかね。リドルストーリー的な感じかな。嫌いじゃないです。
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アドレナリンジャンキー、口論好き、脳が活性化
物事を一歩引いて俯瞰的に見ること、馬鹿にしていると言われる、そこに皮肉が入っているなら確かにわざと馬鹿にしていると思う、そうでないなら感情的になっている自分の理屈が馬鹿だと気づいている人間の発言、あ、でもこれって馬鹿にしてるのか?
理屈型の人間が感情型の人間を馬鹿にする構図はどうしても起こるのでは。
だからこそ、馬鹿にされないためには常に冷静でいること。
"食卓を囲みながら、私は思った。図太くも地道なその行為が、だれかとともに生きるということなのだ。"
実は毎日は変化の繰り返し。人は、景色は、変わっていく。
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書ききらないことで余白を残す作品。
どの章も、解決しないこと、わからないことばかりが残る。だがそこが良い。
それが作品の余白、行間なのだと気づかせてくれた小説。
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澄んだ人間を描くことが多い三浦しをんさんの著作の中では珍しく、男女の愛憎をはじめとした人間関係の軋轢、葛藤が数多く描かれた作品。 舟を編むや月魚などのような学術分野、職にフォーカスする作品ではなく、人の心の揺れを細かく描いている。
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何故かモテる大学教授を好きな女性たちの連作短編集
以下、公式のあらすじ
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私は、彼の何を知っているというのか? 彼は私に何を求めていたのだろう? 大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘――それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか……。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。
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収録は以下6編
結晶
残骸
予言
水葬
冷血
家路
古代王朝の研究をしている村川教授
彼は何故か女性にモテる
そんな大学教授を好きな女を間に挟んだ男達視点の連作短編集
妻、浮気相手、義理の娘、娘
彼女らを介して見える不思議な村川像
読み終わってみても「よくわからない」という感想
どう読めばいいのかわからない
感情をどこに置けばいいのかわからない
村川という人物の輪郭が見えない
同一人物を表しているとは思えない描写がいくつかある
人によって、特に女性によっては彼の見え方が違うのだろうか?
何故村川は彼女らにとって魅力的に映るのだろうか?
再婚相手とその義理の娘
本当にそんな対立があったのだろうか?
それに対して村川は何をし、どう思っていたのか
そこは想像するしかないわけだけれども、何とも怪しいものを感じる
モテる男が出てくる小説といえば、川上弘美「ニシノユキヒコの恋と冒険」を思い浮かべる
でも、あっちはプレイボーイ然としたところがあるので納得感がある
でも、村川の場合優男ではあるが、それがモテる理由かと聞かれるとそうでないようにも思える
今作をより不思議なものにしているのは、村川を好きな女性視点ではなく
その女性に関わる男視点で描かれているところ
うーん、やはりよくわからないなぁ
Posted by ブクログ
人生、愛が全て、というわけではないんですが…。とりあえず彼の周りの人間の嫉妬心が凄すぎる。ここまでの男の人っていったいどういう人なんでしょうか??
自分は渦中には絶対に入りたくない。でも、小説として読むのには、好きな感じ。
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NTRである。
だがちょっとまって欲しい。過去の古典作品にはNTR要素がよく出てくるのではなかろうか。しょっちゅう他の旦那の妻を奪ったり。
いやしかし本作では大学教授である。こいつが暇な主婦を捕まえるわけだけど、冴えないオッサンという設定がまたイカす。男性陣から見ればNTR要素としてというか、M要素である。
そんなどうしようもない男どもの様子を見ながら、ハラハラ・ドキドキするのが本作の楽しみ方であろう。
最後の三崎くんのナルシストっぷりも最高である。NTR要素抜群で、家に帰って高校生とやってるところに遭遇するのが吉であろう。
Posted by ブクログ
まず、結婚に対してまた疑念が増えた…果たしてどうしたら長く良好な関係を築けるのか、謎だ。
愛のあるときも、嫉妬に溺れるときも超えた先にしずかな美しいものが残る。人の気持ちは完全に手に入ることはないし、理解することもできない、自分だけの痛みと記憶だけが誰にも取られずにいられるってところが刺さったな。息子の心をほんわか包んであっためた椿くんがいいキャラだったな!教授の妻がだす空気感とか雰囲気、セリフがすごい好き。惚れちゃうと思う。三崎さんよく耐えたな。
Posted by ブクログ
事実はひとつ、真実はひとつじゃない。一人一人の人生のドラマに目を向けたい。
1人の男性村川を取り巻く、周囲の人、妻、浮気相手の旦那、再婚相手、実息子、再婚後娘、等それぞれ目線の物語。取り巻く女性達は村川の不貞を知りながらも、それを理解した上でも愛してしまう。
村川のような男性は、常に自分が人生の主役。「女のために全てを投げ出す自分の役柄に夢中」と奥さんが彼をいうように。生涯自分が一番幸せな道を選び続けていくことは、どこか羨ましいと思いながらもやはりできないなと思った。だからこそ皆村川のような生き方を批判しながらも心のどこかで羨ましい思いがあり、引き込まれる女性、振り回される男性がいるのか。
しをんさんの作品はどれも文体、表現に引き込まれるものがある。単なる簡単な「辛い」「悲しい」の言葉では完成されない。しをんさんの文章だからこそ、重いけれども引き込まれてしまう作品ができるのだと思った。
◼️印象深い文章、表現メモ
いい加減ですが、不真面目ではないのです。
責任を負うことはしないけれど、義務は己に課します。エゴイストですがロマンチストでもあります。
無邪気に愛を集めて喜び、冷え冷えとした魂を腹に隠しながら何食わぬ顔顔をで生きる
私のうちにある汚いものひどいものを突きつけられる
屈辱を闘志にかえ、どんな手段を使っても女を排除する
愛の言葉を麻酔に捕食されることを是とする。女のために全てを捨てる役柄に夢中
事実はひとつ。真実は複数ある
夫をいつ撮られるのか、猜疑心の塊になって暮らす日々
理解がないところに愛は生まれない。
だが確かに愛があると思っていた場所に後から理解の及ばない空白が出陣したらどうしたらいい?
目には目を、歯に歯にをというのは、強者の理屈だ。
変わってしまうことではなく、変化に対応する意志を無くしてしまう日がくることが
Posted by ブクログ
「彼」・古代中国を研究している大学教授村川融をめぐる男と女の物語は、連作短編という形をとりながら、全て読み終わったあとは20余年にわたる長編小説を読んだような充実感で満たされる絶妙の構成となっている。
そのうえ、一つ一つの短篇の完成度が恐ろしく高い。
どの話も静かに始まり、終盤に向けて大きなカタストロフィを迎え、収束する。そのエネルギーがすさまじくて、物語にぐいぐい引き込まれる。
「彼」の妻や息子、不倫相手、その娘など、関係者それぞれが抱えた闇に焦点をあてた個々の短篇では、恋愛、家族、友情といったあたりまえの人間関係のはかなさや、頼りなさが描かれている。
どのページを開いても、お気に入りのフレーズが見つかるほど言葉の魅力にもあふれた作品で、「予言」は特に優しくて、切ない最上の短編。
この作品、「風が強く吹いている」や「舟を編む」のような爽やかさとは対極にあるものの、こういうのをもっと書いて欲しいな~とつくづく思った。
Posted by ブクログ
とある大学教授の男性によって揺さぶられる部下、家族、不倫相手達が、各々の愛の空虚さに惑い、それでも何かを守ろうと争う連作集。
平たく言ってしまうと不倫ものであり、おまけに主人公達は基本「不貞によって傷付く側」なので、じわりじわりと辛い読書だった…
ラストではほとんどの人々が自らの感情になんらかの折り合いをつけ、世間一般の『愛』とは違っても、せめて『繋がりあう』ことを望んでいく
その答えになぜ辿り着けたのか、すぐに納得できた話もあれば、よく分からなかった話もあった
この『よく分からない』というモヤモヤ感こそが、愛というものの複雑さそのもの…なのかもしれない
誰も彼もが、うっすらと不幸。そんな(...)
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評価が分かれる、そうだろうねえ。正直わたしもちょっとよくわからなかった。集中力不足だったかもしれないけど。でもしをんさんの文章がうまいので、なんとか最後まで。
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特に男前というわけでない大学教授、村川先生を取り巻く人々が語る村川先生とは。
なぜそんなに執着され、嫉妬の対象となり、欲しがられるのだろう?
先生目線の物語はなく、先生の人柄は謎のまま。
Posted by ブクログ
登場人物の感情が生々しい物語でした。
物語は、複数の人間の視点から描かれています。
皆んな、何かを求めて、信じて、裏切られて、疑心暗鬼になって、それらが1人の大学教授によって翻弄されます。
スラスラ読めました。
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愛情と情愛は違うなーと。
セックスは男と女のものではなく獣と獣の本能によるもの。
でも愛は違う、人が人に求め手に入らないともがくもの。
ある種の女にはたまらない魅力、味わってみたいと思う。甘美なのかそれとも苦渋なのか。村川という男には一種のカルト的な魅力があったのでは、それとも女ではなく雌を刺激するなにかがあったのだろうか。
出会ってみたい、村川のような男に。
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不倫を繰り返す大学教授の周りに生きる人たちが主役の連作短編
そこに描かれるのはドロドロの熱情ではなく、虚ろな執着と少しだけ熱を残した諦念であるように自分は感じた
文章がとにかく良い
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村川という教授?先生?に関わる人たちの短編集でした
全ての話に出てくる村川は同じ人物なのか時間軸が違うので少し分かりにくかったです
初めに感じたのは村川はなんて勝手で酷い男!色んな人を不幸にしてる!
とも思いもしましたが、逆に色んな人に愛されもしてるんだと理不尽さも感じ、そういう生き方も良いのかもと思いました
水葬で綾子があっけなく海にのまれたのも驚きでしたが、一番好きなのは何となくしこりを感じる様な残骸でした
三浦しをん作品をもっと読みたいと感じる作品でした
Posted by ブクログ
三浦しをんさん初読みだったかも。不倫を繰り返す大学教授とその不倫相手たちに振り回される人々を主人公に書かれています。不思議展開も多く、あまり好みではなかったです。息子さん視点の話が一番良かったかな。他の作品も読みたいとはあまりならなかった。
Posted by ブクログ
2005年(第2回)。9位。
かっこいいわけでもない大学の先生がモテる。女性がいっぱい寄ってきて、妻子を捨てて、子持ちの女性と新家庭を気づく。そして誰も幸せにならなかった。
を、先生に関わってしまった人々の視点から見る小説。捨てられた妻子も、新家庭の誰も幸せじゃない。唯一、先生の助手は、それではいけないと気づく。
結婚して二人でいると閉塞する。子供作って家族作らないと閉塞する。あーあーあーあーあー
な感じで、物語を楽しむというより、作者の言葉(うんちく)に膝を打つ小説。そして助手は気づいてよかったと思う。
Posted by ブクログ
この本を読んだときに唐突に思い出したのは、「桐島、部活やめるってよ」だった。物語の中心である桐島、(私が語りはじめた彼はの場合は村川融)について、周りの登場人物たちの描写からしかわからず、その主観は語られることなく、物語が終わっていく。
それと独特な表現。何かを表現するときの、〜のような〜といったような個性的な表現がとても気になった。三浦しをんさんは女性だそうで、男性視点からの物語だったが、男性の自惚れている様子や自尊心高めな様子、ああ、女性からみた男性はこういう風に考えられている、そしてそれは合っている、と思わざるを得なかった。
Posted by ブクログ
重い。救いもない。
不倫からの家庭崩壊が子どもに落とす陰。
奪い取った妻の座。故に次は奪われるかもしれない立場になり、心からの幸せは得られなかった。
Posted by ブクログ
人間のどろっとした感情が描き続けられ、飲み込まれるように読み終えた。うまいくて面白くて、なのに、その感情を凌駕する気持ち悪さをここまで緻密に美しく描ききれるのがすごい。
Posted by ブクログ
いつ、「彼」が出てくるのかしら?と
私の中で「彼」がだんだん形成されつつあったのに、終いまでいってしまった。
「彼」自体は、語ることのないままで終えて、座りの悪さを感じた。まるで、御斎の食事のような。