三浦しをんのレビュー一覧

  • まほろ駅前多田便利軒

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    商売だ、ビジネスだ、と言いながら情に流され振り回される主人公が好きでたまらない。ひとつひとつのエピソードに心が温かく柔らかく満たされてゆく。僕はこの本を読んでいる間、やれ福祉だ、社会貢献だと言いながら守銭奴のように立ち回って 社会の歯車をまわす現実生活から ほんの一時 距離をおくことができた。僕も便利件のクルーになれたらどんなにいいだろう。

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    2026年08月08日
  • ゆびさきに魔法

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    ネイルサロンを1人で立ち上げて起業している、若い女性が主人公です。とても逞しくて憧れます。
    ボランティアで高齢者へネイルをしたり、男性がネイルに興味を持つシーンがありますが、清潔感を保つには指先って大事だなと痛感させられました。

    華やかなネイルでも、それを仕事として行うには様々な人との関わりも生じてきます。ライバルでもあり、友人でもある同業者達が互いに切磋琢磨して磨かれた技術を互いに認め合い、成長していく姿が羨ましく思えました。
    ネイルは最長でも三週間ほどしかもちませんが、まさにそれが「魔法」をかける素敵なお仕事。
    奥が深いものなんだなぁと勉強になりました。

    本のカバーにホログラムが入っていて、キラキラしています!とってもオシャレで女子力向上しますね。



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    2026年08月06日
  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    普段恋愛小説を食さない自分も、すらすらと読み進めた作品。他人の恋愛ほど蜜の味と言われるのを聴いたことがある。わかる気もするが深入りすると蜜は逆に罪の味になることを知ってる。

    中村うさぎさんも解説で書いていたが
    「恋」は胸の奥に押し花としてたたみ込まれて、「愛」は夜空の北極星となって、あなたを守り導く。「恋」と「愛」が繋がってこその恋愛。(引用)

    まさに今回はいろんな「恋」の短編を様々な角度から見せてもらい、「愛」とはなんなのか?そんなことを考えさせられる作品だった。

    恋は色々な経験を積んで、自分自身の「愛」というポラリスをこれからも探していきたいなとおもった。

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    2026年08月04日
  • 神去なあなあ夜話

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    「神去なあなあ日常」の続編的な本です。

    林業の世界に放り込まれた二十歳の主人公が、神去村での出来事を、密かにパソコンに記録している内容をこの小説に仕上げている。
    登場人物の描写が非常に分かりやすくて、自分もその村の一人になって会話を楽しんでいる錯覚に陥る。
    読み応えはそんなにないが、微笑ましく満足度は高い。

    読むなら「神去なあなあ日常」を読んでからを、おすすめします。

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    2026年08月04日
  • 夜の恩寵

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    子供の時から定期的に見る夢がある。それが現実になったら恐ろしい夢。今のところ何も起こっていないので、私には予知夢の能力はなさそうだ。
    この本に出てくる5編は不穏な夢の物語。「カリスマ」がテーマということだけど、はっきりこの人がカリスマとわかるものもあれば、どっちが?というものも。とにかく全編が不思議な独特の雰囲気を持っている。
    読み終えてから、集英社のインタビューを読んでみた。「なるほどー」と腑に落ちることがたくさん。逆をいうと、全然読み込めてなかったということ。
    時間をおいて再読してみたいなと思う。
    読後にこのインタビューも読んでもらうと、より楽しめる気がする。

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    2026年08月04日
  • ののはな通信

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    終始シンプルな往復書簡なのに時間とともに内容や人物、人生を通した愛の深まり魂の繋がりが表現されておもしろかったです。

    対面でもSNSを通してでも定期的に話してくれる人がいて昔話ができるくらい長く仲良くしてくれてありがたいし今が昔話になるくらい繋がっていたいな〜と思った。そのために考え、言葉を紡ぎ続けたい。

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    2026年08月04日
  • 仏果を得ず

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    文楽のことをまったく知らずに読みました。
    能だったか狂言だったかを小学校イベントで観に行ったとき、当時の自分はまだそれを楽しめる受け皿がなかったけど、大人になってこれを読んだいま文楽を観たらもう少し見え方も変わるかなと興味を惹かれた。

    健が解釈に苦しみ抜いた末に活路を見出すときのヒントは、常に劇中劇キャラクターの本質たる情念や人間臭さの真髄の部分に健本人が寄り添えたとき。
    性欲とか卑怯とか不安とか優柔不断とか、いわゆる負の面ぽい恋愛のドロドロも、本当に文字通り芸の肥やしにして技芸に昇華していく人たち、えぐい。超面白いけどたぶん友達にはなれないタイプの変人たち揃いだと想像する。

    先代のそのまた先代...から何百年も連綿と語り継がれる文楽でも、現代の人にも合い通ずる人の心の機微、情念に突き動かされて、人は人に感動してしまうものなんだなと。
    そのためには観る側も受け皿が必要で、それは決して知識教養だけの類ではなく、感受性とか想像力とかそういうものかも。恋愛に限らず、忠義も堕落も悲哀も、人間臭い人間によってまっすぐに語られる技芸だからこそ、受け手にとって”石を投げられた”ように心に飛び込んでくるのだろう。

    人生かけて芸事に打ち込んでいる人たちの、世間一般からはかけ離れた狂った世界だけど、だからこそ実は我々が世間一般で摩耗したときに観に行くことで正反対の刺激が得られるんじゃないかと思う。
    今度観に行こう。

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    2026年08月01日
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)

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    陸上競技者視点から

    ・作中で登場した「速さ」「強さ」という指標
    速さとは数値で見えやすくなっており、私自身それに縛られていると感じる。だから、強さと言われてもそれを心の底から受け入れられない、後付けの価値観であり欺瞞だと思ってしまう。
    しかし、次から次へと記録(速さ)を求めていく繰り返しの中では、空虚さも感じてしまう。速さという指標だけでも自分自身を支えきれないように思う。

    ・寄せ集めチームが箱根駅伝に出るという努力神話(解説で指摘されていた)
    現実ではありえない、小説だからこそ描けるものであると思いながら、他人事のように読んでいた。だから割り切って読めたが、自分だったら遥かに大きな目標を前にすると本気で頑張ることはできない。
    この作品は高校の頃から10回近く読んできたが、数年ぶりに読んだ今では、努力神話を信じることができなくなっていた。歳をとり視野が広がり、努力でどうにもならない経験もしてきたことで、自分自身を現実的に見るようになり、努力すれば報われるという前提から距離をおくようになってしまった。

    ・走ること、箱根駅伝に対する価値観について
    寄せ集めチームということもあり、走ることが無縁であった人が走りに打ち込んでいき、走ることそのものに価値を見出す様子が描かれていた。走ることが当たり前になっていた私にとっては、彼らの考えや視点は新鮮だった。
    一方で、記録よりも純粋に走ることだけを求めている走、厳しい練習をくり返すなかで怪我をし、走りたくても走れない時期があったハイジ、厳しい規律のもとで速さを追い求める榊など、陸上に生きてきた人物の価値観にも共感できる。
    箱根駅伝に出たとして、そこで何を得るのか?シードを取れたとして来年は?という問いも作中に出てくる。箱根駅伝の何に価値を見いだすのか、何のために走るのか、そのような問いに揺れつつ、それでも登場人物は走る。

    何のために走るのか?その答えは外側から与えられるのではなく、自分自身のなかで納得できる意味や価値を見出すしかない。

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    2026年07月30日
  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    色んな恋愛があって、
    苦しむ人もいればそれに気が付かない人もいて。
    多分それはみんなどちらにも当てはまることで。
    面白かった。

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    2026年07月28日
  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    久しぶりに読んだ恋愛小説。最初は拭いきれない苦手意識が先行していたが、どんどんのめり込んで読んでいました。
    『骨片』『春田の毎日』が特にお気に入りでした。
    『骨片』のラスト、入れちゃうんだ〜と思っていましたが、「なるほど、そういうことか」と妙に納得する自分がいたりするのでした。

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    2026年07月27日
  • マナーはいらない 小説の書きかた講座

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    集英社文庫のフェア対象だったので購入、小説の書き方を学びたかったので読みました。書き方講座という堅苦しいものというよりエッセイ混じりの読みやすい本でした。エッセイ部分に三浦しをん先生の趣味が爆発してておもしろかったです。
    小説は簡単に書き始められるものではあるけどそれを極めようと思ったら考え続けなければならないんだな。当たり前のことかもしれませんが、こんなに有名ですばらしい話を書いている先生ですらつねに考え続けていると知ってあらためてすごいなと思いました。そして自分はまだまだ全然考え尽くしていないのだなとも。ちゃらんぽらんにかまえつつ真摯に向き合いたい。自分の作品を愛することと客観視することなど、できそうでなかなかできないことをアドバイスされててためになりました。書いてて行き詰まったときに読み直して背中を押してもらいたいです。

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    2026年07月25日
  • まほろ駅前番外地

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    まほろ市駅前の便利屋が帰って来た。
    多田と行天の会話や行動は相変わらず噛み合わず、しかし、様々な依頼を熟していく。
    依頼主も曲者揃いの七編、前作にも登場した面々の視点の話もあり、前作を読んでいればより一層楽しめる事間違い無し!
    私は、曽根田のばあちゃんのろまんすの話が好きです。星の話も良かったなぁ、岡夫人の話も面白かったなぁ、由良も……って、結局全部面白いんだよなぁ。

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    2026年07月25日
  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    しをんちゃんの作品なので読みました。
    ポラリスは北極星。
    それぞれの人生におけるポラリスを綴った短編集。

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    2026年07月23日
  • 政と源

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    幼馴染みの国政と源二郎。真面目な国政と奔放な源二郎。油と水のような関係だが、お互いを気遣い合う間柄が素敵だ。
    船で行き来するというのが江戸の情緒を感じる。

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    2026年07月23日
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)

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    10人それぞれの人物像が丁寧に描かれており、自然と物語の世界に引き込まれた。箱根駅伝出場を目指すまでの過程も十分に面白いが、本番の2日間はページをめくる手が止まらず、一気読みしてしまうほど感情移入した。

    フィクションではあるものの、巻末には著者が取材・参考にした大学名も掲載されており、リアリティの高さを感じる。読み終えた後は、実際の箱根駅伝をこれまで以上に楽しみたくなる一冊だった。

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    2026年07月23日
  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    2026年の新潮文庫の夏フェアの中から選んだ一冊です!
    同性、家族、人間じゃないものなどなど様々な関係もあれば、温かな恋の話であったり、重く切ない愛であったりと、短編集なのにとても厚みを感じた作品集でした。うはねの話が個人的にツボです。

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    2026年07月19日
  • きみはポラリス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    好きなフレーズ

    どうして文蔵と同じ星を見ていると信じられたのだろう。それらはあまりにも遠くにあって、触れてたしかめることもできないものなのに。

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    2026年07月19日
  • ゆびさきに魔法

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    2021年出版、364ページ。ネイルアート、ネイリストを題材とした作品。劇的な何かが起きる訳でもないが、ネイルアート周りのアレヤコレヤが詰め込まれていて興味深い。個人的には全く縁が無いんだけど、磨くだけならやってみても良いかな?と思ったり。
    ミッチリ取材・資料集めをした成果も詰め込まれている。専門的?で具体的過ぎて、何が何だか理解できない記述が結構な長さで続く部分も多い。詳しい人なら堪らない、かも知れないな。
    結構な長さの作品。ネイルアートの世界を広めるべく啓蒙的な作品? 軽妙な会話劇、ではなく、じっくり語られる部分が多くて「黒いページ」が多い。

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    2026年07月19日
  • わたしの名店

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    作者名のラインナップの、朝井リョウ目当てで手に取った。安定の、早稲田学生ライフの片鱗が伝わるクオリティ。
    でもどの文章も、地方民の自分が読んで「あー、観光目的じゃなくこの本に出てくる料理目的でそのお店行ってみたい!」と思える店+料理紹介で、軽い気持ちで手に取って想像以上の満足度が味わえる一冊だった。

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    2026年07月19日
  • のっけから失礼します

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    エッセイはあまり読んでこなかったけど、これは面白かった。同じテンションでずっと喋られるので多少の中だるみはありつつも、それも含めて楽しめた。「これが本当に『舟を編む』の人なのか?!」という嬉しい驚き。本や漫画、人の創作物への愛が全開。ひとつのことを突き詰める想像力と忍耐力に感心した。「なんで?」と思ったら辞書を引く、というのは見習いたい行動。良い言葉にも出会えたしボリュームもあったし、満足した。

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    2026年07月17日