三浦しをんのレビュー一覧

  • 秘密の花園(新潮文庫)

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    年頃の青年の世界と視野とはどうして、こんなに狭窄していんだろうか。カトリック系私学、しかも小学部から附属する女子校を舞台に描かれた本作を読む者は、性別問わず思春期の甘苦さを反芻せずにはいられない。

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    2024年11月30日
  • 天国旅行

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    心中をモチーフにしていたと、最後に知った…
    心中、もしくは、自ら選び取る死。
    最初の「森の奥」から結構ディープで……
    最後の「SINK」はぐさりと泣いてしまった。
    樹海で首を吊ろうと試みる男と樹海で出会った男。子供の頃夢でみたもうひとつの人生と、自分の人生。焼身自殺を図った高校の先輩。車にて一家心中をした生き残り。たち。
    全部が全部気持ちよいおわりかたではなかったけど、いつかは人は死ぬ、ただ自ら死を選ぶことで救われる人もいる。傷つく人もいる。
    重い話なのに三浦しをんさんの綺麗な言葉選びで、なんだか重いのに綺麗な物語たちでした。どの話が好きかは選べない、、、

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    2024年11月25日
  • 木暮荘物語

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    理想的な生き方を阻む性、促す性、いろいろな性の形が描かれています。女性作家が性を描いた作品は多いですが、私が出会った作品の中では、1番すうっと入ってきたような、1番(私の感覚と)乖離がなかったような…。ただ、官能系ではないにしろ、1話ごとにセックスセックスとくるのと、尻切れ感のある結末に、読み疲れてしまった章もありました…とは言え、最終章で本作品への愛おしさが爆発。中途半端でいい加減で不器用な登場人物ばかりでしたが、一生懸命に生きる姿にエネルギーをもらうとともに、「もっと適当に生きても何とかなるかな」と、日々の生活に疲弊し切った私は思ったのでした♪

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    2024年11月23日
  • 神去なあなあ日常

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    都会から切り離れてて、村特有の風習(巨木を下ろす儀式やばすぎ笑)があって村全体が家族で。そんな暮らしに憧れてしまうような一冊。"なあなあ"で生きていきたい。

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    2024年11月25日
  • マナーはいらない 小説の書きかた講座

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    大好きな三浦しをんさんの手ほどき本。

    構想→登場人物や舞台の設定。どういう雰囲気の作品にしたいか。家の間取りとかも必要。
    構成→どのエピソードをどのあたりに持ってきて,どういうストーリー展開(起承転結)にしたいか。

    完成に漕ぎつけること。持久力の鍛錬を目標に構想と構成を練る。コースの地図と水笑
    長い文章に書き慣れていないうちは、構成も構想もじっくり考え、それなりに練って始めるのが安心。
    国語は鼻ほじってても満点だった人が多い。
    言葉でしか表現できないから、説明でない表現をする。
    性に合うとは「習慣になりやすい」こと。
    慣れることと並行して、「認証や文章(文体)をどうするか」「どんな構成にす

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    2024年11月17日
  • ビロウな話で恐縮です日記(新潮文庫)

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    三浦しおんさんの日記「ビロウな話で恐縮です日記」をまとめた本
    見た夢の話から読んだBL本の考察、作家らしく言葉について真剣に考えてるのものなど内容は多彩ですが、全て「みうら節」的なものが効いてます
    特に面白かったのは、ハゲに対する考察(結婚後にハゲた夫に対してうっすら感じる「裏切られた」の正体とその付き合い方)、作家の性別による異性キャラの描き方(男性作家の描く女性キャラ、女性作家の描く男性キャラ、底に含まれるドリームについて)、BL漫画からみる家族観や近親相姦についてなどなど。
    表紙の中村明日美子先生のイラストがまた美しいこと

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    2024年11月13日
  • 光

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    三浦しをんさんは こういうのも書くんだ!というのが最初の感想。他の方と同じで なんとなく 読後感がどよんとした。けど、よく考えたら あってもおかしくないことだ。暴力には 暴力。目には目は当たり前のことで、わかっているからこそ 口をつぐんでしまうんだろう。何年かすぎたあとの 信之一家を読んでみたい。

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    2024年11月12日
  • のっけから失礼します

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    ★3と迷ったが、読み終えてみて著者の事がさらに好きになっていたので★4に。
    初めは小説家としての三浦しをんからイメージしていたキャラクターとかけ離れていて、「これ大丈夫かな、受け入れられるかな…」と不安がよぎったけれど、全然大丈夫だった。
    ほとばしるオタク感、時々顔を見せる昭和感。なんか癖になる!!
    「風が強く吹いている」では、登場人物たちの何気ない会話が面白いなーと思っていたけれど、なんかその理由が分かったような。
    爆笑ではないけど、ニマニマしてしまう、そんなエッセイだった。

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    2024年10月30日
  • 月魚

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    ネタバレ

    本を通じて兄弟のように育った二人だったが、ある出来事をきっかけにそれまでの環境や関係性が一変してしまう。その後再びきっかけとなった出来事に向き合うというストーリー。因縁の相手との競り買いのシーンはとても見応えがあり、依頼主の本との思い出も感動した。2話目は時代が遡り学生時代の話だったが、1話目ではあまり掘り下げられなかった幼馴染達との関係が描かれており、後から1話目のストーリーを補完していたのが良かった。

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    2024年10月28日
  • 愛なき世界(上)

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    帯の文章に惹かれて購入。

    植物について、花の種類がわかる大人になりたいなあと思っていたけど、そこまで興味がなかった。
    だけど、当たり前にあるものを何故と追求する面白さが伝わってきたし、
    実際に苺の赤い部分は実ではなく、種のように見えるところが実なのだと知って、
    如何に自分が深く考えず先入観で行動していたかを知った。

    藤丸君のように、素直に感じる心を大切にしていきたいなと思いました。

    三浦しをんさんの専門知識を噛み砕いて面白く記す技術に感嘆としながら下巻も買いに行こうと思います。

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    2024年10月27日
  • ののはな通信

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    前半は高校生の恋愛のいざこざじゃん!って思ったけど、後半は2人の人生観とかお互いへの愛みたいなのが詰まっててまじで名作!
    普段の会話や生活ではなく、お互いしか読まない手紙だからこそ、自分がどう生きたいかとか平和への想いとか考え方とかが整理されて記載されていて、文通スタイルの良さみたいなのを感じました。前半は文通じゃなくて生活を普通に描いて欲しいと思ったけど、後半になって文通スタイルが効いてきていた!!
    ののの1人好きだけど寂しがり屋なところ、頭が良すぎて自己完結しがちなところとか、はなのおとなしそうなのにちょっとクレイジーなところとか、すごく具体的にイメージできて、頭の中に2人がいる!笑
    2人

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    2024年10月22日
  • 白いへび眠る島

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    "世界は理由の定かでない決まりごとで成り立っている"
    田舎、島ならではの古めかしい習慣に疑問を持ちつつも、疑問を持つことすらままならない環境。
    オカルトかと思いきや、現代の問題を伝える部分もあったり。
    長男が偉いのか、男性が偉いのか。

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    2024年10月21日
  • まほろ駅前番外地

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    ネタバレ


    先が気になり過ぎて、立て続けに続編を読む。

    曽根田のばあちゃんの「思い出の銀幕」、
    若き日のろまんすが、まるで目の前で繰り広げられているかのような色鮮やかさ。

    岡夫人の観察も、意外に?繊細、更に洞察力も凄まじく驚く。
    岡夫人の穏やかで優しい人柄も垣間見る。

    ラストは次に続くような終わり方で、今から楽しみ!
    行天の中の氷もきっと少しずつ溶けていくことを願う。



    ★「岡夫人は観察する」の中から、好きな一文メモ

    男女や夫婦や家族といった言葉を超えて、ただなんとなく大事だと感じる気持ち。
    とても低温だが、しぶとく持続する、静かな祈りにも似た境地。
    諦めと惰性と使命感とほんの少しの暖か

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    2024年10月21日
  • 木暮荘物語

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    江戸時代の長屋暮らし、または途上国の下町ってこんな感じなのだろうか。
    三浦さんの小説によく登場する、「おんぼろ木造アパート」「若い住人」「犬または猫」というフレームワーク。住人同士が日々助け合って過ごすような、生活感が溢れているお茶の間ホッコリ小説かと思ったら、性生活が露骨に描写され、登場人物のプライベート丸出しの短編集だった。そりゃ、恥ずかしいけど、生きていれば誰だってありますよね・・・
    ただし、登場人物同士の希薄で淡白な関係性、微妙な距離感は現代そのもの。この描き方はリアリティがあって面白い。プライベートはお互い様というか見て見ぬフリの割り切り方で、恥じらいも無く、木暮荘に住み続けて(居座

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    2024年10月19日
  • 光

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    後味悪いけど、出来事じゃなくて悪の度合い、責められる具合がものすごくリアル。
    悪い意味で、こういうことあるよねと思ってしまう。

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    2024年10月18日
  • 政と源

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    相変わらず面白い!

    不器用で気持ちを素直に言葉にできない国政。
    天真爛漫で人思い。自由気ままな源二郎。

    似ているようで真逆な2人。

    2人の掛け合い、お互いを思う気持ち、すれ違っているようでしっかりと絆で繋がっている。

    読んでいてとても楽しく、2人の関係性がうらやましく思える作品でした。

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    2024年10月10日
  • あの家に暮らす四人の女

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    日常の些細なことでも大切に…、という気持ちにさせてくれた物語でした。

    こんな下宿があったら、私も住みたいなぁ。

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    2024年10月09日
  • 神去なあなあ夜話

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    毎日の生活の中でふと緑を感じたくなるときがあります。
    都会にいて、少し疲れた人、休憩時間などにふと緑が恋しくなったときにオススメの一冊です。
    横浜住みの主人公(勇気)が神去村というド田舎な場所で仕事(大工)を始めるという話で、
    主人公がまるで日記を書いているかのような話し言葉で話が進んでいきます。最初はこんな土田舎嫌だ!となっていたけれど段々と村に慣れ、段々と勇気が神去村の大工へと成長して行く様子や、和気あいあいとした勇気の仲間たちとのエピソードに心がほっこりします。
    いつも自分は電車に乗っている間なんとなくスマホを見続けていることに疲れ、そのことを上司に相談したことがきっかけでこの本に出会い

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    2024年10月06日
  • むかしのはなし

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    やっぱ三浦しをんさんの作品好きだなぁ。
    昔話を題材にして今風にオマージュされた作品だった。
    読解力の乏しいわたしには理解しきれないのもあったけど、最後の地球滅亡のやつとかは中篇になってて面白かった。
    自分だったらどうするかなぁとか、自分の価値観を超えて想像もできない展開を楽しんで読めた。

    もっかい読んだら理解出来るところもあるんかな。

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    2024年10月06日
  • しをんのしおり

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    しをんワールド全開のエッセイ集。
    身近なことだからこそ共感でき、あるいはつっこめる妄想。
    思わずクスッと笑ったよ。

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    2024年10月05日