三浦しをんのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ポラリス、という概念が私は好きだ。
生きるための道標、希望。
どんな形であっても、それぞれが心のうちに持っていてほしい。そしてできるなら、大切な人のためだけのポラリスになりたいと思う。
私たちがしたこと、は心にガツンときて泣いてしまった。しをんさんの中では「王道」らしい。じゃあ私は王道が大好きだ。
春太の毎日、も大好きだ。春太の愛情に思わず涙してしまった。しをんさんのなかでは「最後の恋」らしい。そんなもん泣いてしまうじゃないか。
中身のない感想を書いてしまいましたが、恋愛の短編小説なんて滅多に読まないのに、良い本と出会ってしまった。心にじんわり甘苦い味、そしてちょっとの嫉妬。くそぅ、恋愛し -
Posted by ブクログ
木暮荘という古くてボロいアパートの住人と、その周辺の人々の連作短編である。
これからどうなるのか気を持たせながら次の人にバトンが渡るところが、三浦しをんさんは絶妙に上手いな。
それにしても、どの話もやばい話だ。
特に、畳を上げて床の板の隙間から下の部屋の女子大生を覗くサラリーマンの男はヤバすぎる。
覗く男というより、男の目がそこに住みついているような異様な状況。
絶対捕まる、これは犯罪だ!とハラハラしてしまった。
ところが、女子大学生は覗かれているのも承知で、そのうち男の覗きが公認になる。
サラリーマンも女子大生も普通じゃないな。
でもヤバいけどなんだか笑えるオチになっていて、ちょっとほっこ -
Posted by ブクログ
架空の温泉街、餅湯温泉に住まう5人の男子高校生が主人公の青春小説。
部活動に汗を流し、挫折して、男同士の殴り合いを経て、友情を深め、ちょっとヤンチャな仲間と盗んだバイクで走り出す。
そんなことは一つも起きません。
なんなら大きな事件は何も起きません。なぜならぬるま湯に使ったような餅湯温泉だから。
けれど、何も起きない街に生きる高校生たちの苦しみや悩み、ささやかな幸せを軽やかに、クスリと笑えるタッチで描いている。
高校生の頃に感じていた将来への漠然とした不安、漠然とした希望、自分とは何かという疑問、友人への嫉妬。高校生に戻った気分で読めます。 -
Posted by ブクログ
心中がテーマの短編集。「死」か…と思って読み始めたが、読んでみると「好き」の方に心が寄っていった。すべてが恋愛ものだったわけではないし、恋愛ものであっても、幸せな恋愛だったのかどうか不明なのもあるが、それでも、こんなに好きっていう気持ち、いいなとか、わかるなとか、そちらに心惹かれた。
角田光代の解説を読んで、そういえばみんな死が絡むんだったと思いだした。角田さんは、小説における死とは…といったことにも言及していたり、この作品は生も死も賛美していないだとか、美化してないだとか、そちらを中心に解説されていて、ああそうかと思って少し考え直してみたけど、やっぱり私の受け取り方は、ある「好き」の物語 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・森の奥
・遺言
・初盆の客
・君は夜
・炎
・星くずドライブ
・SINK
作者が、この本は「心中」をテーマにした作品集である、と書いている以上、そういう意図をもってこれらの作品は書かれたのだな、と思うべきなのだろうが、非常にわかりにくい、はっきりとは見えていない「心中」をも含むので、思わずこの言葉の意味を改めて調べてしまった。
最初の『森の奥』は自ら死を求める男が主人公で、最後の『SINK』は一家心中の生き残りの男が主人公という、この並びも計算されたものなのだろう。
前者は生かされた思いが前向きな人生をもたらしそうな気がするが、後者はどうだろう。
今までの自分の考え方を反転してみて -
Posted by ブクログ
しをんさんのデビュー作
これがデビュー作なのかとびっくりと同時に、本をめくっていきなりお姫様が結婚相手を選ぶのにゾウを選ぶという話から始まって、なんのこっちゃ?いきなりしをんさんの妄想?と思っていたら途中で謎が解けたのだけど、その物語が就職試験の〇〇。
急にあんな話その場で書ける!?ってまた驚き。
そしてK談社や集A社の当時の面接模様が主人公可南子を通して暴露され(笑)
極め道のエッセイで講談社とは一体ナニガ?(・∀・)と思って、この作品を読むことにしたので、
なるほどなるほど。そういうことか。と
令和の今じゃ考えられない面接。
可南子がいつのまにか脳内でしをんさんに変換されている場面も多数w