三浦しをんのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
多くの人は政のような感情を抱え、源のような人に憧れ嫉妬しながら、でも自分の人生を変えられないのだと思う。
今私は社会人3年目だが、仕事を頑張って40年間経た後に何があるんだろうと考えるきっかけになった。政は決して仕事をサボってきたり、充実していない人生を送ってきたわけではない。ただ源と決定的に違うのはその充実が積み上がってきたかということなのではないかと思う。
源は好きなことを仕事にした。こなすだけの仕事ではなく熱中できてプライドを持てる仕事
政もそういう気持ちで会社に入ったのかもしれない。ただ、社会に揉まれる中で、日々忙しく過ごしていても、瞬間的な充実を感じていても、その充実は人生を振り返っ -
-
Posted by ブクログ
島の美しい風景が浮かぶ冒険譚。
悟史と光市、荒太と犬丸の絆や、
島のしきたり、人ならざるものの世界、
子どもと大人の境目の高校生が
これからの自分の人生を考える話でもあり、
盛りだくさんで、個人的にはおもしろく読めた。
冒頭の「あれ」への不安感を煽る描写は
じっとり、十分不気味で、
夜読んだこともあり、いい意味で結構こわかった。
三浦しをんさんの初期の作品ということで、
初期らしい稚拙さ?みたいな所を
評されることもあるみたいだけど、
たとえ表現が洗練されきってないとしても
書きたいもの、作りたいものが溢れているようで、
私は好き。
音楽とかもインディーズ好きなんですよね。
悟史と光市 -
Posted by ブクログ
『あれは海と山を行き来していると伝えられる化け物で、その名前を口にするのも忌まれてきた。悟史も「あれ」を正確になんというのか、知らなかった。なにしろ、口に出しても文字で書いても禍があると言われているのだ』
日本各地には今も親から子へと伝わる様々な妖怪、怪物、そして幽霊などの伝承があります。有名なものとしては”座敷童子”がそうでしょうか。”座敷童子”の場合は人に危害は加えないとされていますが、一方で、人間に取り憑いたり、人間を捕まえて食べたりと聞いただけで身の毛のよだつ恐ろしいものたちが闊歩するような話もたくさんあります。特に子どもの頃はそんなものたちの話を聞いて頭の中がそれらに囚われて夜のト -
Posted by ブクログ
ネタバレ身も蓋もないことを申せば、小説を書く際に要求されるのは「センス」です。でもそんなことを言ったら話が終わっちゃうし、「私にはセンスなんてない……」としょんぼりしてしまうかたもおられるでしょう。
早計だ! センスを才能(もっと言えば「天賦の才」)のことだと考えるのは、早計だ!
よろしいですか、みなさん!(自分で勝手に話題を振っておきながら、勝手に詰問口調になる)「あの人、ファションセンスあるねー」と言うじゃないですか。でもそのセンスって、生まれ持ったものでしょうか?
否! 服を着て生まれてくる赤子など一人もおらん! ファッションセンスがいいひとは、たぶん雑誌を眺めたり、直接お店に足を運んで -
Posted by ブクログ
『人生の秋どころか冬に足を踏み入れたからこそ、秋のよさがわかるようになったのだろうか』
あなたの好きな季節はいつですか?という質問にどの季節を挙げるでしょうか?”春”に始まりを感じる一方で、対になる”秋”には収穫とともに終わりを感じる、それぞれの季節にはそのようにイメージというものがあります。そして、どの季節が好きかという質問の答えもそんなイメージに左右されるようにも思います。それもあって年代によってどの季節を一番好きと答えるかも異なってくるようです。ある調査によると、”秋”が好きという答えは年齢に関係なくほぼ一定の割合なのに対して、”春”が好きという答えの方は、年代が上がれば上がるほどに好 -
Posted by ブクログ
16人の各種職業を持つ女性から三浦しをんさん自らがインタビューして、その職業に就いたきっかけや、苦労談、成功談、抱負など、知りたいこと気になることを存分に聞き出してくれて、読んでるこちら側も「ふむふむ」してしまう内容の濃い人生談話でした。
大きな物では巨大地下トンネルを建設する現場監督さんから、小さいものでは0.2ミリほどのトーンの点の一部を削り取る妙技を見せる漫画アシスタント、更にはミクロン単位の細胞の初期発生を調べる大学研究員…大きな世界にも小さな世界にもその分野のエキスパートがいらっしゃるということが、なんだか改めて感動してしまいました。みなさん大変なお仕事なのですがやり甲斐を感じ、面