三浦しをんのレビュー一覧
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「まほろ駅前多田便利軒」のスピンアウト作品とのことであるらしいが、全くそんなことは露知らずに、前作を読まなかったが、断然楽しめた。その理由は便利屋を営む主人公多田啓介と行天春彦のキャラクター設定だけにとどまらず、出てくる依頼人の設定がしっかり、かつ生き生きとして、それらを包むかの様な、まほろ市の「丁度いい」感が成功の要因であろう。
便利屋ということで、様々な依頼をされ、勿論苦悩や嫌な仕事もあるのであろうが、あまり重苦しくならないのは、便利屋二人の絶妙な掛け合いで物語が進んでいくからであろう。
少しの人生訓は内包するものの、さらりとして意識させずに読ませていることは、まさに文章の妙なるとこ -
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「しをんのしおり」を読み終わって、次は少し間を開けようと思ってから1年も経っていた。
最初のネタは「最近仁丹を食べるオッサンを見ない」というもの。
2002年のエッセイだから20年前には仁丹は瀕死状態だったようです。
しおんさん25歳くらいの時にこの状況では、今の若者は仁丹を知らないでしょうね。
と、いきなり心をつかまれたと思ったら、しをんさんの術中にハマっていた。
「掲載誌が週刊新潮で購読層は中年男性が中心ということで、初回ネタは「仁丹」にしてみた。私ったら気配りの達人じゃなかろうか」
と書いてあった。
まったく、私はしをんさんの手のひらの上でいいように転がされている。
だが、転がされ具合 -
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さて、突然ですが、あなたは次のような言葉を聞いて話題に上がっている一人の人物をイメージできるでしょうか?
・『村川はいい加減ですが不真面目ではない』by 妻
・『父は決して偉ぶることがなかった』by 息子
・『本ばかり読んで、夢見がちで自分勝手な男』by 義理の娘
・『先生はさびしくて繊細』by 浮気相手
それぞれの関係性から見た同一人物を表したこれらの言葉は、一見同一人物を表しているようにもそうでないようにも感じられます。
私たち人間には、さまざまな顔があります。悪い意味での表と裏ということではなく、それぞれの関係性に合わせた顔という -
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ネタバレ隕石が地球に衝突する発表後、脱出して生き残った生存者が「昔話」として残す地球のものがたり。7編の短編が少しずつ絡み合って、長編になっている。
「人は二種類に分かれるようだ。これまでどおりの日常を堅持しようとする人と、思い切り好きなことをやって火花のように散ろうとする人」と、語る。きっと、死を宣告された病人や戦争時の兵士も同じかもしれない。ただ、「決定的な終末が三カ月後に迫ってみると、案外どうしていいのかわからない」と、語るように、普段通りに過ごす人が多そうな気がする。花火のように散っても…。ただ、その前に、死を選ぶ人も多いかも。
三カ月後に必ず死ぬとわかっていても、それまでは生活を続けてい -
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三浦しをんさんによる小説の書き方エッセイ。
私自身昔から本を読むのが好きなのでいつか自分でも小説を書いてみたいな〜と思っていて、人気作家さんがどんな風に作品を書かれているのか興味があって読んでみました。
もっと堅い感じの内容なのかなと思っていたのですが、読んでみると全体的にフランクで砕けた語り口で、とても読みやすかったです。
小説を書く際の基本的なテクニックから心構えまで、ご自身の作品などからも例を挙げつつ、とてもわかりやすく、楽しく教えてくださっている1冊でした。
この作品を通して、小説を書くことについてより強く興味を持つことができ、また、自分が普段読んでいる小説がこんな風に書かれてい