三浦しをんのレビュー一覧
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洋食屋の見習い・藤丸と、お得意さんであるT大学松田研究室の研究員たちとの関わりを描いた上下巻。
藤丸のおおらかな人柄と、時々放たれるトンチンカンな言動がツボです。
恋愛よりも葉っぱの研究に情熱を注ぐ本村の、おかしいテンションや迷い・焦りも共感必至。
洋食屋のマスターや研究室のメンバーもみんな魅力的。何かに熱を持って打ち込んでいる人ってなんか清々しい。うらやましい。
植物は、ただ遺伝子に組み込まれたやりかたで生きて増えてる。そんな「愛なき世界」から目が離せない本村。
藤丸にならと心を開いて、植物の繁殖に興味をもった経緯を語る本村と、人間の繁殖の方が気になっちゃう藤丸のやりとりがとっても微笑ましい -
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「まほろ駅前番外地」(三浦しおん)
「まほろ駅前多田便利軒」の続編でスピンオフ連作短編集ですが、本編以上に、脇役だった登場人物が生き生き描かれていて引き込まれました。私は特に4編目の「岡夫人は観察する」が気になりました。多田という主人公はともかく真面目で、人が引き受けないような仕事を便利屋として、真面目にこなすのですが、彼の常連客の年配の夫妻の日常と、夫婦の機微が、老年を迎えた私に響いたと思います。多田の新しい恋を予感させる女性が登場したりで、続編も気になります。初版は2011年10月の刊行でしたが、文庫本のカバーからして昭和の匂い。濃厚な人間関係やチェーン店ではない路地裏の懐かしさと、登場人 -
Posted by ブクログ
ネイルアートのお仕事を通して、仕事への向き合い方や生き方、ジェンダーについても考えられるお話。普段気にしていなかったことに関心を持てました。舟を編む、で本とドラマをじっくり味わった後だったので、似た内容で読みやすく、ネイルの並んだ装丁も素敵でした。ドラマ化希望します。
美佐と星絵、隣の居酒屋店主松永、元同僚の江利などの温かいキャラクターがとても好感が持てて結末がどうなるのかワクワクしながら読めました。現状を受け入れて妥協したり、周囲の人を羨んだりするのではなく、今ある環境に感謝したり、身近な人を頼ったりしながら前向きに生きていくことの大切さを感じられました。読んでいた3連休ちょうど話に出てくる