三浦しをんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
5人の小説家の短編と、2人のクリエイティブディレクターのアンソロジー
テーマは九州の特別列車「ななつ星」に乗り込む乗客の物語だ
列車はたくさんの人を一度に運ぶけど、乗客の一人一人はそれぞれ特別な想いを持って列車に乗り込む
5人の作家さんが寄せたとても短い物語には人生という長い長い想いが乗っていることに気が付く
恩田陸さんの「お姉さん」が仕組んだ、複雑で切ない物語も時間の長さと、生きようとする想いの深さが音楽に乗ってやってくる
個人的には小山薫堂氏の言葉が圧巻だった
人から人へ繋ぐ想いが言葉となって、香り高く温かみを持って伝わってくる
「共感」という到達点はその気持ちを理解しようとする意識の -
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ネタバレ起承転結のお手本のような物語構造。
いつもの日常のように、このままだらだら続くんだろうなあというところからの急展開。
ホテルマンの力(ちから)も、書家の遠田も30半ばのいい大人なのに、二人の会話は妙に微笑ましい。
あくまで仕事の延長として敬語を崩さない力と、多分敬語を知らない遠田。
遠田の書く文字は、どんな気持ちが込められて、どんな景色を思い浮かべて書かれているのかがわかる。
しかしそれは、遠田の持つ本来の字なのか。
変幻自在に書体を変えて文字を書く遠田。
書家であり、書道教室の先生であり、筆耕士であり、代筆屋である遠田。
手を怪我して、または年を取ってうまくも字が書けなくなった人の代わ -
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三重県の山奥、神去村で林業に勤しむ勇気。勇気を見守る村の人々、恋しい直紀さん。村に伝わる伝説や過去の出来事を散りばめつつ、しをん節で軽やかに面白く日常を語ってくれる。
クリスマスを山太に体験させてあげたいという、勇気の優しさよ!もみの木じゃなくて、松の木でも、サンタクロースじゃなくて獅子でも、その真っ直ぐな気持ちよ!
無条件であたたかい気持ちになり、
村のみんな事が大好きになってしまう。
ヨキ、清一さん、繁ばあさん、
みんな最高!
とくに繁ばあさん、好きだなあ。
勇気の書きためてる文章に
パソコンで勝手に作り話打ち込んでたりして、可愛い。
小説なんだから、
リアルに存在してないとわかって -
Posted by ブクログ
ネタバレ裏表紙のあらすじを読んで、面白そうだったので手に取りました。
便利屋さんのお話という事で、『銀魂』という漫画の「万事屋銀ちゃん」みたいな明るいノリを想像していたのですが、読んでみるとユーモアはそこそこに結構重いお話が続きました。
その中の一つで、小学生たちがクスリ(見た目は砂糖そっくり)の受け渡しのバイトに加担させられていましたが、結局助け出したのは別件で関わっていた男の子一人だけでした。
少年ジャンプの主人公だとここは全員助け出す流れですが、「そこまで面倒見られるかよ」という多田さんのセリフから、世の中は漫画みたいに上手くはいかないのだと悟りました。
ちなみに、ここは東京都町田市が舞台 -
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ネタバレ定年まで銀行一筋で働きつめた真面目で堅いところのある国政と、つまみ簪職人でつまみ簪を作る以外ははちゃめちゃなところのある源二郎。幼なじみじゃなかったらきっと友達じゃなかったと作中で国政も言うように、性格や歩んできた人生が正反対な2人だけど、何十年と同じ月日を重ね、お互いの家を行き来するくらい仲の良い関係性がとても尊く感じた。正直羨ましい。血は繋がっていないし家族でもないし、友達と呼ぶとちょっと否定しそうな2人だけれど、信頼し合っているんだなとひしひしと伝わった。弟子の徹平ちゃんもいい子だし、マミちゃんもおおらかで素敵な女性だし、清子さんも花枝さんも芯があってとても好き。みんなそれぞれの人生を自
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