角川文庫の検索結果
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影の車
仮眠から目覚めると、私の横に健一がいた。その手に出刃庖丁が握られている。私は危うく声を上げかけた。……夫を亡くし保険の集金人をする小磯泰子と二十年振りで出会った私は、妻の眼を盗んで家に出入りし、密かな逢瀬を楽しむようになった。が、その一人息子で6歳の健一は何故か私に親しまず、その異常な挙動に私は自分への殺意を感じた。少年の殺意。――私にはそれを否定し切れぬ過去があった。「潜在光景」ほか「典雅な姉弟」「万葉翡翠」「鉢植えを買う女」「薄化粧の男」「確証」「田舎医師」を併載。眼に見えぬ運命の糸に操られ、破滅へと導かれる男女を描く連作推理集。 -
翳った旋舞
東京の女子大学を卒業してR新聞社資料調査部に働く順子は、ある日外国要人の写真を係に取り違えて渡し、その日の夕刊の写真誤用は社内に大きな波紋を呼んだ。部長末広と次長の左遷。――責任を感じた順子は編集局長川北に辞表を提出するが、川北は意外にも彼女を銀座のクラブに誘う。二人の接触は、川北に恨みを抱く末広により、スキャンダルとして暴露された。社内に激化する醜い派閥争い。職場への夢を失った順子は、一夜川北から財界の怪物海野を紹介されるが…。人生の確かな手ごたえを求めてさまよう、一女性の心と行動を鮮やかに捉えた巨匠の長編現代ロマン。 -
警視庁捜査一課特殊班
誘拐やハイジャックなど極めて卑劣な犯罪に対峙する特殊班は、姿を表に出すことが許されない警視庁の秘密部隊だ。彼らが解決した事件をリアルに再現。捜査テクニック、歴史等、その全貌に迫ったノンフィクション! -
武士の職分 江戸役人物語
「出世の重み、宮仕えの辛さ。 役人たちの日々を題材とした、新しい小説に挑みました」 ――上田秀人 役目を減らすことは、役人の席を奪うこと。己の存在意義と既得権益をめぐり、武士たちは熾烈な競争を繰り広げた。世襲を旨とする幕府が、唯一実力主義を徹底した医師。大名・旗本が敵に回すことを最も恐れた奥右筆。親兄弟であろうと罪を暴き、なりふりかまわず手柄を求めた目付。人も羨む出世と引き替えに、お手討ちもありえた小納戸――役人たちの闘いと身につまされる宮仕えの日々を、新たな筆致で描く渾身の書き下ろし。 「やられた! するどい考証の切っ先が、 読者の胸元につきつけられる。 上田さんの時代小説の新しい作法に舌を捲きます」 ――北原進(歴史学者・品川歴史館館長) -
戦国を生きた姫君たち
生涯を男として生き、養子直政を徳川四天王の一人へ育て上げた女城主「井伊直虎」、直江兼続が唯一愛し、主君から女執政として遇された越後美人「お船の方」、恋に生き恋に死んだ瀬戸内のジャンヌ・ダルク「鶴姫」――大河ドラマ原作『天地人』をはじめ、義を貫き大きな敵に敢然と立ち向かった武将たちを描き続けた歴史小説家が、運命に翻弄されながらも、乱世を力強く生きた25人に迫る。単行本未収録の傑作評伝、初の書籍化! 一、女城主たちの戦い 井伊直虎 井伊直政の養母 妙林尼 吉岡鎮興の妻 おつやの方 織田信長の叔母 大乗院 二階堂盛義の継室 立花ぎん千代 立花宗茂の正室 二、危機を救う妻たち お船の方 直江兼続の正室 小松姫 真田信之の正室 千 代 山内一豊の正室 ま つ 前田利家の正室 ね ね 豊臣秀吉の正室 三、愛と謎と美貌 小少将 長宗我部元親の側室 義 姫 伊達政宗の生母 諏訪御料人 武田信玄の側室 松 姫 武田信玄の六女 濃 姫 織田信長の正室 四、才女と呼ばれた女たち お初 常高院 浅井三姉妹の次女 阿茶局 徳川家康の側室 喜 多 伊達政宗の教育係 小野お通 真田家ゆかりの才女 寿桂尼 今川義元の生母 五、想いと誇りに殉じる 鶴 姫 瀬戸内のジャンヌ・ダルク 淀 殿 豊臣秀吉の側室 細川ガラシャ 細川忠興の正室 お市の方 織田信長の妹 大福御前 北条氏邦の正室 関連年表 -
ぼくが医者をやめた理由 つづき
「治るなんて信じていないんだろ、ドクターだって……。だから、もういいんだよ」そう呟いて延命治療を拒んだ英国人のお爺さん。温厚で病院中の誰もが慕っていた先輩医師がガンであると知った時……。決して教科書通りには捉えることの出来ないさまざまな「病気」を抱え、日々、病院を訪れてくる患者を前に、医者はどう向き合えばよいのだろう。理想と現実のはざまで揺れながら、絶えず自問自答し続けた内科医の八年間を振り返った評判の好著、いよいよ充実の第2弾! 本書は、一九九四年十一月に平凡社ライブラリーとして刊行された『ぼくが医者をやめた理由 つづき』を角川文庫化したものが底本です。 -
戦国武将に学ぶ情報戦略
戦国の世を生きぬくには、敵よりも早くたしかな情報を集めなければならない。織田信長は戦いの勝敗の7割は情報で決まると考えていた。例えば桶狭間の戦いは、これまで雷雨の天候を利用した奇襲作戦にすぎないといわれてきた。だが信長は、事前に今川方の情報を徹底的に収集し、偽の情報を流し込んでいた。周到な情報・謀略戦が勝利へと導いたのである。信長の情報第一主義は、「備中返し」の秀吉、関ヶ原の家康へと継承されてゆく。この三人が戦国三英傑といわれるのは、情報戦略において他者の追随を許さない才能を発揮したためでもあるといえるであろう。 -
蟻の園
K団地の13号館で、どうにも説明のできない奇妙な事件が起こった。5歳の子供が階段の途中から転げおち、おちたとたんに消えていなくなった。消えた瞬間を、母親も団地の誰も見ていない。だが、耳を澄ましていると、5階と4階のあいだ、階段の裏側あたりから、子供の泣き声がかすかに聞こえてくる! どこがどうなっているのか、誰も知らない秘密のどんでん返しがこの建物にはあるのだろうか……? 変わり映えのしない日常生活の中で起きた不思議な事件を描く表題作の他、SFでアジアの世界観に挑んだ初期の意欲作全5編を収録。詳細な解説を付した決定版! -
すべての怒りは水のごとくに
わたしが受けた一つの衝撃から語りはじめたい。三年間中学校に行かなかった少女からの手紙がわたしに届いた。少女の文章には一個人の体験にとどまらず、「教育」というもの、さらには人類の行く末までに至る問題が含まれていたのだ。怒りを怒りとしてではなく、すべての怒りを海に注ぐ水のごとくに、未来を見据えて語ったその静けさが、私たちの胸を深く、そしてつよくたたく。表題作の他、子供の詩、島での暮らし、北朝鮮訪問、人生で巡り会った人たち、あれこれの本などを巡る灰谷健次郎のエッセイ集。子どもの心、いのちの行方を真摯に見つめ、深い示唆に満ちた一冊。
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