歴史・時代小説作品一覧

  • 溝猫長屋 祠之怪
    3.5
    猫まみれ長屋の奥にある祠に、毎朝お参りすることになった溝猫長屋の年長組、十二歳の忠次たち四人。そのお多恵の祠の力なのか、忠次たちは幽霊を感じることができるようになる。桶職人の倅、忠次は「見る」ことが、提灯屋の倅、新七は「嗅ぐ」ことが、油屋の倅、留吉は「聞く」ことができるようになった。将棋盤の職人の倅、銀太だけは何も変わらない。お多恵の祠は、はたして長屋の子供たちの守り神なのか、それとも!?
  • 徒目付 情理の探索 純白の死
    -
    人情と道理で悪を裁いて、弱き者を救う! 上司である公儀目付の影山平太郎から、 「小普請組前川左近の新番組頭への登用が内定した。ついては行状を調べよ」 との命を受けた、徒目付の望月丈ノ介。 さっそく相棒の福原伊織へ報告するため、組屋敷へ向かった。 二人一組で役目を遂行するのが徒目付なのだ。 正義感に溢れ、剣術をよく遣う丈ノ介と、かたや身体が弱いが、推理と洞察の力は天下一品の伊織。 まずは聞き込みをはじめた丈ノ介は、左近が文武両道の武士と知るも、双子の弟で、勘当された右近の存在を知る。 が、近隣に住む誰もが、右近について話が及ぶと口をつぐんでしまう――。 兄の左近から口封じされているのか? 勘当された事情が手に入らず、まったく探索が進まない丈ノ介は、状況を打開しようと思い切って、左近が師範代をしているという東軍流の剣術道場へ乗り込んだ。 手合わせしてみれば、おおよその人柄がわかるだろうと踏んだのだ。 事は、丈ノ介の思惑通りに運んだのだが……。 最後に大どんでん返しが待ち受ける、書き下ろし時代小説!
  • 新装版 お腹召しませ
    3.9
    えっ、その責任おれがとるの!? 仕事と、家庭と、世の中と――戦う男の本分とは。 司馬遼太郎賞・中央公論文芸賞受賞。 『一路』『流人道中記』の浅田次郎が贈る、笑って泣ける傑作時代小説。 婿養子が公金を持ち出し失踪。不祥事の責任を取りお家を守るため、妻子や部下に「お腹召しませ」とせっつかれる高津又兵衛が、最後に下した決断とは……。武士の本義が薄れた幕末期。あふれ出す男の悩みを、侍たちはどう乗り越えたのか。表題作ほか全六篇に書き下ろしエッセイを特別収録。
  • 風よ哭け 橋廻り同心・平七郎控
    3.8
    八丈島送りの父と、巾着(きんちゃく)切りの息子、その心に吹きすさぶものは…。立花平七郎は懇意の酒屋での聞き酒会の最中、巾着切りの少年を捕えた。身元を質すと、父親は八丈島に流されていてひとり暮らしだという。父は諸色(しょしき)問屋の手代頭だったが、暗闇の中、賊と間違えて主の弟を刺し殺したのだ。平七郎は自分が取り調べた一件だったと驚く。少年の住まいを確保した直後、恩赦の報せが届き、父子は再会を果たしたが……(「風よ哭け」)。ますます快調のシリーズ第14弾!
  • おとっつあん 八丁堀赤鬼忠孝譚
    4.0
    因縁をつけられて父親を無為に殺された高井伊八郎は、加護藩からひとり、江戸に仇討ちに出てきていた。憎き仇の名は、竜崎又右衛門。長らく仇を見つけられぬまま、行き倒れた伊八郎が助けられ意識を取り戻すと、そこは多くの恵まれない生い立ちの子どもを引き取って育てている、忠孝園という施設だった。そして、忠孝園を運営する有徳の士・祐源は、話に聞いていた父の敵、又右衛門と面影がそっくりだった――果たして、祐源の正体は善人の面をかぶった極悪人なのか? 自分が祐源を斬ったら、遺された子どもたちはどうなる??様々な黒い噂も耳に入り、伊八郎は真実を突き止めるべく、祐源に近づこうとするのだが―― さまざまな人生模様が交差する人情時代ミステリ!
  • 鳳凰の船
    4.7
    明治初期の函館。洋船造りの名匠と謳われたものの、いまや仏壇師としてひっそり暮らす続豊治。だが若き船大工との邂逅により、再び奮い立つ/表題作。初代北海道庁長官・岩村通俊、イギリス人貿易商・ブラキストンなど、北海道開拓期に名を刻んだ者たちの逡巡や悔恨、決意を叙情豊かに描きあげた五編。第7回歴史時代作家クラブ賞受賞作。
  • 新火盗改鬼与力 風魔の賊
    3.0
    風の強く吹く夜、日本橋の両替屋に賊が入り、三人が殺されたうえ、千両余が奪われた。火付盗賊改方の与力・雲井竜之介は、風魔党と呼ばれる賊を追い、探索を開始した。だが、相手は三人の剣客を擁し、町方にまで手をかけ始めた。なおも、大胆に犯行を重ねる風魔党。竜之介は、一味の捕縛に策を講じるが……。一方、船宿瀬川屋のひとり娘・お菊は、危険を冒す竜之介に、熱い思いを寄せていた。最強の火盗改鬼与力、ここに復活!
  • 風刃の舞 北町奉行所捕物控
    -
    江戸の空に放たれた一本の矢。それは律儀な魚売りの命を奪った。北町奉行所同心鷲津軍兵衛は、矢の作りから、大身旗本を疑う。すると、手先の下っ引を同じ矢が襲い、軍兵衛も柳条流の遣い手の旗本家用人と対する。その折、一家皆殺しの残忍な押込み一味の潜伏が知れ…。軍兵衛は旗本を裁けるか? 凶賊を捕えられるか? 八丁堀同心の心意気が胸に響く捕物帖。
  • 牛姫の嫁入り
    3.8
    江戸時代中期。その存在すら極秘の忍者派遣業を営む三日月村で育った女忍び・コウ。見た目は美しく成績も優秀。今回コウに課された任務は、旗本・加納家からの依頼で、加納家の長男と、十万石の大名である藩主・藤代家の末娘・重姫を見合いさせること。かつて絶世の美少女と噂されていた重姫はここ10年、人前に姿を見せずにいた。そのまぼろしの姫を誘拐してお見合いさせようというのだ。前代未聞の“誘拐見合い”という密命を受けて三日月の夜、屋敷へ忍び込んだコウが見たものは……! 時代劇ミッションインポッシブル!女忍びのまっすぐな生き方が心を打つ。「猫弁」「あずかりやさん」シリーズで大人気の話題の著者による、美とは親子の情愛とは、友情とは恋とは? 笑いあり、感動ありの、女性大満足の時代劇エンターテインメント。 映画界でもっとも権威ある脚本賞「城戸賞」2006年 受賞作の小説化。
  • 新まろほし銀次捕物帳
    4.0
    両替商滝島屋の主と手代が下谷広小路で何者かに首を掻き切られて殺された。凶器は匕首(あいくち)とみられた。池之端の岡っ引き銀次には遺体の惨状に見覚えがあった。半年ほど前、浅草田原町で殺された料理茶屋橘屋の主の死に様と酷似していたのだ。そして、二つの事件の繋がりを探っていた佐久間町の岡っ引き平造が斬殺された。銀次は下手人を追うが、やがて魔の手が襲い来る。書下し長篇時代剣戟。
  • 侍の本分
    -
    家康にも真っ向から逆らった“天下の御意見番”大久保彦左衛門とその矜持を描いた歴史長篇。 主君のことを思えばこそ、主君におもねってはならない――頑固一徹、家康に対しても己の言を曲げなかった徳川家の譜代、大久保彦左衛門。 その強情な性分から、元和偃武を迎えたときの禄はわずか千石だった。そんな彦左衛門が子孫に向けて書き遺した『三河物語』には、徳川家と、それに仕えた大久保一族の歴史が描かれている。 彦左衛門が語る侍の本分とは? 直木賞作家が、緻密な考証で生き生きと紡ぐ本格歴史長篇!
  • 新装版 はやぶさ新八御用帳(一) 大奥の恋人
    4.0
    如法暗夜――お鯉の家からの帰路、新八郎は辻斬りの現場に遭遇する。殺されたのは本石町鶴丸屋の当主・清兵衛。下手人を追う最中、今度は成子坂で首無し死体が見つかった。二つの殺人を探索する新八郎は、それらの死が大奥へと結びつくことに気づくが……。男子禁制の園に秘められたものとはなにか。
  • 伽羅の残香 風烈廻り与力・青柳剣一郎[39] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    5.0
    伽羅に似た香りの鬢付け油が大人気の『錦屋』。その主・卯三郎は、何でも金の力で他人のものを奪い取ると評判だ。ある日、腹を真一文字に斬られた男の死体が見つかった。青柳剣一郎は、男が錦屋を探っていたと知り、卯三郎が本物の伽羅をつかっているのではと疑う。さらに、錦屋の用心棒が相次いで襲われ、大盗賊が伽羅を狙っていた話を耳にする。欲望渦巻く争いの行方は!?
  • 霧に棲む鬼 風烈廻り与力・青柳剣一郎[38] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.5
    口入屋『宝生屋』番頭の久次郎と町火消し吾平の惨殺体が立て続けに見つかった。風烈廻り与力・青柳剣一郎は手口の残忍さから同一犯と断定。宝生屋・主の与五郎が二人と博打仲間だったと知り遺恨を疑うも、与五郎は身に覚えがないと言う。だが与五郎も謎の刺客に襲われ、15年前の悲惨な事件が浮上する…。哀しみの果てに己を捨てた復讐鬼を、剣一郎はどう裁く。
  • 離れ簪 風烈廻り与力・青柳剣一郎[37] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.7
    足袋問屋『山形屋』への婿入りを次男から切望され、鼻緒問屋『能代屋』の主は悩んでいた。相手は美人だが、高額の持参金、趣味三昧、病死した婿は毒殺だった、と黒い噂ばかり。真相究明を頼まれた青柳剣一郎は、仲人や検視した同心を尋ね歩くが、前夫の死因は揺るがない。そう結果を報告するも、次男が婿入りした直後に事件が! 奥深い男女の闇を剣一郎が斬る。
  • 喜連川の風 江戸出府
    3.8
    石高はわずか五千石だが、家格は十万石。日本一小さな大名家が治める喜連川藩では、名家ゆえの騒動が次々に巻き起こる。家格と藩を守るため、藩の中間管理職にして唯心一刀流の達人・天野一角が奔走する!
  • 破暁の道(上) 風烈廻り与力・青柳剣一郎[35] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.3
    周次郎の女房のおきみが失踪した。実家の大店の質屋『甲州屋』の差金だと考えた周次郎は、亡父の今際の際の言葉を手がかりに、甲府へ女房捜しに向かう。だが、旅の途中、謎の刺客に襲われる。一方、悪質な金貸し妹尾別当を探る青柳剣一郎は、妹尾と『甲州屋』の関係を語る家訓に違和感を覚えていた。やがて江戸で起きた破落戸の連続殺しが、新たな事件の始まりに…!
  • 砂の守り 風烈廻り与力・青柳剣一郎[34] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    鮮やかな斬り口だった。矢先稲荷脇で発見された死体を検死した青柳剣一郎は剣客による犯行と判断。三月前の刃傷事件と絡め、連続殺人を疑い探索を始める。浮上したのは同じ頃に一刀流仁村道場の師範代を辞め、姿を晦ました神村左近という男だった。一方、その道場の門弟高岡弥之助は事件当日、現場付近で左近を目撃、独自に追っていたが、第三の死体が発見され…。
  • 美の翳 風烈廻り与力・青柳剣一郎[33] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.7
    太物店『山形屋』の主は、店に置き忘れられた三十両の持主探しに嫌気がさしていた。貼紙をしても現われるのは偽者ばかり。ついに本人かと安堵するも、受け取りに来たのは代理の男だった。それでも主は男を信用するが、話を聞いた青柳剣一郎はあまりの大金と都合のよい話に不審を抱く。しかし、男はすでに行方をくらましていた。同じ頃、掏摸の死体が発見され…。
  • 善の焔 風烈廻り与力・青柳剣一郎[32] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    強風吹き荒れる大伝馬町で、火の手が上がった。青柳剣一郎たち風烈廻りの働きで小火に済むが、数日後、今度は通旅籠町で付け火未遂が起きる。しかも、犯人を目撃した男が刺された。当夜の風向きからすると、狙いは牢屋敷の解き放ちか!? 死罪で入牢中の5人と関係の深い者を探る剣一郎。やがて、事件の真相が人の心に棲む“善と悪の奥深さ”にあると気付くが…。
  • 江戸を造った男<文庫版>
    4.5
    伊勢の貧農に生まれた七兵衛(後の河村瑞賢)は江戸に出て、 苦労の末に材木屋を営むようになり、明暦3(1657)年、 明暦の大火の折に材木を買い占めて莫大な利益を得る。 やがて幕府老中の知遇をえて幕府の公共事業に関わっていく。 日本列島の東廻航路・西廻航路の整備や 全国各地で治水・灌漑・鉱山採掘などの事業を手がけ、 その知恵と胆力で次々と難題を解決していく。 新井白石をして、「天下に並ぶ者がない富商」と賞賛された男の波瀾万丈の一代記。 2018年は河村瑞賢生誕400年。 ビジネスパーソン必読の長編時代小説。
  • 真の雨(上) 風烈廻り与力・青柳剣一郎[30] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.7
    困窮する彦崎藩は財政再建に迫られていた。藩内では茶と椎茸の栽培に期待をかけるが、野心家の藩主・隆興は幕閣への道を志す重荷になる多額の賄賂に藩が割れる中、領民からの信頼の篤い江戸家老・大藤主水は苦悩の末、忠義を貫き隆興を支持。一方、反隆興派は藩を守るべく主水の暗殺を企んだ。そこに、風烈与力の青柳剣一郎は密かに主水の警護を依頼され…。
  • 暴れん坊将軍 江戸城乗っ取り
    -
    貧乏旗本の三男坊・徳田新之介の正体は、八代将軍・徳川吉宗であった! 町火消「め組」の頭・辰五郎や妻のおさい、御庭番の左平次とおもんなど人気キャラクター揃い踏み。江戸城を狙う巨悪を、吉宗が成敗!
  • まよい雪 風烈廻り与力・青柳剣一郎[29] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.7
    佐渡から江戸へと帰り着いた鉄次と弥八。鉄次は水替人足として酷使されるなか、唯一の支えが許嫁のおきみだった。だが、苦界に沈んだと知らされ、身請金のため押込み一味に。一方、弥八も親友のため、ある企みに加担しようとしていた。弥八はかつての恩人青柳剣一郎を頼るべきか悩むが…。大切な人のため、悪に染まろうとする二人。剣一郎の救いは間に合うのか?
  • 人待ち月 風烈廻り与力・青柳剣一郎[28] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    3.5
    二十六夜待ちの晩、高級料理屋『松風』の看板娘おゆきが姿を消した。女将は遊び人の冬吉と駆け落ちしたと決めつけるが、青柳剣一郎は女将の頑なな態度に不審を抱く。おゆきの妹おしゅんも、そんな相手はいないと証言。数日後、大川に冬吉が無惨な姿で浮かび…。二人の身に一体何が? おゆきの安否は? 妹の想いを背負う剣一郎が、隠された真実を炙り出す!
  • 花さがし 風烈廻り与力・青柳剣一郎[27] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.3
    藤が優雅に咲き誇る妻恋坂で、ふいに大八車から樽が落下。幼い娘と女中に迫るその樽を、一人の男が体を張って止めた。だが、その事故で男は記憶を喪失。偶然居合わせた青柳剣一郎は、男が藤を熱心に見ていた様子を手掛かりに、身許捜しに努める。やがて、男に怪しい影が忍び寄り…。そこには予期せぬ謀略が隠されていた。果たして、剣一郎は男を救えるのか。
  • 維新始末
    3.3
    老中・水野忠邦による天保の改革から二十年。黒船来航以降、恐慌を来す江戸の町を、勤王の志士を騙る剣呑な浪人たちが跋扈するようになっていた。さらにその黒幕には、薩摩藩の巨魁の影が…。失われた秩序を取り戻すべく、我らが榊扇太郎が江戸の顔役たちとともに立ち上がる!「闕所物奉行 裏帳合」シリーズに連なる、待望の文庫書き下ろし。
  • はだれ雪 上
    3.8
    諦めず、迷わず、信じた道を一筋に―― 謎の刃傷事件を起こした浅野内匠頭。 彼が密かに残した”最期の言葉”とは。 言葉を聞いた勘解由の、秘めたる想いの行方は。 直木賞作家が描く、かつてない「忠臣蔵」! 元禄十四年(1701)十一月。 若くして扇野藩の馬廻り役・中川三郎兵衛の後家となった紗英【さえ】は、江戸からやってくる永井勘解由【ながいかげゆ】という人物の接待役兼監視役を命じられた。  勘解由は旗本であり、幕府の目付役だったが、将軍・徳川綱吉の怒りにふれて扇野藩にお預けの身になったという。 この年、江戸城内で、播州赤穂の大名・浅野内匠頭が、高家筆頭、吉良上野介を斬りつける刃傷事件が起きていた。浅野内匠頭は理由を問われぬまま即日切腹。だが勘解由は、老中に切腹の見合わせを進言し、また切腹の直前、襖越しにひそかに浅野内匠頭の"最後の言葉"を聞いたという。この行いが将軍、徳川綱吉の知るところとなり、機嫌を損じたのだった。 雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、役目を全うしようとするが――。 身分を隠し、勘解由の元を訪れる赤穂浪士。 勘解由のやさしさに惹かれてゆく紗英。 扇野藩に、静かに嵐が忍び寄る。 これまでにない視点から「忠臣蔵」の世界を描き、新たな感動を呼び起こす歴史時代長編! ≪熱き信念が胸を打つ、扇野藩シリーズ≫ ※本書は、2015年12月に小社より刊行された単行本を上下に分冊の上、文庫化したものです。
  • 新編 鳥島漂着物語 18世紀庶民の無人島体験
    値引きあり
    -
    子どものころ、無人島を舞台にした『ロビンソン・クルーソー』 『十五少年漂流記』などを夢中になって読んだ人も多いはず。 江戸時代の鳥島漂流記には、このような冒険物語に通じる面白さがある。 しかし、伊豆諸島と小笠原諸島の中間位に位置する、 アホウドリの繁殖地である無人島・鳥島での生活は、楽しいだけではなかった。 無人島での様子、つらく苦しい日々を 綿密な現地調査に基づいて再現し、克明に描かれている。 2003年6月に発刊された本書に加筆改変を施し、 パワーアップさせて『新編 鳥島漂着物語』として再登場。 【目次】 序 洞窟の発見 第1部 享保・元文期の漂流記 1二形船鹿丸の遭難/2宮本善八船の小笠原漂流と鳥島漂流民の救出 第2部 天明・寛政樹の漂流記 1宝暦から天明にかけての出来事/2土佐人長平の孤独な生活/3備前船亀次郎の漂流/4住吉丸の漂流/5故国への帰還/6後日談
  • 雅や京ノ介 女帝の密偵
    3.0
    深川の町外れ、〈鬼灯長屋〉に、奇妙な看板がかかった。〈雅(みやび)や──よろず、みやびごと伝授〉。立花、茶の湯、書道、蹴鞠、和歌、源氏物語などを教えるというのだが、およそ裏長屋にはふさわしからぬ習い事。この私塾を開いた浪人者・京ノ介は、女帝陛下の密命を帯びていた。京ノ介に襲いかかる朝廷転覆の策謀の裏には、意外な黒幕が──! 注目の新シリーズ、開幕!
  • 勇気をくれる日本史 誰も知らない偉人伝
    5.0
    日英同盟の影の立役者・柴五郎、インドネシア開放の父・柳川宗成、沈み行く船の艦長・佐久間勉、神様になった警察官・増田敬太郎…博多の歴女が、知られざる日本の英雄たちを語る! ※本書は二〇一四年一月に小社より刊行された単行本『日本人の知らない日本がある こころに残る現代史』を改題し、加筆・修正して文庫化したものです。
  • 青嵐 見届け人秋月伊織事件帖
    3.7
    伊織、けじめの「見届け」を描く文庫書下ろし完結巻!「押し込みをやる悪い奴らの情報がある」見届け人志願でだるま屋を訪ねた男は、食い詰めた大店の息子・巳之助だった。生き別れの母との再会を願い、仕舞屋で下働きする巳之助は、伊織が探索する、世間を震撼させた悪党一味につながっていた。伊織、けじめの「見届け」と母子の悲縁を描く感涙のシリーズ完結巻。
  • 将軍の影法師 葵慎之助 拝命
    3.0
    将軍家と縁続きである〈葵の若〉こと勝田慎之助は、直心影流小太刀の遣い手ながら、父の死により寺の住職となっていた。が、突然、「上様をお守りせよ」との予期せぬ命を拝する事態に──。諸藩をも巻き込み、将軍の座を狙う御三卿の田安宗武と一橋宗尹(むねただ)。〈公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)〉の後見人となった慎之助は御側御用取次の大岡忠光、九代家重を陰で警固する葛西衆らとともに天下の大乱を防げるのか!?
  • 新装版 御免状始末 闕所物奉行 裏帳合(一)
    -
    ※<ご注意ください> 本書は、二〇〇九年十一月に刊行された作品を改版して電子書籍化したものです。 遊郭の打ち壊しが起こり、闕所物奉行、榊扇太郎は競売の入札権を持つ天満屋とともに後始末にあたる。事件を発端に不可解な殺人が続発、そこには水戸藩の思惑と幕府の陰謀が入り乱れていた。やがて吉原にも魔の手がのび、扇太郎にも危険が迫る! 痛快時代小説新シリーズ、待望の新装版!
  • 江戸城 御掃除之者!
    4.0
    江戸城の掃除を担当する御掃除之者の組頭・山野小左衛門は、上司から極秘の任務を命じられる。それは男子禁制の大奥の掃除。7代将軍徳川家継の生母である月光院付きの御年寄・音羽が何年も局に籠もり、部屋を芥溜めにしているらしい。精鋭の配下6人を集め、大奥へと乗り込むが、そこには大奥女中による鉄壁の防衛線が築かれていた……。掃除に命を懸ける7人の侍に降りかかる無理難題。大江戸お掃除戦線、異状アリ!
  • 双燕の空
    -
    江戸初期、幕府の基礎を築いた名老中と言われた阿部忠秋。彼が育てた数多くの孤児の中の二人―柳之介と秋太。二人は反発しあいながらも力を合わせ、柳之介は鍛え上げた剣術、秋太は明晰な頭脳で、様々な困難に立ち向かう。「誇り高き心」と「幽玄なる智」―異なる才を持ち、強き絆で結ばれた二人の若き男達の物語。
  • 源平の姫君たち 白の章
    -
    時は平安時代末期。打倒平家の名の下に進軍を開始した源氏軍。棟梁である頼朝の妻・政子は、夫亡き後「尼将軍」として鎌倉幕府の実権を握る。源義経の正室・郷御前、愛妾の静御前、側室の蕨姫。悲劇の武将をめぐる姫君たちの悲恋。貴族社会から武家社会へと移り変わっていく中、時代の波に翻弄された女たちの波乱の生涯を描く。
  • 源平の姫君たち 紅の章
    3.0
    平安時代末期。栄華を極めた平家一門の陰で、過酷な運命に翻弄された女たちがいた。平清盛をめぐる祇王と仏御前の葛藤、安徳天皇の母として国母となった建礼門院徳子の悲劇、二人の天皇に愛され后となった藤原多子、宮廷一の美女と謳われ夫に殉じ、海に消えた小宰相…。一門の興亡を女性たちの視点で描く、新たな「平家物語」。
  • 手習重兵衛 闇討ち斬 新装版
    3.0
    江戸白金で行き倒れとなった重兵衛は、頑健な体躯とくっきりとした目鼻立ちを持つ二十三歳の浪人だ。手習師匠・宗太夫は、わけありの彼に何も聞かず居候させてくれる。子供らに囲まれ平穏な日々を送る重兵衛だったが、同郷の者に呼び出され帰ってこない宗太夫を心配し、その男を訪ねたところ……。快男児が謎を斬る時代小説シリーズ第一弾。(二〇〇三年十一月に刊行された作品を改版)
  • 藍の武士 御用絵師一丸
    4.0
    天保の頃、水野忠邦は改革を推し進めるとともに諸藩の改易を企んでいた…。大奥で水野に対抗する広大院に仕える絵師一丸は武士を捨て、“毒師”として暗殺者の道を歩む。藩を守るために実の父を死に追いやった若者の暗殺を依頼された一丸は…(「藍の武士」)。“毒師”としての宿命を負った男の活躍と葛藤を描く、時代小説4編。
  • 忍びのかすていら
    -
    伊賀出身の元忍者・橘清十郎。今は江戸で請負人としてその腕を活かしていた。何故か稼いだ金を砂糖代につぎ込み、菓子作りに取りつかれていた。だがある日、辻斬り退治の場で将軍の嫡男・竹千代と知り合い、さらに己とくノ一の間に生まれたという少女・小雪が現れて暮らすことに…。それらが絡み合う時、清十郎の運命は大きく動き出す!
  • 御用絵師一丸
    4.0
    老中・水野忠邦の天保の改革が始まらんとする12代家慶の頃―大奥の実力者であり、幕政にも隠然たる力を持つ広大院に仕える一人の絵師がいた!その名は一丸。彼には絵師としての顔のほかに、命令を受け、裁けぬ悪を討つ、殺し屋としての顔があった!!ライトノベルで大ヒットを放った著者が挑む時代小説。
  • 風穴屋旋次郎
    -
    世に言う「天保の改革」により贅沢が厳しく咎められる息苦しい江戸の街に、颯爽と風を切って歩く若者がいた。風間旋次郎―追い詰められた庶民の窮状に「風穴」を開けてやることを商売とするこの男を人は「風穴屋」と呼ぶ。その武器は剣ではなく鍛えられた拳だった!悪党どもに絡まれた町娘、お里穂のため、旋次郎の拳と機転が冴え渡る!
  • 南国回天記
    -
    黒船来航以降、時代への焦慮がみなぎる南国の雄藩薩摩。藩主島津斉彬を慕う樺山小一郎は、西郷隆盛や大久保利通らと奸臣誅殺を企てひとり江戸へ向かう。しかし、計画は失敗に終わり小一郎は消息を絶った。小一郎の琵琶歌に魅せられ恋心を抱く大阪芸者のお葭は、彼の汚名をそそぐため江戸へ。藩主斉彬の命で同じく小一郎の行方を追う西郷らとともに、捜索をするが……? 維新前夜の激流を生き抜いた、若者たちの青春群像劇!
  • 月華の神剣 壬生狼慕情
    -
    時は幕末。祝井信吾は、神官の家に生まれながらも、修行を疎かにしていた。だがある日、父親が代々伝わる神剣を巡り殺されてしまう。その神剣をしかるべき人物に託せという父の遺言を胸に、京へ向かう。
  • 御松茸騒動
    4.0
    「御松茸同心を命ずる」──十九歳の尾張藩士・榊原小四郎は、かつてのバブルな藩政が忘れられぬ上司らに批判的。いつか自分が藩の誇りを取り戻すと決めていたが、突如、「御松茸同心」に飛ばされる。松茸のことなど全くわからない上、左遷先は部署ぐるみの産地偽装に手を染めていた。改革に取り組もうとする小四郎の前に、松茸の“謎”も立ちはだかる! 爽快時代お仕事小説。
  • 幕末五七五!
    -
    幕末。紅林水無月は、語学の才能を活かして蘭学塾塾頭の父を助ける一方、女流俳諧師としても人気を博す。そんな折、再来した黒船見物に出かけた水無月に難題が降りかかる。もう一つの黒船秘話登場!
  • ざしきわらわら 猫手長屋事件簿
    3.0
    猫手長屋の暇人大家の茶屋では、霊験あらたかなお札売りの噂話が…。猫の栗坊と魔物退治に大活躍、シリーズ第2弾。
  • ふぬけうようよ 猫手長屋事件簿
    3.5
    代三郎は、若いくせに日がな一日三味線を鳴らすぐうたら大家。しかし、彼には故郷・猫手村の氏神、大猫様から任された務めがあった。飼い猫、栗坊と 魔物退治に出発するが、果たしてその首尾は!?
  • 危機―軍鶏侍
    3.0
    平和な里で突如、花火が鳴り響いた。軍鶏侍・岩倉源太夫が住む園瀬藩、緊急の報せだ。番所に急行する藩士たち。現地には何の異変もなかったが、源太夫は公儀の企みであると看破。さまざまな疑惑が浮かぶ中、園瀬が最も沸く、盆踊りの季節がやってこようとしていた。もしや、狙いは祭りそのもの…。源太夫は園瀬の民を守れるのか。大好評「軍鶏侍」シリーズ初長編、緊迫の第6弾!
  • ふたたびの園瀬―軍鶏侍
    4.0
    軍鶏侍・岩倉源太夫の道場の若き師範代・東野才二郎は、藩命で赴いた江戸で、ならず者に絡まれる女性を救う。名を、園。源太夫に実父を斬られ、今は侠客の娘として育てられていた。園の気風の良さ、才二郎の誠実さに、やがて二人は惹かれあっていくが、園に忍び寄る不穏な影が…。美しき日本の風景を背景に静謐な文体で贈る本格時代小説、大好評「軍鶏侍」シリーズ第5弾!
  • はぐれ十左暗剣殺 怪盗流れ星
    -
    非道なことは一切せずに、盗んだ金は貧しい人たちに分け与えている“怪盗流れ星”。町方はおろか火附盗賊改め方ですら、捕まえられず、翻弄されていた。同心の鏑木十左は、独自の探索で追い詰める。しかし、そこにいたのは、盗っ人ながらも世情を憂い、正義感に溢れた若い男。おまけに彼は、加賀から江戸に出て父と暮らす娘に一目惚れしていた。そこで十左は、彼を真っ当にするべく……。
  • 男の真剣勝負
    -
    織田信長、徳川吉宗、渋沢栄一、金子直吉、山岡鉄舟、宮本武蔵ら歴史に名を残した男たちは、剣が峰に立たされた際、乾坤一擲の大勝負に出て、逆境を切り抜け、己の意地を貫いた英雄たちである。時代が混迷化する今こそ、彼らに学ぶ点は多い。「今、最も求められるリーダー」「官僚が学ぶべき人」「晩年にも機あり」など、歴史小説の第一人者が、現代によみがえる16人の英雄(サムライ)の実像とその魅力を描き切る。
  • 春遠からじ
    -
    北条氏政の下総国関宿侵攻から八年。悪夢のような焼き討ちを生き延びた、塩商人蔵次の娘・あぐりに、婿取りの話が持ち上がっていた。相手は、父の店を手伝っている仲助。だが父たちの意をよそに、あぐりは、兄のように慕う伍平太に一途な想いを秘めていた。直後、関宿に再び北条氏との戦が忍び寄る。侍となって戦う決意をする伍平太に、あぐりは自らの想いを伝えるが……。戦国の世を力強く生きる女性たちを描いた傑作長篇。
  • 御三家が斬る!
    3.0
    宝永地震に富士山の噴火。復興に苦しむお伊勢参りの要所・石部宿で、百姓衆の諍いを治めた旅の浪人徳田新之助は、圧政を敷く代官との交渉役を引き受けることになるが……。使い手の男前若侍と、色事好きのお節介な爺さん。ひょんな縁から行き会った三人の正体とは? 痛快世直し道中記開幕!<文庫書下ろし>
  • 妖医玄眞 京都備忘録
    4.0
    幕末、妖ながら人の医師を装う玄眞。その助手で刀の化身・マル。彼らと奇妙な友情を結ぶ浪士・カク。三人は神隠し事件を追って妖の支配する世界「裏京都」に足を踏み込む。が、真の敵は?
  • 新八犬伝 起
    3.5
    時は室町時代、安房の国は里見城で打ち首となった玉梓(たまずさ)の祟りに立ち向かうため、伏姫(ふせひめ)は犬の八房(やつふさ)とともに己の胎内から八つの珠を持つ八犬士を生み出す。十数年後、「孝」の珠を持つ犬塚信乃(いぬづかしの)は、父の形見の名刀村雨を、さもしい浪人網乾左母二郎(あぼしさもじろう)にだまし取られ、恋人浜路とも離れ離れになるが、それはすべて、玉梓が怨霊の仕業だった。『南総里見八犬伝』の大胆な解釈のもと大人気を博した人形劇を、脚本家石山透自らが書き下ろした、完全小説版! ※本書は、二〇〇七年四月ブッキング(現・復刊ドットコム)より刊行された『新八犬伝 上の巻』を改題したものが底本です。
  • 一九戯作旅
    4.0
    物書きになろうと三十歳を目前に江戸に出た十返舎一九は、『東海道中膝栗毛』で人気戯作者となり、原稿料だけで生活する本邦初の作家となる。その旅路で蔦重に励まされ、写楽に嫉妬し、京伝を羨んだ。人は何を面白がり何を笑うのか。飄飄とした語り口の中に革命児の慧眼と心意気を見る、稀代の流行作家の人生絵巻。
  • 群青のとき
    -
    時は幕末。わずか25歳で老中に就任した阿部正弘を待ち受けていたのは、黒船はじめ、度重なる外国船の来航、強大な欧米列強に対する攘夷派の強硬論、逼迫する財政、高まる内政不安だった。一刻の猶予もないなか、外交・国防問題に奔走し、思うように進まない国論の統一に正弘は煩悶する。人材を登用し、後進を育て、新しい時代を切り拓こうと、常に時代の先端を走り抜けた男の熱き人生を描く、著者初の本格歴史時代小説!
  • 黄砂の籠城(上)
    4.1
    今こそ読むべき、日本の快挙。圧倒的歴史エンタテインメント元防衛大臣 石破茂推薦!―1900年春、砂塵舞う北京では外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が勢力を増していた。暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲する義和団。足並み揃わぬ列強11ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。
  • 天の光
    3.6
    博多の仏師・清三郎は木に仏性(ぶっしょう)を見出せず、三年間、京へ修行に上る。妻のおゆきは師匠の娘だ。戻ると、師匠は賊に殺され、妻は辱められ行方不明になっていた。ようやく妻が豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明。お抱え仏師に志願し、十一面観音菩薩像を彫り上げた。しかし、抜け荷の咎(とが)で小左衛門は磔(はりつけ)となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。おゆきを救うため、清三郎も島へ…。
  • 備中高松城目付異聞 湖上の舞
    -
    これはうつつのことなのか──。目付・川名佐吉のいる備中高松城は、秀吉による兵糧攻めの一環として、周囲を水で囲まれ、陸の孤島と化していた。そんな中、城中で老臣の暗殺が起きる。早速、佐吉は犯人探しを始めるが、飢えと日を追うごとに増す水位、非協力的な家臣たちが邪魔をし、調べは遅々として進まない。さらに、何者かの凶刃が佐吉の命を狙い……。密室の城で一体何が?!
  • 藤十郎駆ける! 一 さらば刈谷城
    -
    水野藤十郎勝成は三河刈谷城主・惣兵衛忠重の嫡男。勇猛果敢に戦場を疾駆する若武者だ。一騎駆け、一番鑓(やり)が生き甲斐で、短気で荒々しい気性を心配する父とはしばしば対立するのだった。織田信長に伺候するために京に滞在していた藤十郎は、本能寺の変に際し、父と自らの命も瀬戸際に立たされた。援軍手配のために刈谷へ向かう藤十郎の命運やいかに! 風雲急の戦国冒険譚がここに始まる。
  • はぐれ十左暗剣殺 弾丸を噛め
    -
    白昼、日本橋で起きた辻斬り。斬った浪人は逃げる途中で斬殺。そして、殺されたのは、鳥見役に鉄砲箪笥同心、歌舞伎役者に商家内儀。彼らに繋がりはなく、事件の真相は一向にわからず、奉行所から、火附盗賊改め方の鏑木十左(かぶらぎじゅうざ)に探索が委ねられた。若手同心たちとともに、地道に探してゆくなか、殺された鉄砲箪笥同心の妻に話を聴きに行くと、それは十左と浅からぬ因縁のある女だった。
  • はなとゆめ
    3.8
    なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのか――。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて……。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説!
  • のたり同心落とし噺 こがねもち
    -
    名同心の父をもつ植草平助は、もらい泣きをするほど人が良いが、立身出世に興味なく、とにかく厄介事は御免蒙りたい、一風変わった定町廻りの見習い同心。なんとしても手柄を立てさせ、ゆるい主人を小馬鹿にする同僚どもを見返したいと機をうかがう小者の佐吉におだてられつつ、今日も市中見廻りならぬ、寄席廻りに精を出す。そんなふたりに、ある日とうとう不思議な殺しが降りかかり……。滑稽捕物帖。
  • しばられ同心御免帖
    -
    町娘の憧れ、定町廻まわり同心・真十郎は「しばられさま」と呼ばれる超絶美男。冴えない忍法を駆使(?)する、自称「べっぴん改め方」の手下・久吉とともに江戸の平和を守るため、今日もアッと驚く方法で悪をお縄に! 真十郎にベタぼれで「白無垢を持ちなさい!」が決め台詞の女武芸者ゆきわ、火盗改・佐渡谷平八郎&町奉行・根岸鎮衛(やすもり)のドSコンビ、お色気女盗賊お美弥ら、あぶないキャラ勢揃い!掟破りの悶絶時代活劇。
  • 密封 奥右筆秘帳(一)
    3.6
    立花併右衛門は江戸城の書類決裁に関わる奥右筆組頭。権勢を誇った田沼意次の孫意明の死亡届を見て、12年前の田沼意知刃傷事件に疑念をはさむ。その帰路、何者かの襲撃を受け、隣家の次男柊衛悟を護衛につけるも、2人はすでに幕政の闇の渦中にあった。読み応え抜群、気鋭の新シリーズ開幕。2009年この書き下ろし時代小説がすごい! 第1位。(講談社文庫)
  • 待ってる 橘屋草子
    3.3
    「藪入りには帰っておいで。待ってるからね」母の言葉を胸に刻み、料理茶屋「橘屋」へ奉公に出たおふく。下働きを始めたおふくを、仲居頭のお多代は厳しく躾ける。涙を堪えながら立ち働く少女の内には、幼馴染の正次(しょうじ)にかけられたある言葉があったが――。江戸深川に生きる庶民の哀しみと矜持を描いた人情絵巻。
  • 嶽神列伝 逆渡り
    4.3
    あの山桜の下で妻の墓を守りながら最期の時を迎えよう。構ってやれなかった償いとして――。武田・上杉が熾烈な戦いを繰り広げる上信越。<老渡り>月草は殺戮の山野に独り、妻との約束の地へ向かう。待ち受けるのは思いがけない善意と信じ難い我欲。大人気「嶽神」シリーズ中、屈指の感動作。『逆渡り』改題。
  • くじにてさうらふ 公事宿初音代語り
    -
    元川越藩士の叶柳一郎は旅の途中で喜兵衛という老人の危難を救った。江戸に出た柳一郎は、剣術道場の開業資金二十両を預けた紙問屋の手代・平吉を訪ねるが、行方が知れない。困った柳一郎は、喜兵衛の営む公事宿を訪れる。喜兵衛は柳一郎の捜索を手伝い、平吉を見つけ出した。ところが平吉は、柳一郎から預かった金を、病気の母の薬代に使い込んでしまっており……。剣でなく弁論で、弱きを助け、悪を懲らしめる。江戸の弁護士・公事師物語。
  • 採薬使佐平次
    4.0
    大川で惨死体が上がった。吉宗配下の御庭番にして、採薬使の佐平次は探索を命じられる。その死体が握りしめていたのは、昇降図。一方、西の方でも蝗害の被害が報告されており……亨保の大飢饉の謎に迫る!!
  • 特命 残酷な月
    3.0
    南町奉行の根岸肥前守鎮衛(やすもり)から、江戸で起きる兇悪な犯科を隠密裡に取り締まるべく、特命を受けた同心の帰山貴三郎と深草新吾。その活躍を知った老中から、北陸の小藩で起きている不審な動きを探るように命令が下った。探索の補佐をする小りんと丑松とともに潜入した彼らは、私欲のために藩政を牛耳り、幼君を幽閉した家老の悪逆を知る。策謀渦巻く城下に、特命同心たちの正義の剣が閃く!
  • 新装版 北斗の人(上)
    4.3
    私の志は、剣を磨くだけではなく、一流を興すこと。北辰一刀流を興すには他流と優劣を競い打ち負かした上で、他流よりも優れているという世評を確立しなければならない――。江戸末期、最強の剣豪といわれた千葉周作が、若き日の野望を現実のものとするまでの修行、戦い、心理を克明に描く傑作時代長編。
  • 新装版 播磨灘物語(1)
    3.6
    黒田官兵衛。戦国時代末期の異才。牢人の子に生まれながらも、22歳にして播州・小寺藩の一番家老になる。だが、「この程度の小天地であくせくして自分は生涯をおわるのか」という倦怠があった。欲のうすい官兵衛だが、「広い世界へ出て、才略ひとつで天下いじりがしてみたい」という気持ちは強かった。
  • 天佑なり 上 高橋是清・百年前の日本国債
    4.0
    足軽の家に養子となった少年、のちの高橋是清は、英語を学び、渡米。奴隷として売られる体験もしつつ、帰国後は官・民を問わず様々な職に就く。生来の勉強家は、現場経験を積んだことで不世出の銀行家へと成長する。
  • 一路 (上)
    4.3
    失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!
  • 梟の裂く闇
    4.0
    十二年前、肥後の村で記憶を喪い、村人に助けられた谷五郎。妻女と子に恵まれ、平穏な一生を送る筈だった。だが、村に兵が押し寄せた時から、彼の運命が、大きく変わりはじめる──。書き下ろし時代長篇。
  • 特命 身代金
    -
    南町奉行でありながら、随筆集『耳袋』などを著し、文人としても有名な根岸肥前守鎮衛(やすもり)。彼は江戸府内の捕縛率が上がらないのを憂慮していた。そこで奉行所内でも、特に一騎当千の強者(つわもの)二人を選び、兇悪な犯科の検挙に当たらせている。ある日、屋台の燗酒屋を営むお島の娘千代が拐(かどわ)かされた。犯人は、お島にではなく、なんの縁(ゆかり)もない当代きっての千両役者嵐菊之丞に千両を払えと言ってきた……。
  • 牢獄の花嫁
    3.0
    息子の郁次郎と許嫁の花世とともに、余生を送るのを楽しみにしていた元名与力・塙江漢。増上寺で見つかった女の死骸の犯人に、郁次郎が犯人にされてしまう。息子の無実を暴くため、江漢が黒幕に立ち向かう。
  • 鹿鳴館盗撮 剣豪写真師・志村悠之介
    4.3
    写真師で元幕臣の志村悠之介は、幼なじみの百合子と再会する。彼女は子爵の未人となり鹿鳴館の華といわれていた。逢瀬を重ねる二人は鹿鳴館と外交にまつわる陰謀に巻き込まれ……。大好評"盗撮"シリーズ!
  • レトロ・ロマンサー 壱 はつこい写楽
    3.0
    テレビ局のカメラマン助手・桃井初音が撮影素材の浮世絵に触れた途端、彼女の魂だけが江戸時代に飛ばされてしまう。気づけば初音の心は町娘・はつの体の中。「ふたり」はそこでしあの写楽に出会うが……。 ※本書は二〇一二年九月に小社より単行本として刊行された『はつこひ写楽』を加筆・修正・改題の上、文庫化したものが底本です。
  • 留守居役日々暦
    4.0
    武家に生まれながら、商家に養子に出された高田兵衛は、幸せな日々を送っていた。だが、兄が病死し、兵衛は高田家を継ぐことに。商人として育てられた留守居役が、優しき心と秘めた剣才で難事を解きほぐす。
  • 天女湯おれん 春色恋ぐるい
    4.0
    人気戯作者のストーカーとなってしまった後家の恋煩いを治したり、義理の父親から虐待を受けていた娘を救ったり。はたまた、湯屋の中に拵えた知られちゃまずい男女密通の隠し部屋に忍び込まれたり。天女湯の女将おれんは、今日も大忙し。そんな、おれんにも久しぶりの恋の予感が。艶と人情の七編を収録。
  • 春疾風 見届け人秋月伊織事件帖
    4.3
    市井の噂話から千代田のお城の秘密まで。硬軟とりまぜた事件の顛末を情報として商っている「だるま屋」の秋月伊織は、関所を破って江戸に入った女のその後を調べるため、岡場所へ向かった。苦界に生きる女の矜恃と、思いもよらぬ大事とは? 心に迫る表題作他4編、人気沸騰の文庫書下ろしシリーズ第2弾。(講談社文庫)
  • 通りゃんせ
    3.6
    25歳のサラリーマン・大森連は小仏峠の滝で気を失い、天明6年の武蔵国青畑村にタイムスリップ。驚きつつも懸命に生き抜こうとする連と村人たちを飢饉が襲い……時代を超えた感動の歴史長編!
  • 人情武士道
    3.5
    御用人の佐藤欽之助は、妻を通して琴の稽古友達だった女から、夫の仕官の世話を頼まれる。その女が、かつて縁談を申し込んで断られた和枝であることを知った欽之助は、思いがけない行動で依頼を果たす……。著者の鋭い人間観察眼を際立たせている表題作の他に、後年の“職人もの”の先駆をなす「しぐれ傘」や“滑稽もの”の「竜と虎」など、初期の傑作12編を収める。

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  • 真田騒動―恩田木工―
    4.0
    信州松代藩――五代目・真田信安のもと、政治の実権を握り放縦な生活に走った原八郎五郎を倒し、窮乏の極にある藩の財政改革に尽力した恩田木工を描く表題作。関ケ原の戦い以来、父昌幸、弟幸村と敵対する宿命を担った真田信幸の生き方を探る『信濃大名記』。ほかに直木賞受賞作『錯乱』など、大河小説『真田太平記』の先駆を成し、著者の小説世界の本質を示す“真田もの”5編を収録。
  • 決闘の辻
    4.3
    死を賭して得た剣名、生を捨てて得た剣技、何人にも負けるわけにはいかない――。宮本武蔵の最後の戦い、神子上典膳の師の後継を争う決闘。柳生但馬守宗矩の野心のための斬り合い。諸岡一羽斎、愛洲移香斎など、歴史に名を残す名剣客の決闘シーンを、剣の一振り、刃光の閃きまでもリアルに描く剣客小説。
  • 薩南示現流
    4.2
    幕末京都の地で、勇猛とおそれられた示現流は、開祖・東郷重位が16世紀末、薩摩の地に定着樹立させた。京の禅院天寧寺で僧侶善吉の教えを受け、研鑽を積んだ重位の峻烈な生きざまを描いた表題作のほか、示現流達人たちの鋭き太刀風を現代に伝える剣豪小説集。「不敗の剣法・示現流」のすべて、ここにあり。 解説・武蔵野次郎
  • お庭番吹雪算長 上
    3.0
    服部半蔵の命を受け東海道を行く伊賀忍者・吹雪算長のすさまじき任務! 開幕直後。江戸は大都市建設の景気に沸きかえるも、いまだ整わぬ街には盗賊たちも跋扈していた。 治安維持にあたる伊賀二百人組の吹雪算長は、次々と襲いかかる強大な敵との闘いに明け暮れる。 もと北条家臣の鳶沢甚内、関八州を牛耳る風摩小太郎、そして脇差で頭蓋骨をも打ち破る坂崎出羽守。津本陽が描く、迫力の伝奇長編!
  • 肝っ玉かあさん
    3.6
    昭和ホームドラマの原点・復刊! 東京・原宿にある蕎麦屋「大正庵」の女主人・大正五三子は、太っ腹で、世話好きで、涙もろいお人好し。 くわえて体重もずっしり横綱級で、ひと呼んで「肝っ玉かあさん」。 この原宿の三大名物の一つともいわれる「肝っ玉かあさん」を主人公に、大正庵をめぐる人間模様を軽妙に描きつつ、ほろりとくる作品。 1968年4月から1972年1月まで全117回、3シリーズにわたって放送されたテレビドラマ「肝っ玉かあさん」。 視聴率30%を誇り、その後「ありがとう」へと続く人気路線の先駆けとなった。 その脚本を担当した平岩弓枝が、ドラマを小説に書き直したのではなく、同じテーマで作者の思いを込めて小説にした。 それが本書、『肝っ玉かあさん』である。 巻末の「四十六年後のあとがき」に、ドラマ「肝っ玉かあさん」役の京塚昌子との思い出が綴られている。 【目次】 序章 雨の日曜日 幼馴染 三三子の縁談 夫婦 邪魔っけ 夏の日 運動会 女盛り ちいさな秋 あとがき 四十六年後のあとがき
  • ヤタガラスの正体
    3.0
    サッカー日本代表のシンボルマークであり、神武天皇をヤマトに導いた伝説の“ヤタガラス(八咫烏)"。日本国を裏支配してきた世界最古の秘密結社としても謎が深い。人気歴史作家が『日本書紀』を読み解きながら、神の使いとして象徴的なヤタガラスと日本の神話の謎を解き明かす。

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  • 樽屋三四郎 言上帳  男ッ晴れ
    4.0
    江戸開府以来の特権町人「町年寄」樽屋の新当主は、23歳の熱血漢・三四郎。時の将軍・吉宗から「百眼(ひゃくまなこ)をよろしく頼む」と謎の言葉をかけられたが──。奉行所の目が届かない庶民の事情をすくい上げ、事件の予兆を捉えつつ智恵と人情で問題を解決。時には権力に逆らいながらも江戸の町の安泰を図る三四郎の活躍を描く、書き下ろし時代小説新シリーズ第1弾!
  • 信長の血脈
    3.9
    『信長の棺』著者、渾身の文庫オリジナル 信長の守役・平手政秀自害の真の原因は? 秀頼は淀殿の不倫で生まれた子か? 島原の乱の黒幕は? スリリングな歴史ミステリー。
  • 一刀斎夢録 上
    4.0
    「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」――最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長・斎藤一(さいとう・はじめ)。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ。『壬生義士伝(みぶぎしでん)』『輪違屋糸里(わちがいやいとさと)』に続く、浅田版「新選組」3部作完結篇!
  • 武田信玄 風の巻
    4.1
    狂乱の振る舞いで、民に怨嗟の声をあげさせていた父・武田信虎は、次男の信繁を盲愛するあまり長男・晴信(=信玄)を露骨に疎んじていた。信玄は命の危険を感じ、苦悩の末、父を駿河の国に追放する。甲斐の国の主となり、信濃の国に怒濤の進撃をはじめた信玄は、諏訪頼重を幽閉し、小笠原長時を塩尻峠に破り、さらに村上義清を砥石城に攻略する。いつか京都に上ろうと野望を燃やしながら…。圧倒的なスケールと説得力ある取材で武田信玄の生涯を描く歴史小説、第1巻。
  • あかね空
    3.9
    希望を胸に、身一つで京都から江戸へくだった豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉と、それを支えるおふみはやがて夫婦となった。固く大きい江戸の豆腐と、やわらかで小さい京風の豆腐。好みの違いに悩みながらも、二人で精を出し、周囲に助けられ、ついに表通りに店を構える。その一方、家族にはだんだん気持ちのすれ違いが大きくなっていた。商売を引き継いだ三人の子らまで、豆腐屋二代の機微を描いた、第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。
  • 青不動 風烈廻り与力・青柳剣一郎[26] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    5.0
    「夫は自ら死んだのではない」自殺とされた札差の妻おとよは確信していたが、証拠がない。話を聞いた青柳剣一郎は調べを進め、死の直前に御家人と不審な大金の取引があったことを掴む。すると、探索を阻むよう、次々と刺客が姿を現した。この執拗さは一体…戸惑いながらも、真実に迫る剣一郎。だが、敵は予想外の奇策に打って出る。シリーズ第26作、衝撃の結末。
  • 黒猿 風烈廻り与力・青柳剣一郎[25] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    神田岩本町一帯が燃えた。火元は古着屋の増田屋。店の金を盗んだ容疑で捕らえられた下男伝助が解き放たれた夜の出来事だった。火盗改めが火付け犯として伝助捕縛に向かうなか、当日その姿を見かけた青柳剣一郎は伝助が犯人ではないと確信する。ところが、伝助はその日から姿を消していたのだった…やがて紅蓮の炎に隠された陰謀を、剣一郎が快刀乱麻に暴き出す!

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