歴史・時代小説 - 光文社作品一覧

  • 巨鯨の海
    4.0
    江戸時代、紀伊半島の漁村・太地に、世界でもまれな漁法「組織捕鯨」を確立した人々がいた。磨かれた技を繰り出し、集団で鯨に立ち向かう「鯨組」は、仲間との強い絆と厳しい掟により繁栄を極めた。命を削る凄絶な戦いゆえに、鯨にも畏怖の念をもって立ち向かう彼ら。江戸末期から明治へ、共同体の熱狂の季節と終焉を躍動感溢れる筆致で描く、全6編の一大クロニクル! 「山田風太郎賞」「高校生直木賞」受賞作!
  • 花のお江戸は闇となる~真説・徳川実紀~
    4.0
    生類憐(しょうるいあわれ)みの令で民を苦しめ続けた五代将軍・綱吉。江戸は地獄と化し、人々は“花のお江戸は闇となる”と歌った。後に六代将軍・家宣となる綱豊は、将軍の座を巡る争いの波にもまれて育った。千姫(せんひめ)の遺愛を受け、新井白石の知を学び成長した綱豊は、やがて思慮深い人物に。ついには“正徳(しょうとく)のご治世”と呼ばれる善政の花を咲かせる。「理想の政(まつりごと)とは」を問う傑作!
  • 青い目の旗本 ジョゼフ按針(一)~衣笠の姫~
    4.0
    徳川家康が重用したイギリス人三浦按針(ウイリアム・アダムス)を父に、日本人を母にもつ三浦ジョゼフ按針。父亡き後、旗本の地位と領地、朱印状を継いだ。ある日、嵐により持ち船が難破、三浦半島に漂着したジョゼフは、その地を治める衣笠藩のお家騒動に巻き込まれる。背後にはジョゼフを追い落とそうとする老中の陰謀が……。破天荒な旗本の活躍を圧倒的スケールで描く、新たなる時代活劇!
  • 覇王の贄
    4.0
    「一対一での勝負で此奴を殺せる者を連れて来い」。覇王・織田信長が拾った、最強の剣客。誰にも負けない。殺すまでやめない。その男を、殺せという。秀吉、長秀、勝家、利家、嘉隆、そして光秀。命を受けた信長麾下の名将たちが、次々と刺客を差し向けるが……。圧倒的な強さを持ち、馴れ合うことを拒絶する、血に飢えた化け物。信長が惚れ込んだこの男・新免無二斎に、死角はないように見えた――。ド迫力の格闘時代小説!
  • 応仁秘譚抄
    4.0
    時は室町。足利幕府の体制は、大名家の権力争いで大きく揺らいでいた。8代将軍義政は、弟の義尋を次期将軍に指名するが、義政の妻・富子に長男が誕生し、後継者問題が勃発。有力大名を巻き込み、武力抗争へと発展する。敵と味方が相乱れ、京の町を焼き尽くした「応仁の乱」。11年続いた乱の真相を、義政、富子など、当時の重要人物の視点でスリリングに描く。
  • おくうたま
    4.0
    信長によって小谷城が攻められ、浅井家は滅ぼされた。長政の庶子である喜十郎は京に逃げ落ち、疵医師の田代瑞石に預けられる。お家再興を目指す喜十郎に、織田の捕り手が迫る! 瑞石は、京を出て羽柴の軍勢に医師として加わった。瑞石の弟子として身分を隠す喜十郎だが、その正体に気づかれ……。医師としての修行に耐えながら、喜十郎は宿願を果たせるのか!?
  • 薩摩スチューデント、西へ
    4.0
    坂本龍馬が西郷隆盛と歴史的対面を果たしていた幕末、若き侍たちが荒れ狂う波濤の海を命をかけて渡った。薩摩藩の命で西を目指したのは俊英15人と秘密使節4人の19人。海外列強の前に日本の将来を按じた薩摩藩は、新しい時代を担う者を育てるべく彼らを海外に派遣した。海外渡航禁止の時代、まさにその行為は命がけであった。著者渾身の傑作感動巨編。
  • 再問役事件帳~江戸の冤罪専門捜査官~
    4.0
    時は徳川10代将軍家治の治世。老中筆頭の田沼意次は、杜撰な犯罪捜査や事件の揉み消しが多発する現状を憂え、新たな役職を設置した。“冤罪”の疑いのある事件を再調査する〈再問役〉である。任に選ばれたのは中堅旗本の隠居・不破源兵衛と、御家人崩れの川野参九郎。町役人の圧力にもめげず、頑固老人と軟弱浪人の二人組が、正義のため事件の裏にある真実を暴く!
  • はむ・はたる
    4.0
    掏摸やかっぱらいで食いつなぐ暮らしを改めて、まっとうな商売を始めた、勝平をはじめとする15人の孤児たち。彼らは周囲の小さな事件を解決しながら、自分たちの居場所を拓こうとする。厳しくも温かい長谷部家の人々や、口の悪い金貸しお吟らの助けも借りながら、子供たちは事件解決に奮闘する。笑いと涙が交錯する傑作!
  • 契り桜~風太郎江戸事件帖~
    4.0
    本所深川へやって来て一年。風魔一族の跡取り・風太郎も、下っ引きの仕事が板についてきた。お互い憎からず思う綾乃という娘もいる。そんなある日、風魔の抜け忍がなじみの飯屋で働き始めたのを知る。近ごろ江戸を騒がせる数々の事件は、奴の仕業なのか? 忍術を封印した風太郎におそろしい罠が迫る――。いくつもの恋が咲き、時に散る、心に沁みる江戸人情捕物帖。
  • ちゃらぽこ 真っ暗町の妖怪長屋
    4.0
    本所業平橋(ほんじょなりひらばし)の外れの外れ。場末の中の場末の町に、一軒のボロ長屋があった。住人たちは一見普通の町人だが、一皮剥(ひとかわむ)けば、くせ者揃いの妖怪ばかり。そんな長屋に、ひょんなことから、旗本の次男坊・荻野新次郎(おぎのしんじろう)が住むことになった。一本気な性格が災いして職を失い、親から勘当された身なのだ。居合の達人・新次郎と気のいい妖怪たちが悪に立ち向かう、痛快時代活劇!
  • つばめや仙次 ふしぎ瓦版
    4.0
    本所深川(ほんじょふかがわ)の薬種(やくしゅ)問屋つばめやの次男坊・仙次は、店にも出ず遊び暮らす極楽とんぼ。怪しげな事件に首をつっこんでは、瓦版にして売り歩く変わり者だ。そんな仙次のもとに「死人を蘇らせる拝み屋がいる」というネタが飛びこむ。さえない小男で、そんな力があるとは思えないのだが……。真相を探る仙次と幼馴染みの剣士・梶之進(かじのしん)は、とんでもない事件に巻きこまれてゆく!
  • 天下を善くす~御算用始末日記~
    4.0
    尊皇攘夷の風が吹く幕末。武士たちは生活の拠り所を失いつつあった。かつて、幕府御算用者として諸藩を救った生田数之進と盟友の早乙女一角。二人は、13代将軍家定御台所の天璋院篤姫から葵の御紋が記された手札を託された。徳川の時代が終わろうとする混迷の江戸で、再び彼らが「千両智恵」を駆使し、武士に生き方を指南する。「御算用日記」シリーズ新展開。
  • 元禄絵巻
    4.0
    吉良邸討入りを前に、赤穂浪士・磯谷十郎左衛門の心は揺れていた。小間物問屋の美しい若後家・お弓への思慕。運命の日、十郎左衛門はひとり、お弓の家の前に立った。永の別れを告げるため。討入りの刻限が迫っていた……。(「浪士慕情」)浅野匠頭刃傷の真相、生類憐憫令の悲喜劇、寵臣・柳沢吉保の思惑など、繚乱の時代・元禄を流麗に描いた傑作時代絵巻!
  • 燈 台 鬼
    4.0
    遣唐副使として唐に渡ったまま行方不明となった父・石根(いわね)を求め、道麻呂(みちまろ)はかの地へ赴いた。二十数年の歳月を経て、ようやく出会った父は、あまりにもおぞましい姿に変わり果て……。 直木賞受賞の表題作のほか、オール新人杯第一回受賞作「子守りの殿」、異色作「水妖記」など初期の作品六編を収録。直木賞受賞までの歴史小説をすべて網羅した、巨匠の原点!
  • 闇の龍馬
    4.0
    慶応3年(1867)11月15日。坂本龍馬、凶刃に倒れる! 幕末維新の立て役者ゆえに、幕府が、紀州藩が、さらに驚愕の大物が龍馬を狙う。彼の死で歴史を変えたのは誰だったのか? 恐るべき〃闇〃の指令者とは――。 歴史の暗部に消え去ろうとする真実に、「海援隊」で行動をともにした陸奥宗光が迫る! 大胆かつ緻密な推理。そして戦慄の真相。「闇シリーズ」第2弾!
  • 闇の本能寺~信長殺し、光秀にあらず~
    4.0
    〃信長殺しは光秀ではない。歴史に隠された闇の人物がいた!〃 殺戮と破壊を繰り返し、「天魔」と呼ばれた信長は、憎悪と恐怖の対象だった。そして、比叡山焼き討ちを機に、信長殺害を目指してついに闇の人物が動いた。 信長の死を望む大物は多いが、謀略と密計の渦巻く信長殺しの真相に、読者(あなた)は戦慄するにちがいない……。歴史推理に著者独自の新境地を拓いた、渾身の力作。
  • 馳けろ雑兵
    4.0
    桶狭間――織田信長の運命を拓いた大戦(おおいくさ)は、麾下の雑兵の運命をも変えた。蛭間兵八は運よく手柄を立て、合戦のさなかに出会った女を娶る。ひたすら馳け、泥にまみれ、そして、女を抱く……。信長はじめ、名だたる武将のもと、合戦に明け暮れながら、兵八は激動の戦国時代を生き抜いていく。一兵卒の視点から描いた異色の戦国時代小説!(『馳けろ雑兵―御先祖様功名記―』改題)
  • 秀頼、西へ
    4.0
    戦国末期。天下を手中にしようとしていた徳川家康は、大坂城に配下の者を忍び込ませた。一方、真田大助は、父・幸村より、落城の際には秀頼を連れ出し落ち延びよ、という密命を受ける。目指すは薩摩、島津家の元。燃えさかる大坂城を脱出した一行は西へ――。誰が味方で誰が敵なのか? 行く手には、想像を絶する謀略が待ち受けていた! 迫真の傑作時代ミステリー!(『落ちた花は西へ奔れ』改題)
  • 電光剣の疾風(かぜ)
    4.0
    大身旗本である本多家の嫡男として生を受けた誠四郎(せいしろう)だが、いまは根津権現(ねづごんげん)の裏店(うらだな)で気ままな町場暮らし。門前の辻番所を預かる老爺・留蔵(とめぞう)への依頼が誠四郎の耳に入った。江戸市中を騒がす義賊・鼠小僧が再来し、水戸藩邸に犯行予告を送りつけてきたというのだ。(鼠小僧異聞)一本気な正義漢・誠四郎が留蔵、浪人・伊織(いおり)と手を携えて悪を討つ、好評連作短篇シリーズ。
  • 哀斬(あいざん)の剣
    4.0
    根津権現の辻番所に集う、悪を許さぬ漢(おとこ)たち、留蔵、田部伊織、辻風弥十郎。記憶を取り戻しつつある弥十郎に過去からの討手(うって)が追いすがる。御先手組(おさきてぐみ)の旗本、闇の武士団、野望を抱く同心……。弥十郎を軸に卍巴の鍔迫(つばぜ)り合い、大江戸八百八町を血に染める大殺陣(おおだて)の幕が斬って落とされた!(大殺陣・八百八町)朋友(とも)を想い、単身斬り込む弥十郎の運命は!?
  • 辻風(つじかぜ)の剣
    4.0
    江戸・根津権現の辻番所を預かる老爺・留蔵と、辻謡曲を生業(なりわい)とする浪人・田部伊織には知られざる裏の貌(かお)がある。庶民を傷めつける悪党をひそかに始末しているのだ。伊織が救(たす)けた刀傷を負った若侍も、辻番所に居ついていた。友を心中に追い込んだ同心に、決死の覚悟で仕掛ける伊織。そこに一陣の風が!(表題作)。武芸を嗜(たしな)む著者が描く、迫真の剣戟(けんげき)と人の絆。時代中編集!
  • 松平長七郎旅日記~江戸・山陽編~
    4.0
    三代将軍家光の甥ながら、長七郎は無位無官の気まま者。折りから都で琉球の美姫刈女(びきかりめ)と出会い、姫が亡き父から受け継いだ莫大な財宝をめぐる怪事件に捲(ま)き込まれ、正義の刃(やいば)を揮(ふる)う(「白妖鬼」より)。痛快無比の道中記。
  • 青嵐(あおあらし)吹く~御算用日記~
    4.0
    元加賀(かが)藩士の生田数之進(いくたかずのしん)は、風体(ふうてい)は冴えないが、勘定方(かんじょうがた)として頭抜けた才覚を持つ青年。しかし、姉たちがつくった多額の借金のために、幕府御算用者となる羽目に。つきまとう怪しい影、次々に起こる不可解な出来事。風が運ぶのは、だれの声なのか。そして、諸藩改革の裏に隠された真実とは? お取り潰しか繁栄か、結末は妙案次第!? 著者渾身の長編時代小説、登場!
  • 影の大老(上)
    4.0
    流浪の国学者長野主膳は、彦根城内の埋木舎(うもれぎのや)に不遇の日々を送る井伊直弼と知り合い、肝胆相照らす。やがて家督を相続した直弼は、幕府の期待を担って大老に就任。主膳は、その〃懐刀(ふところがたな)〃となる。長編歴史小説。
  • 伊達政宗(四)
    4.0
    切支丹禁止令の噂が広まるなか、越後少将忠輝の執政大久保長安が企んだ大陰謀。ついに最後の荒療治・大坂城攻めを決意する大御所家康。〃天下取り〃の好機到来とみた政宗は、江戸の伊達屋敷にあって策をこらす。
  • 夜叉桜
    4.0
    江戸の町で女が次々と殺された。北定町廻(きたじょうまちまわ)り同心の木暮信次郎(こぐれしんじろう)は、被害者が挿していた簪(かんざし)が小間物問屋主人・清之介の「遠野屋」で売られていたことを知る。因縁ある二人が再び交差したとき、事件の真相とともに女たちの哀しすぎる過去が浮かび上がった。生きることの辛さ、人間の怖ろしさと同時に、人の深い愛を『バッテリー』の著者が満を持して描いたシリーズ第2作。
  • 半七捕物帳(一)
    4.0
    岡っ引上がりの半七老人が、若い新聞記者を相手に昔話を語る。十九のとき、『石燈籠』事件で初手柄をあげ以後、二十六年間の岡っ引家業での数々の功名談を江戸の世態・風俗を織りまぜて描く捕物帳の元祖!(全六巻)
  • 舞う百日紅~上絵師 律の似面絵帖~
    3.9
    父の跡を継ぎ、上絵師として身を立てたい律だが、ままならず落ち込むことも多い。幼馴染みの涼太への想いも、深く胸に秘めるばかりだ。しかし副業の似面絵の評判は上々で、引きも切らず注文が舞い込んでいた。そんな折、母を殺めた辻斬りの似面絵そっくりな男に出会うのだが――。仕事に恋にひたむきに生きる女職人の姿を鮮やかに描く、待望のシリーズ第二弾。
  • 落ちぬ椿~上絵師 律の似面絵帖~
    3.9
    辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り……。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく! 恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。
  • 東雲(しののめ)の途(みち)
    3.9
    橋の下で見つかった男の屍体の中から瑠璃が見つかった。探索を始めた定町廻り同心の木暮信次郎は、小間物問屋の遠野屋清之介が何かを握っているとにらむ。そして、清之介は自らの過去と向き合うため、岡っ引きの伊佐治と遠き西の生国へ。そこで彼らを待っていたものは……。著者がシリーズ史上ないほど壮大なスケールで描く「生と死」。超絶の「弥勒」シリーズ第4弾。
  • 萩供養~ゴミソの鐵次 調伏覚書~
    3.9
    《萬相談申し受け候》湯島の裏店にかかる看板。ゴミソの鐵次が住む貧乏長屋だ。ゴミソとは、津軽言葉で占い師のことを言うが、持ち込まれる相談は、亡魂の障りや憑物祓いが多かった。長身に長羽織、手には独鈷杵。人に仇なす亡魂を祓いつつ、かれらの悲しみや無念を背負ってやるのだ。江戸を舞台に、北の陰陽師・鐵次が魅せる妖かし調伏、痛快時代小説シリーズ第一弾!
  • 城を噛ませた男
    3.9
    「奴に城を取らせる。そして俺は国を取る。」乱世に雄飛するため、希代(きたい)の謀略家・真田昌幸(さなだまさゆき)が仕組んだ秘策とは?(表題作) 強大な豊臣水軍を前に、城に籠もる鯨取りの親方が仕掛けた驚愕の大反撃!(「鯨のくる城」) 戦国の世、大勢力がぶつかる狭間で、ある者は平身低頭し、ある者は乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に出る。生き残りをかけ、なりふり構わず戦う人間を熱く描いた渾身作全5編!
  • 花を呑む
    3.8
    「きやぁぁっ」老舗の油問屋で悲鳴が上がる。大店で知られる東海屋の主が変死した。内儀は、夫の口から牡丹の花弁が零れているのを見て失神し、女中と手代は幽霊を見たと証言した。北町奉行所の切れ者同心、木暮信次郎は探索を始めるが、事件はまたも“仇敵”遠野屋清之介に繋がっていく……。肌を焦がす緊張感が全編に溢れる、人気シリーズ待望の第七弾。
  • 地に巣くう
    3.8
    北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎が腹を刺された。信次郎から手札を預かる岡っ引の伊佐治、信次郎と旧知の小間物問屋・遠野屋清之介に衝撃が走る。襲った男は遺体で大川に上がる。背後で糸を引く黒幕は何者なのか。深まる謎のなかで見えてきたのは、信次郎の父親・右衛門の衝撃の「過去」だった――。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、衝撃の第六弾!
  • 包丁浪人
    3.8
    旗本の三男から一転、一介の浪人となった刀根新三郎(とねしんざぶろう)。長屋の連中からも慕われ、侍には珍しく料理の腕もある新三郎のところへ、さまざまな人間が相談にくる。奉公先の金子(きんす)を盗んだとされる手代、仇討(かたきう)ちの武士……。持ち込まれる難題を料理と剣で見事に解決。河豚、湯奴、蕎麦、鴨鍋など垂涎(すいぜん)の料理が満載。風情あり、情あり、そして食欲をそそる新シリーズ第1弾。
  • 太閤暗殺
    3.8
    ようやく授(さず)かった我が子・お拾(ひろい)にすべてを譲(ゆず)り渡したい……太閤秀吉は、実の甥である関白・秀次を疎(うと)ましく思い始めていた。危機感を抱いた秀次の側近・木村常陸介(きむらひたちのすけ)は、大盗賊・石川五右衛門に太閤の暗殺を依頼した! 迎え撃つ石田三成と前田玄以の秘策とは? 本格時代小説にして本格ミステリー。戦慄のラストに驚愕必至の、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作!
  • ぬり壁のむすめ~九十九字ふしぎ屋 商い中~
    3.7
    あたしって、ついてない。三つ目の働き口をなくし、るいは途方に暮れていた。母を早くに亡くし、左官をしていた父もぽっくり逝き、天涯孤独の身だ。その死んだはずの父が困りものなのだが……。ふと入った路地で見つけた「働き手を求む」の貼り紙――。この世ならぬ者が見える少女が、ちょっと迷惑な父とともに、人助けならぬ亡者助けに奔走する! 痛快時代小説。
  • 伊達政宗(三)
    3.7
    太閤秀吉の死後、次期政権の座をめぐって天下はふたたび動乱の様相を呈し、ついに石田三成と徳川家康が関ケ原で激突した。遠く奥羽の地にあって上杉勢と対峙しながら、その勝敗の帰趨を隻眼で睨む政宗!
  • 伊達政宗(一)
    3.7
    戦乱の嵐が吹きすさぶ永禄十年、名流伊達家に奥羽の歴史を変える男児が誕生した。名を“梵天丸”。後年、“独眼竜”の異名で恐れられた乱世の英雄、正宗の青春と天下取りへの野望を描いた長編歴史小説全六巻!
  • 剣客船頭
    3.7
    夜闇に包まれた油屋を2人の浪人が襲った。金を渋った亭主を無情にも殺した賊は、突如入ってきた船頭に斬られた。船頭の名は沢村伝次郎(さわむらでんじろう)。一刀流(いっとうりゅう)の達人で元南町奉行所同心だった。訳あって同心から船頭に転身し穏やかな毎日を送っていたある日、伝次郎の親しい船頭仲間が殺害された。怒りに震える一刀流の鋭い剣が悪に立ち向かう。待望の新シリーズ第1弾!
  • 鯨分限(くじらぶげん)
    3.7
    幕末から明治へ――。捕鯨集団「太地鯨組」の若き棟梁・太地覚吾を、激変する時代の荒波が襲う。外国船の乱獲による鯨の不漁、南海地震による大津波、村を救うため画策した蝦夷地での操業も頓挫する。そして、巨鯨を追うあまりに引き起こされた海難事故「大背美流れ」では、100名以上の生命が奪われる。時代に抗い、度重なる苦境に、何度も立ち向かい続けた男の物語。
  • 巡る桜~上絵師 律の似面絵帖~
    3.7
    池見屋から巾着絵の仕事を減らされ、律は焦りを覚えていた。そんな折、葉茶屋・青陽堂では、商品に古茶が混じったことで、得意客が離れる騒ぎが起こる。商売敵による差し金ではと若旦那の涼太は悔しさを滲ませるのだが……。職人としての誇りをかけた仕事に打ち込みながら、ゆくえ定まらぬ恋に心揺らす律。得意の似面絵が事件解決にも一役買う、人気シリーズ第四弾。
  • 安倍晴明・怪
    3.7
    超人的能力で平安京の政事(まつりごと)まで左右した陰陽師・安倍晴明。時の実力者・藤原道長の邸で盛大なる宴がひらかれた夜のこと。みな、桜梅少将こと藤原敦道の舞いと美貌に見惚れていたが……。ひとり晴明は面妖な気を察知した! 夜な夜な敦道の精気を奪う楓子(ふうこ)姫の正体は!? 紫式部ら歴史上の人物、晴明のライバル蘆屋(あしや)道満、そして魑魅魍魎が京(みやこ)に描く絢爛絵巻!
  • たいがいにせえ
    3.7
    応仁の乱以来、33年も途絶えている祗園御霊会を復活すべく三左衛門は洛中を駆け回っていた。だが、協力を得られた町は半分ほど。さらに幕府と対峙する延暦寺からは横やりが。病に苦しむ孫から「祗園さんのお祭り、連れてって」とせがまれる三左衛門は、悪疫から都を救うための御霊会を復興出来るのか(「祗園祭に連れてって」)。降りかかる無理難題に挑む人々を描いた7つの短編。
  • だいこん
    3.7
    江戸・浅草で一膳飯屋「だいこん」を営むつばきとその家族の物語。腕のいい大工だが、博打好きの父・安治、貧しい暮らしのなかで夫を支える母・みのぶ、二人の妹さくらとかえで――。飯炊きの技と抜きん出た商才を持ったつばきが、温かな家族や周囲の情深い人々の助けを借りながら、困難を乗り越え店とともに成長していく。直木賞作家が贈る下町人情溢れる細腕繁盛記。
  • ひやかし
    3.7
    吉原に身を売られた武士の娘おなつ。我が身の不幸を嘆くばかりで、お茶を挽(ひ)く毎日だったが、あるとき、自分を見つめる浪人がいることに気付く。毎日ただ立ち続けるだけの男のことが気になり、おなつは当てつけるかのように客をとって、売れっ妓へと変わっていく。浪人の真の目当ては!?(「素見(ひやかし)」)もの哀しくも艶(あで)やかに生きる遊女(おんな)たちの矜持(きょうじ)を活き活きと描く全五作。
  • 坊主金~評定所書役・柊左門 裏仕置(一)~
    3.7
    江戸幕府の裁判所である評定所の書役・柊左門。表向きは庶民からの訴状の始末をしているただの役人だが、裏では不採用になった中に見つけた「非道の悪」を裁く「裏仕置人」だ。御数寄屋(おすきや)坊主の道春(どうしゅん)、裏渡世に詳しい音吉(おときち)、そして神道無念流の剣客・加納紳一郎(かのうしんいちろう)も加わり、江戸の世に憚る理不尽な悪を裏で裁く。人気時代小説作家・藤井邦夫の胸のすく新シリーズ第一弾。
  • 夫婦十手
    3.7
    岡っ引き・七五郎(しちごろう)が無惨(むざん)な死骸(むくろ)で見つかった。一人娘のお蝶(ちょう)は仇討を誓うが、下手人は藪(やぶ)の中。父の十手を返しにいったお蝶は、南町奉行所吟味方与力から新たに十手を拝領することになった。夫となった虎三と夫婦で事件の探索に当たっていた折、七五郎惨殺事件の糸口がつかめた。そして浮かび上がった「真相」とは――。本邦初の「夫婦目明し」シリーズ第1弾登場!
  • 石田三成
    3.7
    死の床にある秀吉をめぐって、北政所と淀殿、石田三成と古参の武将たちが激しく対立。慎重に時を待つ家康の巨大な影が、無言の圧力となって人々を脅かす。 知性の人・石田三成の悲劇を描いた長編歴史小説!
  • 影武者
    3.7
    大永(だいえい)四年。毛利本家を継いだ元就は、三人の重臣を前に異母弟・元綱の陰謀を打ち明けた。陰謀には重臣二人が加担し、背後に尼子氏の影がちらつく。元就は領内巡視の際、元綱誅伐(ちゅうばつ)を決行。謀叛人たちは一網打尽となった。十八年後、尼子氏との戦いで死地に追い込まれた元就を救ったのは意外にも……(表題作)。大国の狭間で苦闘する毛利。戦国武将たちの死生観を活写!(『奇謀の島』改題)
  • 弥勒(みろく)の月
    3.7
    小間物問屋・遠野屋(とおのや)の若おかみ・おりんの水死体が発見された。同心・木暮信次郎(こぐれしんじろう)は、妻の検分に立ち会った遠野屋主人・清之助(せいのすけ)の眼差しに違和感を覚える。ただの飛び込み、と思われた事件だったが、清之助に関心を覚えた信次郎は岡っ引・伊佐治(いさじ)とともに、事件を追い始める……。〃闇〃と〃乾き〃しか知らぬ男たちが、救済の先に見たものとは? 哀感溢れる時代小説!
  • つなぐ鞠(まり)~上絵師 律の似面絵帖~
    3.6
    鞠の意匠をあしらった「鞠巾着」が人気となり、安定した仕事をもらえるようになった律。涼太との祝言の日取りも決まり、幸せをかみしめながら、職人の仕事も一生続けていこうと決意するのだった。そんな折、拐かし一味の女の似面絵を頼まれた律は、仕上げた絵に何か引っかかるものを感じて――。恋に仕事に一途に生きる女職人の姿を描く、人気シリーズ第五弾。
  • 雪華燃ゆ~上絵師 律の似面絵帖~
    3.6
    上絵師として、初めて着物を手がけることになった律。粋人として名を馳せる雪永が親しい女に贈るものだ。張り切って下描きを仕上げる律だが、なかなか良い返事がもらえない。そんな中、ある女から金を騙し取ったという男の似面絵を引き受けるのだが――。涼太との恋、仕事への矜恃。心を揺らしながらもひたむきに生きる女職人の姿を描く、人気シリーズ第三弾。
  • いつかの花~日本橋牡丹堂 菓子ばなし~
    3.5
    なんて、きれいでおいしいんだろう。江戸の菓子に魅せられた小萩は、遠戚の日本橋の菓子屋で働き始める。二十一屋――通称「牡丹堂」は家族と職人二人で営む小さな見世だが、菓子の味は折り紙付きだ。不器用だけれど一生懸命な小萩も次第に仕事を覚えていって……。仕事に恋に、ひたむきに生きる少女の一年を描く、切なくて温かい江戸人情小説。シリーズ第一弾!
  • 島津義弘
    3.5
    骨肉相食(こつにくあいは)む戦国の世、島津家は親子兄弟が堅固な団結力をもって、薩摩・大隅・日向、やがては九州全土の征服を目指した。二十歳(はたち)の初陣で大勝した義弘は、輝かしい武名を残すが、関ヶ原の合戦に敗れ、家康陣の前を敵中突破、〃島津の早駈(はやが)け〃で名を挙げ、薩摩藩の繁栄の礎(いしずえ)を築く。南国の猛将の生涯を通して、島津一族の絆(きずな)を描いた長編力作。
  • ようこそ夢屋へ~南蛮おたね夢料理~
    3.5
    安政の大地震からふた月。芝の伊皿子坂に新たなのれんを掛けた見世があった。名前は夢屋。おかみのおたねには、震災で悲しい思いをした人たちを料理で元気づけたい願いがあった。見世の看板は、新鮮な玉子をつかった数々の料理。そして、蘭学者でもあるおたねの夫が仕入れてくる南蛮わたりの食材だ。人々の人情と料理のぬくもりに心いやされる新シリーズ誕生。
  • 忍び狂乱~日暮左近事件帖~
    3.5
    公事宿「巴屋」の出入物吟味人となった、もと秩父忍びの日暮左近。ある日、左近が手裏剣で襲われた。出入物吟味人として狙われたのか、それとも秩父忍びの過去に関わりがあるのか。探ると、かつて秩父忍びの仲間で許婚でもあった陽炎たちも襲われていた。怒る左近を、権力亡者と凋落した忍びたちの暗闘が待ち受けていた。大好評を博したシリーズ待望の続編、第六弾。
  • 将軍家の血筋~日暮左近事件帖~
    3.5
    公事宿「巴屋」の主・彦兵衛は、大身旗本の屋敷の前で、秩父忍びの陽炎に似た女に会う。陽炎とは、出入物吟味人として巴屋で働く日暮左近の元恋人だった。彦兵衛から知らされた左近が調べ始めると、はたして女は陽炎であり、幼な子を警固していた。その背後に、御三卿の当主の座を巡る大きな権力争いが――。大仕掛けの展開にハマる藤井邦夫の代表シリーズ第四巻。(『化粧面 日暮左近事件帖』改題)
  • 正雪の埋蔵金~日暮左近事件帖~
    3.5
    深手を負って公事宿巴屋の主に助けられた一人の男。過去の記憶を失ったその男は日暮左近と名付けられ、助けられた巴屋で出入物吟味人となった。その巴屋に、店を騙し取られたと公事の訴えが持ち込まれた。裏には、幕府転覆を企てた謀叛人・由井正雪が隠した数万両の軍資金の噂が。はたして埋蔵金の在り処は――。藤井邦夫の代表シリーズ、五カ月連続刊行第一弾。(『陽炎斬刃剣 日暮左近事件帖』改題)
  • 晦日の月~六尺文治捕物控~
    3.5
    名代の十手持ち辰三が姿を消したのは昨年暮れ。上方の悪党「名なしの幻造」を追ったまま行方がしれない。縄張りの日本橋をあずかる子分の文治だが、切れ者の親分と比べると頼りにならない。辰三の娘お加代が、御用の向きにも口を挟んでくる。心根の優しい大男と跳ねっ返り娘が智恵を寄せ合い、御用の謎を解き明かす。時代小説の新鋭が情感豊かに描く、傑作捕物帖。
  • 神君の遺品~目付 鷹垣隼人正 裏録(一)~
    3.5
    五代将軍綱吉自らの推挙で目付役となった鷹垣隼人正暁。ある日、一人の書院番が駿府勤番中の悪行で斬首にされ、三人の子息も切腹となった。疑念を抱き調べる暁を謎の浪人が襲うが、義兄・五百旗平太郎の剣が撃退する。将軍の座を巡り、黒鍬、伊賀、甲賀の忍や妖しの僧兵が暗躍。失われた記録はどこに? 綱吉の許しを得て探索する暁は、平太郎を伴い駿府へ……。
  • 一休暗夜行
    3.5
    「ほしみる」を探しだし焼き尽くせ──謎の言葉を遺し足利義満は死去した。放置すれば天下を逆(さか)しまにするという「ほしみる」の正体、そして在り処は? かくして、四代将軍・義持が、母親を人質にしてまで、その探索に遣わしたのは……誰あろう、主人公・一休宗純。だが、さまざまな怪異、苦難が、一休の前途を阻むのであった!──面白さ比類なし。朝松健の自信作!
  • 影の将軍
    3.5
    盟友明智光秀と共に足利義昭の将軍擁立に奔走し、やがて信長の臣下に。戦国の世を生き、傍ら茶道・和歌の世界に独自の境地を切り開き、世に“文芸大名”と称された細川藤孝(幽斎)・忠興父子の数奇な生涯を描く。
  • 六道捌(さば)きの龍~闇の仕置人 無頼控~
    3.5
    板前の佐吉は、裏稼業から足を洗って四年。平穏な日々に倦み始めていた。そんな折、大恩ある人物の娘で、かつて惚れあった仲のおたかに、「稼業にもどってほしい」と頼まれる。闇の仕置人の組織「六道捌き」――その内部に巣くう反逆者たちの粛清に、佐吉の力が必要だというのだ。かくして、伝説の刀役・龍が甦る! 時代小説に新風を吹き込む、大器のデビュー作。
  • 五万両の茶器~新九郎外道剣(一)~
    3.5
    御蔵前片町にある札差・平戸屋の美人娘おきよが攫われた。盗賊・相模の五右衛門たちが5万両といわれる茶器を平戸屋から手に入れるためだった。盗賊からおきよを救った御家人・柴新九郎は、茶器をめぐる壮絶な争いに巻き込まれていく。人を斬るに躊躇なく、女を抱くに見境ない……まさに外道の剣客・新九郎。痛快!書下ろし時代小説シリーズ第1弾。
  • 篝  火
    3.5
    亡き豊太閤の遺志を無視して、着々と自己の勢威を拡大する家康に、真正面から対決を迫る石田三成。天下分け目の関ヶ原を背景に、三成と西軍諸将たちの、それぞれの生きざまを鮮烈に描いた傑作。
  • きりきり舞い
    3.4
    『東海道中膝栗毛』の作者・十返舎一九の娘、舞。酒びたりで奇行ばかりの父、押しかけ弟子の浪人や葛飾北斎の娘であるお栄たち居候に翻弄される日々だった。十八歳だというのに縁談はみな父が壊してしまう。そんな舞を武家の若者、野上市之助が見初めた。今度こそ恋が実るか!? 奇人変人に囲まれた娘が懸命に生きる姿を、ユーモアと人情味たっぷりに描く時代連作集。
  • 陽炎(かげろう)の符牒~日暮左近事件帖~
    3.4
    公事宿「巴屋」の出入物吟味人日暮左近は、かつて秩父忍びの仲間で許嫁だった陽炎から助けを求められる。陽炎のいる下野国宇都宮藩江戸下屋敷に向かった左近だったが、陽炎は戸田家藩主の養子の御守をするなかで怪我を負っていた。陽炎の願いを受けた左近と幼き後継ぎを襲う刺客たち。激闘が始まる――。迫力の剣戟に手に汗握る藤井邦夫の代表シリーズ第五巻。(『修羅活人剣 日暮左近事件帖』改題)
  • 出入物吟味人~日暮左近事件帖~
    3.4
    出入物吟味人として日暮左近が働く公事宿巴屋に鍛金師の文吉が銀の香炉の代金を払ってもらえないと公事訴訟の依頼に来た。しかし、文吉は何者かに殺害されてしまう。それでも文吉の依頼を完遂せんと動く左近の前に、謎の忍びが現れ、背後には醜い権力者同士の争いが――。左近の無明刀が欲に塗れた悪を斬る! 藤井邦夫の代表シリーズ、五カ月連続刊行第二弾。(『無明暗殺剣 日暮左近事件帖』改題)
  • 真田幸村の妻
    3.3
    慶長五年、関ヶ原の戦いで西軍に与した真田昌幸・幸村父子は敗北し、高野山に蟄居となった。幸村に同行する妻・竹姫と子供たち。だが、高野山は女人禁制の地。妻子は夫と別々に暮らさなければならない。帰るべき実家を失った竹姫たちを待ち受けていたのは、過酷な日々であった。――綿密な取材と厖大な史料を駆使し、戦国武将の妻の視点から描いた長編歴史小説!
  • 阿修羅の微笑~日暮左近事件帖~
    3.3
    出入物吟味人として日暮左近が働く公事宿巴屋に、亡き父の借金を返せと迫られているという男が訪れた。巴屋では仕事を引き受けたが、借金の返済を迫っていた男は殺され、依頼人の男は町奉行所に捕まってしまう。男の背景を探る左近の前に現れる謎の刺客。最も強い青い眼の遣い手との死闘の末に左近の運命は――。衝撃の結末が待つ藤井邦夫の代表シリーズ第三巻。(『愛染夢想剣 日暮左近事件帖』改題)
  • 本懐
    3.3
    討ち入りの真の目的は――(「親心腹」大石内蔵助良雄)/わが人生は裏切りの連続だった――(「応報腹」織田信長)/幕府御用絵師、衝撃の切腹(「持替腹」)/大政奉還直後若年寄とになった外様大名の策とは(「漸く腹」堀長門守直虎)/おいがもっと早くに死んでおれば――(「漸く腹」西郷隆盛)/死の間際まで、夢枕にたった亡霊の正体は――(「不切腹」今川義元) “切腹の間際”を時代小説の雄が描き出す傑作短編集。
  • 鳳雛(ほうすう)の夢
    3.3
    幼少時の疱瘡で、化けもののような容姿となった梵天丸。伊達家存続のため、僅か十歳で元服し、伊達藤次郎政宗が誕生した。政宗の醜い右目をくり抜き、初陣へ供したのは腹臣・片倉小十郎景綱。父を人質に取られた屈辱の戦のとき、実母・実弟に毒を盛られたとき、苦難にあった政宗を、慰め、見守り、叱咤したのも常に小十郎だった――。乱れ行く戦国を寵臣との熱き絆で生き切った伊達政宗の生涯を描く感動巨編。
  • からくり東海道
    3.3
    天保十年正月。尾張藩江戸下屋敷で余興を演じた角兵衛獅子のみつと文吉は、屋敷の庭に“宿場町”が造られているのを見た。十年後、文吉は、小田原宿でたかと名を改めたみつと再会。美少年を引きつれ、悪事を働くたかと手を組む文吉。三人は、箱根山中に眠るという大久保長安の埋蔵金を狙うが……。奇抜な発想、幾重にも仕掛けを絡ませた痛快時代ミステリー。
  • 寺侍 市之丞
    3.3
    棚橋家の次男・市之丞は、母の使いで面会した寺社奉行・阿部正精に、ある寺の復興に手を貸すよう頼まれた。寺の名は青柳山大恩寺。精彩を欠く寺だが、策を講じて興業で復興を図ろうとする市之丞。しかし、行く手には大きな壁が。御開帳の成功を阻む敵に、天真正伝香取神道流の達人・市之丞の剣が撥ねる。大恩寺の復興は成功するのか。江戸情緒溢れる新シリーズ第1弾!
  • 真田十勇士 巻の一
    3.3
    時は慶長十六年、豊臣家の滅亡を謀る徳川家康は、九度山に隠遁する真田幸村に警戒を怠らなかった。猿飛佐助は幸村の命を受けひそかに旅立った。来るべき戦いに備えて、諸国を回り十人の勇士を探すため。
  • 伊達政宗(五)
    3.3
    大いなる野望を託して支倉常長をローマへ派遣した政宗。だが、頼みとするエスパニヤ艦隊の来援は遂に幻と消えた。焦燥にかられる政宗の目前で、難攻不落を誇った大坂城は崩れ落ち、戦火の中に豊臣家は滅ぶ!
  • 奥方様は仕事人
    3.2
    八丁堀同心の妻、留以。婚家では、夫を献身的に支え、姑や小姑との折り合いに四苦八苦する愛らしい奥方様。だが、剣術小町と称されるほどの武芸の腕前を持ち、両親を殺めた夜盗への復讐心を静かに燃やし続ける別の顔も持っていた――。留以が知り合った菩薩先生と慕われている女医者に、毒入りの薬を処方した嫌疑がかけられる。著者渾身の新シリーズ第1弾!
  • 華麗なる割腹
    3.0
    三代将軍家光が没した。恩寵に与った重臣は、追腹切って殉死した。さらにその家臣たちも。だが、そのなかにあって大組頭・山岡主馬は異彩を放っていた。殉死する理由のない山岡の願いはただひとつ、人の目を愕かせる華々しいやり方で腹かっさばくことだったのだ。(「華麗なる割腹」) 武士(もののふ)の凄絶な美学を縦横無尽に描き切った傑作歴史小説!
  • 海賊商人
    3.0
    戦乱の日本を逃れ、海賊となった弥平太(後の呂宋助左衛門(るそんすけざえもん))は広大な南の海へ。荒れ狂う怒濤(どとう)と戦い、異国の海賊を退けて、命を的(まと)の荒稼ぎ! 太閤秀吉の権力にも屈せず、己れの意地を貫き通し、巨万の富を得た海の男の物語!
  • 明治叛臣伝
    3.0
    明治維新前後の混乱期。官軍となった薩摩・長州藩士の中には、心驕って汚職や不正を働く輩も。このため、一般民衆の生活はあまり向上せず、かえって負担が重くなり、苦しくなった。 新政府の不正を暴き、理想の世を築くために、欲も野心もなく、純粋な情熱を傾けて戦った男たち。反逆者の汚名をうけ、空しく命を失った彼らの波乱に満ちた生涯を描く傑作歴史小説。
  • 毛利元就
    3.0
    強大な大内、尼子、両氏の間に挟まれた弱小な毛利家当主となった27歳の元就。武力と冷酷な策謀で敵を屠(ほふ)り、『3本の矢』のごとく3人の子らも協力して、中国地方の大半を制覇。長州藩の基礎を築いた半生を描く大作。
  • 婆娑羅大名
    3.0
    下剋上(げこくじょう)の世の中に、人目をも憚(はばか)らず、思いのままの奢侈(しゃし)にふけり、数寄(すき)風流に命を賭けた京極道誉(きょうごくどうよ)。後醍醐(ごだいご)帝と足利尊氏の宿命的な対決を背景に、荒々しく血なまぐさい南北朝時代を描いた歴史小説の傑作。
  • 幕末列藩流血録
    3.0
    勤王か佐幕か、攘夷か開国か……。沸き返る世論と、目まぐるしく変化する時勢の流れに、敢然と立ち向かい、新しい時代を模索しながら、志なかばに斃れていった人々の激しい生きざまを描く。
  • のらねこ侍
    3.0
    御先手同心・長谷川冬馬と妻の樹緒は、無類のねこ好きだ。夫婦には子がなく、子宝を祈願して回る寺院に住みつくのらねこを虎太郎と名づけて可愛がる。やがて二人に男の子が生まれ、虎次郎と命名した。ある夜、冬馬は床屋の帰り道、木天蓼(またたび)を用いてねこを狙う男を捕まえたことから思わぬ事件が……(表題作)。綿密な考証に基づき、趣向を凝らした極上作9編を収録。(『羅漢台』改題)
  • 小西行長
    3.0
    天下を掌握した豊臣秀吉は、ついに無謀な朝鮮侵略を目指す。キリシタン大名・小西行長は、主・秀吉の野望のままに従うか、それに背いて神の教えを守るべきか、と苦悩する。そんな彼に理解を示す石田三成。対照的に敵意むき出しの加藤清正。やがて秀吉を説得し海を渡った行長は、講話交渉の駆け引きに畢生の手腕をふるい、己のすべての夢を賭けた。長編時代ロマン小説!
  • 伊達政宗(六)
    3.0
    家康が礎を築いた徳川政権は秀忠・家光と引き継がれて確固不動、遂に外様大名取潰しに着手する。巧智に長けた政宗は、稀代の“臍曲がり論法”で伊達六十二万石を安泰に導き、生涯を閉じた。全六巻完結!
  • 春日局(一)
    3.0
    「狙いは本能寺にあり」――明智光秀の采配で、幼い福の運命は一変した。父の非業の死、一家離散、激変する境遇の中、女が「天下を取る」には……。三代将軍家光の乳母として、大奥に威勢を振るった女の生涯を描く大作!
  • 無銘刀~御刀番 左京之介(十一)~
    3.0
    小石川傳通院の裏で、五人の沼津藩藩士が斬殺された。背後に、妖刀村正に似た無銘刀を遣う凄腕の剣客の存在が浮かび上がる。汐崎藩御刀番頭の左京之介は、度重なる襲撃に怯える沼津藩藩主・水野忠成の懐刀で、これまで対立していた土方縫殿助から助けを求められる。土方の求めに京之介が下した判断とは――。霞左文字が、権力者たちの謀略を斬る! 感動のシリーズ最終巻。
  • 居酒屋宗十郎 剣風録
    3.0
    神田花房町にある居酒屋『福田屋』の離れで寝起きする滝川宗十郎。小身旗本の家を出て福田屋の居候となった宗十郎は、福田屋の仕事を引き受けている。それは、福田屋が表の居酒屋とは別に手掛けている「闇の仕事人」だった。柳生新陰流と一刀流をもとに編み出した神速の剣で、悲劇の道場を救うことができるのか。息を呑む剣戟が溢れる、著者渾身の新シリーズ開幕。
  • かげろうの恋~もんなか紋三捕物帳~
    3.0
    天麩羅屋を営む浪人・伊達宗之介は、一人娘・千春の小言に頭の上がらぬ日々を送る。ある雷雨の夜、二人が町医者の屋敷の前を通りかかると、蓑笠姿の男が表門から遁走。邸内で目にしたのは男と女の亡骸だった。探索に乗り出した岡っ引の紋三は無数の不審な点に気付き……(表題作)。粋な紋三親分と、しがない浪人・宗之介の人情裁きが冴え渡る書下ろしシリーズ!
  • あやかし飛燕 隠目付江戸秘帳
    3.0
    釣宿の亭主となった駿河国江崎藩の隠目付・海野洋之介。大川で死体であがった男が釣り仲間である大店の息子と分かり、父親から敵討ちを頼まれる。探索で下手人として浮かび上がったのは、江崎藩の代官を斬って出奔した秘剣「飛燕」の遣い手だった。洋之介はいかに敵を討つのか。頼もしい助っ人に心形刀流の遣い手も加わって、迫力と爽快感が増した新シリーズ第一弾。
  • 忍者大戦 黒ノ巻
    3.0
    戦国時代には数々の合戦の舞台裏で、徳川の治世にはその政の背後で、彼らは密かに戦い続けていた――。伊賀、甲賀、軒猿……時に密命を受け、時に自らの意思で死地へと飛びこんでゆく忍者たち。秘術を尽くした激烈な死闘に息を呑み、仁義なき騙しあいに手に汗握る。本格ミステリーの手練れたちが全編新作書下ろしで贈る、謎に彩られたスーパー忍者活劇全五編!
  • 逃亡(上) 新装版
    3.0
    悪徳岡っ引・梅三郎の罠にかかって、“破牢”の重罪を負った甲州無宿の源次。逃れて、ある錺師の家の下働きとなるが、娘のお蝶と深い仲となり出奔。源次を匿い、お蝶は湯島の小料理屋に働きに出るが、そこには、あの梅三郎や、妖しい加賀藩の用人が出入りしていた……。無宿人の憤りを、巨匠が活写。
  • 人形の影
    3.0
    東京を離れた別荘地で、自動人形の発明に没頭する偏屈な父親・南瀬隆と、その世話をする健気な年頃の娘・蔦子。横暴な父の言動に翻弄されながらも、新しい時代の生き方を模索する若い女性の姿を描いた異色作。あの半七捕物帳の執筆開始からほどなくして、読売新聞に連載されたまま、ついぞ単行本化されることがなかった幻の長編が、100年の時を経て初刊行!
  • 狸汁~銀次と町子の人情艶話~
    3.0
    麻布十番の料理屋「味六屋」は政財界の大物がお忍びで通う名店だ。流れ板の銀次と女房の町子が切り盛りする小さい店に、馴染みの政治家から珍しい注文が入る。接待の相手は右翼の重鎮で、オーダーされたのは戦時中に中国で食べた“狸汁”。銀次はその料理にこめられた男の思いを叶えることができるのか――(表題作)。舌よりも心に残る料理の味わいを描く傑作短編集。
  • くるい咲き~越前狂乱~
    3.0
    元亀元年(1570年)、朝倉家家臣の小林吉隆は、織田家との合戦中、富田長繁に命を救われる。世の道理を重視する吉隆だが、忠に薄く戦好きな長繁とは、不思議と馬が合った。しかし、崩壊へと向かう朝倉家に見切りをつけた長繁は、織田方へと寝返ってしまい……。朝倉家滅亡後の越前に、大戦乱を起こした猛将・富田長繁。七百vs.十万という圧倒的劣勢の中、戦国最凶の男が魅せる蛮勇とは? 息をもつかせぬ圧倒的合戦譚!
  • 関の孫六~御刀番 左京之介(八)~
    3.0
    汐崎藩藩主・堀田家憲に御三家尾張藩主の姫との縁談が持ち込まれた。汐崎藩の御刀番頭・左京之介は、その「土産」に名刀「関の孫六」が献上されると聞いて不審を抱くが、ある旗本の所と、水戸藩にも関の孫六があることが判明する。いずれが本物なのか。そして水戸藩闇同心、尾張藩土居下組が「幻の名刀」を狙って襲い来る――。壮大なスケールに引き込まれるシリーズ第八弾。
  • 妖曲羅生門~御堂関白陰陽記~
    3.0
    平安の都の南、宇治の里に鉄輪をかぶる凄まじい鬼女が現れた。しかし追い詰めると更に奇怪なことに――(「妖曲鉄輪」)。平安王朝華やかにして、魑魅魍魎の跋扈する京の都。若き貴公子の兄弟・藤原道綱と道長が、源頼光率いる坂田公時、渡辺綱らと、妖しき謎の数々を追う。歴史・時代小説と本格ミステリーを見事にエンターテインメントに織り上げる、才気溢れる著者の傑作。

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