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名作短編集
みごとな仕上がりで、思わず息をのませる短編の名品佳作。――江戸を荒しまわった揚句、上方に高飛びしてほとぼりの冷めるのを待っていた鼠小僧。ムズムズしてきた例の手くせと持ち前の義侠心が、女のことから暴発した表題作「治郎吉格子」。ほかに「増長天王」「醤油仏」「八寒道中」「野槌の百」「銀河まつり」「無宿人国記」「雲霧閻魔帳」の7編を精選して収録する短編名作集。 -
坂本竜馬―土佐海援隊 (時代小説文庫)
竜馬の胸に身内のふるうような感激が湧いてきた。無意識に袴の膝をごしごしこすっていた…。今日、熱烈な攘夷論者の竜馬は、勝麟太郎と会い、少年の頃から抱いていた海への夢が広がるのを感じていた。海の豪商と海軍建設の夢。混乱の幕末、暁暗の星のごとく現われ、時代の開拓者として維新回天の軌道をつくり、明治の夜明けと共に光りの彼方に消えた男の豪快で波乱に満ちた実像に迫る傑作長篇。 (※本書は1991/6/1に発売し、2022/1/7に電子化をいたしました) -
どぶどろ
江戸の下町吹き溜まり、そこに降って沸いた怪事件。夜鷹蕎麦屋の親爺が切り口鮮やかな一刀のもと殺された。殺しの真相を追う平吉がたどり着いた真実とは?人気作家宮部みゆきに「いつかこんな小説を書いてみたいと思いました」と言わしめ、また彼女の長編時代小説『ぼんくら』のヒントともなった傑作。 -
空貝 村上水軍の神姫
伝説的女武将・鶴姫は、巫女であり総司令官であった。村上水軍を率いて西国最強の水軍を迎え撃つ──数奇な運命を描く長編歴史小説! 1541年6月、西の大国・大内氏の水軍が大三島(おおみしま)に大挙襲来する。迎え撃つ三島(さんとう)村上水軍の奇襲作戦は失敗し、総司令官である陣代の大祝(おおほうり)安房が戦死。実はそれは、安房の若き軍師・越智(おち)安成による大祝家への復讐の始まりだった。大祝鶴姫は平和な今治で巫女として神事に専念していたが、最愛の兄・安房戦死の報に接し、「大内を打倒し仇を討つまでは女を捨て、男として生きる」と宣言する。陣代となった鶴姫は安成と激しく衝突しながらもその献策を採用。鶴姫の天賦の軍才と安成の奇策によって勝利を収める。安成はなおも鶴姫謀殺と三島水軍の壊滅を企むが、鶴姫から危地に陥った己の命を逆に救われるのだった……。 -
お師匠さま、整いました!
才能 VS.努力熱血算術少女たちに、寺子屋の師匠は振り回されっぱなし!『髪結百花』で第一回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞した新鋭のデビュー作、待望の文庫化!享保十一年、茅ヶ崎は大岡越前守の菩堤寺である浄見寺。今は亡き夫の跡を継ぎ、桃は寺子屋で子どもたち相手にお師匠さまをしている。そんなある日、酒匂川の氾濫で両親を亡くした春が寺子屋を訪ねてくる。すでに大人の身でありながら、もう一度算術を学び直したいという。はじめは戸惑う桃だったが、春の朴訥さと一生懸命さに次第に魅せられていく。しかし、寺子屋で一番秀才な生意気娘・鈴が黙っているはずはなく……。第11回小説現代長編新人賞受賞作! -
国姓爺
戦国の世も末。鄭芝留、号は飛黄、明末の福建省に生れ、18歳で九州平戸に渡る。在日十年、宮本武蔵の門人・花房権右衛門について武術を極める。海運と密貿易で南海に君臨する大船主・顔思斉の下に馳せ参じた芝竜、やがて寵臣の劉香をしのぐほどに重用されたが、思斉が毒殺され、後継は海の掟に従い、劉香との剣米の神事争いとなった…。海の無頼・海寇たちの活躍を描く海洋活劇ロマン。 (※本書は1989/9/1に発売し、2022/4/13に電子化をいたしました) -
春色江戸巷談
神田皆川町の〈竹床〉だの〈松の湯〉、それにめし屋の〈やなぎ屋〉などは、長屋の連中の溜り場だ。将棋をしたり噂話に花をさかせるのが、ささやかな楽しみなのだ。大工の勝蔵が、弟分の千代吉が近ごろ吉原がよいにうつつをぬかしていると聞かされたのも〈竹床〉だった。ふと思い当ることがあって勝蔵は…。江戸庶民の色模様を、老練、鮮やかな筆致で描いた情感あふれる時代傑作小説。 (※本書は1991/7/1に発売し、2022/4/13に電子化をいたしました) -
草々不一
泣ける。笑える。心がほっこり温まる。 身分としきたりに縛られた暮らしにも、喜怒哀楽、切なくも可笑しい人生の諸相があった。江戸の武家の心を綴る、傑作時代小説短編集。 朝井節、ますますの名調子。 1冊に長編8作分の人生が。 「紛者(まがいもの)」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが武士だが。 「青雲」立身する者とできぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。 「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から3つの約束をさせられて。 「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。 「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。 「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。 「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行く末は。 「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。 -
白狐を斬る
謎の盗賊「白狐党」、断じて許せぬ! 悪の秘剣「白波返し」を破れ!! 白狐の面をかぶった盗賊「白狐党」が、両替屋を襲撃。丁稚を一太刀、大金を奪った。さらに、事件を探索する北町奉行所の定廻り同心が、顔を縦に斬り割られ、殺された。賊のなかには旗本や御家人が……。白狐党とは何者なのか? 御目付の厳命を受け、非役の旗本・市之介が、強靭な謎の武士集団に立ち向かう。必殺剣「白波返し」を破れるのか!? 『残照の辻』『茜色の橋』『蒼天の坂』『遠雷の夕』『怨み河岸』『稲妻を斬る』『霞を斬る』に続く、「剣客旗本奮闘記」大人気シリーズ第八弾! -
霞を斬る
目付影働き・市之介、絶体絶命!! 敵の刀が見えなくなる、秘剣「霞流し」を操る強者との一騎打ち。勝負の行方は!? 御納戸衆が殺された。凄絶な死骸だ。側頭部が割られ、傷口から頭骨が覗く。そのひと月ほど前、同様の太刀筋で、日本橋室町の老舗呉服店・相模屋の番頭も頭を割られた。さらに、事件を探っていた御用聞きも殺された。相模屋の倅の姿も見えないという。これらの事件の裏には巨魁の影が――。非役の旗本・青井市之介は、朋友・糸川俊太郎、佐々野彦次郎と共に、斬殺、誘拐、略奪の真実に迫る。『残照の辻』『茜色の橋』『蒼天の坂』『遠雷の夕』『怨み河岸』『稲妻を斬る』に続く、大人気シリーズ「剣客旗本奮闘記」第七弾! -
悉皆屋鬼次やみばなし
鬼の涙は、ちと苦い……やるせない男と女の閨にまつわる依頼とは 本所回向院裏の一角にある居酒屋「闇弁天」。界隈の者でも客になるにはちょいと勇気がいるが、亭主の名を鬼次という。この異相の亭主には、もう一つの顔があった。悉皆屋(しっかいや)なる、よろず屋稼業。とりわけ、鬼次の稼業は闇中のもの、並な頼み事はいっさい引き受けない。すべての生命の源は、男と女の営みから始まる。本日の願い事は、老旦那から若女房への「形見の張形」だというが……。全八話収録の連作時代小説。 ●磐紀一郎(ばん・きいちろう) 1938年、福島県いわき市生まれ。手塚治虫が設立した「虫プロダクション」の文芸部を経て、作家生活に入る。十年間の休筆期間ののち、満を持して発表された『吉宗影御用』シリーズなど時代小説界に新しい風を送り込んだ。 -
四ツ目屋闇草紙
松平定信、真田幸貫父子と不思議な繋がりを持つ“謎の男”、小三郎の犯した大罪とは? 江戸・両国にある「紙屋えろす堂」。蘭方・四ツ目屋といい、張形や吾妻形、媚薬・強壮丸を扱う店である。角行灯の薄闇で男女の悩みごとを処方するのは、主人の紙屋小三郎。長崎・鳴滝塾の留学から江戸に帰ると蘭学迫害の嵐が吹き荒れ、長崎奉行所に記録のない“謎の男”小三郎の身にも追っ手が迫る。幕府密偵・鳥居燿蔵の容赦ない捜査は、仲間の佐久間象山やねずみ小僧にまで忍び寄る……。長編時代小説。 ●磐紀一郎(ばん・きいちろう) 1938年、福島県いわき市生まれ。手塚治虫が設立した「虫プロダクション」の文芸部を経て、作家生活に入る。十年間の休筆期間ののち、満を持して発表された『吉宗影御用』シリーズなど時代小説界に新しい風を送り込んだ。 -
英雄たちの経営力 日本史を造った12人(文庫版)
信長か。家康か。秀吉か。 最強のリーダーは誰!? 佐々木紀彦氏(PIVOT CEO)対談、佐渡島庸平氏(コルクCEO)解説収録! 仕事や生き方の羅針盤となる画期的歴史エッセイ! 歴史小説の第一人者が〈経営〉で読み解く日本史! 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康ら三英傑をはじめ、古代から近代にかけて日本史上の卓越した指導者12人を決断力、組織力、リーダーシップなど様々な観点から評価する。ビジネス映像メディアPIVOT・佐々木紀彦氏と伊東氏の対談「英雄に学ぶビジネスの知恵」も必読。歴史ファンだけでなく、企業や組織に関わるすべての人の生き方に効く一冊。 〈本書で取り上げる12人の英雄〉 〇蘇我馬子 〇白河上皇 〇平清盛 〇源頼朝 〇日野富子 〇織田信長 〇豊臣秀吉 〇徳川家康 〇荻原重秀 〇田沼意次 〇大久保利通 〇大隈重信 -
深川日向ごよみ
花夜叉との異名を持つ剣の達人、時津日向子が探屋稼業に奔走する 深川の南、永代橋近くの一色町。故あって国許を離れ、長屋暮らしの時津日向子、大助母子。小野派一刀流の遣い手でもある日向子は、骨董屋〈天秤堂〉の裏の仕事を手伝い糊口を凌いでいた。物探しや人探し、平たくいえば探屋である。時には一筋縄ではいかない相談事が持ちこまれる。そんな折、記憶喪失にかかった侍から「忘れた過去を探してほしい」との難解な依頼が持ち込まれる……。巻末に「電子版あとがき」を追加収録。 ●六道 慧(りくどう・けい) 東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。 -
御家人風来抄
御家人の意地と生計のため、あらゆる仕事を引き受ける風来屋が剣を振る 貧乏御家人の緒方弥十郎は、美丈夫で剣の腕も確か。贅沢な母親を満足させるための風来屋稼業では、色恋がらみの用心棒や御家騒動の肝煎役、喧嘩の仲裁役と、様々な依頼が舞い込む。二晩、褥をともにしたおりょうが、謎の死を遂げた。別れ際に彼女が発した「後朝の別れでござんすねえ」の一言が気になった彼は、この言葉を手がかりに真相を調べ始める。表坊主の宗順、小者の也寿たちの手を借り、弥十郎が解明した真相とは? 巻末に「電子版あとがき」を追加収録。 ●六道 慧(りくどう・けい) 東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。 -
浦之助手留帳
相談の儀、承り候……春を告げるや福寿草、助広一閃、月下に舞う 『江戸城の智恵袋』と称された越後河田藩の元留守居役・山本浦之助は、各藩の厄介事を解決して余禄も望める、悠々自適の隠居生活を送ろうとしていた。折りしも、相談事を持ちかけられた他藩の小納戸役が不審な死を遂げてしまい……。小太刀の遣い手・浦之助が縺れた謎を解く長編時代小説。電子版あとがきを追加収録。 ●六道 慧(りくどう・けい) 東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。 -
じゃこ、南の海へ
運命の荒波に翻弄され倭寇に拾われた少年は、海賊の一員として逞しく成長してゆく 育ての親の爺が死んだばかりか、非道の領主をやむなく刺して追われる身となった少年「じゃこ」。その運命の日の夜、彼は自分の出生にまつわる秘密を知った。母親は異国の人で、じゃこを産むと間もなく、短剣と船とを残して死んだのだという。兄とも慕う「飛魚」のすすめに従い、じゃこはたったひとりで船を操り、南の海へ乗り出すことにした。母の国をさがすために。だが、じゃこを待ち受けていたのは、嵐と倭寇の船だった……。 室町(南北朝)時代の東シナ海を舞台に、ひとりの少年の冒険を描いた伝奇時代小説、上巻。 ●松尾未来(まつお・みらい) 20世紀生まれ。水瓶座。O型。桃園書房『月刊小説』1991年9月号に「妖かしの湖」が掲載され、小説家としてデビュー。同誌に官能ホラーの短篇を発表しつつ、イギリスの魔女ドリーン・ヴァリアンテの著書を読み、魔女(ウィッカ)の生き方を学ぶ。アメリカのホラー映画専門誌の翻訳を経て『刑事コロンボ 危険な声』(二見書房)を翻訳出版。長篇小説として、時代海洋冒険小説『じゃこ、南の海へ(上・下)』(ソノラマ文庫)、『ばね足男が夜来る』(ハルキホラー文庫)。魔女関連の著書には、思想書『魔女を生きる』(白水社)と実用書『魔女の本』(学陽書房)がある。 -
享保のロンリー・エレファント
享保十三年、第八代征夷大将軍・徳川吉宗が招聘したのは、巨大な「象」であった。海を越えてはるばる旅をしてきた象は、長崎の港に着いたのち、陸路、徒歩で江戸城に向かう。多くの人間を引き連れた象の行く先々は、珍獣を一目見ようとする見物人であふれかえり、さまざまな人間模様を見せる……。史実を元にファンタジックに描かれた連作短篇時代小説。 *わらしべの唄 *獺祭の湊 *象鳴き坂 *半鐘さん *マン・オン・ザ・ムーン *千日手の解法 *エピローグ 象を引く ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
公儀厠番 -うんこ侍後始末-
お城の奥深く、上様の厠汲み取り人たちを取り仕切る。それが公儀厠番・品地武之進の役目。うんこ侍とあだ名される彼には、誰も知らない裏の顔があった。 お城の奥深く、お庭番が控える奥庭のさらに奥。上様の厠で汲み取り人たちを取り仕切る、それが公儀厠番・品地武之進久尚の表の役目。そして裏の役目は、厠の外に控え、上様から直々に、お庭番にも言えぬ下命を受け、極秘裏にそれを実行することだった。人知れず江戸市中を暗躍するうんこ侍、その歩んできた日々の物語。 文芸キュレーションサイト「P+D MAGAZINE」上で連載された時代小説を、電子書籍で単行本化。 ※この作品はカラーが含まれます。 -
情なしお源金貸し捕物帖
尼寺の離れに独り暮らしのお源は、若い女高利貸し。情なしお源だの、夜叉のお源だのと悪名高い。面長の顔に白粉っけもないが、スラリとした姿。見る目のある人に言わせれば、すこぶるいい女らしいのだが、小気味のいい、情け容赦のない取り立てで、江戸の町にその名を轟かせている。そんな非情なはずのお源が、隠れて庶民たちの暮らしを助け、彼らが巻き込まれる難事件を解決していく……。連作短篇時代小説。 *五両の行方 *身売り娘 *失せもの探し *三十郎は不在 *煮売り酒屋 *不吉な影絵 *虎の子が消えた ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
色仕掛 深川あぶな絵地獄
江戸は深川で、平凡な絵草紙屋を営みながら、裏ではご禁制のあぶな絵を売り捌く巽屋孫兵衛、お京の夫婦。男女の淫らな絡みを描いた秘画と、妖しい色香を滲ませるお京めあてに、今日も色欲に狂った男どもがやってくる。孫兵衛、お京と配下の悪党たちが、剣と悪知恵にモノを言わせ、鮮やかな手口で彼らを欺き、身代残らずまきあげる……。痛快無比の8編を収めた連作短篇時代小説「色仕掛」シリーズ、第2弾。 第一話 箱入娘はお目の毒 第二話 女が回る水車 第三話 死んだ夜鷹が福の神 第四話 夢路の果ては地獄の図 第五話 行き暮れて雀のお宿 第六話 心の闇に狂い花 第七話 極楽浄土を逆落し 第八話 怨みの的は生人形 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
色仕掛 闇の絵草紙
表向きは平凡な草紙屋、その実、謀事に抜かりなく、剣の腕も確かな悪党・巽屋孫兵衛。彼が率いるのは、墓守の卯平、女髪結いのお徳、遊女のお新、元浪人の妻・お京といった、ひと癖もふた癖もある面々。色と欲にボケた亡者どもを、あの手この手で引っ掛け、騙し、有り金残らず巻き上げる……。江戸は深川界隅を舞台に繰り広げられる痛快なダーティー・トリック・ストーリー10編。連作短篇時代小説「色仕掛」シリーズ、第1弾。 第一話 あぶな絵の女 第二話 筋書は狂った 第三話 心中者比べ 第四話 カモが来た 第五話 絵絹は玉の肌 第六話 女按摩お京 第七話 塩から仁兵衛 第八話 蜜の滴り 第九話 若衆人形は雪の肌 第十話 責め絵草紙 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
晴れ曇り八丁堀
昔、捨てた娘を探しているという男の名は吉兵衛で57歳。同心・稲毛作兵衛は茶屋奉公の女殺し事件で忙しかったが、事情を聞いているうち、殺された女が吉兵衛の娘では、という気がして死体を改めさせると案の定……。だが、実の娘とは真っ赤なウソだった。(「娘さがし」) 事件を地道に捜査する同心・作兵衛とその妻・おれんを中心に、江戸市井の人間模様を描く。連作短篇時代小説。 *娘さがし *かどわかし *転がりこみ *押込み *探りの手伝い *仕掛けゆすり ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
色懺悔 鼠小僧盗み草紙
お江戸八百八町といえども夜の闇は深い。闇に忍んで夜の町を跳梁跋扈する怪盗・鼠小僧。岡っ引きの目を掠め、あちらこちらの武家屋敷に出没しては黄金色のお宝をまんまと頂戴する悪党だ。ある日、岡っ引きの又五郎は、大名屋敷の塀から逃げる男をあっけなくお縄にしたものの、その正体は気が良さそうな優男で、魚屋の主人・源次郎だという。噂の鼠小僧かと思ったが、どうやら人違いらしい。これを機に捕物の手伝いをすることになった源次郎だったが……。連作短篇時代小説。 第一話 岡っ引又五郎の失敗 第二話 大工兼七の危難 第三話 義賊蝶吉の改心 第四話 浪人百之助の目算 第五話 奥方寿々の好色 第六話 座頭九郎市の心眼 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
練塀小路の悪党ども
練塀小路にかくれもない、数寄屋坊主の河内山宗俊。お上の威光を笠に着て、やりたい放題の悪事三昧。大名旗本はいわずもがな、はては坊主、町人にいたるまで、弱味を握っては追い回し、大仕掛け、小仕掛けの荒稼ぎ。贅をこらした屋敷には宗俊を慕う悪党どもがたむろして、夜毎、色と欲の胸算用……。歌舞伎でお馴染みの河内山宗俊を主役に、悪どもの群像を描く。江戸情緒のなかに悪の美学が冴えるピカレスク・ロマン。連作短篇時代小説。 *薬研堀の狼 *石町の銀鼠 *池之端の蝮 *鉄砲洲の小猿 *向島の傷千鳥 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
外道・宮本武蔵
慶長5年9月、美濃関ヶ原で東西決戦が始まった。徳川家康対石田三成の覇権争いである。西軍優勢のまま闘いは推移するが、小早川秀秋の東軍への寝返りによって、石田勢は劣勢に追い込まれる。だが、突如怒涛のごとく小早川勢へ急襲をかけた軍がいた。宮本武蔵率いる武装軍団である。形勢は逆転し、小早川隊は潰滅。徳川家康は関東へ引き上げる。手柄を立てた武蔵は石田三成に気に入られ、城持ちの大名に取り立てられるが……。 孤高の剣豪ではなく、軍団を率いて大名まで成り上がる宮本武蔵の活躍を描く。歴史スペクタクル第1弾。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
怪奇犯科帳
文政年間、江戸では常識外の怪奇事件、猟奇事件、原因不明の超常現象などによる殺人事件が頻々と起こるようになった。地蔵が深夜涙を流し、竜巻が女体を天に舞い上がらせ、獄門台の首は宙に浮き上がる……。従来の町奉行や火盗改めでは手に負えないそれら事件を担当するのが、新役所「風俗改め」である。市井に融け込むため身分を隠し、あらゆるところに潜入して謎を追う四人の活躍を描く。長篇時代伝奇小説。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
枕妄之介 秘剣伏魔城
徳川網吉の圧政下、江戸元録期。腐敗する幕府の背後で、南蛮渡来の秘宝を巡って蠢く魑魅魍魎たちがいた。大商人・丸銀屋と、異国の騎士を擁する浪人集団・青竜組。それに対し、伏魔殿と化した幕府を探るべく隠密行動をとる若き吉宗。期せずして三つ巴の闘いに巻き込まれた無頼人・枕妄之介は、秘剣「水月殺法」と女殺しの色気を武器に、悪の陰謀に挑む! 長篇時代伝奇小説。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
江戸の敵
ならず者の銀平は、山谷の茶屋女・お紋のヒモである。美人局で江戸を荒し回った挙げ句、長崎行きを思い立った。母親と自分を捨て、長崎で海産物問屋を営む父親を強請ろうというのだ。一方、お紋にも当てがないわけではなかった。馴染みだった役人が確か長崎に行っているはずだ……。ニヒルな二人の腐れ縁を描く表題作など、十一編。市井に生きる男女の愛欲を推理短編の手法で活写する時代小説短編集。 *餌屋の客人 *忘れていた女 *雨宿り *おびき出し *岡っ引無頼 *寝ものがたり *生き返った男 *身がわり *江戸の敵 *三河屋 *斬また斬 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
追われて中仙道
夏の中仙道、上州路。ひょんなことから道連れになった男と女。片や行きがかりで主を殺して金を奪った新助こと鉢谷幸次郎。片や囲われていた旦那を殺し、男に化けて江戸を立った島五郎ことお島。どちらもすねに傷持つ逃避行。迫る追手や地回りに雲助、群がる悪党を右に左に斬り捌き、京を目指してひた走る。明日をも知れぬ二人がたどり着くのは極楽か、はたまた地獄か……。長篇時代小説。 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
お夏太吉捕物控
お夏は花もはじらう十八の掏摸名人。幼馴染みの太吉あにいは、駈け出しの岡っ引だ。ある日、現場を押えた太吉は、お夏にひょんな交換条件を出した。赤犬を使う女掏摸から、さる大店の蔵の鍵を取り戻せば、見逃すというのだ。やがて鍵も戻り、事はすんなり収まるかに見えたが、当の女掏摸が殺されてしまう。事件は複雑に意外にこみいっていくうちに、お夏と太吉の二人は……。連作短篇時代小説。 *太吉売り出す *突き当った男 *お夏の恋心 *飼われた男 *二人で芝居を *太吉冬ごもり *花かんざし *昔の仲間 *田舎の親爺 *いつか見た顔 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
武田騎兵団玉砕す
信玄の跡を継いだ武田勝頼は焦っていた。重臣たちに、父と比較され軽んじられていることに腹を立てていた。そして信玄の遺言である「三年は死んだことを伏せ、守りに徹しよ」に背き、奥平貞昌が守る長篠城を攻めた。だが落城寸前、織田・徳川連合軍が押し寄せてくる。勝頼は討って出るが、予想をはるかに超える三千の鉄砲を前に苦戦。全国の武将に恐れられた武田騎兵団の運命は……。 天正三年(一五七五年)の「長篠の合戦」を舞台に、武田勝頼、奥平貞信、徳川家康、織田信長、鳥居強右衛門など各人の思惑をつぶさに描く。 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
姉小路卿暗殺
京都で「天誅」と称する要人襲撃事件が相次ぐなか、攘夷派の重要人物・姉小路公知が暗殺された。現場に残されていた刀などの物証から、薩摩藩の田中新兵衛が捕らえられたが、彼は取調べ中に自殺してしまった。だが、人斬り新兵衛とまで言われた男の仕業にしては、あまりにお粗末だ。京都東町奉行の義兄の家に居候していた浪人・関要次郎は、事件の幕引きに不審を抱き、持ち前の正義感と好奇心に身を任せて事件を捜査する。果たして本当の下手人は誰なのか、暗殺を計画した組織は? 明治維新の一つの謎に独特の手法で挑む、快心の時代推理小説。 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
天草キリシタンの秘旗
江戸から続く旧家の敷地で、十字架を帯びた五十体もの人骨が発掘された。若き外科医・松平が調査に向かったが、大量の人骨は一夜にして何者かに運び去られていた。現場に残された十字架から、今日まで潜伏を続ける隠れキリシタンの結社“オラショパンヤ”の存在を知った松平は、盗まれた人骨を追って天草へ。だが、血塗られた歴史の真相に迫る松平を、オラショパンヤの秘技『天帝隠剣』が襲う。「島原の乱」に仕組まれていた壮大な陰謀とは!? 長篇伝奇ミステリ小説。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
宴忌七郎・裏目付妖変
宴忌七郎(うたげ・きしちろう)は、巨悪を闇のうちに絶つ役目を負った裏目付である。裏目付は幕府の正式の職制の中には存在しない。老中・松平周防守が腐敗の横行する治世をみかねて密かに組織した。文政十一年、江戸・両国で覆面の二人組に、ひとりの商人が斬殺された。現場に居合わせた忌七郎が、風をも殺す剣法・風殺剣で一人を切ったが……。殺しの裏には、あこぎな地所上げとご禁制の金の地金に手を出してのしあがった新興商人・佐渡屋がいた。すべて、極秘をむねとして、極悪の高みにいる者を突きとめよ。忌七郎に密命が下った! 長篇時代小説。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
天空の爪
伊作にとって、友衛を深く憎みながら、すべてを憎みきれないで、その相反する感情が胸奥でたえず葛藤を演じる日々が続いた。傍目からは、異様とも奇怪とも映る生活であった。というのは、伊作は、熊鷹の巣のある崖の下で、どうして父を殺したかと問い詰めて、友衛からなにも聞き出せなかったときより、くる日もくる日も友衛につきまといだしたからであった。それも、友衛のうちに起き伏ししながらのことである。(本文より) 太平洋戦争時の出羽山系の山々。父を殺した理由を聞き出すため、そして復讐のために少年は山深くに住む鷹匠の元を訪れる。だが彼の育てる鷹と触れあううち、少年の心が変化してゆく。大自然の中で生きることの素晴らしさ、厳しさを描いた感動作。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
火盗斬り
浪人で伊達者を気取る、風流人の土岐綾部。優れた剣の使い手なのに、市松模様の着流し姿になると、なよっとして見える。麻布界隈では大胆な服装で有名な存在だった。当初は、目立ちすぎると目をそむける頑固者が多かったが、この頃はなれてきたのか、親しみをもたれている。綾部は、身近に冤罪人が出るに及び、殺人事件の裏を調べることにした。黒幕は、藤掛伊織。強引な捜査と拷問による犯人でっちあげで、江戸庶民の怨嗟を集める火付盗賊改役だ。彼は寺社奉行から若年寄への出世を目論んでいたが、どうもその強引なやり口にはからくりがありそうで……。長篇時代小説。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
紋之介艶姿事件帖
浅草の芝居小屋・島村座の座頭・島村紋之介は、素晴らしい美貌と色香の持ち主。旗本の娘から大店の内儀まで、贔屓筋も多い。しかし、紋之介にはもう一つの顔がある。今日も同心・片倉仙蔵が紋之介を訪ねた。何かやっかいな事件が起こると、紋之介の知恵を借りに来る。仙蔵の話によると、日本橋の薬種問屋・雑賀屋の一人娘・八重が誘拐されたという。しかも主人の惣兵衛は表沙汰にしたくないらしい。「何か、やっかいな裏があるらしい。紋さん、一肌脱いでくれないか」翌日、若後家姿の紋之介が雑賀屋の門をくぐった……。長篇時代小説。 ●志茂田景樹(しもだ・かげき) 静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。 -
浮世絵鑑定談
横浜が開港して、一山あてようと思って乗り込んではみたものの、鳴かず飛ばずで二年。しがない古道具屋を野毛に開いて不如意の生活を送っていた権蔵に、儲け話が降ってきた。居留地に住む異人たちが、錦絵を買い集めているのだという。悪知恵が利く権蔵はそこで閃いた。幕府禁制のわじるし(春画)ならもっと高く売りつけれるのではないか。そこへ、どことなくうらぶれた浪人者が権蔵の店を訪れる。大量のわじるし、それも肉筆画を買いとって欲しいということだが……。 電子オリジナルの長篇ユーモア時代小説。 ●佐野広実(さの・ひろみ) 1961年横浜生まれ。1999年第六回松本清張賞を『芳年冥府彷徨』(島村匠名義)で受賞。2020年第六十六回江戸川乱歩賞を『わたしが消える』で受賞。近作は『誰かがこの町で』(講談社)。電子書籍封切作品に『ムッシュ・ジャポネ』『浮世絵鑑定談』『森嶋中良 御典医の次男坊』がある。「新青年」研究会会員。 -
幕末横浜事件録 菊の簪(かんざし)
幕末の横浜を舞台に、若き同心・神田源三郎を主人公に実在の人物も織り交ぜながら繰り広げる事件帖。開港直後の横浜でやくざ者が殺された。その日から行方不明になった同心・渡辺も死体で見つかる。いずれも凶器は短筒。大商人の看板を隠れ蓑にした密輸の事実と下手人を突き止めた源三郎だったが、その背後には巨大な闇が……。 島村匠名義で発表された時代推理小説が電子で復刊。 ●佐野広実(さの・ひろみ) 1961年横浜生まれ。1999年第六回松本清張賞を『芳年冥府彷徨』(島村匠名義)で受賞。2020年第六十六回江戸川乱歩賞を『わたしが消える』で受賞。近作は『誰かがこの町で』(講談社)。電子書籍封切作品に『ムッシュ・ジャポネ』『浮世絵鑑定談』『森嶋中良 御典医の次男坊』がある。「新青年」研究会会員。 -
カタリ伝
大坂の陣が終わって三十五年、徳川家光の治世。若き浪人・竹内信之介は養父の知人である列外を頼り、大坂へ向かう。そこで彼に弟子入りして“カタリ”の修行を始めるが、一通りの技術を学んだ頃、由井正雪による幕府転覆の陰謀に巻き込まれてしまう。列外一党は、信之介を太閤秀吉の孫に仕立て、紀州へ乗り込むが……。大名を相手に一大詐欺を計画する彼らの運命やいかに。 島村匠名義で発表されたユーモア時代小説が電子で復刊。 ●佐野広実(さの・ひろみ) 1961年横浜生まれ。1999年第六回松本清張賞を『芳年冥府彷徨』(島村匠名義)で受賞。2020年第六十六回江戸川乱歩賞を『わたしが消える』で受賞。近作は『誰かがこの町で』(講談社)。電子書籍封切作品に『ムッシュ・ジャポネ』『浮世絵鑑定談』『森嶋中良 御典医の次男坊』がある。「新青年」研究会会員。 -
弁天てんてん
はい、入り口はこちらでござい。時は明治三十八年。高橋健吾という風刺画家がおりました。聞くもあわれ、見るもあわれ。この男、とんでもない一件に巻き込まれます。言ってみれば、本格伝奇小説のごとき大事件でございます。見世物小屋の看板絵描きや三味線をつまびく少女に出会い、おまけに暗躍する成金野郎と渡り合います。鎌倉と秩父にまたがる謎は、さらに謎を呼び、いよいよの開幕となります。さあて、つかまつる。おっと、お代はお読みになる前に。 島村匠名義で発表された伝奇浪漫小説が電子で復刊。 ●佐野広実(さの・ひろみ) 1961年横浜生まれ。1999年第六回松本清張賞を『芳年冥府彷徨』(島村匠名義)で受賞。2020年第六十六回江戸川乱歩賞を『わたしが消える』で受賞。近作は『誰かがこの町で』(講談社)。電子書籍封切作品に『ムッシュ・ジャポネ』『浮世絵鑑定談』『森嶋中良 御典医の次男坊』がある。「新青年」研究会会員。 -
肌絵師 横浜幻影娼館
大正十二年、夏。横浜の野毛で彫師稼業をいとなむ朝太郎は、刺青の中で最も困難とされる“女の総身彫り”を成し遂げられず焦燥していた。その折、目の前に一人の女が現れる。「あの女になら彫りたい」心のざわめきを覚え、思わずあとをつけ辿り着いたのは、小港にある「カリホニヤ・ホテル」。そこはちゃぶ屋と呼ばれる娼館であった。 島村匠名義で発表された伝奇浪漫小説が電子で復刊。 ●佐野広実(さの・ひろみ) 1961年横浜生まれ。1999年第六回松本清張賞を『芳年冥府彷徨』(島村匠名義)で受賞。2020年第六十六回江戸川乱歩賞を『わたしが消える』で受賞。近作は『誰かがこの町で』(講談社)。電子書籍封切作品に『ムッシュ・ジャポネ』『浮世絵鑑定談』『森嶋中良 御典医の次男坊』がある。「新青年」研究会会員。 -
蜉蝣
「いとほしくて、可愛くて、切ないくらゐなんだよ、君をいとほしいと思へば思ふほど、虐めたくなる」無抵抗で脚を開いた帰依は、皮膚を抉る針の痛みが延々と続くのに朦朧としながらも、快楽の液体が滲み出て来るのを止められなかった……。 不穏な空気がたちこめる、昭和十年、上野。美校で裸体を曝すカフェの女給・帰依。繊細な画学生、謎めいた絵葉書屋、大きな屋敷を構える絵描きと耶蘇教の下男。男たちとの邂逅で、帰依の人生は捩れはじめた。官能と禁忌に弄ばれた女の性を描く、落涙の長篇純愛小説。 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。 -
世閒樣かくありき
「一体、私が何の悪さをしたといふんです。」世間様というものは非難や侮蔑や罵倒のお口は達者だけれども、それさえ根拠不確かで、すべては自己都合の良し悪し次第。懸命に地べたを這って生きる者を見下す資格なんぞ、無いはずだ……。 盲目の息子・周一と生きる多惠さんに対する世間の風当たり。崩壊するモダン都市・東京。太平洋戦争前・戦中・戦後、激動の時代と運命に翻弄される女の一生を、正字旧かなの文章で濃密に描く。全3話で構成された連作短篇集。 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。 -
異郷の帆
元禄初期の長崎・出島。若き通詞(通訳)である浦恒助は、鎖国の息苦しさに耐えながらも、広大な海の彼方へ夢を馳せていた。そんな中、発生したオランダ商人の不可解な密室殺害事件。この人工島では、人の出入りは厳重に監視され、奉行所の役人が腰に帯びる大小の他は、刀剣類の持ち込みも一切禁止されている。誰が、一体どうやって? 転び切支丹の同僚や、混血の美少女・お幸に疑いの目が向けられる。そして、当時の出島が抱えていた問題が次々と明らかになっていく……。 鎖国時代の長崎・出島を密室に見立てた時代推理小説の名作。 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。 -
路地居同心、目の用心
ちいさな手がかりを見逃さず咎人を捕縛に導く名代の謎解き師、その名も「路地居(ろじおり)同心」。彼を名指しで謎解きを迫る怪盗が現れた。死神小僧を名乗るその人物の正体は? そして数々の事件現場でもたびたび路地居同心を悩ませる、目の不具合の原因とは? いよいよ死神小僧との対面を果たした時、すべての謎が解き明かされる……。 驚くべき“仕掛け”が施された、鬼才による異形の時代ミステリ小説。電子オリジナル作品。 ●倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう) 1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒。同大学院文学研究科日本文学専攻博士課程前期中退。在学中に幻想文学会に参加、1987年に短篇集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。印刷会社、校閲プロダクション勤務を経て、1998年より専業作家。第3回世界バカミス☆アワード(2010年)、第4回攝津幸彦記念賞優秀賞(2018年)。ホラー、ミステリー、幻想小説、近年は時代小説を多数発表、オリジナル著書数は170冊を超える。 -
森からの使者
目を開くと、桟敷を埋め尽くした人々がササの藪に見えた。立っているものはブナやミズナラの木に見えた。人々の頭が動けば、それは風に揺れるササのように見えた。人いきれと蒸し暑さも気にならなくなった。「さあて、イタズはどこに潜んでいるかな」伊一は余裕のある呟きを洩らした。イタズとはツキノワグマのことだ。(本文より) 風雲急を告げる政治情勢の中で、平民宰相・原敬の手足として動いた影の男。最後のニホンオオカミとの交情を通じて、自然の掟に従い、激動の時代を駆け抜けた少年の成長物語。 ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。