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――城が愛してくれたのは、このわたしだけのはずだ。絢爛たる人工の色彩のなかで育った秀頼にとって、大坂城のなかだけが現実であり、安らぎにみちた世界であった。だが、太閤が逝ったあと、母である淀君がすべてをとりしきり、関白になるためだけの優雅な公卿教育を受けてきた秀頼が、恵まれていたといえるだろうか。旗印(権威の象徴)としてしか生きられない己の青春。異常な人間関係のなかで秀頼の苦悩、滅びの人生を描いた表題作ほか、「はんぱもの維新」など四篇収録。
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やっぱり星新一ワールド
いろいろな歴史小説を読んできたし、星新一ショートショートも読んでいたが、盲点で今まで読んでいなかった本。
SFではないのだが、不思議な感覚やら、あっと驚く展開、気持ちよく読み進めることができました。
取り上げている人物も、超有名人ではなく、絶妙な人選だったのも良かった。
Posted by ブクログ
SFの印象が強い星新一の歴史小説集ということで気になりよんでみた。戦国最後の戦から始まり江戸時代の3つのエピソード、最後に幕末の動乱の始まりが語られる時系列に沿った配列になっている。
表題作である「城のなかの人」特に気にいった豊臣秀頼の生涯を描いた小説だ。激動ながらも静かな秀頼の人生を、彼と関わった様々な人々と共に書く。凄まじい筆力と構成で生み出される静かな戦国大名の一生には色んな意味で圧倒されるものがある。特に最終章「秀頼」は壮絶な迫力があった。最後の章が秀頼の祟りといわれた将軍の変わりようにより残念な結末を迎えた幕末の英雄というのもひねられた終わり方だ。平穏と改革の物語の対比にもなる。
Posted by ブクログ
星新一さんといえば、SFのイメージがありますが、本書はそんな星さんの珍しい(?)時代モノ短編集です。
5編が収録されていますが、どの話も展開の絶妙さといいますか、持っていき方が上手くて、皮肉の効いたオチとなっております。
第四話「すずしい夏」は、内容的に結構残酷で、正直、地獄なのですが、展開の仕方が巧みなので、こんなに酷い話をサラっと読ませてしまうというところに不思議と感心してしまった次第です。
個人的には、表題作「城のなかの人」が好きでした。戦国最後の貴公子・豊臣秀頼の生涯が描かれているのですが、秀頼の特殊な育ち方故の繊細さが、淡々とした描写だからこそ伝わってくるものがあって、秀逸だと思いました。
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